電子帳簿保存法によるスキャナ保存とは?対応システムを調査!

「何年後かの業務を見据えて帳簿や書類を電子データ化させよう」

私は、以前一部上場企業の経理財務課に3年間いて、財務会計の担当をしておりました。3ヶ月に一度は四半期決算で公認会計士との対応でしたが、公認会計士が来社する前に大量の帳簿を部屋に運び込む作業が嫌で仕方がなかったことを覚えています。

そのような背景もあり、帳簿や書類の電子データ化の話はよく議題にのぼりました。しかし、電子帳簿保存法は当時使い勝手が悪く話が挫傷に乗り上げてばかりでした。

平成28年度の税制改正で電子帳簿保存法が、スマホやデジカメで撮った書類を電子データとして認めるなどさらなる規制緩和を迎えています。その緩和にあやかろうと、帳簿や書類を電子データ化させようという意見が社内で飛び交っているところもあるのではないでしょうか?

電子帳簿保存法でも特に話題にのぼるのがスキャナ保存ですが、採用するためには税務署長の承認やタイムスタンプの付与など11の要件があります。そして、その11の要件を満たした日立ソリューションズの活文など、システムを早くも売り出している会社も少なからずあります。

今回は、あなたの社内で話題になっているかもしれないスキャナ保存について、活文の他にも対応システムを調査したのでご紹介します。

スキャナ保存とは

スキャナ保存とは、日々の取引で発生する契約書や領収書などの書類を一定の要件下で、スキャンし電子データとして保存するものです。電子帳簿保存法による国税関係書類の保存方法で、スキャン後は突き合わせの後に書類を破棄できるため、書類を大量に保存しなければならない大企業だけでなく、事務所が小さい零細企業にもおすすめの保存方法です。

スキャナ保存についてより、深く知りたい場合はこちらも参考にしてくださいね。

電子帳簿保存法とは?領収書スキャナ保存するメリット!

スキャナ保存に対応しているシステム

スキャナ保存に対応しているシステムは以下のとおりです。

対応システム①:日立ソリューションズの提供する活文は大企業に向いている

スキャナ保存の要件を満たしており、会計システムだけでなく販売システムから購買システムまですべてを網羅しているため、一元管理をすることができます。また、JIIMAによる認証があるため、心強いです。

JIIMA(ジーマ)による法的要件認証がついているため安心

JIIMAは略称で、正式名称は日本文書情報マネジメント協会です。2016年に国税庁から「JIIMA電帳法スキャナ保存ソフト認証制度」を国税庁からの依頼でスタートさせており、今もスキャナ保存の利用を促しています。

対応システム②:富士通のDateDeliveryは要件の自動チェックを行う

富士通のDateDelivery(データデリバリー)も一元管理をすることができます。このパッケージシステムの便利なところはスキャンファイルの要件チェックを自動で行うところです。ただ、導入費用は数百万単位になるので、余剰資金が必要になります。

対応システム③:NTTデータビジネスブレインズのPandora-AX Date Archiveは基幹システムに左右されない

NTTデータビジネスブレインズのPandora-AX Date Archiveは、既存のパッケージシステムが出来る事はほぼ網羅しています。基幹システムを更改やリプレースしても影響はないため、基幹システムを変更予定の企業におすすめです。

電子帳簿保存法によるスキャナ保存の要件

電子帳簿保存法によるスキャナ保存の要件はすべてで11あります。だからこそ、国税関係書類を電子データで保存するのは大変です。私も、子会社の会計システムをリプレースした時に、その要件の多さに嫌気が差しましたが、今回のスキャナ保存の要件はそれ以上に多いです。これだけ、満たさなければスキャナ保存できないのであれば、「しない」という判断をする企業も少なくありません。

それでは、具体的に満たすべき要件は以下のとおりです。この要件を満たすことでスキャナ保存が可能になります。

  1. 入力期間の制限
  2. 一定水準以上の解像度(200dpi 以上)による読み取り
  3. タイムスタンプの付与
  4. 解像度及び階調情報の保存
  5. ヴァージョン情報
  6. 入力者等情報の確認
  7. スキャン文書と帳簿と相互関連性の保持
  8. 整然・明瞭出力
  9. 電子計算機処理システムの開発関係書類等の備付け
  10. 検索機能の確保
  11. 税務署長の承認

 

詳細については、国税庁が平成30年4月に発行した以下のパンフレットを参考にして下さい。

参考文献:はじめませんか、書類のスキャナ保存!

電子帳簿保存法の概要

電子帳簿保存法の概要は、文書保存の負担の軽減を背景に制定された法律です。平成10年に施行された当初は、コンピュータで作成された文書のみが対象でしたが、平成27年の税制改正で電子帳簿保存法のネックになっていた金額基準が取り除かれました。そして、次年度の平成28年の税制改正でようやく日の目をみることになった法律です。

私のいた経理財務課では、総勘定元帳などの主要簿を始め、補助簿のファイリング作業は、相当時間を掛けていました。だからこそ、いまの電子帳簿保存法の緩和が羨ましいです。

それでは、以下で電子帳簿保存法の規制緩和について紹介します。

電子帳簿保存法の規制緩和

電子帳簿保存法の規制緩和は、平成27年度の税制改正から始まり、次年度の平成28年度にも税制改正が実施されました。緩和点がいくつかのあるので紹介します。

平成27年度の税制改正での緩和

平成10年に施行された電子帳簿保存法は、使い勝手が悪く税務署に申請を届け出ている法人もわずかでした。なぜなら、保存できる書類に金額基準や電子署名が必要だったからです。3万円未満の書類は、スキャンし電子データとして保存していいですが、3万円以上は紙で保存しなければならないので、処理がわかりずらく2重になってしまいます。

それ故、電子帳簿保存法は、敬遠されていました。また、電子署名も敬遠に一役買っていました。しかし、平成27年度の税制改正では、金額基準と電子署名を撤廃したことで、大幅な緩和がされました。

平成28年度の税制改正での緩和

平成27年度に大幅な緩和があり、その次年度の平成28年度の税制改正でも大きな規制緩和がありました。中でも、カメラやデジカメで撮った書類が、電子データとして認められるところに中小、ベンチャー企業が大きな反応をみせました。ただ、11の要件の1つでもあるタイムスタンプの付与が大変で、書類の量も多いことに加えて、写真を撮ってから3日以内にスタンプを付さなければ、その電子データは無効になってしまいます。

したがって、書類の量が多い企業はタイムスタンプの付与に対応したシステムが必要が不可欠になります。

内部統制がかっちりと決まっている大企業に関しては、カメラやデジカメの話はあまり関係ないかもしれませんね。

電子帳簿保存法とスキャナ保存法について

電子帳簿保存法における国税関係書類の保存法はスキャナ保存を含めて3つあります。それは、以下の通りです。

  • 電磁的記録による保存
  • マイクロフィルムによる保存
  • スキャナによる保存

 

「電磁的記録(CDやサーバー等)やマイクロフィルム(COM等)による保存」は、元々会計システムに入っていた国税関係書類のデータに関する保存方法です。例えば、総勘定元帳など一貫して自社のパソコンを使用して作成されたデータを対象にしています。また、「スキャナによる保存」は、紙媒体をスキャナで電子データ化して保存する方法です。3つは電子帳簿保存法で規定されている保存方法ですが、このように内容は全く異なります。

電子帳簿保存法のスキャナ保存を導入した際のメリット

電子帳簿保存法のスキャナ保存を導入した際のメリットは、以下の4つです。

  • 紙書類の保管スペースを削減
  • 事務処理の負担軽減化
  • 書類の検索が容易
  • バックアップが容易

 

私の在籍していた企業に当てはめると、スキャナ保存を導入したら会計士対応の負担の軽減や保管スペースの確保で随分と時間に余裕が生まれます。対して、中小企業の場合は、保管スペースのために倉庫を借りているという企業も少なくないので、倉庫の賃貸代を減らすことができるでしょう。また、過去の書類を探すのに時間がかからなくなります。したがって、スキャナ保存を導入したら、経費や労務費の削減にもつながることでしょう。

ただ、すべての書類がスキャナ保存の対象ではありません。例えば、損益計算書や貸借対照のような決算関係書類や帳簿はスキャナ保存の対象外です。対象なのは、取引先関係書類と言われる見積書や契約書といった書類で、加えて相手方から受領した書類のみです。しかし、会計システムで一貫して作成したものであれば、決算関係書類や自社で発行した取引先関係書類は、紙にせずとも電子データのまま保存しておくことが出来ます。

より細かい情報を知りたい場合は、国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等法第4条を参照して下さい。URLを以下に添付します。

参考文献:国税関係帳簿書類の電磁的記録による保存等法第4条

また、わかりやすいように表にしてみましたので、頭の整理に使ってみてくださいね。

国税関係帳簿書類書類の名称スキャナ保存根拠
帳簿仕訳帳・総勘定元帳(主要簿)対象外帳票データの備付及び保存の申請(法4条1項)
決算関係書類損益計算書・貸借対照表・棚卸表…対象外電子データの保存申請(法4条2項)
取引先関係書類(発行分)契約書・領収書・請求書…対象外電子データの保存申請(法4条2項)
取引先関係書類(受領分)契約書・領収書・請求書…対象スキャナ保存申請(法4条3項)

参考文献:電子帳簿保存法一問一答【スキャナ保存関係】4ページより

電子帳簿保存法のスキャナ保存を導入した際のデメリット

電子帳簿保存法のスキャナ保存を導入した際のデメリットは、以下の3つです。

  • 導入費用がかかる
  • 内部統制が面倒
  • すべて電子データ化出来るわけではない

 

私の在籍していた企業に当てはめると、デメリットの3つは特に問題視されていました。大企業や中小企業の場合だと、基幹システムが絡んでくるので、数百万円規模の導入費用は覚悟しなければなりません。例に漏れず、私の在籍していた企業でも見積もりをとったところ数百万円の試算がなされました。

加えて、スキャナ保存の導入に歯止めをかけたのが、すべての書類を電子データ化できるわけではないという事実です。「電子帳簿保存法のスキャナ保存を導入した際のメリット」の見出しでも紹介しましたが、スキャナ保存ができる書類とそうでない書類があります。したがって、紙の書類は残りますし、かつスキャン保存の要件を満たしているのかという判断に時間がかかります。

書類保存係などの業務分担がなされている大企業にとっては、スキャナ保存は有効です。しかし、業務分担がされておらず各従業員の業務の境界がきちんと定められていない企業にとっては、スキャナ保存の導入は重しになることでしょう。

まとめ

「スキャナ保存を活用したいが、企業の保守的な体質のせいで導入できない」

「導入費用が高くて、とてもじゃないが導入できない」

スキャナ保存を導入できない理由は、企業の数だけあるでしょう。しかし、電子帳簿保存法の緩和後は使い勝手も良くなり企業によっては大きなメリットのある制度です。大企業では対応システムが必要不可欠ですが、対して、零細企業やベンチャー企業にとっては、ハードルが低く、メリットの大きい制度になるのでぜひ活用してみてくださいね。

電子帳簿保存法について、保存期間など他にも知りたいことがあればこちらもいかがですか?

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