— 御社の事業内容について教えてください
当社は、現在145ある信用組合の金融業務を、ITの側面から支援する会社です。全国に約1,600ヶ所ある店舗とネットワークを通じてつながっている共同オンラインセンターとして、預金管理や融資、為替業務といった金融業務を受託するとともに、そうした業務で利用するシステムの開発から運用管理まで担っています。
— 「TOKIUMインボイス」導入前に経理部門が感じていた課題を教えてください
大きく分けると3つの課題がありました。
請求書支払業務に時間がかかり過ぎていたこと、書類の保管や管理にも多くの労力を費やしていたこと、そして経理システムのメンテナンスの負担が大きかったことです。
1つ目の請求書支払業務に時間がかかり過ぎていた点は、紙運用を行っている企業共通の課題といえるかと思います。弊社では、請求書を受領した各部署が依頼書を作成し、印刷して回覧し、承認印が捺されたものが経理部門に回ってきたらシステムに手入力するというのが一連のプロセスで、それにかかる手間と時間の削減が必要でした。
2つ目の課題は書類の保管や管理です。企業ごとや支払日ごとに分類してファイリングすること自体に工数がかかりますし、キャビネットから倉庫へ移すにも人的コストがかかります。分厚いファイルが毎年10冊程度ずつ増えていくので、保管場所にも困り始めていました。
そして3つ目のシステムメンテナンスの負担ですが、これは弊社の使っていたシステムが独自開発したものだったことが大きな理由です。改修作業を自前で行わなくてはならず、法改正や業務改善があるたびに仕様確認や要件定義、プログラム変更、そして最終的な検証まで行っていて、もはや経理の仕事の枠を超えており、大きな負担となっていました。
— 請求書支払業務全体にどのくらいの時間がかかっていたのでしょうか?
多い月には70〜80枚の請求書が届くため、申請部署の担当者が丸1日かけて依頼書を作成して、経理部門の担当者がさらに1日かけて処理するといった感じでした。
しかも、申請部署側では未着の請求書について取引先に問い合わせたり、勘定科目を入力したりといった手間も発生しますし、再監者や役席者が不在の場合には決裁までの時間がのびます。また、要修正箇所が見つかれば最初からやり直しです。そういった諸々の工数もそこに加わり、かなりの時間がかかっていましたね。
— 新システムを導入することにしたきっかけは何ですか?
直接的なきっかけは電子帳簿保存法への対応ですが、併せて先ほど挙げた3つの課題も同時に解消できるような対応としたいと考えました。
そこで、承認ワークフローの電子化やペーパーレス化による業務効率化が見込め、なおかつメンテナンスの負担からも解放される方法として、新システム導入の検討をスタートしました。
— 導入システム選定に際し、何を基準としましたか?
社員の負担を考えた結果、経費精算も同一のシステムで行えるようにしたかったため、請求書支払システムと経費精算システムの両方を展開している会社であることを基準に探しました。
早急に対応が必要なのは請求書支払業務でしたが、今も小口現金で対応している経費精算についても振込方式に切り替えるなどの改善が必要な状況であると検討を重ねていました。
経理部門にとってシステム導入の機会はそうそうあるものではありませんが、電子帳簿保存法の話が追い風となり、請求書支払業務が電子化されれば、その流れで経費精算の電子化もスムーズに進められるはずと考えました。
— 最終的にTOKIUMに決めた理由をお聞かせください
ランニングコストの安さ、請求書の受領などを代行してもらえる点、UIや操作のわかりやすさ、それから専任オペレーターによるデータ入力です。
弊社は信用組合様から支払われる利用料で運営していますので、内部のシステムのランニングコストが高額となるのは避けたいというところがあり、比較的リーズナブルなランニングコストは魅力でした。
また、請求書の受領やスキャナー保存、データ入力、書類保管といった事務作業を代行していただけることは、人的コストの削減に直結しますし、保管場所の悩みも解消されます。
そして、経理業務に慣れていない社員でも直感的に操作できるようなデザインを重視していましたので、TOKIUMのシンプルでわかりやすい操作画面も決め手となりました。経理に精通していないと判断が難しい勘定科目を「電車・バス利用代」といったようななじみがあってわかりやすい名称に変更できるユーザーフレンドリーな仕様もありがたかったですね。
他社のシステムでもカスタマイズ自体は可能でしたが、その作業に時間がかかり過ぎたり、カスタマイズすると結果として入力欄が複雑になったりするのがネックでした。その点、TOKIUMのシステムはカスタマイズしやすいシンプルな設計で、無理なく対応できました。
最後のデータ入力については、AI-OCR任せではなく専任オペレーターが目で見て入力してくれる仕組みに安心感がありました。
— 金融業務ということでやはりセキュリティ面も重視されたのでしょうか?
そうですね。金融機関に属しており、しかもシステムを守る立場ですから、経理部門に限らずどの部署のどのシステムについてもセキュリティ面を重視しています。システム導入に当たっては安全対策基準への適合が大前提となるため、他社様に比べセキュリティ面でのハードルは高いといえるでしょう。
実際、営業担当の方にはセキュリティに関してたくさん質問させていただきました。その上でTOKIUMのシステムなら安心して導入できると判断したのです。
たとえば、弊社ではAWSを使用した別システムも導入しているのですが、それと同等の形態でデータ保管していただけることを確認済みでしたので、役員に説明する際にもその辺りが担保されている点を重点的に説明しました。
— 弊社の導入サポートに対するご感想をお聞かせください
自社の経理システムに関する知識しかなく、システムを法律に対応させるのに必要な専門知識が不足していたので、そこをフォローしていただけたのがありがたかったです。「どうすれば電子帳簿保存法をクリアできるのか」のところを細かく教えてくださり、大変助かりました。また、各社員からの細かな質問にも全てご回答いただき、スムーズなシステム稼働を実現できました。
加えて、共同センターという立場上、受益者負担の考え方に基づく必要があり、やや複雑な処理も行っているのですが、その面でのフォローも万全でした。
複雑な処理というのは、たとえば電気料金をマシンの設置面積をもとに按分したり、ホストコンピュータに関わる部分は利用料で、事務所エリア分は販売管理費で賄うといったように分割したりすることです。そうした処理についても実現方法のご提案があり、初期導入時にCSVのカスタマイズを行なっていただけました。
導入前は電卓を叩いていましたが、今はデータを取り込むだけで按分が反映されたCSVファイルが生成されるので、とても楽です。
— 「TOKIUMインボイス」導入の効果についてお聞かせください
ペーパーレス化が実現し、約7,500枚ある請求書や関連書類の保管に伴うコスト、特に人的コストを大幅に削減することができました。
また、請求書支払業務が大幅に効率化されたことにより、社員の残業時間も減少しました。請求書支払業務と並ぶもう一つのメイン業務として、お客様である信用組合様への請求書発行業務もあり、この2つの業務が重なる期間はいつも遅くまで残業していましたが、今は残業時間も削減し、並行してこなせるようになっています。
— 具体的にどの程度の工数削減となりましたか?
約10時間前後は削減できているかと思います。
たとえば請求書をファイリングして倉庫に保管するという作業だけでも毎日30分から1時間かけて行なっていましたが、今はありません。
もちろん、請求書支払業務の効率化は、経理部門だけでなく各部署の負担軽減や残業時間短縮にもつながっています。
— 各部署からの評判はいかがですか?
パソコン上で全て済むようになり、便利になったと好評です。
導入当初は外部に請求書を預けることに抵抗感を覚える社員も少なからずおりましたが、今では書類紛失などのリスクの回避につながる受領代行という仕組みをメリットと感じてもらえているようです。
また、以前であれば倉庫の奥から引っ張り出してこなければ確認できなかった過去明細を、今は検索すれば簡単に照会できる点も喜ばれていますし、過去明細から依頼書を複製できる機能も大変好評ですね。
— 業務効率化により浮いた時間をどう活用していますか?
最近の具体例でいうとメインシステムの更改に力を注ぐことができました。
他の銀行様でも「○日から△日までATMを休止します」といったようなのがありますが、あれがシステム更改です。弊社のメインシステムは8年周期で更改しており、2023年が更改年に当たっていました。
メインシステムの更改は全社的に数年かけて準備する一大プロジェクトなのですが、問題は現行業務と並行して準備を進めなければならない点でした。
現行業務の負担が大きければ準備もままなりませんが、幸いにも更改準備作業がそろそろ佳境に入るというタイミングで「TOKIUMインボイス」を導入することで、更改準備への注力が可能となりました。
また、そうした全社的なことでいえば、今回のシステム導入により承認ワークフローが電子化され、結果的にDX化に一役買うことができたとも感じています。
突然テレワークとなり、承認者が出社しなければ業務が回らないフローに危機感を覚えたコロナ禍を経て、今こうして在宅勤務であっても承認できる体制が整ったことは、会社全体のDXという観点から大きな一歩だと思います。
— 経理部門として目指す将来像を教えてください
請求業務のペーパーレス化は実現できましたが、まだまだ紙文化が根強く残っています。経理部門に限らず会社全体の資料は、昔から全てが紙で構成されており、コピー枚数やプリント枚数は複合機のメンテナンススタッフの方が驚くほどでした。
今回の「TOKIUMインボイス」導入を端緒として、より幅広いペーパーレス化と業務効率化を推進し、ひいては会社全体のDX化に貢献していけたらと考えています。
社員が「TOKIUMインボイス」の操作に慣れてきた現在、次は「TOKIUM経費精算」の本格稼働へ向けて準備中です。早ければ2〜3ヶ月後には稼働し、旅費や物品購入費の立て替え払いを小口精算から振込へと切り替えていくとともに、ペーパーレス化も進めていきたいと考えています。
今後一層の業務効率化を進めていきたい私どもとしては、頻繁なバージョンアップによりシステムをますます進化させているTOKIUMに期待を寄せています。TOKIUMと手を携え、システムの安全性はしっかりと確保しつつ効率アップを実現できるよう努めていきたいです。
【取材日:2023年11月17日】