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毎月、大量に届く請求書。その一枚一枚を発注書や納品書と突き合わせる「請求書照合」は、経理部門にとって時間と手間がかかる業務の一つです。目視での確認作業は、集中力を要するだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも常に伴います。
「この照合作業をもっと効率化できないか」「ミスをなくし、月末月初の残業を減らしたい」——。多くの経理担当者が、このような課題を抱えているのではないでしょうか。
本記事では、請求書照合の基本的な知識から、確認すべきチェックリスト、照合の手順、差異が見つかったときの対応、そして効率化の方法までを体系的に解説します。この記事を読めば、貴社の請求書照合業務を自動化し、経理部門全体の生産性を向上させるための具体的な道筋が見えるはずです。
→ダウンロード:請求書電子化で「ミスなく」月次決算を実現できる理由とは?3つのメリットをご紹介
請求書照合とは?経理業務における重要性
請求書照合とは、取引先から受領した請求書に記載された内容が、自社が発行した発注書や、受け取った商品・サービスの納品書といった関連書類の内容と食い違いがないかを確認する作業です。この照合プロセスは、企業の支出を管理し、財務の健全性を保つ上で極めて重要な役割を担っています。
請求書照合の目的
請求書照合の最大の目的は、支払いの正当性を確認し、不正や誤りを未然に防ぐことです。具体的には、以下のようなリスクを回避するために行われます。
▼ 請求書照合の3つの目的
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 過払いの防止 | 数量や単価の誤り、二重請求などによる過払いを防ぎます。 |
| 架空請求の防止 | 取引実態のない請求(架空請求)を見抜き、不正な支払いを防ぎます。 |
| 契約遵守の確認 | 発注時の契約内容(金額、数量、納期など)通りに納品・請求が行われているかを確認します。 |
これらの確認を怠ると、企業は不必要な金銭的損失を被るだけでなく、取引先との信頼関係を損なう可能性もあります。正確な照合業務は、企業のコンプライアンスとガバナンスを支える基盤と言えるでしょう。
主な照合パターン「2点照合」と「3点照合」
請求書照合には、主に「2点照合」と「3点照合」という2つのパターンがあります。
2点照合とは、「請求書」と「発注書(または納品書)」の2つの書類を突き合わせる照合方法です。発注内容と請求内容が一致しているかを確認する、比較的シンプルな照合プロセスで、納品書が発生しないサービス取引や少額の取引に向いています。
3点照合(三点照合)とは、「発注書」「納品書または検収書」「請求書」の3つの書類を突き合わせる照合方法です。英語では3-way matchingと呼ばれます。発注した品が実際に届き、届いた内容のとおりに請求が上がっているか——という取引の一連の流れ全体を検証できます。3点照合は、より厳密な確認が可能であり、内部統制の強化に繋がります。なお、納品書は取引先が発行する書類、検収書は自社が検収の事実を記録した書類です。内部統制の観点でより厳密なのは、自社の検収記録との突合です。
企業の規模や取引の特性によって適切な方法は異なりますが、特に物品の購入などでは、現物の受領を確認する納品書を含む3点照合が推奨されます。

請求書照合で確認すべきチェックリスト8項目
請求書照合を正確に行うためには、以下の項目を網羅的に確認することが重要です。自社のチェックリストとしてご活用ください。
▼ 請求書照合のチェックリスト8項目
| No. | チェック項目 | 確認内容 |
|---|---|---|
| 1 | 請求書発行元 | 取引基本契約書などに記載された、正式な取引先名称・住所と一致しているか。 |
| 2 | 請求日・支払期限 | 取引先との契約で定められた請求日、支払期限の通りか。 |
| 3 | 合計請求金額 | 請求書の合計金額が、発注書や納品書の金額と一致しているか。 |
| 4 | 品目・品番 | 発注した品目や品番と、請求書に記載された内容が一致しているか。 |
| 5 | 数量・単価 | 発注した数量、単価と差異がないか。 |
| 6 | 適格請求書の記載要件 | 登録番号の記載と有効性、税率ごとの消費税額・適用税率の記載があるか。消費税額の計算は正しいか。 |
| 7 | 振込先口座 | 事前に登録されている取引先の口座情報と一致しているか。振込前の口座変更依頼は詐欺の可能性も疑う。 |
| 8 | 社内承認の状況 | 照合完了後、社内規定に沿った支払承認(ワークフロー)を経ているか。 |
特にインボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始以降は、適格請求書発行事業者の登録番号の有無や、税率ごとの消費税額の記載など、確認すべき項目が追加されています。登録番号が有効かどうか、また公表されている事業者名が請求書の発行元と一致するかは、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで登録番号から確認できます(社名からの検索はできません)。新規取引先の初回請求時には、登録番号の実在と名義の一致確認までをチェックリストに含めると、登録のない事業者の請求書を適格請求書として処理してしまい、税務調査で仕入税額控除を否認されるリスクを防げます。なお、登録番号がない請求書も、経過措置により仕入税額相当額の一定割合を控除できる場合があるため、区分して処理しましょう。
請求書照合の基本手順6ステップ
請求書照合は、受領から保存まで6つのステップで進めます。流れを標準化しておくと、担当者が代わっても照合の品質を保てます。
▼ 請求書照合の基本手順6ステップ
| ステップ | 作業内容 |
|---|---|
| ①請求書の受領 | 紙・PDF・メール添付など形式ごとに受領窓口を決め、届いた請求書を一元管理します。受領日を記録しておくと支払期限の管理が楽になります。 |
| ②適格請求書の要件確認 | 登録番号・税率ごとの消費税額など、インボイスの記載要件を満たしているかを確認します。 |
| ③データの入力 | 請求書の内容を会計システムや管理台帳に入力します。手入力の場合はこの工程がミスの発生源になりやすい箇所です。 |
| ④照合の実施 | 発注書・納品書と突き合わせ、チェックリストの8項目を確認します。2点照合か3点照合かは取引の種類で使い分けます。 |
| ⑤差異の解決 | 金額や数量が一致しない場合は原因を調査し、取引先への確認や修正請求書の依頼を行います。 |
| ⑥記録と保存 | 電子で受領した請求書は電子帳簿保存法(電子取引データ保存)の要件に沿って保存します。紙の請求書は紙のまま保存できますが、スキャナ保存を選ぶ場合は同法の要件を満たす必要があります。照合の記録を残しておくと監査や税務調査の際にも対応しやすくなります。 |
6つのステップのうち、工数の総量で負担が大きいのは③の入力と④の照合、1件あたりの所要時間が長くなりがちなのは⑤の差異解決です。入力と照合の2工程を自動化できるかどうかが、照合業務全体の効率を左右します。具体的な効率化の方法は後述します。
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請求書照合で差異が見つかったときの対応
照合で差異が見つかったときは、パターン別に原因を切り分けると調査が早く終わります。よくある差異は次の4つです。
▼ 請求書照合でよくある差異のパターンと対処
| 差異のパターン | 主な原因 | 対処 |
|---|---|---|
| 単価が合わない | 単価改定の反映漏れ、見積時と契約時の単価の取り違え | 発注書と契約書の単価を確認し、正しい単価で修正請求書の発行を依頼する |
| 数量が合わない | 分納・一部検収の請求タイミングのずれ、返品の未反映 | 納品書・検収記録と突き合わせ、請求対象の期間と数量を取引先と確認する |
| 重複請求 | 同じ取引の請求書が再送などで二重に届いている | 請求書番号と取引日で過去の支払記録を確認し、二重払いを防ぐ |
| 未検収の請求 | 納品・検収が完了していない取引の請求書が先に届いている | 検収完了を待って処理するか、取引先に請求タイミングを確認する |
取引先に修正を依頼するときは、どの書類の・どの項目が・いくら違うのかを具体的に伝えるとやり取りが1往復で済みます。たとえば「◯月◯日付の請求書番号◯◯について、発注書◯◯の単価と◯◯円の差異があるため、ご確認のうえ修正請求書の発行をお願いします」のように、書類番号と差異金額を明記する形が実務では確実です。
差異の原因が自社側にあるケースも珍しくありません。発注単価マスタの更新漏れや、発注データの入力誤りが原因なら、直すのは取引先ではなく社内のデータです。切り分けの最初に「どちらの書類が正しいか」を確認しましょう。
また、差異が支払期日までに解消しない場合に備えて、支払いを保留する基準、月次の締めをまたぐ場合の処理、少額差異をどこまで許容するかの3点は、あらかじめ社内ルールとして決めておくと迷いません。差異の連絡や修正依頼の履歴は、担当者のメールに埋もれさせず記録として残します。同じ取引先で差異が繰り返される場合は、発注時の情報連携やマスタ登録に原因があることが多く、履歴が改善の手がかりになります。
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アナログな請求書照合が抱える3つの課題
多くの企業で、請求書の照合作業は依然として担当者による目視確認に依存しています。しかし、このアナログな手法には、見過ごせない3つの大きな課題が存在します。
膨大な作業時間と人件費
請求書の処理枚数が増えれば増えるほど、照合にかかる時間は比例して増加します。担当者は、紙の書類を探し出し、一枚一枚、項目を目で追い、電卓を叩いて検算するといった作業に多くの時間を費やしています。
仮に1件あたりの照合に5分かかるとすると、月300件の処理で25時間、およそ3営業日分が突合作業に消える計算です。特に月末月初の繁忙期には、この照合作業のために残業を余儀なくされるケースも少なくありません。本来であれば、予算分析や資金繰り計画といった、より付加価値の高い業務に従事すべき経理担当者の時間が、単純な突合作業に奪われているのです。これは、企業にとって見えない人件費の増大に他なりません。
ヒューマンエラーによる手戻りや支払いミス
どれだけ注意深く確認しても、人間が介在する以上、ミスを完全になくすことは困難です。金額の読み間違い、二重計上、確認漏れといったヒューマンエラーは、支払いミスに直結します。
もし誤って過払いをしてしまった場合、取引先への連絡や返金交渉といった追加の業務が発生します。逆に支払いが漏れていれば、取引先からの信用を失うことにもなりかねません。これらの手戻りやトラブル対応は、担当者の精神的な負担を増大させる要因にもなります。
不正や改ざんの見逃しリスク
アナログな照合プロセスは、内部不正の温床となるリスクもはらんでいます。例えば、担当者が取引先と共謀し、架空の請求書や水増しされた請求書を処理するといったケースです。
また、担当者の思い込みや確認の甘さから、巧妙に偽装された請求書を見逃してしまう可能性もゼロではありません。厳密な3点照合のルールが形骸化していたり、担当者任せの属人的なチェック体制になっていたりする場合、そのリスクはさらに高まります。システムの力を借りずに個人の能力だけで不正を発見し続けることには限界があります。
請求書照合を効率化する5つの方法
これらの課題を解決し、請求書照合を効率化するためには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。ここでは、5つの具体的な方法を紹介します。
5つの方法は、自社の請求書の件数・受領形式・社内の人手のどこがボトルネックかによって向き不向きが分かれます。まずは全体像を整理してから、それぞれの中身を見ていきましょう。
▼ 請求書照合を効率化する5つの方法の比較
| 方法 | 向いているケース/向かないケース | コスト感 |
|---|---|---|
| Excel関数・マクロ | 向く:請求書の件数が少なく、発注データもExcelで管理している/向かない:件数が多い、担当者以外が保守できない状態を避けたい | 追加の費用はかからないが、作成と保守の工数が社内に残る |
| 会計ソフト・ERPの標準機能 | 向く:発注情報をシステムに登録して管理している/向かない:発注情報が紙やメールに散在している | 既存システムの範囲内で対応できる(構成により追加費用の有無が変わる) |
| OCRツール | 向く:紙やPDFの請求書が多く、入力の手間が大きい/向かない:照合の実行まで自動化したい | 読み取る枚数に応じた月額課金が一般的 |
| 請求書受領サービス | 向く:紙・PDF・EDIなど受領形式がばらばらで一元化したい/向かない:扱う請求書がごく少数 | 月額料金に処理件数に応じた費用が加わる形が一般的 |
| BPO | 向く:人手が足りず、確認作業ごと外部に任せたい/向かない:業務ノウハウを社内に残したい | 委託する業務範囲と件数に応じた個別見積もり |
Excel関数やマクロの活用
最も手軽に始められるのが、Excelを活用する方法です。発注データと請求データをそれぞれExcelに入力し、IF関数とVLOOKUP関数を組み合わせれば、金額や品番の不一致を自動で検出する仕組みを作れます。マクロ(VBA)の知識があれば、より複雑な照合プロセスを自動化することも可能です。
ただし、データの入力は手作業で行う必要があり、マクロの作成やメンテナンスには専門的な知識が求められるというデメリットもあります。
●請求書照合の自動化に関する記事はこちら
会計ソフトの標準機能の利用
ERPや購買管理システム、一部の会計ソフトには、発注データと請求データを照合する機能が備わっています。発注情報をあらかじめシステムに登録しておくことで、請求データを取り込んだ際に自動で突合し、差異があるものだけをアラートで知らせてくれます。
自社のシステム構成の中で発注情報をどこが持っているかを確認したうえで、照合機能の有無や活用方法を確認してみる価値があるでしょう。
OCRツールの導入
OCRとは、紙の請求書やPDFファイルに記載された文字情報を読み取り、テキストデータに変換する技術です。OCRツールを使えば、請求書の内容を手入力する手間を大幅に削減できます。変換されたデータを会計ソフトなどに取り込むことで、照合作業の入り口を自動化することが可能です。
請求書受領サービスの活用
請求書受領サービスは、紙や電子(PDF、EDIなど)といった様々な形式で送られてくる請求書を、企業に代わって一元的に受け取り、データ化してくれるサービスです。
多くのサービスでは、OCRによるデータ化だけでなく、オペレーターによる内容確認・補正も行われるため、高い精度でのデータ化が期待できます。さらに、発注データとの自動照合機能を備えたサービスも多く、照合作業そのものを大幅に自動化できます。
BPOの活用
システム導入と併用でき、場合によってはそれ以上に抜本的な解決策となりうるのが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用です。これは、請求書照合を含む一連の業務プロセスそのものを、専門の外部企業へ委託する方法を指します。
「請求書受領サービス」が主にシステム(SaaS)の提供によって効率化を図るのに対し、BPOは「ヒト」と「業務プロセス」をセットでアウトソースする点に特徴があります。
▼ BPOで委託できる業務の例
| BPOで委託できる業務の例 | 内容 |
|---|---|
| 受領・データ化 | 請求書の代理受領・開封・スキャニング、内容のデータ入力 |
| 照合の実行 | 発注情報との突合・照合作業、不備があった際の内容確認と担当者へのエスカレーション |
| 後続処理 | 仕訳データの作成・会計システムへの入力代行、処理済み請求書のファイリング・保管 |
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AIで請求書照合はどう変わるか
AIによる請求書照合は、照合業務を「全件を目視で確認する」働き方から「一致したものは見ず、絞り込まれた不一致だけを最終点検する」働き方へ変えます。AIが請求書・発注書・納品書のデータを自動で突き合わせ、一致した取引はそのまま処理へ進み、人が確認するのは差異が検出された例外だけになります。照合の作業時間はチェック対象の件数にほぼ比例するため、確認対象を例外だけに絞れることが、AI照合の最も大きな価値です。
従来のOCRツールが担っていたのは、請求書を読み取ってデータ化する「入力の自動化」まででした。AIによる照合は、そのデータを使って突合・判定という「照合の実行」まで自動化する点が異なります。数百件、数千件の請求書を扱う企業ほど、目視の突合作業が削減される効果は大きくなります。

TOKIUMの経理AIエージェントは、発注データと請求データを送るだけでAIが即座に突合を行い、差異を原本リンク付きの一覧で納品します。AIが差異部分の候補を提案するため、目視で確認する工数を大幅に削減できます。この仕組みは、10年以上にわたる8,000人以上のオンラインオペレーターによる実績とデータ処理のノウハウに支えられています。 出典:経理AIエージェントTOKIUM 公式サイト/TOKIUMプレスリリース(2025年8月7日公表)(最終確認日:2026年8月28日)
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請求書照合に関するよくある質問
突合と照合の違いは何ですか
明確な法令上の定義はありませんが、一般に突合は書類やデータを突き合わせる作業を、照合は突き合わせて内容の正しさを確かめる確認までを指して使われます。実務では両者をほぼ同義で使う企業も少なくありません。どちらの語であっても、確認の中身は本記事のチェックリスト8項目に集約されます。
納品書と請求書の照合は必ず必要ですか
納品書と請求書の照合は法律上の義務ではありませんが、物品の仕入がある取引では実施が推奨されます。納品書を含めた3点照合を行うことで、納品されていないものへの支払いや数量違いの請求を防げるためです。サービス取引など納品書が発生しない取引では、発注書との2点照合で代替するのが一般的です。
請求書照合は誰が担当すべきですか
支払いを実行する経理部門が最終確認を担い、発注内容や検収の事実確認は発注部門(購買・現場)が担う分担が基本です。照合を経理だけで完結させようとすると、検収の実態が分からず差異調査に時間がかかります。発注部門が検収を記録し、経理が書類を照合するという役割分担をルール化しておくと、月末の照合がスムーズになります。



