
― 事業内容について教えてください。
当法人は1909年の創立以来、建築・測量・機械・インテリアなどの専門技術者を育成する専修学校を運営しています。東京都北区の「中央工学校」を中心に、「中央動物専門学校」、「中央工学校OSAKA」、「中央工学校附属日本語学校」の4校を展開しています。歴代の卒業生の中には、内閣総理大臣を務めた田中角栄氏がおり、1953年から1972年まで「中央工学校」の校長も務めていました。

— TOKIUM導入前に感じられていた課題について教えてください。
当法人では、請求書処理業務と経費精算業務を合わせて年間約4,000件に及ぶ証憑を扱っています。TOKIUM導入前は、ほぼすべてを紙ベースのアナログなプロセスで処理しており、その業務負担が法人全体に及んでいました。
請求書については、各部署が紙の伝票を作成して財務課に持ち込んだ後、財務課がExcel、ネットバンキング、会計システムへと同じ内容を3回手入力していました。転記のたびに入力ミスのリスクが生じ、その確認と修正にも時間を取られていました。
さらに、部署ごとに独自化した運用ルールも大きな負担となっていました。伝票を部署単位でまとめて持ち込む部署もあれば、担当者ごとに個別に持ち込む部署もあり、同一の請求先でも部署ごとに別々で振込データを作成していました。クラブ活動費のように複数の部署にまたがる費用は、負担先が決まらないまま処理が止まり、支払いが遅れることもありました。
経費精算では、小口現金の取り扱いが大きな負担でした。現金を手元に置く以上、日々の出金対応や残高の管理が欠かせず、紛失などのリスクも常に抱えていました。申請者側の手間も大きく、少額の精算でも領収書を添付して押印を受け、別棟の教員室から財務課まで現金を受け取りに来る必要がありました。「わずか数百円程度の精算だけでも教育活動の負担になる」との声も、現場から上がっていました。
— TOKIUM導入のきっかけを教えてください。
きっかけは、電子帳簿保存法への対応で電子化を考え始めたことです。実は、当初は導入を見送るつもりでした。長年続けてきた紙ベースでの処理には多くの課題がありましたが、業務そのものはどうにか回せていたからです。
ところが、TOKIUMのサービス内容を詳しく聞いて、考えが大きく変わりました。TOKIUMを導入すれば、請求書や申請が届いた時点でデータ化され、そのデータをそのまま振込や会計処理に使えます。同じ情報を何度も転記する必要がなくなれば、入力ミスも、その確認や修正の手間も抑えられる。従来の運用を続けるよりも圧倒的にメリットが大きいと見通せたことで、導入を決めました。
— TOKIUMのどのような点に魅力を感じましたか。
最も魅力に感じたのは、請求書の受領を代行してもらえる点です。従来は各部署が請求書を受け取り、伝票を作成して財務課へ回していました。しかし、教職員の本業はあくまで教育です。多忙な現場に請求書の管理まで担ってもらう体制は、教育活動の負荷となり、支払い漏れや二重払い等のリスクも考えられました。窓口をTOKIUMに一本化し、請求書の管理を一任する仕組みを作ることが、教育現場の実態にマッチしていました。
あわせて決め手になったのが、経費精算と請求書処理をワンプラットフォームで管理できる点です。教職員の多くにとって、取引先への支払いと立替経費の違いを意識する機会はほとんどなく、「出金伝票を出すことで処理される」と捉えるのが自然でした。この前提でプラットフォームを2つに分けてしまうと、「どちらで何を申請すればいいのか」という混乱が予想されます。一方、プラットフォームが1つにまとまっていれば、「TOKIUMだけ使えば問題ない」と認識されやすく、導入障壁の低減につながると考えました。
また、TOKIUMでは所属部署と費用負担部署を分けて設定できるため、承認経路を費用の性質に合わせて変えられます。クラブ活動や校外研修といった学校法人特有の経費、部署をまたぐイレギュラーな運用等に柔軟に対応できる点も、導入の後押しになりました。

— 導入時のサポートはいかがでしたか。
学校法人の会計には、一般企業とは異なる「学校法人会計基準」が適用されるため、その会計基準に特化した専用の会計システムが必要です。TOKIUMの導入にあたり、特有の会計システムに沿った運用を実現する必要がありました。
比較検討していた他社からの提案は、ほとんどが「ツールは提供するので、勘定科目の設定や会計システムとの連携といった土台は自分たちで整えてほしい」というものでした。しかし、当法人ではこれまでほぼ全ての経費処理を紙ベースで運用してきたため、電子化の足がかりやデータ化のノウハウが蓄積されていませんでした。こうした状況の中、TOKIUMは電子化に向けての課題を理解し、土台作りの段階から密なコミュニケーションを取りつつ、課題解決に向けて並走してくれました。その結果、学校法人の特殊な事情にマッチした形での運用を実現できました。
— 浸透のために取り組んだことがあれば教えてください。
あえて全体への説明会は開かず、各部署を足繁く回って個別の説明会を開くスモールスタートを意識しました。教育活動の性質上、学校法人では部署ごとの経費特性が大きく異なっており、一律な説明だけで法人全体をシステム刷新することは困難です。故に、部署ごとのバックボーンを理解し、その特性に応じた形で説明やデモンストレーションをするように心掛けました。また、当法人ではこれまで紙を中心とした処理が長く続いていたため、デジタル化への心理的な抵抗を少しでも小さくするべく、「なるべくわかりやすい言葉で」「なるべくスマートに」「なるべく簡単な資料を交えて」説明することを意識しました。説明会の冒頭では簡潔なデモンストレーションから始め、「どれだけ楽になるか」を視覚的に伝えて理解促進に努めました。こうした取り組みの結果、当初の想定以上にスムーズな導入を実現できました。
— TOKIUMを導入したことで、どのような効果が出ましたか。
請求書処理と経費精算を合わせて、年間約600時間の削減につながっています。
請求書処理では、月約40時間かかっていた作業が現在は月約8時間となり、年間約380時間の削減につながっています。また、振込データが一元化されたことで、振込手数料が重複する無駄もなくなりました。
経費精算では、年間約250時間かけていた作業が現在は約30時間となり、約220時間もの効率化を実現できました。
小口現金の取り扱いも大きく改善しています。現金による受け渡しを減らし、振込による運用に切り替えた結果、多い時は日に数十件ほどもあった出金が激減し、全く発生しない日もあるようになりました。現金を扱う管理コスト、紛失のリスク、出金対応の手間等の低減など、様々な面でメリットを感じています。
— 定性面についてはいかがでしょうか。
最も感じているのは、一元管理によって支払い漏れを未然に防げるようになったことです。登録された請求書の処理状況を財務課から確認でき、支払い期限が迫っているものや未処理のものには担当者へアラートをかけられます。課題だった支払い漏れの防止につながっています。
また、差し戻しのコメントが担当者間で共有されることも役立っています。コメントは取引先に紐づく部署の担当者なら誰でも見られるため、同じ指摘の繰り返しや類似のミスの発生が減りました。業務の標準化や内部統制の向上、経理処理に関する理解の促進に寄与しています。

— 今後の展望をお聞かせください。
目指しているのは、蓄積したデータを定量的に取りまとめ、経営に提言できる財務課です。従来のシステムにもデータは入っていましたが、量が限られ、分析に活用するには一定の課題がありました。現在は分析に使いやすいデータが揃いつつあるので、今後はそれを活用して経営に貢献していきたいです。
また、学校法人の本質は、教育活動の質の担保にあります。教職員の負担をさらに減らし、より教育活動に集中できる環境にしていくために、AIや新機能を積極的に取り入れていきたいと考えています。
— 本日は貴重なお話をありがとうございました。
【取材日:2026年8月】