— 御社の事業内容について教えてください
1969年の設立以来、広島ガスのグループ企業として、LPガス事業を軸にエネルギーの供給・販売を行っています。LPガスは家庭用をはじめ、工業用、商業用、ビル空調用など幅広い用途で利用されています。当社は広島県、岡山県、山口県、鳥取県、島根県の中国地方5県および愛媛県をカバーし、約18万件のお客さまにご利用いただいています。現在ではLPガス販売量において、中四国エリアNo.1企業として地域のエネルギーインフラを支えています。
— TOKIUM導入の具体的な背景について教えてください
当社では、営業やサービス活動に伴う駐車場代や交通費の精算は小口現金を用いて行っていました。この小口精算のために現金管理や紙の支払伝票などが不可欠でした。当時は効率化が必要と考えながらも、紙ベースのアナログな運用を続けていました。
加えて、当時の駐車場代などは複数の支払先の領収書をまとめて精算していましたが、インボイス制度の開始にあたって支払先ごとに適格請求書番号が必要となるため、まとめて精算することができなくなることで、小口担当者や経理課の業務時間の増加が懸念されていました。
一方、新型コロナウィルスの感染拡大をきっかけに、社員にスマートフォンが配布されてテレワークが導入されるなど、社内のDX推進の機運が高まったタイミングでもありました。
— TOKIUM導入前に感じられていた課題について教えてください
各部門の小口担当者と経理課の担当者が、現金の管理・精算業務に非常に多くの手間と時間を割かれていたことです。
具体的な精算までの流れを説明しますと、これまでは営業やサービス活動を行う担当者(立替精算者)がパーキングの駐車場代やタクシー代といった交通費などを立て替え、領収書を各部門の小口担当者に渡していました。小口担当者は、受け取った領収書をもとに支払伝票と仮払票を起票し、その後、領収書と支払伝票をホチキスなどで綴じたうえで仮払票と合わせて経理課へ持ち込み、経理課は仮払票に基づいて現金の払い出しを行っていました。
各部門の小口担当者は経理課との現金の収受や立替精算者への現金の受け渡しに、経理担当者は精算の取りまとめや銀行への現金補充依頼などに大きな負担を感じていました。
その他には、役職員が利用していた法人カードの精算業務にも負担が生じていました。各部門の事務担当者が、カード利用者の領収書とカード会社から送付された請求書の照合を行い、さらに利用用途ごとに勘定科目を切り分けて、支払伝票を起票する手間が発生していたのです。
紙の領収書をもとにしたアナログの申請と承認フローは、非常に時間がかかります。加えて本社から遠距離の拠点の場合は、書類のやりとりにさらに時間がかかりました。支払伝票や紙の領収書の保管場所の確保についても解決が必要でしたね。
— 「TOKIUM経費精算」を選定した決め手を教えてください
TOKIUMと同様の機能を持つ、複数のサービスを比較検討した結果、「TOKIUM経費精算」を導入しました。
選定の決め手は導入費用や、サポート体制、きめ細やかな機能でした。比較対象のどのシステムも基本的な機能は概ね同等でしたが、「TOKIUM経費精算」は他社製品と比べて導入時のサポート等を含めた初期導入費用を低く抑えることができました。導入における承認フローの設定や、既存の会計システムとの連携は、自社のみでの対応は難しく、TOKIUM側で対応してくれたのは非常に助かりました。
また、領収書の自動入力機能や原本保管サービス、ユーザーが使いやすいUIだった点も選定に大きく影響しました。
— TOKIUMの導入サポートに対する感想を教えていただけますか
私たちはシステム部門でないため、会計システムのインタフェースなど分からないことが多々ありました。けれども、TOKIUMのご担当者は問い合わせにも迅速に対応してくださり、実質2カ月程度で本番稼働を迎えることができました。よく、システムの仕様上の制約で、ユーザー個別の対応が難しいケースがありますが、TOKIUMは当社の個別の要望にも応えていただけました。「TOKIUM経費精算」はユーザー目線で設計されているためか、かゆいところにも手が届く仕様となっていましたね。
— 「TOKIUM経費精算」の定量面の導入効果について教えていただけますか
小口精算と現金管理に関わる業務の時間を削減できました。「TOKIUM経費精算」の導入前から削減された時間は月約120時間です。削減された時間の内訳は、小口精算が約57時間、小口締めが約34時間、伝票入力については約28時間、支払処理については約1時間です。また、体感ではありますが、インボイス制度開始後はさらなる削減効果があったと考えています。
— 定性面についてはいかがでしょうか
経費関連のシステム基盤を構築できました。効率化を図れたことはさることながら、「TOKIUM経費精算」を起点にしたDXの推進が加速しました。
大きな効果の1つに、旅費精算プロセスのシームレス化があります。「TOKIUM経費精算」導入当初は、出張申請は既存の別システムで、旅費精算は「TOKIUM経費精算」で行っていたため、出張申請と旅費精算の間でひと手間発生していましたが、「TOKIUM経費精算」の事前申請機能を活用することで、申請から精算まで一気通貫で行えるように改善しました。
また、支払伝票が減り、ペーパーレス化が進むことで紙の保管場所も減りました。これまで小口担当者は経理課へ提出するために領収書を束ねたり、突合に苦労していたこと、経理課も伝票番号ごとに伝票を並び替えて保管をしていましたが、そうした手間と時間も減りましたね。
その他には、法人カードの自動連携によって各部門の小口担当者の事務負担も削減できました。出張等が多い社員によってカード決済された新幹線やタクシー等の経費情報が「TOKIUM経費精算」に連携されることで、前述した請求書の照合や支払伝票の起票の効率化を図れました。
— マニュアル作成・整備やマスタメンテナンスを代行するアシスタントサービスも導入いただいています。具体的な検討の背景について教えてください
「TOKIUM経費精算」に関わる管理業務が導入を進めた担当者1人に依存しがちで、業務の平準化が必要でした。経理課には4人のメンバーがいるのですが、「TOKIUM経費精算」の問い合わせがその1人の担当者に集中したり、担当を変更しても問い合わせは前任者へ殺到したりと、固定化していたのです。さらに更新やメンテナンスもその1人が担当していたので、不在や休暇で業務が停滞してしまう状況もありました。DXを進めながら担当者1人に依存する、別の意味で属人的になっていたのです。
そのため、マニュアル整備やマスタメンテナンスなどを行ってもらう「TOKIUMアシスタント」を導入することに決めました。システム管理が属人化しないように管理者向けのマニュアルの整備や、ユーザーや経理課における業務の標準化、引き継ぎしやすい業務体制の設計を図っていきたいと考えています。
— 今後どのような経理部門を目指したいとお考えでしょうか。展望をお聞かせください
DXの促進によって、さらなる業務の効率化を進めたいと考えています。例えば、請求書の発行や受領、その他帳票のペーパーレスを進め、紙によるアナログなプロセスの解消や保管スペースの削減を進めたいですね。ペーパーレス化はテレワークを後押しし、働きやすい職場環境の実現にもつながると思います。一方で業務の効率化を図りつつ、品質を保つためにAI-OCRやRPA(Robotic Process Automation:ソフトウェアロボットの活用による業務の自動化)など、新たな技術を取り入れて行きたいですね。
— 本日は貴重なお話を伺うことができました。ありがとうございました。
【取材日:2025年3月7日】