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経理のDXは、紙の書類を電子化するだけでは終わりません。領収書や請求書の処理から決算、経営数値の活用までを含めた業務の流れ全体を作り変え、経理の働き方そのものを変えることを指します。筆者は上場企業で経理・財務を担当した経験があり、紙とExcelに追われて決算のたびに残業が膨らむ現場のつらさを実際に見てきました。
いま経理DXがこれだけ注目されるのは、改正した電子帳簿保存法やインボイス制度への対応に加え、採用難と人手不足のなかで、できるだけ人手をかけずに業務を回す工夫が欠かせなくなっているからです。何から手をつければよいのか、どうすればつまずかずに進むのか。定義から進め方、導入事例、現場の巻き込み方まで、順を追ってご紹介しています。
経理DXとは?現場の課題と必要性
経理DXとは、デジタル技術を使って経理業務を効率化し、最終的に経理の役割そのものを変革する取り組みです。紙のPDF化やシステム導入にとどまらず、業務プロセスを作り変えて、経営に役立つ数字をすばやく届けられる状態を目指します。
経理DXの定義
経理DXは、大きく3つの段階に分けて捉えると分かりやすくなります。データ化、効率化、変革の順に進み、最後の変革まで到達して初めてDXと呼べます。

▼経理DXの3段階(本記事の整理)
| 段階 | 内容 | 経理での例 |
|---|---|---|
| ①データ化(デジタイゼーション) | 紙やアナログの情報をデジタルデータに置き換える | 領収書や請求書をスマホ撮影・スキャンでデータにする |
| ②効率化(デジタライゼーション) | デジタル化したデータで個々の業務を自動化・効率化する | AI-OCRで読み取ったデータを会計ソフトへ自動連携する |
| ③変革(トランスフォーメーション) | 業務プロセスと働き方を作り変え、経営に価値を生む | 決算を在宅で完結させ、経営層がリアルタイムに数字を見られるようにする |
気をつけたいのは、紙をなくすだけ、ツールを入れるだけでは①や②で止まってしまう点です。「DXのつもりが、結局デジタル化止まりだった」となってしまうのは、③の変革まで設計せずに個別の作業だけをデジタルに置き換えてしまうためです。
経理の現場が抱える課題
経理DXに取り組む企業は増えていますが、成果を実感できている企業はまだ限られます。紙の処理の多さ、Excelの属人化、人手不足という課題が根深く残っているためです。
日本CFO協会とブラックライン株式会社が共同で実施した2024年の調査では、経理DXについて「業務変革を念頭にDXを推進し、成果を実感している」と回答した企業は12%にとどまり、「DXを進めているが、成果の実感には至っていない」が35%を占めました。 出典:日本CFO協会・ブラックライン株式会社「経理部門のDX推進に向けた実態と課題2024」(最終確認日:2026年6月23日)

成果を実感しにくい背景には、日々の業務の進め方があります。請求書や領収書、手形といった紙の証憑が多く、担当者ごとにExcelで処理するため、進捗の管理が難しくなりがちです。
複数の社内システムに散らばった数字を経理が手作業で集約・調整するうちに、その手順は特定の担当者にしか分からないブラックボックスになります。経営層が見たい数字をすぐに取り出せず、決算は後回しになって残業が増える。この悪循環が、多くの経理現場で起きています。
この問題は、月次決算の遅れというかたちで経営にも跳ね返ります。数字が固まるのが翌月の半ばを過ぎると、経営判断に使えるのは1か月以上前の実績だけになり、打ち手が後手に回ります。経理が手作業の集計に追われている間は、本来力を入れたい予算と実績の分析や、現場への改善提案にまで手が回りません。
同じ調査では、経理財務部門が取り組むテーマの上位に「人材の確保・育成」55%、「業務のデジタル化推進」50%が挙がる一方、これを阻む要因として「経理機能の高度化を推進できる人材の不足」60%、「人材の固定化・業務の属人化」52%、「業務負荷の増大・高止まり」49%が示されました。人材とデジタル化に力を入れたくても、人材不足と属人化がそれを阻んでいる構図です。出典:日本CFO協会・ブラックライン株式会社「経理部門のDX推進に向けた実態と課題2024」(最終確認日:2026年6月23日)
採用難と労働人口の減少も、この状況に追い打ちをかけています。経理は専門性が高く、欠員が出ても簡単には補充できません。
こうした状態のままツールだけを入れても、成果にはつながりにくくなります。紙をなくす・システムを入れるといった部分的な対応にとどめず、承認フローや業務分担、データ連携、内部統制のあり方まで含めて見直すこと。それが、限られた人数で増える業務を回していくための出発点になります。
経理DXが求められる背景
経理DXがいま求められる背景には、法制度の変化と将来のシステムリスクがあります。代表的なものが、改正した電子帳簿保存法、インボイス制度、そして2025年の崖です。
▼経理DXを後押しする3つの背景
| 背景 | 概要 | 経理への影響 |
|---|---|---|
| 改正した電子帳簿保存法 | 電子取引で受け渡しした請求書や領収書のデータは、電子のまま保存することが求められる | 紙保存を前提とした運用の見直しが必要になる |
| インボイス制度 | 適格請求書の保存が仕入税額控除の要件になった | 受け取る請求書の確認・保存の負担が増える |
| 2025年の崖 | 老朽化した既存システムを使い続けると大きな経済損失が生じると経済産業省が指摘 | クラウド移行とデータ連携の整備が急務になる |
電子帳簿保存法は改正され、注文書や請求書、領収書などを電子データでやり取りした場合は、その電子データを保存しなければならないと定められています。紙に印刷して保管するだけの運用では、電子取引データ保存の要件を満たせないため、保存方法の見直しが必要です。 出典:国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト(最終確認日:2026年6月23日)
2025年の崖とは、老朽化・複雑化した既存システムを使い続けることで、2025年以降に年間最大12兆円もの経済損失が生じうると経済産業省が指摘した問題です。2026年時点では、もはや将来のリスクではなく、レガシーシステムからの脱却とクラウド連携を急ぐべき現在進行形の課題といえます。 出典:経済産業省 DXレポート(ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開)(最終確認日:2026年6月23日)
これらは「対応すれば終わり」の作業ではなく、紙とハンコを前提にした経理の進め方を変える入り口になります。法対応をきっかけにペーパーレス化やデータ連携へ踏み出す企業が増えているのは、このためです。
AIで加速する経理DX=AX(AI Transformation)
近年の経理DXは、AIの活用によって一段と加速しています。AI-OCRによる読み取りや、仕訳・チェックの自動化が広がり、人が手を動かす範囲は少しずつ小さくなってきました。
こうしたAIで業務プロセスそのものを作り変える動きを、AX(AI Transformation、AIによる変革)と呼ぶ整理も登場しています。経理DXの土台にAIを組み込み、効率化の先にある変革まで一気に進める考え方です。
TOKIUMでも、領収書や請求書のデータ化から仕訳の下準備までをAIとオペレーターで支える取り組みを進めています。AIをどう経理に取り入れるかは、下の関連記事もあわせて参考にしてください。
経理DXのメリット
経理DXのメリットは、業務効率化とミス削減、属人化の解消、コスト削減、そして経営の可視化の4つに整理できます。いずれも、紙と手作業を前提にした経理では実現しにくかったものです。
▼経理DXで得られる主なメリット
| メリット | 何がどう変わるか |
|---|---|
| 業務効率化・ミス削減 | 手入力や転記が減り、確認や差し戻しにかかる時間も短くなる |
| 属人化の解消 | 処理の手順がシステムに残り、特定の担当者しか分からない状態を防げる |
| コスト削減・ペーパーレス | 紙の保管や郵送、印刷のコストが下がり、保管スペースも不要になる |
| リアルタイムな経営の可視化 | 経営層が見たい数字をその場で確認でき、判断のスピードが上がる |
なかでも効果が見えやすいのが、属人化の解消です。決算のように複数の担当者が関わる業務では、ひとつの手順が止まると全体が止まります。処理の流れをシステムに乗せておけば、引き継ぎ漏れによるミスや、担当者の不在による遅れを防げます。誰がやっても同じ品質で処理が進む状態は、突然の退職や異動にも強い経理をつくります。
コスト削減も、紙のなくなる範囲が広がるほど大きくなります。印刷代や郵送費だけでなく、領収書や帳票を保管する棚やキャビネットのスペース、過去分を探し出す手間も減ります。電子帳簿保存法に対応した保存ができれば、保管期間中ずっと続く管理コストそのものを軽くできます。
リアルタイムな可視化は、経理だけでなく経営側のメリットでもあります。データが自動で集まる基盤が整えば、売上や利益、経費の状況をその場でグラフにして確認でき、経営層は経理に依頼して資料が上がってくるのを待つ必要がなくなります。判断の材料が早く手に入るほど、打ち手も早く打てます。
もう一段先のメリットが、経理の仕事の中身そのものが変わることです。経費精算や決算に追われていた状態から、集めた数字を経営に役立てる仕事へと比重を移せます。数字を集める経理から、数字で経営を支える経理へ。これが、経理DXがもたらす最も大きな変化です。
経理DX化できる業務範囲
経理DXの対象になるのは、経費精算、請求書受領、会計・記帳といった、日々くり返される定型業務です。なかでも紙とのやり取りが多い業務ほど、デジタル化の効果がはっきり出ます。
経費精算・請求書受領・会計の3領域
経費精算では、スマホで撮影した領収書をそのままデータ化し、交通系ICカードや法人カードの利用データ、会計ソフトとも連携できます。紙の証憑や小口現金のやり取りが減り、申請のミスや確認の手間も小さくなります。申請する側はスマホで完結し、承認する側もシステム上で内容を確認して承認できるため、出社しなくても処理が進みます。経理は差し戻しの往復から解放され、月末に申請が集中しても回しやすくなります。
請求書受領は、インボイス制度への対応で負担が増えた業務です。受け取った請求書をデータ化し、支払いや会計処理へつなげることで、確認と保存の手間を抑えられます。適格請求書かどうかの確認や、電子帳簿保存法に沿った保存も、デジタル化しておけば後から探し直す負担が小さくなります。紙とPDF、メール添付が入り混じった受け取り方を一本化できる点も、現場では大きな違いになります。
会計・記帳では、AI-OCRで読み取ったデータをもとに仕訳の下準備まで自動化でき、月次決算の早期化につながります。経費精算や請求書受領で集めたデータが会計へそのまま流れる状態をつくれば、同じ数字を二度入力する手間がなくなり、転記ミスも起きにくくなります。
どこから着手すべきか
どこから着手するか迷ったら、効果が出やすく、社内だけで完結する業務から始めるのが定石です。経費精算や支払業務は、取引先の都合に左右されにくく削減効果も見えやすいため、最初の一歩に向いています。
一方、紙の請求書や手形のように取引先の理解が必要な部分は、時間がかかります。まず社内の仕組みを整え、効果を実感してもらいながら対外的な業務へ広げる順番が、無理がありません。
TOKIUMは、経費精算と請求書受領のどちらもデータ化からまとめて支えられます。どの業務から着手すべきか迷うときの相談先としても使えます。
経理DXの進め方|5ステップ
経理DXの進め方は、現状把握から始めて、ペーパーレス化、転記の自動化、システム連携、運用定着の5ステップで進めると失敗が少なくなります。いきなり全部を変えようとせず、順番に積み上げるのがコツです。

ステップ1:現状把握と業務の棚卸し
まず、どの業務にどれだけ時間がかかっているかを洗い出します。経済産業省のDXレポートでも、まず経営層がITシステムの現状と課題を把握することの重要性が指摘されており、ここを飛ばすと効果の薄い場所から手をつけて頓挫しがちです。経費精算、請求書の受け取り、支払い、月次決算といった業務ごとに、誰が何をどの順番でやっているか、紙が何回介在しているかを書き出すと、ボトルネックが見えてきます。
ステップ2:ペーパーレス化
入力から承認までをデータ化します。社内で完結し効果が見えやすい経費精算は、協力を得やすく、最初のペーパーレス化に向いています。手形や紙の請求書のように取引先の理解が必要な部分は時間がかかるため、まず社内で完結する範囲から着手すると進めやすくなります。ここで小さな成功体験をつくれると、次のステップへの社内の協力も得やすくなります。
ステップ3:転記の自動化(AI-OCR)
AI-OCRで紙やPDFの内容を読み取り、入力や転記の手作業をなくします。人の手が減るぶん、入力ミスも起きにくくなります。読み取り精度には差があるため、確認の仕組みをどう残すかもあわせて決めておくと、自動化したのに二重チェックで手間が増える、という事態を避けられます。
ステップ4:システム連携
給与や販売、購買など複数システムのデータを自動で連携させ、調整仕訳まで自動化します。属人化しやすい調整仕訳を仕組みに乗せることで、引き継ぎ漏れによるエラーを防ぎ、決算を実質的に自動化できます。決算はデータ連携に複数人が関わり、ひとつのエラーで全体が止まりやすい業務です。連携を自動化すると、経理は最終確認に集中でき、決算の早期化と在宅化が一気に進みます。
ステップ5:運用定着とPDCA
導入して終わりにせず、運用ルールと教育を整えて定着させます。使われ方を見ながら改善を続けることで、次に挙げるExcel戻りのような後戻りを防げます。新しく入った担当者でも迷わないマニュアルを用意し、運用が回り始めてから困りごとを拾って手順を直す。この地道な改善が、せっかく導入したツールを使い続けてもらうための分かれ目になります。
経理DXの導入事例
経理DXの効果は、実際の導入事例で見るとつかみやすくなります。ここでは、業種や規模の異なる3社が、紙の削減と工数の削減をどこまで実現したかを紹介します。

紙の経費精算をペーパーレス化し年間約600時間を削減|株式会社ヤオコー
関東で多数の店舗を展開する株式会社ヤオコーでは、従業員約3万人が紙で経費精算を行っていました。申請の頻度は人によってばらつきが大きく、手入力や紙の回覧による入力ミスや承認の遅れが課題でした。スマホでの申請のしやすさと、使った件数に応じた料金体系が自社に合うと判断し、TOKIUM経費精算を導入しています。
導入により、年間約5万枚の領収書をペーパーレス化するとともに、経費処理にかかる作業時間を年間で約600時間削減しました。スマホから手軽に申請・承認できるようになり、承認遅れのリスクも軽くなっています。 出典:TOKIUM 導入事例(株式会社ヤオコー)(最終確認日:2026年6月23日)
領収証の集計・承認を見直し会社全体で月200時間以上を削減|京急不動産株式会社
京急不動産株式会社では、申請者が領収証を糊づけして集計し、上長へ申請するまでに多くの時間がかかっていました。承認する側も、内容のチェックと押印に手を取られていました。TOKIUM経費精算で領収証のデータ化と申請・承認のオンライン化を進めた結果、紙のやり取りそのものを減らせています。
経費精算にかかっていた時間は約3日から半日に短縮され、会社全体で月200時間以上を削減しました。経理の残業体質の改善にもつながっています。 出典:TOKIUM 導入事例(京急不動産株式会社)(最終確認日:2026年6月23日)
毎月約2,000枚の領収書処理を出社せず完結|株式会社栃木ブレックス
プロバスケットボールチームを運営する株式会社栃木ブレックスでは、毎月約2,000枚もの紙の領収書を処理しており、原本の管理が経理の負担になっていました。TOKIUM経費精算の導入でペーパーレス化を進め、申請する側も承認する側も出社せずに処理を完結できるようになっています。
毎月約2,000枚の紙の領収書をデータ化し、大量の原本を管理する手間がなくなりました。月次の経理処理にかかっていた時間も大きく短縮されています。 出典:TOKIUM 導入事例(株式会社栃木ブレックス)(最終確認日:2026年6月23日)
こうした事例の積み重ねもあり、経理AIエージェント「TOKIUM」のシリーズ累計導入社数は、2025年11月末時点で3,000社を突破しています。 出典:経理AIエージェントTOKIUM、累計導入社数が3,000社を突破(最終確認日:2026年6月23日)
3社に共通するのは、削減した時間そのものが目的ではない点です。生まれた時間を、申請者は本来の業務に、経理は確認や分析にあてられるようになっています。導入事例を見るときは、削減した数字だけでなく、その時間で何ができるようになったかまで合わせて読むと、自社に置き換えたときの効果をイメージしやすくなります。
経理DXならTOKIUM
経理DXのツールを選ぶなら、データ化の手間をどこまで任せられるかが分かれ目になります。TOKIUMは、領収書や請求書のデータ入力を利用者に代わって行う仕組みを備えています。
スマホで撮影した領収書は、AI-OCRに加えてオペレーターの目視確認を通すことで、入力精度99%以上でデータ化されます。原本は回収用の専用ボックスに投函するだけでよく、糊づけや保管は不要です。 出典:TOKIUM経費精算(公式)(最終確認日:2026年6月23日)
請求書受領についても、受け取った請求書のデータ化から支払いまでをまとめて任せられます。紙やメール、PDFといったばらばらの受け取り方を一本化でき、電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しているため、法対応とDXを同時に進められます。経費精算と請求書受領を同じ仕組みでデータ化できると、支出に関する情報が一か所に集まり、会計へのつなぎ込みもスムーズになります。
料金は領収書や請求書の件数に応じて変わる仕組みのため、申請の頻度が人によって大きく異なる組織でも導入しやすいのが特徴です。年に数回しか経費精算をしない従業員が多い企業でも、使った分に応じた費用で運用できます。
代行入力まで含めてデータ化を任せられるぶん、経理の担当者は確認と判断に集中できます。自社の業務に合うかどうかや導入の進め方は、資料や個別の相談で具体的に確かめられます。
経理DXがうまくいかない理由とつまずき対策
経理DXがうまくいかない理由の多くは、ツールそのものではなく、進め方と現場の巻き込みにあります。よくあるつまずきは、個別自動化の罠、Excel戻り、そして現場の抵抗の3つです。
「ラクにならない」個別自動化の罠
「想像していたほど業務がラクにならなかった」という声は、経理DXでよく聞かれます。原因の多くは、ひとつの作業だけを単発で自動化して満足してしまうことです。前後の業務がつながっていないと、データの受け渡しで手作業が残り、全体の時間はあまり減りません。
防ぐには、作業単位ではなく業務の流れ全体で考えることが欠かせません。どこにデータの分断があるかを最初の現状把握で見つけておくと、効果の出る自動化を選べます。
Excel戻り・属人化の再発(運用ルールと教育)
ツールを入れても、いつのまにかExcelでの管理に逆戻りしてしまう。これは、運用ルールと教育が追いつかないときに起こります。使い方が一部の人にしか共有されないと、その人が抜けた途端に元のやり方へ戻り、属人化が再発します。
定着のカギは、マニュアルの整備と、新しいやり方を続ける仕組みづくりです。導入直後だけでなく、運用が回り始めてからの振り返りも決めておくと、後戻りを防げます。
現場・ベテランの抵抗とハンコ文化の乗り越え方
経理DXの最後の壁は、現場の抵抗とハンコ文化です。紙とハンコの運用に慣れたベテランほど、新しいやり方への切り替えに慎重になります。緊急事態宣言のころには多くの企業が紙の請求書受領やハンコ業務に苦労したと報告され、いまも紙を前提にした習慣は根強く残っています。
強引に進めると、かえって反発を招きます。なぜ変えるのかを共有し、効果が見えやすい業務から小さく始めて、現場に成功体験を持ってもらう。この順番が、結果としていちばん早く定着します。原本の回収まで任せられる仕組みを使えば、紙とハンコを前提にした運用からも無理なく移行できます。
まとめ|ペーパーレス化から始める経理DX
経理DXは、業務の効率化にとどまらず、経理の働き方と役割を変える取り組みです。紙とExcel、属人化に縛られた状態から抜け出せれば、決算を在宅で完結させ、経営層がリアルタイムで数字を見られる状態に近づきます。
そして、場所に縛られずに働ける経理は、人材の確保という面でも強みになります。リモートで完結できる経理体制は、優秀な人材に選ばれる理由のひとつになりつつあります。日本のDXの遅れが指摘されるなか、経理から変革を起こす意味は小さくありません。まずは現状把握と、効果の見えやすい経費精算のペーパーレス化から始めてみてください。
よくある質問(FAQ)
経理DXに関するよくある質問をまとめました。
DXとは経理で何ですか?
経理におけるDXとは、デジタル技術で経理業務を効率化し、最終的に経理の役割そのものを変えることです。紙の電子化やシステム導入だけでなく、業務プロセスを作り変えて、経営に役立つ数字をすばやく届けられる状態を目指します。
経理のDX事例にはどのようなものがありますか?
代表的な事例が、紙の経費精算をデータ化した取り組みです。従業員約3万人のスーパーマーケットでは、年間約5万枚の領収書をペーパーレス化し、作業時間を年間約600時間削減しました。会社全体で月200時間以上を削減した不動産会社の例もあります。
経理DXは何から始めるべきですか?
現状把握から始めるのが基本です。どの業務に時間がかかっているかを洗い出したうえで、社内で完結し効果が見えやすい経費精算や支払業務からデジタル化すると、つまずきにくくなります。
経理DXとデジタル化(IT化)は何が違うのですか?
デジタル化やIT化が紙やアナログの作業をデジタルに置き換えることを指すのに対し、DXは業務のやり方や経理の役割そのものを作り変えることを指します。領収書をデータ化するのがデジタル化、そのデータで決算を在宅で完結させ経営判断を早めるのがDX、という関係です。
DX化が進んでいない業界はどこですか?
紙や対面の慣習が根強く残る業界です。経理の領域でも、紙の証憑やハンコの運用が多く残る企業ほどデジタル化の余地が大きく、その分だけ最初の一歩で得られる効果も大きくなります。
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