— 御社の事業内容について教えてください
当社は1972年の創立以来、全国のさまざまな施設において、ファシリティマネジメントを提供しています。創立から50年超にわたり様々な施設へのサービス提供で培った技術やノウハウをもとに、現在では、全国で8,000件*を超える施設に日々サービスを提供しています。
※2023年8月末日時点スポット契約を除く継続契約先
— TOKIUM導入前に経理部門で感じられていた課題について教えてください
大きく3つの課題がありました。 1つ目は本社の移転に伴うペーパーレス化、2つ目がシステムの老朽化、3つ目が法対応です。
1つ目はコロナ下において、紙ベースの経費精算システムが在宅勤務の弊害になったことです。従来のシステムは、申請用の台紙を印刷して、そこに領収書や請求書を貼付し、大阪の本社宛に社内便で郵送するというアナログなプロセスでした。さらに、経理部門でも受け取りを確認して保管するといった、手間や工数がかかっていました。
また、3年前の2021年に大阪から東京へ本社を移転したことで、書類の保管スペースの確保が困難になりました。大阪の旧本社には保管スペースがありましたが、東京本社は在宅勤務を前提としたオフィスの設計となっていたため、スペースにゆとりがありませんでした。こうしたことからペーパーレス化は必要不可欠でした。
2つ目は10年ほど利用していた自社開発のシステムが老朽化したことです。一般的にシステムの利用期間は約10年と言われています。弊社のシステムは維持コストも発生していたので、リプレースを検討する段階でした。
3つ目はインボイス制度や電子帳簿保存法への対応です。インボイス制度における登録番号(T番号)の管理や、電子帳簿保存法においては、電子データの保管方法など、新たな法制度への対応が必要となりました。
— TOKIUM導入の背景について教えてください。
TOKIUM導入前のシステムは、自社開発したスクラッチのシステムでした。運用開始から約10年が経過し、システムの更新時期を迎えていました。さらに、電子帳簿保存法やインボイス制度などの法令対応や、ペーパーレス化を推進するためにシステムの刷新を検討していました。
従来のシステムの改修や自社開発も検討しましたが、サーバーの維持コストや法令改正の度に発生するメンテナンスや改修のコストがネックになりました。また、経理業務はどの会社にも共通しているものが多く、法令の改正への対応やそれに伴い将来的に発生するメンテナンスや回収のコストを削減することを考えるとSaaSを利用することに大きなメリットを感じていました。
— 業界特有の課題があれば教えてください。
当社の事業はファシリティマネジメントとして、全国500〜600か所に散在するお客様の施設を管理・保全しています。拠点数が大変多いので、現場の従業員によって立て替え精算するケースが多く発生し、精算に係る申請書の印刷や本社への郵送代などを課題と感じていました。
その課題の解消のため、TOKIUMインボイスとTOKIUM経費精算を導入しました。
— 導入前に比較したサービスを教えてください。
当社の課題や目指すべき姿をまとめた提案依頼書を作成し、複数社から提案していただきました。別の会社のシステムを複数検討する中で、OCRによって読み取りするシステムの提案も受けましたが、OCRだけでは不安な側面がありました。一方、TOKIUMのシステムはオペレーターによる入力代行と人的なチェックプロセスがあり、管理者である経理視点でも安心できました。
また、領収書・請求書の原本保管をTOKIUMが代行してくれることも当社にとっての大きな決め手となりました。当社では、大量の費用精算関連の書類を外部倉庫に委託して保管しています。こうした保管をTOKIUMが代行してくださり、監査や調査で特定の領有書や請求書が必要になった際にも1枚単位で返却いただける点もメリットでした。
電子帳簿保存法では、帳票をPDF化したり電子化したりすることで、現物の保存は不要と言われていますが、当社としては実際の廃棄に踏み切れませんでした。そのため、帳票の保管代行をしてくれる点も安心材料でしたね。
スマホによる申請やオペレーターによる入力工数の削減、現場の負担軽減を最優先に
— TOKIUM経費精算を選定した決め手を教えてください。
TOKIUM経費精算では、スマホから経費精算を申請できる点が決め手となりました。当社では今までスマホによる申請は不可能だったので、現場で利用しやすい申請用ツールが追加された点も大きな魅力でした。また、導入後には、こうしたシステムを使うことに慣れていないスタッフからも「使いやすい」と特にUIの部分が評価されましたね。
— TOKIUMインボイスを選定した決め手を教えてください。
請求書の受領を代行し、その情報をオペレーターがデータ化してクラウド上に保存してくれる点です。これによって、現場サイドでは金額や日付、支払先などの入力の手間や工数を削減できると考えました。
— TOKIUMの導入サポートに対するご感想を教えていただけますか。
TOKIUMのシステムの導入にあたっては、既存の会計システムとの連携や、当社特有のマスタ構成にも柔軟に対応していただきました。特に導入時にサポートしてくださった担当コンサルタントの方には非常にご尽力いただき感謝しています。
また、SaaSの導入に際しては、イオングループ全体のセキュリティポリシーをクリアする必要がある中でこうしたポリシーに合わせるため、柔軟に対応していただきました。
— TOKIUMのスムーズな導入のため、御社内で取り組んだことがあれば教えてください。
全国の8支社に4人の経理部員を派遣し、対面で説明会を行いました。また、質問したいことがすぐにわかるように、目次形式でマニュアルを作成し、該当部分をクリックすると詳細な説明に飛ぶような仕組みを作りました。
導入当初の3か月間は質問が多く、1日に20件〜30件の対応をしていましたね。電話では対応しきれなかったので、メールや専用フォームで質問を待ち受けにしておき、一斉にメールで返信したり、個別のQ&Aの回答も全社員が見られるような状態にしたりしました。 システム面での使い方については、TOKIUMのヘルプデスクも利用させていただきました。
— 「TOKIUM経費精算・TOKIUMインボイス」の導入効果について、教えていただけますか。
まず、ペーパーレス化が圧倒的に進みました。これまでは経理部門に経費精算の申請書が詰まったダンボール箱が年間50箱ほど届いていたのですが、この数が約1/4になりました。それに伴い、オフィススペースの一角を占めていた保管場所が縮小されました。これまでは3か月に1回、ダンボール箱を外部倉庫に送って保管していたので、そうした手間やコストも削減できましたね。
定量的な数値を出せていませんが、社内メール便の郵送代や、現場で台紙を印刷して貼り付けていた工数もかなり削減されたと感じています。仮に単純計算として、全国の拠点が500〜600か所、従業員数を2万名として計算すると、かなりの時間や工数の削減になるのではないでしょうか。これが毎月発生していたのですから。
代理受領によって在宅勤務でも処理できる点もメリットだと聞きました。特にIT系の部門は代理受領を行っている部門が多く、在宅で支払申請ができる点は、TOKIUMインボイスを導入した効果の1つだと思います。
また、TOKIUM経費精算を導入したことで現場の工数を削減できました。現場の担当者から感謝を伝える電話がイオンディライトの本社経理部にあった時は、システム導入の価値を実感してもらえたことが非常に嬉しかったですね。
— TOKIUMを導入後、削減できた時間で、どのような業務時間を増やせましたか。
具体的な数値を把握していないのですが、TOKIUM経費精算、TOKIUMインボイスの導入は、現場の工数削減と作業時間の短縮に貢献していると思います。
— 今後どのような経理部門を目指したいとお考えでしょうか。
私たちは「プロフェッショナルな経理専門家集団」を目指したいと考えています。
近年の経理業務は、DX・AIなどによる業務の自動化・効率化が進んでいますが、今後、単純作業などはAIなどが担っていくと考えています。
今後の経理部門の役割として、高度で専門的な経理知識をもとにした、迅速な判断・仕組み作りを行える人材の育成が必要不可欠だと考えています。そのためには、ルーティン業務の効率化を徹底し、プロフェッショナルとしてテクノロジーでは置き換えられない価値を創造することができる経理部門であることが大切だと思います。
【取材日:2024年8月22日】