— 御社の事業内容について教えてください。
当社は1957年に設立され、ENEOSグループの商社部門として、全国のENEOSサービスステーション(SS)向けに油外商品や設備機器の企画・販売を行うほか、産業用潤滑油や化学製品の提供など、幅広い事業を展開しています。長年の経験とインフラを活かし、SS領域以外でもお客様のニーズに対応したソリューションを提供しています。
— TOKIUMインボイスとTOKIUMアシスタント導入前の請求書処理の運用について教えてください
以前は、請求書処理業務をBPO(ビジネスプロセスアウトソーシング)企業に委託していました。請求書は仕入先からBPO先に直接届き、BPO先で、「明細名」「数量」「金額」などをExcelに入力して納品してもらっていました。お客様ごとにExcelのシートが分かれて納品されるので、複数シートで納品されたデータを、自社で一つのシートにまとめてCSVで販売管理システムへ連携していました。
— 請求書の原本はどうされていたのでしょうか?
まとめて送ってもらっていました。例えば3月締めのものであれば5月上旬にまとめて届くといったイメージです。それを自社で倉庫に保管していました。
— 請求書の量はどれぐらいでしたか?
取引先は600社程度で、原則として請求書は一社につき1通でしたが、明細の行数でいうと、1行の会社もあれば、30行以上の明細がある会社もあり、全取引先の明細行数を合計すると約3,000行ありました。
— 課題に感じていた点はありますか?
請求書原本をリアルタイムで確認できず、原本で確認したい場合、BPO先にPDFで請求書を送ってもらっていました。
また、一連のプロセスをお任せしていたのでブラックボックス化していたことも課題でした。担当者が変わるにつれてやり方や見解が少しずつ変わってしまったり、「提案されてお任せしていたこと」が、いつの間にか「当社がお願いしたこと」になっているなど、見解の違いみたいなことはありましたね。
— TOKIUM導入の背景について教えてください。
委託していたBPO企業の撤退に伴い、請求書処理体制の見直しが必要になりました。これまでアウトソースしていた手入力の作業は膨大で、3000行の明細の入力を社内で対応しきるのは現実的ではありませんでした。スキャナーを買って、請求書を全部読み込んで、社内で完結させるという話もありましたが、正直、対応できないと感じていました。
— なぜシステムで対応しようと思ったのですか?
実はBPO企業が撤退するのはこれが2度目で、移管作業には多くの工数がかかっていました。先ほどお話したようなBPOによるブラックボックス化や撤退による負荷を経験し、システムを導入して請求業務を見える化したいという思いが強くなりました。
撤退先の企業からは「AI-OCRも発展してきているのでそういった手段もありますよ」とアドバイスをもらったこともあり、システムで対応することにしました。
— 派遣社員の方を採用することは検討しましたか?
業務量が月初に集中するため、その時期のためだけに人を増やすことは現実的に不可能であり選択肢にはありませんでした。
— 選定時の検討軸を教えてください。
請求書受領システムの話を聞いていくに従って、膨大な「明細のデータ化」と既存の「販売管理システムとの連携」が軸だと考えるようになりました。また、依然としてFAXでの請求書受領も多く、それに対応できることも重要なポイントでした。FAXでの受領は必須要件ではないものの、できない場合はかなりの負担になります。
— TOKIUMを採用いただいた理由について教えてください。
4社ぐらい請求書受領システムを比較検討しました。「BPO(TOKIUMアシスタント)とシステムを組み合わせる」ことで、請求書の明細入力まで代行してもらえることがTOKIUMを選ぶ最大の決め手となりました。
システムを探し始めたとき、AI-OCRによる明細化に期待しましたが、実際に試すと必要な項目がデータ化されない、精度がそこまで高くないなど限界を感じました。AI-OCRだけで自社が希望する明細情報をデータ化できるシステムは正直ありませんでした。
他の会社さんは出来上がったシステムをそのまま使うという売り込み方がほとんどでしたが、TOKIUMさんは私たちの事情に沿った提案や検討を重ねてくださり、『できます』と回答してくれた唯一の会社でした。こうした柔軟な提案姿勢や営業対応も、採用を後押ししました。
もうひとつが、販売管理システムへ連携できる点です。会計システム連携は可能でも、販売管理システムへの連携は難しい場合が多かったのですが、TOKIUMはCSVのカスタマイズが柔軟なため、CSVを加工せずに連携でき、人為的なミスを抑えられると考えました。
— 以前使っていたBPOからTOKIUMに変えた際の取引先様の反応はどうでしたか?
BPOからTOKIUMに、請求書の送り先が変わるだけなので、切り替えに関しては苦労はありませんでした。また、「他のお客様がTOKIUMを使っているので知っています」という方もいらっしゃったのでスムーズに進みましたね。
以前はFAXで送ってきていただいた取引先でもアップロードに切り替える企業が多くなったのは意外な発見でした。
— 導入後の運用フローについて教えてください。
取引先から送付された請求書はTOKIUMが代理で受領し、TOKIUMインボイス上にアップロードされます。その後、明細入力が必要なものはTOKIUMアシスタントにデータ化を依頼します。 請求書の中には情報が不明確なものや、明細の解釈が難しいものもありますが、そうしたものはTOKIUMアシスタントが事前に分類し、ラベルを付けてくれるので、弊社側ではそのラベルがついたものを確認するフローになっています。 最終的には、データをCSVに出力し、販売管理システムに連携するというフローで運用しています。
— 実際に導入後に感じた効果や成果について教えてください。
まず、請求情報がリアルタイムで見える化されたことです。これにより、取引先とのやりとりもスムーズになりました。例えば、取引先様から「今月の請求書について間違えてしまった」という連絡が来た際に、以前はBPO先からPDFで送ってもらうので時間がかかっていたのですが、TOKIUMではシステム上ですぐに見られるので、請求書を見ながら対応が可能です。
また、請求書のデータが蓄積されるようになったので、過去の請求書を確認する際の手間も減りました。請求に不明点があっても、過去の請求書を日付や業者で絞り込み検索できるため、必要な情報を探す手間が省けるのも嬉しいです。
さらに、紙の請求書の保管もTOKIUMが代行してくれているので、保管スペースや保管工数の削減につながっています。以前は委託先のBPO企業からまとめて送られてきていたので、保管する作業も手間でした。BPO企業から郵送される郵送費用も削減されているので、コスト削減にもつなげることができました。
— 仮に自社で対応していたらどれぐらい時間がかかっていたと思いますか?
明細の入力だけを行うとして、5人で5日間ぐらいはかかるかなと思います。1日8時間だとすると一か月200時間にもなる計算ですね。
— 以前のBPOと比較して、品質での変化はありましたか?
入力精度に関していえば、かなり上がったと感じます。初歩的な数字の入れ間違いなどはほとんどない印象です。システム上で作業するからなのかなと感じます。
あとはマニュアル以外のものを勝手に判断されないことが徹底されています。そのため「この部分がマニュアルとして足りなかったな」というのもわかり、マニュアルの精度が上がっていく仕組みになっています。マニュアルが当社とTOKIUMさんで共有されているので、ブラックボックス化にならず、自社でオーナーシップを持つことができています。
他のメンバーも内容を把握できるようになり、たとえメンバーに異動があっても対応できるという安心感があります。
— 他に感じられている効果はありますか?
ミスが起こった際の理由が明確化されるようになりました。以前は、BPO先で入力ミスが起きた場合、お客様に謝る際に理由の説明や再発防止策の策定が難しい場面がありました。 一方で、TOKIUMではシステム上ですべて即時確認できるため、ミスの原因も明確化され、防止策も立てやすくなりました。具体的には、二重計上になってしまった際、履歴を確認すると、取引先が二回同じものを送信していたことが原因だとわかったり、原本を見ながら事実に基づいて話し合えるようになっています。
— TOKIUMアシスタントについて、ご意見とご要望をお願いします。
約3,000行にもなる明細入力を手作業なしでデータ化していただける点は、本来なら自社で膨大な時間をかけて行うべき作業であり、今ではなくてはならないサービスです。 一方で、当社の締め日が早いこともあり、納期の短縮などがあれば、より利便性が向上すると考えています。
— 今後の展望を教えてください。
脱属人化を目指していきたいと考えています。例えば取引先情報に必要な事項を入力するなどして、人の出入りがあってもすぐにキャッチアップができるようにしていきたいですね。 ほかにも他部門でも契約管理にTOKIUMを活用できないか、検討していきたいと考えています。