経理DX促進

DX推進ガイドラインとDX推進指標を活用し、DXを推進させる方法

更新日:2023.06.30

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DXガイドライン DX推進指標

そもそもDX(デジタルトランスフォーメーション)とは?

DXとは、Digital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)の略で、経産省の定義は次のとおりです。

企業が破壊的な変化に対応しつつ、内部エコシステムの変革を牽引しながら、第3のプラットフォーム(クラウド、モビリティ、ビッグデータ/アナリティクス、ソーシャル技術) を利用して、ネットとリアルの両面での顧客エクスペリエンスの変革を図ることで価値を創出し、競争上の優位性を確立すること

(引用:経産省|DXレポート〜ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開

要するにDXとは、企業活動にデジタル技術を組み入れることで、製品・サービスやビジネスモデルに変革をおこすことであり、デジタル技術やデジタルサービスを導入するというIT化とは似て非なる概念です。

→ダウンロード:マンガで分かる!インボイス制度開始後の「隠れ課題」とは?

DXが注目されている理由

DXが注目されている理由は次のとおりです。

  • 既存のシステムが老朽化・ブラックボックス化する中では、新しいデジタル技術を導入したとしても、データの活用や連携が限定的であるため、その効果が限定的となってしまう可能性がある。
  • 既存システムの維持・保守に資金や人材を割かれ、新なデジタル技術を活用するIT投資にリソースを振り向けることができない。
  • 既存システムが老朽化・ブラックボックス化されたまま放置した場合、今後ますます維持・保守のコストが高騰する。
  • 既存システムを維持・保守できる人材が枯渇し、セキュリティ上のリスクも高まる。

DX推進ガイドラインとは?

DX推進ガイドラインとは、経済産業省がとりまとめたDXに関する資料で、日本でDXを推進していく上で重要となる指針を説明しています

経済産業省は2018年に『DXレポート~ITシステム「2025年の崖」の克服とDXの本格的な展開~』を取りまとめ、DXの推進や現行のITシステムが抱える問題を示しました。このレポートでは、2025年には大半の日本企業が古いITシステムを使い続けることで国際的なIT化の流れから取り残されてしまうと示されています。

このレポートの提言を受け、経営者がDX推進のために企業が行うべき手順を示したのが、DX推進ガイドラインとなっています。そのためガイドラインを一読し、DX推進の全体像を掴むことが重要です。

DX推進ガイドラインの構成

DX推進ガイドラインの主な内容は、(1)DX推進のための経営のあり方、仕組み (2)DXを実現する上で基礎となるITシステムの構築 の2つです。

(1)ではDX推進のための経営戦略や意思決定のあり方について、(2)ではDX実現に向けた体制・仕組みや実行プロセスについてそれぞれ詳しく記載されています。

(引用:経済産業省|デジタルトランスフォーメーションを推進するためのガイドライン(DX推進ガイドライン)

DX推進指標とは?

DX推進指標とは、企業や組織がどの程度DXに対応できているのかを判断できるように、経済産業省がまとめた指標のことです。DXを進める上で、部門間を横断して経営としての仕組みを構築することの難しさが背景にあり、DXによる価値創出に向けたアクションを明確にすることを目指して指標が作成されました。

現在日本企業が直面しているDX推進における課題を指標項目とし、各部署の関係者が議論をしながら現状を認識・アクションを取ることを目的として、気づきの機会を得るためのツールとして策定されました。目的はあくまでもDX推進をして価値を創出していくことで、高得点を取ることが目的化しないように注意する必要があります。

経産省|DX推進指標とそのガイダンス

DX推進指標の使い方

DX推進指標の使い方には次のようなものがあります。

  • 事業部門・IT部門・DX部門など部門間に渡って認識を共有・啓発すること
  • あるべき姿に向けて次に何をすべきかアクションの議論につなげ実際のアクションをとること
  • 翌年度に再度診断を行い、アクションの達成度合いを継続的に評価することで、自社におけるDXの取組進捗を管理すること

2019年にベンチマーク策定の中立組織としてIPAが選定され、DXの自己診断結果をIPAに提出できるようになりました。IPAでは、提出された自己診断結果を収集・分析し、自己判断結果と全社データとの比較が可能となるベンチマークを作成します。企業は、それを活用して状況を把握することで、次のアクションに役立てることができます。

指標項目

DX指標項目は、「DX推進のための経営のあり方、仕組み」「DXを実現する上で基盤となるITシステムの構築」の2つから構成されています。定性指標は35項目あり、現在の日本企業が抱える課題や解決するべき事項を中心に選定されています。

各定性指標の評価は6段階となっており、全ての指標に答えることで、6段階のうち自社が現在どのレベルにいて、次にどのようなレベルを目指すべきなのかという大まかな判断することができます。

「DX推進における取締役会の実効性評価項目」とは?

DX推進指標の内容を踏まえつつ、DX推進について取締役会でも議論が行われるよう、「取締役会の実効性評価項目」が追加で設定されました。設定された背景としては、DXを進めるにおいて、経営者・事業部・IT部門・DX部門と全社に渡って広く議論することは重要ですが、加えて取締役会での議論や決定が重要となるためです。

「DX推進における取締役会の実効性評価項目」を使うことで、DXの取組に関する議論が取締役会でより活発に行われるようになり、経営の監督を担うべき取締役会としてDX推進に向けて役割を果たしていくことができるでしょう。

DX推進で重要な5つのポイント

DX推進ガイドラインやDX推進指標を踏まえた上で、企業のDX推進の際に重要なポイントを5つ紹介します。

1.経営戦略・ビジョンの明確化

DX推進にあたっては、想定されるイノベーションを念頭におき、データとデジタルの活用によってどの分野でどのような価値を生み出すか、どのようなビジネスモデルを構築すべきか、といった経営戦略やビジョンを全社に共有できていることが重要です

また、経営トップとして、ビジネスや仕事の仕方・人事の仕組み・企業文化・風土の変革に取り組むことへのコミットメントを示し、社内で変革に対しての反抗がある場合にはトップとしての意思決定を発揮していく必要があります。

2.現時点でのDX推進の状況を把握する

新しいDXを導入する前に、現時点でのシステムを今一度見直し、レガシーシステムを洗い出すことが重要です。現状を把握する上では、システムの有無だけでなく、風土・人材・体制・サポート状況といった観点からも把握すると良いでしょう。

状況把握の手段としては、記事前半で紹介した「DX推進指標」や「DX推進における取締役会の実効性評価項目」を使うことで、現状をどのような観点から把握していけば良いのかが明らかになり、今後の具体的な施策の検討をスムーズに行うことができます

また現状を把握するためには、現場の課題を一番よく知っている現場の人を巻き込んでいくことも重要です。

3.ITシステム構築の体制・仕組みづくり

DXを推進する上では、次のような観点から仕組みづくりを整えていくことが必要です。

  • 仮説をたてて効果検証する一連の仕組みを整え、仮説検証のスピーディーな評価を可能とすることで、各事業部において新しい取組を積極的に行うような風土を情勢すること。
  • データやデジタル技術を活用する上で、取組を推進・サポートするDX部門の設置するなどして、サポート体制を整備していくこと。
  • DX実行に必要な人材を確保すること。DX部門をリードする人材だけでなく、各部門において事業内容に精通しつつデジタルを理解する人間が必要。社外の人材も含まれる。

4.DX人材の確保・育成

DXを進める上では、たとえデジタルツールのユーザー企業においてもIT人材の確保が不可欠です。

ITで何ができるかを知っている、変化をリードしていけるような人材を確保していく必要があります。また、常に新しいことを学び続ける必要があるため、既存システムへの対応から開放し、研修機会の提供やスキル認定制度を提供することなども有効となるでしょう。

5.社内の各事業部署・ベンダーとの連携

DX推進にあたっては、社内の各事業部が一丸となって取り組み、ベンダーと密に連携をしていくことが重要です。

DXが一部の経営陣によってトップダウンで進められてしまうと、結果として導入したシステムが複雑化・ブラックボックス化してしまったり、今後の変化にも対応できなくなる危険があります。そのため、各事業部がオーナーシップを持ち、DXで実現したい企画や状態を持っていることが重要です

また、システム導入・開発にあたりベンダーと連携する際にも、要件定義から一緒に検討を行うことが重要です。ベンダーに要件定義を丸投げするという状態では、開発されたITシステムが事業部にとって満足のいくものとならず、結果的にDXの取り組みが失敗してしまうリスクが大きくなります。

ITツール・システムを選定する際に注意すること

サポート体制が整っているか

ITツール・システムは、導入して終わりではなく、導入後のサポート体制が整っていることが重要です。

特にシステム導入直後は、基本的にユーザーは不慣れであるため、問い合わせが多く発生します。こういった問い合わせに十分に答えられる状態が整っていないと、導入しても使いこなせない・逆に不便になった といった事態に陥ってしまいます。

サポートでは、問い合わせ先が見つからない・返答が遅いといった問題が発生しやすいため、注意が必要です。

目的やビジョンにかなったツール・システムか

DXを実際に導入する前に、目的やビジョンを明確にし、それにかなったツール・システムを導入する必要があります。

業界や会社の置かれている状況によって、DXを導入する目的は異なってくるため、先に目的を明確にしてからDX導入の設計に入っていくことが重要です

また、同じ社内でも部署によって求めているものが異なるため、経営としての目線だけでなく、現場の声を集め、現場で受け入れられるシステムを導入すると、定着がよくなるでしょう。

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まとめ

当記事では、DXとはITで競争優位を確立していくことを示し、今後も会社が発展していくためにはDX推進が重要であることをご説明しました。DX推進の上では、ガイドラインや指標も活用すると、より導入がスムーズになるでしょう。

TOKIUMでは経理業務のDXを推進に貢献するため、ぜひこちらも検討してみてください。

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