経理業務で使えるエクセル関数や機能を活用して業務を効率化！

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経理業務にエクセルは必要？
経理業務に使える関数
経理業務に便利なエクセル機能
エクセルを経理業務で活用するメリット
エクセルを経理業務で活用するデメリット
まとめ

経理業務では、大量の数字データを扱う場面が多く、表計算ソフトのエクセルが欠かせません。しかし、基本的な機能しか使っていないため、作業に時間がかかっているという方も少なくないでしょう。

この記事では、経理担当者が知っておきたいエクセルの便利な関数や機能を、実例を交えてわかりやすく解説します。関数やショートカットキーを使いこなせば、日々の経理業務をより効率的に進められます。経理の実務経験が浅い方や、エクセルのスキルアップを目指す方は、ぜひ参考にしてください。

経理業務にエクセルは必要？

経理業務では日々、膨大な数値データを扱います。売上データの集計から、各種帳票作成、経費精算まで、さまざまな業務で表計算ソフトのエクセルが活躍します。社内の業績データを分析する際にも、エクセルの機能を使えば素早く傾向を把握することが可能です。

エクセルには自動計算機能が備わっているため、手作業で計算するよりも圧倒的に正確です。一度作成したフォーマットは何度も使い回せるため、毎月の帳簿作成や決算業務でも作業時間を短縮できます。

エクセルの関数やショートカットキーを使いこなすと、業務の効率が格段に上がります。関数を使えば複雑な計算も一瞬で完了します。エクセルの機能を上手に活用することで、経理部門の業務効率は飛躍的に改善するでしょう。

経理業務に使える関数

エクセルの関数とは、決まった計算や処理を自動で行う便利な命令文です。数値の合計や平均値の計算、データの検索や抽出など、手作業では時間のかかる処理を瞬時に実行できます。経理業務では特に、日々の売上集計や経費精算、給与計算などで活躍する機能です。

エクセルの関数を使うときは、いくつかの基本ルールがあります。

まず、関数はすべて半角英数字で入力します。関数を入力する際は必ず「=（イコール）」から始め、その後に関数名と処理したい範囲を指定します。関数の入力は、セルに直接打ち込むか、数式バーから入力できます。

また、「fx」ボタンから関数の一覧を選んで入力することもできます。

SUM関数

SUM関数は、指定した範囲内の数値をすべて足し合わせる基本的な関数です。経理の業務では最も頻繁に使う関数の一つで、売上の合計や経費の総額を瞬時に計算できます。

特に、月次の売上集計や請求書の作成、部門ごとの経費精算など、数値を合計する作業で威力を発揮します。例えば、毎月の売上データを入力したシートで、部門ごとの合計や四半期ごとの集計が簡単にできます。

また、経費精算表では、交通費や消耗品費など、費目別の合計額を自動で計算できるため、手計算による集計ミスを防げます。

【SUM関数の書き方】=SUM（範囲）
（例）C列5行目から8行目までの合計を求める場合=SUM（C5:C8）

AVERAGE関数

AVERAGE関数は、指定した範囲内の数値の平均値を求める関数です。日々の売上や経費の平均的な傾向を把握したい時に便利で、予算策定や業績分析に役立ちます。特に、月間の平均売上や一日あたりの平均経費、従業員一人当たりの平均売上高など、経営指標の算出に活用できます。

この関数は、営業成績の分析や予算管理でよく使われます。前年同期との比較や月次推移の確認、売上予測の立案などに使えます。

【AVERAGE関数の書き方】=AVERAGE(範囲)
（例）C4からC9までのセルの平均値を求める場合=AVERAGE(C4: C9)

COUNT関数

COUNT関数は、指定した範囲内に数値が入力されているセルの個数を数える関数です。データの件数を把握したい時や、入力漏れがないかチェックする時に便利です。特に、取引件数の確認や、請求書の発行枚数の把握、経費精算時の明細数のカウントなどで活用できます。

経理業務では、データの整合性チェックに重宝します。売上データの入力状況を確認する時や、経費精算の明細が全て入力されているか確認する時に使えます。また、月次の取引先別の取引回数を集計する際にも便利です。

【COUNT関数の書き方】=COUNT(範囲)
（例）D4からD12までのセルに入力された数値の個数を数える場合=COUNT(D4:D12)

COUNTIF関数

COUNTIF関数は、条件に合致するセルの数を数える関数です。COUNT関数に条件指定機能が加わった便利な関数で、特定の条件を満たすデータの数を簡単に把握できます。経理業務では、特定の金額以上の取引を抽出したり、未処理の請求書の件数を確認したりする際に役立ちます。

売掛金の管理では、期日超過の請求書の件数を数えたり、一定額以上の取引を抽出したりできます。また、経費精算では、特定の費目の件数や、承認待ちの申請数を簡単に把握できます。さらに、予算管理では、目標額を超えた項目の数を数えることもできます。

【COUNTIF関数の書き方】=COUNTIF(範囲,条件)
（例）E4からE9のセルで、達成しているものがいくつあるかを数える場合=COUNTIF(E4:E9,”達成”)

VLOOKUP関数

VLOOKUP関数は、表から必要なデータを探し出して、自動的に表示する関数です。大量のデータの中から特定の情報を素早く見つけ出せるため、経理業務の効率化に大きく役立ちます。特に、商品コードから商品名や単価を自動的に表示させたり、取引先コードから取引先情報を呼び出したりする際に便利です。

請求書作成では、商品コードを入力するだけで自動的に商品名と単価が表示されるため、入力ミスを防げます。また、従業員コードから給与情報を呼び出したり、部門コードから予算情報を表示したりすることもできます。

【VLOOKUP関数の書き方】=VLOOKUP(検索値,検索範囲,列番号,FALSE)　最後のFALSEは完全一致を指定する引数で、通常はFALSEを使います。
（例）商品コードから商品名を表示させる場合（I8セル）=VLOOKUP(B16,B4:E13,2,FALSE)
商品コードから単価を表示させる場合（J8セル）=VLOOKUP(H8,B4:E13,3,FALSE)

この設定により、請求書の商品コード欄に「A001」と入力するだけで、商品名「コピー用紙」と単価「2,500」が自動的に表示されます。金額列は単価×数量で自動計算されます。

また、商品マスタの単価を変更すれば、請求書にも自動で反映されます。

RANK関数は、数値の順位を自動的に算出する関数です。複数のデータの中から、ある数値が何番目に大きいか（または小さいか）を簡単に求められます。営業成績のランキング作成や、商品別売上高の順位付け、経費項目の金額順での並び替えなど、順位を知りたい場面で活躍します。

RANK関数

経理部門では、売上実績の分析や予算の執行状況の確認に使えます。部門別や従業員別の売上ランキングを作成したり、経費項目を金額の大きい順に並べたりできます。また、取引先との取引額の順位付けや、商品別の粗利益率のランキングなども簡単に作成できます。

【RANK関数の書き方】=RANK(数値,範囲,順序)　順序：0は降順（大きい順）　1は昇順（小さい順）
（例）C4セルの数値が、C4からC8の範囲で何番目に大きいかを求める場合=RANK(C4,C4:C8,0)

MAX関数

MAX関数は、指定した範囲内のデータから最大値を求める関数です。データの中から最高額を瞬時に見つけ出せるため、経理業務での分析や確認作業に役立ちます。特に、売上のピーク値を把握したり、経費の上限管理をしたり、取引データの異常値をチェックしたりする場面で活躍します。

月次の売上分析で、その月の最高売上日を簡単に特定したり、経費精算では費目ごとの最高支出額を確認したり、給与計算では賞与を含めた最高月額を把握したりできます。

【MAX関数の書き方】=MAX(範囲)
（例）D4からD13までの範囲で最大値を求める場合=MAX(D4:D13)

MIN関数

MIN関数は、指定した範囲内のデータから最小値を求める関数です。データの中から最低額を素早く特定できるため、経理業務での分析や異常値の確認に便利です。特に、売上の底値を把握したり、仕入れ価格の最安値を確認したり、取引データの下限をチェックしたりする際に使えます。

日々の売上管理では、その月の最低売上日を把握できます。また、仕入れ管理では、商品ごとの最低仕入れ価格を確認したり、在庫管理では最低在庫数を監視したりできます。予算管理においても、売上が想定の下限を下回っていないかチェックする際に重宝するでしょう。

【MIN関数の書き方】=MIN(範囲)
（例）D4:からD13までの範囲で最小値を求める場合=MIN(D4:D13)

TODAY関数

TODAY関数は、現在の日付を自動的に表示する関数です。請求書や見積書など、日付を入力する必要がある書類作成時に便利です。手入力による日付の入力ミスを防げるだけでなく、ファイルを開くたびに自動で今日の日付に更新される特徴があります。

経理業務では、日次で作成する帳票類に活用できます。例えば、日々の売上報告書や入出金管理表、経費精算書などの作成日を自動入力できます。また、請求書や見積書のテンプレートにTODAY関数を組み込んでおけば、書類作成時に日付を手入力する手間を省くことが可能です。

【TODAY関数の書き方】=TODAY()　パソコンの設定に従って今日の日付が表示されます。

経理業務に便利なエクセル機能

経理業務では、大量のデータを正確に素早く処理することが求められます。

エクセルには、そんな経理担当者の味方になる便利な機能が数多く備わっています。関数以外にも、データの抽出や並び替え、自動集計、作業の自動化など、業務の効率化に役立つ機能が満載です。

使い方を覚えれば、今まで手作業で行っていた作業時間を大幅に短縮できます。ここでは、経理担当者が知っておきたい便利な機能を紹介します。

フィルター機能

フィルター機能は、大量のデータから必要な情報だけを抽出できる便利な機能です。日付や金額、取引先名など、さまざまな条件でデータを絞り込めます。

経理業務では、売上データの分析や経費の確認など、様々な場面で活用できます。月次の売上集計で特定の部門のデータだけを表示したり、経費精算で一定額以上の支出を抽出したり、未払い金の管理で支払期限の近い取引先を確認したりできます。

使い方は、データが入力された表の見出し行を選択し、「データ」タブの「フィルター」をクリックします。すると、各列の見出しに▼マークが表示され、クリックすると条件設定画面が開きます。ここで検索条件を指定すれば、条件に合うデータだけが表示されます。

並べ替え機能

並べ替え機能は、データを指定した順序で整列できる機能です。金額の大小、日付の新旧、取引先名の五十音順など、様々な基準でデータを並び替えられます。また、複数の条件を組み合わせた並び替えも可能で、「まず部門別に分け、その中で金額の大きい順に並べる」といった複雑な整列もできます。

経理業務では、データを整理して把握しやすくする場面で重宝します。売掛金管理で支払期日順に並べ替えたり、経費精算で金額の大きい順に確認したり、仕訳データを勘定科目順に整理したりできます。取引データを日付順に並べ替えることで、月次の帳簿作成もスムーズになります。

使用するには、並べ替えたいデータ範囲を選択し、「データ」タブの「並べ替え」をクリックします。表示されたダイアログボックスで、並べ替えの基準とする列や順序（昇順・降順）を指定します。「レベルの追加」で複数の条件を設定することも可能です。

ピボットテーブル機能

ピボットテーブルは、大量のデータを自動で集計・分析できる強力な機能です。行と列を自由に組み合わせて、さまざまな角度からデータを集計できます。

経理業務では、部門別・商品別の売上集計や、費目別・部署別の経費分析、取引先ごとの売掛金・買掛金の管理などに活用できます。月次や年次の推移分析も簡単に行えます。

作成手順は、まずデータ範囲を選択し、「挿入」タブの「ピボットテーブル」をクリックします。新しいシートが開くので、右側に表示される「ピボットテーブルのフィールド」から、行・列・値として表示したい項目をドラッグ＆ドロップで配置します。集計方法は「値のフィールド設定」で変更できます。

マクロ機能

マクロ機能は、繰り返し行う作業を自動化できる便利な機能です。一連の操作を記録しておけば、ボタン一つで同じ作業を再現できます。複雑な作業手順も自動化できるため、定型業務の時間を大きく短縮できます。また、作業手順を記録したマクロは、他のファイルでも使い回せます。

経理業務では、データの集計や転記、帳票の作成、ファイルの保存など、手順が決まっている作業を自動化できます。

マクロの記録は、「表示」タブの「マクロの記録」から始めます。記録を開始したら、自動化したい作業を普段通りに行います。作業が終わったら「記録終了」をクリックします。次回からは「マクロの実行」を選んで記録した作業を再生できます。

複数シート・ファイル同時閲覧機能

複数シート・ファイル同時閲覧機能は、異なるシートやファイルを画面上で並べて表示できる機能です。データを比較しながら作業したり、別シートの情報を参照しながら入力したりできます。

経理業務では、データの照合や転記作業で便利です。売上データと仕入データを並べて利益の計算をしたり、請求書と入金データを見比べながら消し込み作業をしたりする際に役立ちます。

使い方は、「表示」タブの「新しいウィンドウ」をクリックし、「整列」で表示方法を選びます。「上下に並べて表示」や「左右に並べて表示」など、作業内容に合わせて最適な表示方法を選べます。異なるファイルを開いている場合も同様の手順で並べて表示できます。

ショートカットキー機能

ショートカットキーは、キーボードの組み合わせで素早く操作できる機能です。マウス操作に比べて格段に早く、手を大きく動かす必要もないため疲労も少なくなります。頻繁に使う操作をショートカットキーで行えば、作業時間を大幅に短縮できます。

経理業務では、データ入力や編集作業が多いため、特に効果を発揮します。最初は一つずつ覚えていき、徐々に使えるショートカットキーを増やしていくと良いでしょう。

ショートカットキー一覧	できること
Ctrl + S	ファイルを上書き保存します。データ入力中は定期的に保存することで、予期せぬトラブルからデータを守れます。
Ctrl + X	選択した範囲を切り取ります。データを移動させる時に便利です。
Ctrl + C	選択した範囲をコピーします。同じデータを別の場所に複製する際に使います。
Ctrl + V	コピーまたは切り取ったデータを貼り付けます。コピーや切り取りと組み合わせて使用します。
Ctrl + Z	直前の操作を取り消します。入力ミスや操作ミスをした時に、すぐに元に戻せます。
Ctrl + P	印刷画面を開きます。帳票や請求書など、書類の印刷時に使用します。
Ctrl + F	検索画面を開きます。大量のデータから特定の数値や文字列を探す時に役立ちます。
Ctrl + D	上のセルの内容を下にコピーします。同じ内容を縦方向に素早くコピーできます。
Ctrl + R	左のセルの内容を右にコピーします。同じ内容を横方向に素早くコピーできます。
Shift ＋ Space	行全体を選択します。一行まとめて操作したい時に便利です。
Ctrl ＋ Arrow Key	矢印キーの方向の最後のセルまで移動します。データの端まですばやく移動できます。

エクセルを経理業務で活用するメリット

経理業務でエクセルを活用すると、業務効率が大幅に向上します。手作業での計算や書類作成が多い経理部門では、エクセルの様々な機能を使うことで作業時間を短縮可能です。

また、一度作ったフォーマットは何度でも使い回せるため、月次決算や経費精算などの定型業務も効率的に進められます。

【エクセルを経理業務で活用するメリット】

初期費用を抑えることができる
カスタマイズしやすい
互換性が高い

初期費用を抑えることができる

エクセルは、多くの企業のビジネス用パソコンに最初からインストールされています。そのため、新しくソフトを購入する必要がなく、すぐに使い始められます。

また、インターネット上には無料のテンプレートも多く公開されているため、帳簿や請求書のフォーマットを一から作る手間も省けます。専用の会計ソフトと比べると、導入時のコストを大幅に抑えられる点が魅力です。

カスタマイズしやすい

エクセルは、企業の業務内容や規模に合わせて自由にカスタマイズできます。関数や数式を組み合わせることで、複雑な計算も自動化でき、マクロ機能を使えば定型作業も効率化できます。

取引先ごとに異なる請求書のフォーマットを作ったり、部門別の予算管理表を作ったりと、企業独自の経理システムを構築できます。また、業務の変更や新しい要件にも柔軟に対応できるため、長期的な運用が可能です。

互換性が高い

エクセルは、異なるパソコン環境でも同じように使えるソフトです。社内の他の部署とのデータ共有はもちろん、取引先とのやり取りでも広く使われています。

また、CSVファイルへの出力や、他のソフトウェアとのデータ連携も容易です。経理担当者の異動や退職時の引き継ぎもスムーズに進められ、パソコンの入れ替え時もデータの移行が簡単です。操作方法も一般的なため、新しいスタッフの教育にかかる時間も最小限に抑えられます。

エクセルを経理業務で活用するデメリット

エクセルは便利なツールですが、経理業務で活用する際にはいくつかの課題があります。特に、会計業務を全面的にエクセルで管理する場合は、以下の点に注意が必要です。

【エクセルを経理業務で活用するデメリット】

表やフォーマット作成に時間がかかる
難易度の高い関数・機能がある
ルール改正などに対応しにくい
複数人での共有には注意が必要

表やフォーマット作成に時間がかかる

エクセルで経理書類を作成する場合、仕訳帳や総勘定元帳、補助元帳など、必要な帳簿のフォーマットを一から作らなければなりません。無料のテンプレートを活用することもできますが、見積書や請求書など取引先に提出する書類は見た目も大切です。セルの結合や罫線の設定、印刷時のレイアウト調整など、細かな作業に時間を取られがちです。

消費税の計算や合計金額の算出といった計算式や関数の設定も必要です。一度作成したフォーマットは使い回せますが、初期設定の段階で相当な時間を要します。特に経理の知識が浅い担当者がゼロから作成する場合、試行錯誤の末に使いづらいフォーマットになってしまうこともあります。

難易度の高い関数・機能がある

エクセルの関数や機能の中には、使いこなすのに専門的な知識やスキルが必要なものがあります。特に、マクロやVBAといった高度な機能は、プログラミングの基礎知識がないと活用が難しいでしょう。経理業務の自動化を目指して複雑な関数を組み合わせても、設定を間違えると計算を間違えてしまいます。

また、関数同士を組み合わせた複雑な計算式は、後から修正が必要になった時に苦労します。エクセルの機能を使いこなせない社員がいる場合その人に作業を任せられず、特定の担当者に業務が集中してしまう可能性もあります。

ルール改正などに対応しにくい

税制改正や会計制度の変更があった場合、エクセルで作成した帳簿や書類は、担当者が手作業で修正しなければなりません。インボイス制度の開始に伴う請求書の様式変更や、消費税の税率変更への対応など、その都度フォーマットを作り直す必要があります。

特に、計算式や関数を多用しているファイルの修正は、数式の参照関係が複雑になっていると、一部を修正しただけで他の計算に影響が出てしまうこともあります。また、過去のデータとの整合性を保ちながら新しいルールに対応するには、相当な時間と手間がかかります。マクロを使っている場合は、プログラムの書き換えも必要になるかもしれません。

以下の記事で、電子帳簿保存法対応のためのシステム選定について詳しく解説していますので参考にしてください。

電子帳簿保存法対応のシステム12選【比較ポイントは3つ】

複数人での共有には注意が必要

エクセルファイルを複数の担当者で共有して使用する場合、データの整合性を保つのが難しくなります。同じファイルを同時に編集すると、保存時に「競合」が発生し、どちらの変更を採用するか選択する必要があります。そのため、編集のたびに担当者同士で連絡を取り合わなければなりません。

また、ファイルのバージョン管理も課題です。複数の担当者がそれぞれ異なるバージョンのファイルを保存してしまうと、どれが最新版なのかわからなくなります。エクセルのバージョンが異なると、機能の互換性の問題で正しく表示されない場合もあります。さらに、パスワード管理や権限設定が不十分だと、誤って重要なデータを書き換えてしまうリスクもあります。