請求業務

請求書に訂正印は使わない!間違いやミスに気がついたときの対処法

更新日:2024.12.26

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請求書に記載ミスが見つかった!二重線で訂正して訂正印を押せばいいのかな…」そんな判断は危険です。請求書の訂正は、取引先との信頼関係やコンプライアンスに関わる重要な問題。特にインボイス制度の開始後は、より慎重な対応が求められています。

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本記事では、請求書に間違いが見つかったときの正しい対処法と、訂正印や二重線を使わない理由をわかりやすく解説します。記事を読めば、取引先との信頼関係を損なわずに、コンプライアンスに則った適切な対応ができるようになりますよ。

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請求書発送前なら訂正印は使わずに再発行が原則!

通常の書類であれば、誤字脱字を二重線で消して訂正印を押すことは一般的な対応です。しかし、請求書の場合は異なります。なぜなら、請求書は金銭の授受を伴う重要な証憑書類だからです。

請求書に記載ミスを見つけた場合、相手に送る前であれば、その請求書は破棄して新しく作り直すのが基本的なマナーです。訂正印や二重線で修正した請求書を送ることは、取引先に対して大変失礼な行為となります。また、代表者が承認・決裁したことを意味するため、企業としての信頼性にも関わってきます。

これは請求書に限った話ではありません。見積書や納品書など、取引に関わる重要書類も同様の扱いとなります。間違いを発見したら必ず再発行し、修正テープや修正液による訂正も避けましょう。

取引先との信頼関係を維持し、適切な商取引を行うためにも、書類作成時は慎重にチェックを行い、もし誤りを見つけた場合は、速やかに再発行での対応を心がけることが重要です。

請求書発送後に間違いに気がついた場合はどうする?

請求書を発送した後に間違いに気づいた場合、まずは取引先への迅速な連絡が重要です。電話やメールで間違いがあったことを説明し、誠意を持って謝罪しましょう。

その上で、正しい内容の請求書を再発行します。再発行する際は、「請求書(再発行)」というタイトルを付けるか、「再発行」の赤字スタンプを押すなどして、訂正前後の区別がつくようにします。また、取引先には元の請求書を破棄していただくよう依頼することも忘れずに。

なお、この場合も訂正印や二重線での修正は避けましょう。請求書は税務申告にも使用される重要書類のため、改ざんの疑いを避けるためにも、必ず再発行での対応を心がけてください。

会社規定などで再発行ができない場合

会社の方針や規定により、請求書の再発行が一切認められないケースもあります。そのような場合は、取引先に事情を説明し、了承を得た上で二重線と印鑑による訂正で対応します。

この際の重要なポイントは、訂正印として使用する印鑑です。必ず請求書に押されている印鑑と同一のものを使用してください。異なる印鑑を使用すると、正当な訂正として認められない可能性があります。

ただし、これはあくまでも再発行が不可能な場合の例外的な対応です。請求書の記載内容にミスがあった場合は、原則として再発行による対応を検討しましょう。

請求書への送付状の書き方については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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適格請求書(インボイス)の訂正方法

2023年10月から開始されたインボイス制度では、適格請求書の記載内容に誤りがある場合、特別な対応が必要となります。

インボイスの訂正方法には、大きく分けて「新規発行方式」「訂正箇所明示方式」の2つの方法が認められています。それぞれの方法について、具体的な手順と注意点を見ていきましょう。

新しいインボイスを再発行する

1つ目の方法は、誤りのあった箇所を修正した新しい適格請求書を発行する方法です。当初の適格請求書の誤りを修正し、すべての記載事項を改めて記載した請求書を発行します。

この方法の場合、受領する側は再発行された適格請求書のみを保存すれば問題ありません。ただし、発行した事業者側は、当初発行した適格請求書の写しと、修正後の適格請求書の写しの両方を保存する必要があります。これは、税務調査などの際に修正履歴を確認できるようにするためです。

間違えた請求書の訂正箇所と関連を示す書類を送付する 

2つ目の方法は、当初の適格請求書との関連性を明示した修正文書を発行する方法です。

具体的には以下のような形式で作成します。

「○年○月○日付○月分請求書について、下記のとおり誤りがありましたので、修正いたします」という文言の後に、正誤表を記載します。
記入例)(正)売上金額:220,000円 消費税額:22,000円(誤)売上金額:200,000円 消費税額:20,000円

この方法を選択した場合の注意点として、この修正文書を受け取った側は、当初の適格請求書と修正文書の両方を保存する必要があります。発行側も同様に、両方の写しを保存しなければなりません。

請求書の間違い・ミスを防止するポイント

請求書は金銭の授受を証明する重要な書類です。本来、記載内容に間違いやミスがあってはならず、特にインボイス制度開始後は、より一層の正確性が求められています。

もし請求書の訂正や再発行が頻繁に発生すると、取引先からの信用を失うだけでなく、企業全体の評価にも関わる深刻な問題となりかねません。そこで、請求書のミスを未然に防ぐための具体的な対策を3つご紹介します。

【請求書の間違い・ミスを防止するポイント】

  • チェック体制を厳重化する
  • 書類管理や業務フローを見直す
  • 請求管理システムを取り入れる

以下でそれぞれについて解説します。

チェック体制を厳重化する

請求書の正確性を確保するには、チェック体制の厳重化が不可欠です。商品やサービスの記載内容、数量、単価に誤りがないか確認するのはもちろん、請求先の正確な記載や支払期日の明確な指定なども重要なチェックポイントです。

可能であれば、複数人でのダブルチェック体制を導入することをお勧めします。特に金額の大きな請求書や、重要取引先向けの請求書については、優先的にダブルチェックを実施しましょう。

書類管理や業務フローを見直す

業務プロセスや書類管理が煩雑になっていると、請求書のミスが発生するリスクが高まります。特に、取引の記録、請求書の作成、確認プロセスに焦点を当てて見直しを行うことが効果的です。

例えば、請求書の作成から発行までの承認フローを明確化したり、チェックリストを作成したりすることで、ヒューマンエラーを最小限に抑えることができます。また、過去の請求書や取引記録を整理して、すぐに参照できる状態にしておくことも重要です。

請求管理システムを取り入れる

請求書作成業務の多くは定型的な作業であり、システム化による効率化が可能です。請求管理システムを導入することで、締日・発行日・入金日が異なる取引先を多数抱えている場合でも、ヒューマンエラーの発生を大幅に削減できます。

システムのメリットとして、請求書の自動発行・送付機能、過去の取引履歴への簡単なアクセス、支払期限のリマインダー設定などが挙げられます。また、インボイス制度への対応や電子帳簿保存法の要件も満たすことができ、業務効率の大幅な向上が期待できます。

インボイス制度へのシステムによる対応方法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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まとめ

請求書の訂正は、取引先との信頼関係を左右する重要な問題です。特にインボイス制度の開始により、より厳密な対応が求められる現代において、正しい訂正方法を理解し実践することは不可欠です。訂正印や二重線での修正を避け、再発行を基本とした対応を行うことで、コンプライアンスを遵守しつつ、取引先との良好な関係を維持することができます。また、チェック体制の強化や請求管理システムの導入により、ミスを未然に防ぎ、業務効率を向上させることが可能です。

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