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内部統制ワークフローとは、稟議や経費精算といった申請・承認・決裁の流れをシステム上で定義し、決められたルートどおりに処理させる仕組みです。承認ルートから外れた処理を防ぎ、誰がいつ何を承認したかを証跡として残せるため、不正の抑止と監査対応の両方に効きます。
→ダウンロード:内部統制を強化したい組織が抱える経費精算5大課題の解決策
本記事では、ワークフローシステムが内部統制の強化に役立つ理由から、選び方・導入手順・事例までを整理します。
内部統制とは?
内部統制とは、企業が健全で効率的に事業活動を行い、目的を達成していくための仕組みやプロセスを指します。金融庁の枠組みでは、内部統制には4つの目的と、それを支える6つの構成要素があるとされています。
内部統制の目的
内部統制が目指すのは、次の4つです。業務を効率よく回し、正しい報告で信頼を保ち、法令を守り、資産を守る——この4点が土台になります。
| 目的 | 内容 |
|---|---|
| 業務の有効性及び効率性 | 事業目的の達成に向けて業務の有効性を高め、人員を含む企業の資源を効率的に活用する |
| 報告の信頼性 | 虚偽記載のない適正な財務報告をはじめとする報告を行い、株主や投資家など利害関係者の利益と社会的信用を守る |
| 事業活動に関わる法令等の遵守 | 事業に関わる法令や規範を守り、罰則や批判による損害を受けない体制をつくる |
| 資産の保全 | 資産の取得や使用を正当な手続きで行い、不当な滅失や流出を防ぐ |
内部統制を構成する6つの要素
内部統制を構成する要素として、金融庁は次の6つを掲げています。このうち「統制活動」と「ITへの対応」は、ワークフローシステムが直接支えられる領域です。
| 構成要素 | 内容 |
|---|---|
| 統制環境 | 経営者の姿勢や組織の誠実性・倫理観など、内部統制を浸透させる土台となる環境 |
| リスクの評価と対応 | 業務の遂行を阻害するリスクを識別・分析・評価し、対応する体制 |
| 統制活動 | 権限の付与や職務の分離で不正リスクを減らし、経営者の指示を適切に実行する方針や手続き |
| 情報と伝達 | 必要な情報が適時かつ適切に伝わり、社内外の関係者と共有される状態 |
| モニタリング | 内部統制が有効に機能しているかを継続的にチェック・評価する活動 |
| ITへの対応 | 事業目的の達成に向けてIT技術を適切に導入し、整備・活用する |
J-SOX・会社法における内部統制
内部統制が経理の現場で重視される背景には、会社法と金融商品取引法があります。金融商品取引法は、上場企業に対して財務報告の信頼性を確保するための内部統制の整備と評価を義務づけており、これがいわゆるJ-SOX(日本版SOX法)です。会社法でも、大会社である取締役会設置会社などには、内部統制システムの整備に関する基本方針を取締役会で決定することが義務づけられています。
つまり上場企業や上場準備中の企業にとって、内部統制は「やったほうがよいこと」ではなく「整えて、機能していることを示す義務があること」です。申請から承認までの記録をシステムで残せるワークフローは、この義務に応える実務の土台になります。
内部統制ワークフローが重視される背景
申請や承認をシステム化して内部統制を強化する動きが広がっているのは、上場準備・働き方の変化・不正リスクへの備えという事情が重なっているからです。紙とハンコ、メールでの申請承認では、誰がどの順番で承認したかを後から正確にたどるのが難しく、統制が形だけになりがちです。
| 背景 | 現場で起きていること |
|---|---|
| 上場準備(IPO)・上場維持 | 内部統制の整備と運用の証明が求められ、申請承認の記録を整然と残す必要がある |
| テレワーク・拠点分散 | 対面やハンコ前提の承認が回らず、場所に依存しない承認と記録の仕組みが要る |
| 不正・属人化のリスク | 承認が特定の担当者に集中したり、ルールが守られているか確認しきれない |
ワークフローシステムが内部統制に効果的な理由
ワークフローシステムとは、業務の流れや手順を電子的に管理するソフトウエアです。これが有効な内部統制の構築・強化に役立つ理由は、主に次のとおりです。
業務プロセスの可視化・標準化
ワークフローシステムを導入すると、意思決定のルートや業務プロセスをシステム上で明確に定められます。システムに沿って業務を進めれば、従業員はルールを都度確認しなくても自動的にルールどおりに処理できます。申請と承認が可視化・標準化されることで、ルールの形骸化や不正のリスクを抑えられます。
証跡管理が可能
ワークフローシステムでは、さまざまな申請や稟議が電子化され、履歴がデータとして残るため、証跡管理が容易になります。証跡を定期的に確認すれば、不正があっても発見しやすく、牽制としても働きます。
内部統制の観点で特に大きいのは、「いつ・誰が・何を申請し、誰が承認したか」が改ざんされにくい形で残ることです。承認経路の変更履歴まで追えるため、監査の際に運用の証跡としてそのデータを示しやすく、内部統制が機能していることを説明する負担を軽くできます。紙の申請書を探し回る手間もなくなります。
職務の分離による相互牽制
職務の分離とは、申請・承認・決裁の権限を別々の人に分け、互いにチェックが働くようにすることです。先に挙げた6つの構成要素のうち「統制活動」の中心にある考え方で、一人で申請から支払いまで完結できる状態は、不正やミスの温床になります。
ワークフローシステムなら、金額や種類に応じて承認者や決裁者を自動で振り分けられます。申請者本人が自分の申請を承認することはできず、権限のない人が処理を進めることもできません。仕組みとして相互牽制を効かせられる点が、口頭やメールの運用との大きな違いです。
利用者への適切な情報の伝達
ワークフローシステムを使えば情報の伝達や共有が容易になり、内部統制の構成要素の一つである「情報と伝達」を満たすことにつながります。業務の可視化と情報共有が進むことで、事業活動を効率的に進められます。
ワークフロー導入のデメリットと対応策
ワークフローシステムの導入はメリットが多い一方で、現場に根づくまでには相応の手間と期間がかかります。システムの操作方法や業務フローが大きく変わるため、現場から反発が出ると導入がスムーズに進まないこともあります。
対策としては、マニュアルの作成や社内研修で従業員をサポートしながら、業務効率が上がるといった従業員側のメリットを丁寧に伝えることが大切です。最初は申請件数の多い業務から段階的に広げると、定着しやすくなります。
ワークフローシステム選定のポイント
ワークフローシステムは製品によって特徴が異なります。内部統制の強化を目的にするなら、次のポイントを確認しましょう。
自社の規模に合っているか
ワークフローシステムは料金体系もさまざまです。まずはシステム化したい業務範囲を明確にした上で、希望に合うものをコストも比較しながら選びましょう。
直感的に操作できるか
直感的に操作できる、わかりやすいつくりであることも大切です。日常的に使うものなので、操作が難しいと定着せず、運用が滞る原因になります。
丁寧かつ迅速なサポート体制があるか
サポート体制の手厚さも確認しておきたいポイントです。業務の多くをシステムで処理するため、不具合で止まると日常業務に大きな支障が出かねません。
既存のシステムと連携できるか
既存システムと入れ替える場合、データをスムーズに移行できないと両方を並行稼働させる時期が生じ、業務過多になる恐れがあります。互換性や連携のしやすいシステムを選ぶと安心です。
証跡・権限管理の機能が備わっているか
内部統制を目的にするなら、承認経路を含む操作履歴を長期間さかのぼって追跡・出力できるか、組織変更や人事異動に合わせて承認権限を柔軟に設定できるかを必ず確認します。具体的には、申請承認ルールを自由に組めること、履歴が改ざんされない形で残ること、権限を変更できる人を限定できること、監査に必要な情報を出力できることが目安です。操作性や料金だけで選ぶと、肝心の統制機能が足りないことがあります。
内部統制ワークフローの導入手順
ワークフローシステムで内部統制の有効性を高めるには、次のステップで進めます。
製品の選定
ワークフローシステムにはさまざまな種類があります。内部統制の強化につながる機能を備えた製品を選びましょう。目安となる機能は次のとおりです。
| 確認したい機能 | 内容 |
|---|---|
| 申請・承認ルールの設定 | 金額や種類に応じた承認ルートをシステム上で組める |
| 履歴の保全 | 承認作業などの履歴が明確に残り、後から確認できる |
| 権限・セキュリティ | 設定を変更できる人を限定するなど、権限を制御できる |
| 監査対応 | 内部統制監査に必要な情報を提供できる |
ルールづくり
内部統制の整備状況は、業務プロセスに対して一般に「3点セット」と呼ばれる資料を作成して確認します。
| 3点セットの資料 | 内容 |
|---|---|
| 業務記述書 | 業務フローを文章で記載したもの。使用する帳票やシステムも記す |
| フローチャート | 業務記述書の内容を図にし、業務の流れを視覚的に確認できるようにしたもの |
| リスクコントロールマトリックス(RCM) | 業務プロセスで生じうるリスクと、それに対する対策・内部統制を整理した表 |
例えば承認の仕組みが不十分な場合は、申請・承認ルートをシステム上で定め、変更には権限が必要になるようワークフローで仕組み化する方法が考えられます。
モニタリング
導入後は、取り入れた内部統制の仕組みが適切に機能しているかを定期的に見直します。申請・承認の履歴や権限の付与状況をシステム上で確認できるなど、モニタリングしやすい仕組みが望ましいといえます。
内部統制ワークフロー導入で起きる変化
申請承認の流れをシステム化すると、内部統制の面でどのような変化が起きるのでしょうか。一般的には、承認の滞留や差し戻しが減り、監査時に求められる証跡をすぐに提示できるようになるといった変化が見込めます。

自社に合ったワークフローの選び方
内部統制に効くワークフローを選ぶ基準は、ここまで見てきたとおり「承認ルートを設計できるか・証跡が残るか・権限を管理できるか」に尽きます。そのうえで、いきなり全社のあらゆる業務をシステム化しようとすると負担が大きく、定着しづらくなります。
経費や請求書など支出のプロセスから始める
内部統制を効かせやすいのは、申請件数が多く不正リスクも生じやすい経費精算や請求書処理といった支出のプロセスです。ここから着手すると、承認ルートの固定や証跡の保全といった効果を実感しやすく、全社展開の足がかりにもなります。
TOKIUMでは、経費精算や請求書処理、支出申請といった支出プロセスのワークフローを通じて内部統制を支えています。承認ルートをシステム上で固定し、誰がいつ何を承認したかを証跡として残せます。さらに社内ルールをもとにAIが全明細を自動でチェックし、金額の異常やルール違反を検知してコメントを付けるため、人手の確認漏れによる不正や差し戻しを減らせます。電子帳簿保存法(帳簿・書類を電子データで保存する際のルールを定めた法律)にも対応し、原本のデータを改ざんされにくい形で保管できます。
近年は、AI-OCRや生成AI、AIエージェントが入力・分類・照合・確認といった作業を担う「AI BPO」(AIを活用した業務の外部委託)という考え方も広がっています。ただし、AIによる処理には、確認や例外対応、最終チェックといった人の関与が欠かせません。TOKIUMは、この確認・例外対応・最終チェックまでを専任チームが受け持つ「AI Agentic BPO」(AIに業務を任せつつ、人が最終確認まで担う新しい外部委託のかたち)を提唱し、支出管理のシステムと人の役務、AIを一体で提供しています。承認や証跡をルールどおりに回しながら、経理のノンコア業務を任せられる点が特徴です。
経理業務そのものをAIと専任チームに任せる「AI Agentic BPO」について、IPO準備企業での活用事例を交えて紹介した動画です。承認業務のアウトソースや、属人化しがちな経理ナレッジの仕組み化など、内部統制と相性のよいテーマを扱っています。
AI Agentic BPOのサービス詳細はこちら
導入のご相談・お問い合わせはこちら
内部統制の強化ならTOKIUM
ワークフローシステムは、業務の流れや手順を電子的に管理するソフトウエアです。業務効率化やペーパーレス化に加えて、内部統制の強化にも役立ちます。申請・承認フローをシステム化すれば、標準化されたフォームでの申請と適切な承認者の承認がなければ業務が進まず、権限を明確にすることで不正を抑えられます。
一方で、導入にはまとまったコストがかかり、現場に浸透するまで時間と手間を要します。必要な機能や強化したい内部統制の項目など課題を明確にし、自社に合ったシステムを選ぶことが大切です。
全社を一度に変えるのが難しい場合は、申請件数が多く統制を効かせやすい経費や請求書などの支出プロセスから始めるのが現実的です。まずは支出プロセスから、自社に合ったやり方でワークフローの導入を進めていきましょう。
TOKIUMは、経費精算・請求書処理・支出申請といった支出プロセスのワークフローを通じて、承認ルートの固定と証跡の保全による内部統制の強化を支えています。社内ルールをもとにAIが全明細をチェックし、電子帳簿保存法にも対応。支出領域から内部統制を強化したい場合の選択肢になります。内部統制の強化をご検討中の方は、下記の資料もあわせて、お気軽にお問い合わせください。
本記事では、内部統制を強化したい組織が抱える経費精算5大課題の解決策を解説したPDF資料を無料配布しております。自社の内部統制を強化していきたい方は、下記よりご覧ください。
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内部統制とワークフローに関するよくある質問
ワークフローシステムは内部統制に必須ですか
必須ではありませんが、実務上はほぼ欠かせません。内部統制は紙やメールでも運用できますが、承認ルートの逸脱を防ぎ、証跡を改ざんされない形で残すには、システム化が現実的で確実な手段になるからです。とくに上場企業や上場準備中の企業では、整備と運用を示す負担が大きく軽くなります。
中小企業でもワークフローシステムで内部統制を強化できますか
できます。まずは経費精算や請求書処理など、申請件数が多い業務に絞って導入すると、コストを抑えながら効果を確認できます。自社の規模に合った料金体系の製品を選ぶことがポイントです。
ワークフローシステムを導入すればJ-SOX対応は十分ですか
システムの導入だけで完結はしません。ルールづくり(3点セットの整備)と、運用が機能しているかのモニタリングをあわせて行うことで、はじめてJ-SOXが求める整備と運用の両方を満たせます。ワークフローシステムは、その記録と運用を支える土台と位置づけるのが適切です。





