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請求書OCRで経理業務は変わる!導入メリットから選び方まで徹底解説

更新日:2025.06.16

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経理部門にとって、毎月大量に届く請求書の処理は、時間と手間のかかる大きな負担となっています。手入力によるデータの打ち込み、内容の確認、そして保管。これらの作業は、ヒューマンエラーのリスクを常に伴い、担当者の精神的なプレッシャーも少なくありません。もし、この請求書処理を劇的に効率化できるとしたらどうでしょうか? その鍵を握るのが「請求書OCR」です。

近年、多くの企業で導入が進む請求書OCRは、紙やPDFで受け取った請求書を自動でデータ化し、経理業務の負担を大幅に軽減する技術です。この記事では、請求書OCRとは何か、その導入によってどのようなメリットが得られるのか、そして自社に最適なシステムを選ぶためのポイントについて、詳しく解説していきます。

請求書処理の課題を解決し、より付加価値の高い業務へとシフトするための第一歩として、ぜひ本記事をお役立てください。

→業務の自動運転を実現する経理AIエージェントとは?

請求書OCRとは何か?

まずは、請求書OCRがどのような技術なのか、その基本的な仕組みと経理業務においてどのような役割を果たすのかを見ていきましょう。

OCRの基本的な仕組み

OCRとは「Optical Character Recognition(光学的文字認識)」の略称です。簡単に言えば、紙の書類やPDFファイルなどに書かれている文字を、スキャナーやカメラで読み取り、コンピューターが扱えるテキストデータに変換する技術のことを指します。

この技術は、請求書に限らず、名刺やアンケート用紙、書籍のスキャンなど、さまざまな場面で活用されています。OCRは、まず書類の画像を読み込み、その画像の中から文字と思われる部分を検出します。次に、検出した文字の形状や特徴を、あらかじめ学習しておいた文字データと照合し、どの文字であるかを特定します。こうして、画像データがテキストデータへと変換されるのです。

近年では、AI(人工知能)技術を組み合わせた「AI-OCR」も登場しています。従来のOCRが、特定のフォーマットや活字の認識を得意としていたのに対し、AI-OCRは手書き文字や、請求書のように企業ごとにレイアウトが異なる非定型帳票の読み取り精度が格段に向上しています。AIが文字の特徴や文脈を学習することで、より柔軟で高精度なデータ化を実現できるのが大きな特徴です。

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請求書処理におけるOCRの役割

経理業務において、請求書OCRは「請求書のデータ入力」という、最も時間と労力がかかる工程を自動化する役割を担います。

従来、紙やPDFで受け取った請求書は、担当者が一枚一枚確認しながら、会計システムやExcelなどに手作業で入力していました。請求書には、取引先名、請求日、支払期日、品目、数量、単価、金額、振込先口座など、多くの情報が記載されており、これらの情報を正確に入力するには、多大な集中力と時間が必要でした。

請求書OCRを導入すると、スキャナーや複合機で請求書を読み取るか、PDFファイルをアップロードするだけで、OCRが自動的にこれらの情報を読み取り、テキストデータに変換してくれます。変換されたデータは、会計システムなどに連携させることで、入力作業をほぼゼロにすることが可能です。

これにより、経理担当者は単純な入力作業から解放され、入力内容の確認や分析、支払計画の策定といった、より高度な判断が求められる業務に集中できるようになります。請求書OCRは、単なるデータ入力ツールではなく、経理部門全体の生産性を向上させるための重要な基盤となるのです。

請求書OCRのメリット

請求書OCRを導入することで、企業は具体的にどのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、主な4つのメリットについて詳しく解説します。

業務効率化とコスト削減

請求書OCR導入の最も大きなメリットは、なんといっても業務効率化とそれに伴うコスト削減です。

前述の通り、手作業による請求書のデータ入力は非常に時間がかかります。1枚あたり数分かかるとしても、月に数百枚、数千枚もの請求書を処理するとなると、その合計時間は膨大になります。請求書OCRを導入すれば、この入力作業を自動化できるため、処理時間を劇的に短縮できます。

例えば、これまで1人で数日かかっていた入力作業が、数時間で完了するようになるかもしれません。これにより、担当者は他の業務に時間を割くことができ、残業時間の削減にもつながります。結果として、人件費というコストを大幅に削減できるのです。

また、データ入力のためだけに派遣社員やアルバイトを雇用している企業にとっては、OCR導入によるコスト削減効果はさらに大きくなります。システムの導入には初期費用や月額費用がかかりますが、長期的に見れば、人件費の削減効果がこれらのコストを上回るケースがほとんどです。

人的ミスの削減と精度向上

人間が手作業で行う以上、入力ミスや見落としといったヒューマンエラーを完全になくすことは困難です。特に、大量の請求書を処理する場合や、繁忙期で時間に追われている状況では、ミスが発生するリスクは高まります。

入力ミスは、支払いの遅延や二重払い、金額の間違いといったトラブルを引き起こし、取引先との信頼関係を損なう原因にもなりかねません。また、ミスを発見し、修正するためには、さらに多くの時間と労力が必要となります。

請求書OCRは、システムが自動で文字を読み取りデータ化するため、手入力に比べてヒューマンエラーを大幅に削減できます。もちろん、OCRの読み取り精度は100%ではありませんが、近年のAI-OCRは非常に高い精度を誇っており、多くのシステムでは、読み取り結果を担当者が確認・修正するプロセスも組み込まれています。

手入力と比べて、確認・修正作業ははるかに短時間で済みますし、システムによる自動チェック機能などを活用すれば、より高い精度を担保することが可能です。これにより、請求書データの正確性が向上し、業務全体の品質向上につながります。

ペーパーレス化の促進

多くの企業では、受け取った紙の請求書をファイリングし、キャビネットや倉庫で長期間保管しています。しかし、この紙ベースの管理には、保管スペースの確保、書類を探す手間、紛失や劣化のリスクといった多くの課題が伴います。

請求書OCRを導入し、請求書を電子データとして管理することは、これらの課題を解決し、ペーパーレス化を促進する上で非常に効果的です。

スキャンした請求書の画像データと、OCRによってテキスト化されたデータを紐付けて保存すれば、必要な請求書をいつでも簡単に検索・閲覧できます。これにより、書類を探す手間が省けるだけでなく、物理的な保管スペースも不要になります。

また、電子データは紙の書類のように劣化する心配がなく、バックアップを取っておけば、紛失のリスクも低減できます。さらに、2022年1月に改正された電子帳簿保存法に対応したシステムを選べば、法的な要件を満たしながら、請求書を完全に電子データで保存することも可能になります。ペーパーレス化は、コスト削減や業務効率化だけでなく、環境負荷の低減や、テレワークなどの多様な働き方への対応にも貢献します。

内部統制の強化

請求書処理は、企業の支出に直結する重要な業務であり、不正行為のリスクも潜んでいます。そのため、適切な承認プロセスや証跡管理といった内部統制の仕組みを構築することが不可欠です。

請求書OCRシステムは、内部統制の強化にも役立ちます。多くのシステムには、ワークフロー機能が搭載されており、請求書の承認プロセスをシステム上で完結させることができます。誰がいつ、どの請求書を確認し、承認したのかといった記録(ログ)が自動的に残るため、業務の透明性が向上し、不正の抑止につながります。

また、データが電子化されることで、アクセス権限の管理も容易になります。役職や担当業務に応じて、閲覧・編集できるデータを制限することで、情報漏洩のリスクを低減し、セキュリティを強化できます。

さらに、電子帳簿保存法の要件を満たす形でデータを保存することで、監査時にもスムーズに対応できるようになります。請求書OCRは、業務の効率化だけでなく、企業のコンプライアンス遵守と健全な経営基盤の構築にも貢献するのです。

請求書OCRのデメリット・注意点

多くのメリットがある請求書OCRですが、導入を検討する際には、デメリットや注意点についても理解しておく必要があります。ここでは、主な4つのポイントを解説します。

導入コストと運用コスト

請求書OCRシステムを導入するには、当然ながらコストがかかります。コストは大きく分けて、導入時にかかる「初期費用」と、導入後に継続的にかかる「月額(または年額)利用料」や「メンテナンス費用」などの「運用コスト」があります。

初期費用には、ソフトウェアの購入費や設定費用、場合によってはスキャナーなどのハードウェア購入費が含まれます。運用コストは、利用するプランや処理する請求書の枚数、利用する機能などによって変動します。

特に中小企業にとっては、これらのコストが導入のハードルになる場合もあります。しかし、前述の通り、請求書OCRは人件費の削減や業務効率化によって、コストを上回るメリットをもたらす可能性が高いです。導入を検討する際は、自社の請求書処理にかかっている現状のコスト(人件費、保管費用など)を算出し、OCR導入による費用対効果を慎重に見極めることが重要です。複数のシステムを比較検討し、自社の規模や予算に合ったものを選ぶようにしましょう。

読み取り精度の限界

近年のAI-OCRは目覚ましい進化を遂げ、非常に高い読み取り精度を誇りますが、それでも100%完璧というわけではありません。

特に、癖の強い手書き文字やかすれた文字、スキャン解像度の低い画像やFAXで受信した不鮮明な画像、あるいは非常に複雑なデザインや一般的な項目名とは異なる特殊なレイアウトの請求書、さらには紙自体の汚れやシワといった要因があると、読み取り精度が低下し、誤認識や読み取り不能を引き起こす可能性があります。

したがって、請求書OCRを導入したとしても、人間の目による最終確認と、必要に応じた修正作業は依然として不可欠です。しかし、この確認・修正プロセスは、全ての情報をゼロから手入力する場合と比較すれば、はるかに短時間で済み、業務効率を大きく損なうものではありません

なお、読み取り精度を可能な限り高く維持するためには、スキャン時の解像度設定に注意を払ったり、取引先に対して可能な範囲で鮮明な請求書の発行を依頼したりといった、運用上の工夫も有効な手段となります。

業務フローの見直しが必要

請求書OCRの導入は、単に新しいシステムを取り入れるだけでなく、これまでの請求書処理全体の流れを見直すことを意味します。その効果を最大限に引き出すためには、システムを導入する前に、現在の業務フローをしっかりと分析し、OCR導入後にどのようにプロセスを変更するのかを具体的に計画することが不可欠です。

具体的には、「誰が、いつ、どのように紙の請求書をスキャンするのか」「PDF請求書をどうシステムに取り込むのか」「OCRの読み取り結果の確認と修正は誰が担うのか」「承認プロセスはどう変わるのか」「会計システムとはどう連携させるのか」といった点を明確にし、関係者全員でその内容を共有しておく必要があります。

業務フローの変更は、一時的に現場の負担が増えたり、慣れるまで混乱が生じたりする可能性も考慮しなければなりません。そのため、導入前に関係者へ十分な説明を行い、必要なトレーニングを実施することで、スムーズな移行をサポートし、円滑な導入を実現することが重要です。

セキュリティ対策

請求書には、取引先の口座情報など、機密性の高い情報が含まれています。請求書OCRを導入し、これらの情報を電子データとして扱う以上、セキュリティ対策は非常に重要です。

特に、クラウド型のOCRサービスを利用する場合は、サービス提供事業者がどのようなセキュリティ対策を講じているかを十分に確認する必要があります。データの暗号化、アクセス制御、不正アクセスの監視、情報セキュリティに関する認証(ISMS認証など)の取得状況などをチェックしましょう。

また、社内でのセキュリティ対策も重要です。システムへのアクセス権限を適切に設定し、パスワード管理を徹底する、従業員へのセキュリティ教育を行うといった基本的な対策はもちろんのこと、万が一の情報漏洩に備えた対応計画を策定しておくことも大切です。セキュリティ対策を怠ると、企業の信用を失墜させる重大な問題に発展しかねません。コストや機能だけでなく、セキュリティの観点からもシステムを慎重に選ぶ必要があります。

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請求書OCRの選び方

数多くの請求書OCRシステムの中から、自社に最適なものを選ぶためには、どのような点に注意すればよいのでしょうか。ここでは、5つの重要な選定ポイントを解説します。

読み取り精度

請求書OCRを選ぶ上で、最も重要なポイントの一つが「読み取り精度」です。精度が低いシステムを選んでしまうと、修正作業に多くの時間がかかり、導入効果が半減してしまいます。

読み取り精度を確認する最も確実な方法は、無料トライアルやデモを利用して、実際に自社で受け取っている請求書(特に、読み取りが難しそうなもの)を試してみることです。多くのベンダーは無料トライアル期間を設けているので、積極的に活用しましょう。

その際には、単に全体の正解率を見るだけでなく、どの項目(取引先名、日付、金額など)を重点的に読み取りたいか、手書き文字や複雑なレイアウトの帳票がどれくらいあるか、といった自社の状況に合わせて精度を評価することが大切です。また、AI-OCRの場合、学習機能によって使えば使うほど精度が向上するタイプもありますので、そうした機能の有無も確認するとよいでしょう。

対応帳票の種類

請求書といっても、そのフォーマットは企業によって千差万別です。自社が受け取る請求書の形式に対応しているかどうかも、重要なチェックポイントです。

多くの請求書OCRは、標準的なレイアウトの請求書には対応していますが、特殊なレイアウトや、請求書以外の帳票(納品書、発注書など)も合わせて処理したい場合は、それらに対応できるシステムを選ぶ必要があります。

特に、事前に帳票のレイアウトを設定(テンプレート作成)する必要があるタイプと、AIが自動でレイアウトを認識してくれるタイプがあります。多種多様なフォーマットの請求書を受け取る場合は、AIによる自動認識機能を持つシステムの方が、設定の手間が省け、運用が楽になります。こちらも無料トライアルなどを活用し、自社の帳票が問題なく読み取れるかを確認しましょう。

システム連携

請求書OCRの導入効果を最大限に引き出すには、現在利用している会計システムや販売管理システム、ERPといった既存システムとの連携が鍵となります。OCRでデータ化した情報を、これらのシステムへスムーズに取り込めるかどうかを事前に確認することが重要です。

主な連携方法には、多くのシステムで対応可能なものの手動作業が必要となる「CSV連携」、システム同士を直接つないで自動でデータをやり取りできる最も効率的な「API連携」(ただし対応システムが限られたり開発が必要な場合もあります)、そしてAPI連携が難しい場合に有効な「RPA連携」があります。

自社のシステムがどの連携方法に対応しているかを把握し、最もスムーズかつ効率的に連携できる請求書OCRシステムを選ぶことが肝心です。迷う場合は、ベンダーに相談し、自社の環境に合った連携方法を提案してもらうと良いでしょう。

サポート体制

請求書OCRシステムは、導入して終わりではなく、日々の運用が重要です。操作方法で迷ったり、予期せぬトラブルが発生したりした際に、迅速かつ的確なサポートを受けられるかどうかは、システム選定における非常に重要なポイントとなります。

選定時には、電話やメール、チャットといった問い合わせ方法の種類、平日の日中だけでなく土日祝日や夜間にも対応しているかといった対応時間、そして操作説明に留まらず設定支援やトラブル対応、さらには活用方法の提案まで含まれるかといったサポート内容の範囲を確認しましょう。また、オンラインマニュアルやFAQが充実しているかもチェックすべき点です。

特に、システムの導入初期や初めて利用する担当者にとっては、手厚いサポート体制は大きな安心材料となります。導入企業の事例や利用者の口コミなどを参考に、サポートの評判を事前に確認しておくことも、システム選びの有効な手段と言えるでしょう。

費用対効果

最後に、忘れてはならないのが「費用対効果」です。どれだけ高機能で高精度なシステムでも、そのコストが導入によって得られるメリット(コスト削減、業務効率化など)を上回ってしまっては意味がありません。

費用対効果を判断するためには、まず、請求書OCRシステムの導入にかかる総コスト(初期費用+運用コスト)を正確に把握します。次に、導入によって削減できるコスト(人件費、郵送費、保管費など)や、得られる効果(処理時間短縮、ミス削減による損失防止など)をできるだけ具体的に数値化します。

これらの数値を比較し、どのくらいの期間で導入コストを回収できるのか、長期的に見てどれくらいのメリットがあるのかをシミュレーションします。複数のシステムを比較検討する際には、単純な価格だけでなく、機能やサポート体制、そして自社の課題解決への貢献度などを総合的に評価し、最も費用対効果が高いと判断できるシステムを選ぶことが重要です。

請求書OCRの導入事例

請求書OCR(光学文字認識)システムは、多くの企業で経理業務の効率化、入力ミスの削減、そしてテレワークといった柔軟な働き方の推進に大きく貢献しています。

代表的な事例として、リコージャパン株式会社では、毎月約3,500枚に及ぶ請求書の手作業処理が大きな負担となっていましたが、AI搭載のOCRシステムを導入したことで、入力作業の時間を劇的に削減しました。これにより、月末の残業が減少し、人的ミスもほぼ解消され、さらに請求書のデジタル化によって在宅勤務も可能になるなど、働き方改革にも繋がっています。

他の大手企業やパナソニックなどの事例でも、多様なフォーマットの請求書や領収書をAI-OCRで自動データ化し、会計システムや経費精算システムと連携させることで、業務効率化や要員削減といった成果を上げています。

これらの導入事例からわかる主なメリットは、「入力作業の自動化による大幅な時間短縮」「人的ミスの削減」「繁忙期の業務負担軽減」「テレワークの推進」などです。導入時には、手書きや低画質といった読み取りが難しい帳票を手入力で補うハイブリッド運用や、AIの学習機能による精度向上といった工夫が見られます。

請求書OCRは、経理現場の課題を解決し、企業のデジタル化を力強く後押しする重要なツールと言えるでしょう。

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請求書OCRの将来性

請求書OCR技術は、今後さらに進化し、経理業務に変革をもたらしていくと予想されます。ここでは、その将来性について見ていきましょう。

AI-OCRへの進化

請求書OCRの中心的な技術は、AI(人工知能)を活用した「AI-OCR」へとシフトしています。AI-OCRは、ディープラーニングなどの技術を用いることで、従来のOCRでは難しかった手書き文字や、多様なフォーマットの非定型帳票を高精度で読み取ることができます。

さらに、AI-OCRは単に文字を認識するだけでなく、その文字が請求書の中でどのような意味を持つのか(例えば、「請求金額」や「支払期日」など)を文脈から判断する能力も向上しています。これにより、事前のテンプレート設定なしに、さまざまな請求書を自動でデータ化できるようになってきています。

今後は、AIがさらに学習を重ねることで、読み取り精度はさらに向上し、より複雑な帳票や、不明瞭な文字にも対応できるようになると考えられます。また、AIが読み取り結果の妥当性を自動でチェックし、怪しい箇所を担当者に提示するといった、より高度な機能も期待されています。

電子インボイスとの連携

近年、世界的に「電子インボイス」の導入が進んでいます。電子インボイスとは、請求書の発行から受け取りまでを、標準化された電子データで行う仕組みです。日本でも、2023年10月からインボイス制度が開始され、将来的には電子インボイスの普及が加速すると見込まれています。

電子インボイスが普及すれば、請求書をOCRで読み取る必要がなくなり、データは直接システム間で連携されるようになります。では、OCRは不要になるのでしょうか?

答えは「いいえ」です。電子インボイスが完全に普及するまでには時間がかかりますし、全ての企業がすぐに対応できるわけではありません。そのため、当面は紙やPDFの請求書と電子インボイスが混在する期間が続くと考えられます。

このような過渡期において、請求書OCRは非常に重要な役割を果たします。紙やPDFで受け取った請求書をOCRでデータ化し、電子インボイスと同様に扱えるようにすることで、請求書処理プロセスを統一し、効率化を図ることができるのです。将来的には、OCRシステムが電子インボイスの送受信機能も備え、あらゆる形式の請求書を一元管理できるプラットフォームへと進化していく可能性があります。

経理AIエージェント

まとめ

請求書OCRは、経理部門が抱える多くの課題を解決し、業務を劇的に効率化する可能性を秘めた技術です。手作業によるデータ入力の負担を軽減し、ヒューマンエラーを削減するだけでなく、ペーパーレス化を促進し、内部統制を強化するなど、そのメリットは多岐にわたります。

もちろん、導入にはコストがかかり、読み取り精度の限界や業務フローの見直しといった注意点もあります。しかし、自社の状況を正しく把握し、読み取り精度、対応帳票、システム連携、サポート体制、費用対効果といったポイントを押さえて最適なシステムを選び、適切な準備を行うことで、これらの課題は克服できます。

AI技術の進化や電子インボイスの普及といった流れの中で、請求書OCRの重要性は今後さらに増していくでしょう。

この記事が、請求書OCRへの理解を深め、貴社の経理業務の変革に向けた一助となれば幸いです。まずは、無料トライアルなどを活用し、請求書OCRがもたらす効果を体感してみてはいかがでしょうか。

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