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経理セキュリティ対策のポイント|担当者が知っておきたい注意点

更新日:2025.08.06

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「経理部門のセキュリティ対策、何から手をつければ良いのか分からない…」「テレワークやクラウド化を進めたいけど、情報漏洩のリスクが心配だ」そう思う方もいるのではないでしょうか。

企業の根幹を支える経理情報のセキュリティを確保するには、システムの導入といった技術的な対策だけでなく、ヒューマンエラーを防ぐためのルール作りや社員教育を両輪で進めることが極めて重要です。

→ダウンロード:電子取引の電子保存制度対応チェックリスト18項

本記事では、経理業務に潜む具体的なセキュリティリスクから、法改正に対応しつつ安全性を高める実践的な方法、そして全社で取り組むべき対策のポイントまでを詳しく解説していきます。

経理セキュリティ対策が不可欠な今、その背景

経理の現場では、請求書処理や仕訳入力などの定型業務に多くの時間を割きがちです。加えて、AI導入や新たな人材確保の負担が大きいため、どうしても既存の経理担当者に業務が集中し、高齢化や人手不足といった問題が発生しやすくなります。さらに、属人的な作業体制や紙中心の書類管理が重なり、経理業務効率化やペーパーレス化がなかなか進まず、残業が慢性化している企業も少なくありません。

こうした状況では、経理業務の効率化だけでなくセキュリティ対策も重要になります。企業が扱う財務情報や個人情報は外部に漏れると大きな被害を引き起こすおそれがあります。書類紛失や誤送付などのヒューマンエラーは、漏洩トラブルの大きな原因です。実際に、多くの情報漏洩は事務系や管理系の職場から発生しており、全社員でこの問題に取り組まないと、企業の信用を一瞬で損なうリスクがあります。情報漏洩の90%以上はヒューマンエラーによるものであり、社員全員が常に情報漏洩リスクに対する危機意識を持つことが重要です。

さらに押さえておきたいのが、法改正への対応です。電子帳簿保存法やインボイス制度など、近年は制度がめまぐるしく変わっています。未然にエラーを防ぐためにも、経理とセキュリティ対策の視点を両立しつつ、組織全体でルールを共有しておくことが大切です。特に経理部門の管理職や担当者が、法改正にともなうリスクを正しく把握し早めに手を打つことが、企業活動を安定させるカギとなります。

このように、経理セキュリティ対策は経理業務効率化と情報保護を両立させる要となります。潜在的な被害を考慮すると対策計画を立てる手間は決して無駄ではなく、企業の将来を守る視点からも早めの着手が求められているのです。

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経理自動化とセキュリティエラー防止の具体策

経理業務を効率化したいと考えたとき、まずは経理システムや経理ソフトを活用する方法があります。請求書処理や仕訳入力を自動化することによって、人手不足の解消や高齢化による負担を軽減し、作業スピードを一気に高められます。例えば、AI技術を導入できなくても既存の経理ソフトでも自動仕訳機能やクラウドでのデータ連携が可能なケースは多く、即効性の高い手段として注目されています。

加えて、セキュリティエラーを防ぐためには、業務フローを見直すことが重要です。属人化した作業が続くとチェック機能が弱くなり、うっかりミスや誤ったデータ入力が見逃されることがあります。そこで複数人によるダブルチェックを導入し、チェック結果を記録する仕組みを使えば、万が一のエラーが見つかりやすくなります。また、情報漏洩はヒューマンエラーによる事例が全体の90%以上というデータもあるため、システム対策とあわせて人的な教育や経理マニュアル整備を並行して行うことが不可欠です。

最近では、国の電子申告であるe-Taxを装った偽メールが見つかるなど、セキュリティリスクは地道に進化しています。こうした手口では、本物そっくりの画面に誘導してパスワードや経理関連の情報を盗む手段が用いられます。現場でできる基本的な対策としては、不審なメールの添付ファイルを開かない、メール本文のリンク先をうかつにクリックしないなどが挙げられます。ただし、それだけでは十分とはいえません。サイバー保険などを検討することで、漏洩や攻撃による被害を最小限に抑えるための備えが可能になります。さらに、事故防止や万が一の被害発生後の調査費用にも補償が広がっており、セキュリティマニュアルと保険を組み合わせる動きが広がりつつあるのも事実です。

このように、経理自動化とセキュリティ防御策の両輪で対策強化を進めることが、これからの経理部門に求められる課題です。経理クラウドやセキュリティツールを活用することで、効率だけでなく安全性も高めましょう。

人員不足や高齢化に効く経理クラウド導入の効果

ここ数年、経理クラウドの導入が進んでいます。これは紙の書類管理から解放されるだけでなく、自動仕訳やレポート作成などの機能が充実しているため、経理業務効率化を大きく後押ししてくれます。特に人員不足やベテラン社員の引退が懸念される地方の中小企業や中堅企業にとって、属人化を解消できるのは大きなメリットといえます。

クラウド上でデータを管理することで、どの端末からでもリアルタイムに会計状況を確認できる点も魅力的です。これによって誰がいつどのデータを更新したのかが一目瞭然になり、仕事の進捗を共有しやすくなります。さらにセキュリティ面でも、信頼できるクラウドサービスを活用することで、常に最新のセキュリティ対策やバックアップ体制が整えられる可能性があります。

一方で、クラウドを利用したからといって、すべてのセキュリティリスクがゼロになるわけではありません。サービス選定時には、セキュリティ監査体制やデータ保護方針などを必ず確認してください。万一の漏洩やシステム障害が起きた場合のサポート体制がどれだけ充実しているかも大切なポイントです。そして導入する際には、経理担当者だけでなく、管理職や他部門も含めた体制づくりを行いましょう。全社的に利用方法やセキュリティルールを徹底することで、ヒューマンエラーによるリスクを減らし、持続的な経理業務改善を実現できます。

ペーパーレス化で進む経理デジタル化とそのリスク対策

経理業務を効率化する上で、紙の書類削減は大きなテーマです。紙の請求書や領収書を大量に保管していると、検索に手間がかかるだけでなく、災害や紛失といったリスクも高くなります。そこで、電子データを活用するペーパーレス化が注目されています。経理デジタル化を推進すれば、書類管理の手間を省くだけでなく、電子帳簿保存法への対応もしやすくなるため、業務全体のスピードアップが期待できます。

ただし、ペーパーレス化によるメリットを最大限に活かすには、セキュリティ対策を並行して進めることが必須です。電子化されたデータは紙よりも機密性を保ちやすい一方で、漏洩や不正アクセスによる損害が広範囲に及ぶ可能性もあります。例えば、個人情報や決算書類など、取り扱いに注意が必要なデータへのアクセスはしっかり権限管理し、パスワードやアクセスログの監視を定期的に行うことで、セキュリティリスクを抑止できます。

また、経理部門ではデジタル化の流れに乗って、セキュリティポリシーの構築やインシデント発生時の対策マニュアル整備を行うことが求められます。例えば、個人情報保護法に準拠した取り扱いや、海外へのデータ移転の際のルールを明確化しておくなど、現場で混乱しないための準備が大事です。さらに、全社的なセキュリティ教育を強化することで、ヒューマンエラーによる漏洩リスクを大幅に低減できます。迅速な対応が求められる時代において、経理デジタル化と対策強化を同時に推進し、企業の生産性向上を確実に進めていきましょう。

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法改正に対応しつつセキュリティ強化する実践法

経理部門にとって法改正対応は重い課題ですが、セキュリティ強化とあわせて進めてしまえば効率的です。例えば、電子帳簿保存法の要件を満たすためには電子データへの改ざん防止措置や適切なバックアップ、セキュリティ管理体制の整備が欠かせません。これらを機会として、一気に事務手続きをデジタル化し、セキュリティソフトによるウイルス検知や不正アクセス防止を体系的に導入できれば、日々の運用で安心度が高まります。

あわせてインボイス制度への対応も、システム更新やマニュアル作成のチャンスと捉えることができます。適用開始までに経理業務フローを再点検し、属人化を解消する取り組みを進めてください。ここで、経理担当者だけでなく、多部門の協力を得ることがポイントです。紙ベースの情報を廃止する流れを後押しするだけでなく、個人情報保護やセキュリティインシデントの通報体制など、経理以外の部門でも同じ価値観を共有しておけば、全社的な効率と安全が高まります。

また、ネットを介した偽メールやフィッシング詐欺への警戒も忘れてはいけません。国税庁や税務署を装うメールは、期限切れの警告や延滞税の請求など、現実味のある文面で受信者をだましやすいのが特徴です。対策方法としては、正式なメールには基本的に直接金額やパスワードの入力依頼は記載されない点を認識し、安易にリンクをクリックしない慣習を徹底することなどが挙げられます。さらに、経理アウトソーシングや外部のプロスタッフに業務を委託する場合も、セキュリティ監査や教育を怠らず、委託先とセキュリティポリシーを共有しておくことが大切です。

出典:文書管理クラウド(トキウム電子帳簿保存)

全社一丸で取り組む経理セキュリティ教育の重要性

最後に欠かせないのが、全社員を巻き込んだ継続的なセキュリティ教育です。情報漏洩やサイバー攻撃の脅威は、技術的な対策だけで解消できない場合が多く、ヒューマンエラーの存在を無視できません。実際に、事務系や管理系の部門からの情報漏洩が増えている現状を見ても、経理担当者だけでなく、管理職や公式メールを使用する全社員が危機感を持つ必要があります。

具体的には、セキュリティリスクに関する研修を定期的に実施し、最新の脅威事例や対策ツールの導入ポイントを周知徹底してください。個人情報保護法をはじめとした関連法令を守るためにも、企業の方針やマニュアルを常に最新化しておく工夫が求められます。さらに、あやしいメールに注意喚起するポスターの掲示や、社内ポータルで日々のセキュリティ注意報を発信するなど、身近なところからプラスアルファの取り組みを加えていくと習慣化しやすくなります。

これらの施策は地道に感じるかもしれませんが、経理のセキュリティリスクを未然に防ぐ最善策となります。実際に、全社的に情報保護ルールを共有する試みを続けることで、社員の緊張感や安全意識が高まり、セキュリティ強化による経理業務効率化も期待できるでしょう。経理メンバーの負担が減り、法改正にもスムーズに対応できるようになれば、企業の生産性向上と安定した成長につながるはずです。

経理業務のスリム化とセキュリティ対策は、切り離せない課題です。多くの企業が人手不足や高齢化による業務上の課題に直面する中、経理システムや経理クラウド導入、ペーパーレス化などの経理デジタル化とともに、セキュリティ教育や管理体制の強化を図ってみてはいかがでしょうか。

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経理AIエージェントの活用と今後の展望

近年注目されているのが「経理AIエージェント」の活用です。従来の会計ソフトやRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)と異なり、経理AIエージェントは生成AI技術を活用し、経理業務の自動化や効率化をさらに推進します。例えば、請求書処理や仕訳入力、経費精算などの定型業務をAIが自動で処理し、経理担当者は例外処理や判断が必要な業務に集中できるようになります。

経理AIエージェントの導入により、経理部門の人手不足や高齢化による負担を軽減し、属人化の解消やペーパーレス化の推進にもつながります。また、AIによるデータ分析やエラー検知機能を活用することで、経理エラー防止やセキュリティリスクの早期発見も期待できます。

実際の現場では、経理担当者自身がAIを活用し、スモールスタートで業務効率化を体感する事例も増えています。例えば、AIによる自動仕訳やレポート作成、経理マニュアルの自動生成など、日常業務の中でAIを活用することで、業務負担の軽減と正確性の向上が実現できます。

今後は、経理AIエージェントとプロスタッフの連携による高品質な業務代行や、経理アウトソーシングとの組み合わせによる業務改善も進むと考えられます。経理業務のデジタル化とAI活用を推進し、企業全体の生産性向上と持続的成長を目指しましょう。

出典:経理AIエージェント|経理業務の自動運転を支援する

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