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経理の手作業コストは、人件費だけではありません。請求書や領収書の手入力、エクセルへの二重入力、紙の承認・郵送・保管、差戻しやミス修正まで含めると、見えにくい負担が積み重なりやすくなります。
→ダウンロード:従業員数が多い組織が抱える経費精算の5大課題の解決策
本記事では、経理の手作業コストにどのようなものがあるのか、どの業務から見直すべきか、どう削減していくべきかを整理して解説します。まずは、自社で削減余地が大きい業務を見つけるところから始めましょう。本記事を読むことで、以下の疑問を解決することができます。
経理の手作業コストとは?
経理の手作業コストとは、人件費だけでなく、転記・確認・差戻し・紙の保管・郵送・ミス修正・月末残業まで含む、見えにくい運用コストのことです。表面上は「作業しているだけ」に見えても、積み重なると大きな負担になります。
どの業務でコストが膨らみやすいですか?
請求書や領収書の手入力、エクセルと会計ソフトの二重入力、紙の承認・郵送・保管、手集計、差戻し対応は、手作業コストが膨らみやすい代表例です。頻度が高く、月末月初に集中しやすい業務ほど見直し効果が出やすいでしょう。
何から見直すべきですか?
まずは「件数が多い」「毎月繰り返す」「ミスや差戻しが起きやすい」業務から見直すのが基本です。手入力や紙運用の多い業務から着手すると、短期間でも削減効果を実感しやすくなります。
経理の手作業コストとは?まず見直すべき5つのコスト
経理の手作業コストは、人件費だけでなく、紙の運用や差戻し、確認待ち、属人化など複数の要素で膨らみます。まずは、どのようなコストが積み重なっているのかを全体像で把握することが重要です。

そのため、経理の手作業を見直すときは「どの作業に何のコストが乗っているか」を整理することが重要です。まずは、見直しの起点になりやすい5つのコストを確認しましょう。
| 見直したいコスト | 発生しやすい手作業 | 起きやすい影響 | まず検討したい打ち手 |
|---|---|---|---|
| 人件費 | 請求書・領収書の手入力、エクセルへの転記、二重入力 | 月末月初の残業増加、処理件数に比例した負担増 | 入力自動化、会計ソフト連携、AI-OCRの活用 |
| 紙・印刷・郵送費 | 紙の申請書、押印、郵送、原本保管 | 保管スペースの増加、承認遅延、検索性の低下 | ペーパーレス化、電子承認、電子保存への切り替え |
| ミス修正コスト | 手入力、目視チェック、差戻し対応 | 再確認や再入力の増加、締め処理の遅れ | 入力ルールの統一、ワークフロー整備、自動チェック |
| 時間コスト | 手集計、レポート作成、進捗確認、催促 | 本来注力すべき分析・改善業務の時間不足 | 集計自動化、レポート標準化、進捗の見える化 |
| 属人化・教育コスト | 担当者しか分からないエクセル運用、口頭引き継ぎ、独自ルール | 引き継ぎ負荷の増加、担当者不在時の処理停滞 | 業務標準化、フロー整理、ツール上での運用統一 |
経理の手作業コストに人件費以外も含まれる理由
経理の手作業コストというと、担当者の工数や残業代を思い浮かべる方が多いかもしれません。しかし実際には、紙の書類を印刷して回覧する手間、押印待ちで処理が止まる時間、差戻しや再申請にかかる確認工数など、人件費以外の負担も少なくありません。
さらに、手作業が多い運用ほどミスの確認や修正にも時間がかかります。経理部門だけでなく、申請者や承認者、現場部門の確認工数まで含めると、会社全体で見た負担はより大きくなります。見えやすい費用だけでなく、止まっている時間ややり直しの手間もコストとして捉えることが大切です。
手作業コストが発生しやすい経理業務
手作業コストが大きくなりやすいのは、件数が多い業務、毎月繰り返す業務、担当者ごとの差が出やすい業務です。たとえば、請求書処理、経費精算、支払依頼、仕訳入力、証憑確認、月次集計などは、1件あたりの負担が小さく見えても、件数が多いほど負荷が膨らみます。
また、エクセルと会計ソフトの二重入力や、紙とデータの併用のような運用は、確認や転記の工程が増えるため非効率になりやすいです。まずは、自社で「件数が多い」「差戻しが多い」「月末に集中する」業務がどれかを洗い出すことが重要です。
手作業コストを減らすと得られる効果
手作業コストを減らすと、単純に作業時間を削減できるだけでなく、月末月初の繁忙の平準化、差戻しの減少、確認作業の標準化につながります。これにより、担当者が入力や確認に追われる時間を減らし、分析や改善のような付加価値の高い業務に時間を使いやすくなります。
また、紙や属人的なエクセル運用を減らすことで、担当者不在時でも業務を進めやすくなります。結果として、ミスを防ぎやすくなり、運用の引き継ぎもしやすくなるため、経理部門全体の安定性向上にもつながります。
なぜ今、手作業コストの見直しが必要なのか
経理では、法制度対応や月次決算の早期化、バックオフィス全体の生産性向上など、従来よりも高い精度とスピードが求められる場面が増えています。その一方で、現場では人手不足や属人化が残っており、手作業の多い運用がそのまま続いているケースも少なくありません。
こうした状況では、従来のやり方のまま人手で補い続けるだけでは限界があります。だからこそ、今は「担当者が頑張る」よりも、「そもそも手作業が多い構造を見直す」ことが重要です。まずは見えにくいコストを可視化し、削減余地が大きい業務から見直していきましょう。
手作業コストは、処理件数が増えるほど見えにくく膨らみやすくなります。とくに申請件数や承認件数が多い組織では、属人的な運用や確認負荷が積み重なりやすいため、先に全体像を整理しておくことが重要です。
経理の手作業コストを削減する方法
経理の手作業コストを削減するには、単にツールを導入するだけでは不十分です。紙・手入力・確認の多さ・属人化など、どの負担がコストを押し上げているのかを見極めたうえで、手段を選ぶことが大切です。ここでは、比較的取り組みやすく、効果も出やすい代表的な方法を紹介します。自社の状況に合わせて、組み合わせながら進めるとよいでしょう。
紙の申請・保管・郵送を減らす
紙の書類を前提にした運用は、印刷、押印、回覧、郵送、保管、検索といった複数の手間を生みます。1つひとつは小さな作業でも、件数が増えるほど負担は大きくなります。そのため、まずは経費精算や請求書処理、支払依頼など、紙で回している業務から見直すのが有効です。申請や承認をオンラインで完結できるようにすると、物理的な移動や保管の負担を減らしやすくなります。紙のやり取りを減らすだけでも、承認スピードや検索性の改善につながるでしょう。
紙の申請や押印を前提にした運用は、承認待ちや差戻しが発生しやすく、見えにくい手作業コストを増やす要因になります。申請から承認までの流れを整理したい場合は、承認フローの見直しについて解説した以下の記事もご覧ください。承認が止まりやすいポイントや、運用を整える考え方を確認できます。
手入力・二重入力を減らす
請求書や領収書の内容を人が確認して入力し、その後さらに別のエクセルや会計ソフトへ転記する運用は、手作業コストが発生しやすい典型例です。入力のたびに確認や修正が必要になり、差戻しや再入力が発生するとさらに負担が膨らみます。このような業務では、入力支援機能やデータ連携を活用し、同じ情報を何度も入力しない運用に見直すことが重要です。入力工程を減らせれば、作業時間の削減だけでなく、ミスの抑制にもつながります。
請求書や領収書の内容を何度も入力する運用は、作業時間だけでなく、確認や修正の負担も増やしやすくなります。手入力の工程を減らしたい場合は、経費データ入力の自動化について解説した以下の記事も参考になります。入力作業の負担を減らす考え方や、経理業務の見直し方をあわせて確認できます。
定型処理を自動化する
毎月同じ手順で行っている仕訳作成、データ集計、照合作業、通知送信などは、自動化との相性がよい業務です。こうした定型処理を人手で続けていると、件数が増えるほど担当者の負担も増え、繁忙期には対応しきれなくなることがあります。
一方で、自動化が向いているのは、手順が決まっており、ルール化しやすい業務です。例外処理が多い業務や、判断が必要な業務は、いきなり全自動化を目指すのではなく、前工程や後工程だけでも負担を減らせないか検討すると進めやすくなります。
外部サービスやBPOを活用する
社内だけで手作業を減らしきれない場合は、外部サービスやBPOの活用も有効です。とくに、件数が多い入力業務や確認業務、月末月初に集中する定型業務は、社内で抱え込み続けるより、外部の仕組みを活用したほうが効率的なケースがあります。
ただし、何でも外部化すればよいわけではありません。社内で残すべき判断業務と、外部化しやすい定型業務を分けて考えることが重要です。自社の課題が「人手不足」なのか、「運用の非効率」なのかを整理したうえで、ツール導入と外部活用を使い分けましょう。
経理の手作業コストを減らす方法は1つではありません。紙の運用を減らす、入力を自動化する、定型業務を外部活用するなど、課題に応じて打ち手を使い分けることが重要です。以下の表で、自社に合いやすい方法を整理して確認しましょう。
経理の手作業コスト削減手段の比較表
| 施策 | 向いている課題 | 削減しやすいコスト | 向いている会社 | 注意点 |
|---|---|---|---|---|
| ペーパーレス化 | 紙申請、押印、郵送、原本保管の負担が大きい | 紙・印刷・郵送費、承認待ち時間、保管負担 | 紙の書類運用が多く、承認に時間がかかっている会社 | 電子化しても運用ルールが曖昧だと手戻りが残りやすい |
| 会計ソフト連携 | Excelと会計ソフトの二重入力が発生している | 人件費、入力時間、転記ミス修正コスト | 既存の会計業務を見直しながら入力工程を減らしたい会社 | 前後の業務フローが整理されていないと効果が限定的になりやすい |
| AI-OCR・入力自動化 | 請求書や領収書の入力件数が多い | 人件費、入力負担、再入力の手間 | 証憑入力の負担が大きく、定型処理が多い会社 | 例外処理や確認ルールが多いと、完全自動化しにくい場合がある |
| RPA | 毎月同じ手順の集計、照合、通知送信が多い | 時間コスト、定型作業の人件費 | ルール化しやすい定型業務が多い会社 | 手順変更や例外発生に弱く、運用保守が必要になる |
| BPO | 件数が多く、社内だけでは処理負荷を吸収しにくい | 人件費、繁忙期負荷、採用・教育コスト | 月末月初の負担が大きく、人手不足が続いている会社 | 社内に残す判断業務との切り分けを明確にする必要がある |
また、手作業コストを減らすには、個別の作業を改善するだけでなく、申請・承認・入力・保管までをまとめて見直すことも重要です。経理全体の負担を減らす進め方を知りたい場合は、経費精算の自動化をテーマにした以下の記事も参考になります。効率化のメリットや、導入時に見ておきたいポイントを整理できます。
どこから着手すべきか? 失敗しにくい進め方
手作業コストを減らすときは、すべての業務を一度に見直すのではなく、改善効果が大きい業務から優先して着手することが重要です。件数が多く、差戻しや手戻りが多い業務ほど、見直しの効果が出やすくなります。

失敗を避けるには、「何が負担か」を見える化し、削減効果が大きい業務から順に着手することが大切です。ここでは、進め方の基本を5つのステップで整理します。
ステップ1:手作業が多い業務を洗い出す
最初に行いたいのは、どの業務に手作業が多く残っているかを把握することです。請求書処理、経費精算、支払依頼、証憑確認、仕訳入力など、月次で繰り返し発生する業務を書き出し、「紙があるか」「転記があるか」「確認や差戻しが多いか」を確認しましょう。
ここで重要なのは、担当者の感覚だけで判断しないことです。業務の流れを分解し、どこに入力、確認、待ち時間、差戻しがあるのかを見える形にすると、改善ポイントが明確になります。
ステップ2:時間・件数・差戻しを測る
次に、手作業の多い業務について、どのくらいの件数があり、どれだけ時間がかかっているかを確認します。件数が多い業務や、差戻しが頻発する業務は、少し改善するだけでも効果が出やすいです。
また、処理時間だけでなく、「承認待ちで止まっている時間」「再提出にかかる時間」「確認の往復にかかる時間」も見ておくと、見えにくいコストを把握しやすくなります。改善対象を選ぶ際は、手間の大きさだけでなく、発生頻度もあわせて見ることが大切です。
ステップ3:削減効果が大きい業務から優先する
すべての業務を同時に見直そうとすると、現場の負担が増え、かえって進まなくなることがあります。まずは、件数が多く、毎月発生し、ルール化しやすい業務から優先するのが基本です。
たとえば、手入力が多い経費精算や請求書処理、紙の承認フロー、二重入力が発生している業務は、比較的改善効果が見えやすい領域です。逆に、例外処理が多い業務や判断が必要な業務は、後回しにしたほうが進めやすい場合もあります。
ステップ4:小さく始めて運用を固める
改善の効果を確実に出すには、最初から全社一斉に切り替えるのではなく、一部の業務や部門から小さく始めるのがおすすめです。対象を絞って始めれば、運用ルールや課題を把握しやすく、現場への負担も抑えられます。
また、導入後にルールが曖昧なままだと、結局手作業が残ってしまうことがあります。申請方法、承認ルート、入力ルール、例外時の対応などを事前に整理し、現場で迷わない運用を作ることが大切です。
ステップ5:効果測定と再設計を行う
改善施策は、導入して終わりではありません。処理時間、差戻し件数、月末残業、問い合わせ件数などを継続的に確認し、どの程度の効果が出たかを測ることが重要です。
もし効果が限定的であれば、対象業務の選び方や運用ルール、ツールの使い方を見直す必要があります。改善後の状態を定期的に振り返り、より負担の大きい業務へ対象を広げていくことで、段階的に手作業コストを減らしやすくなります。
TOKIUMで削減しやすい手作業コスト
手作業コストを減らすときは、単純に人を増やすのではなく、入力・承認・保管・確認といった工程そのものを見直すことが重要です。とくに、証憑を扱う業務や、紙とデータが混在する業務は、仕組みで改善しやすい領域です。
そのため、経費精算や請求書処理のように件数が多く、承認や証憑確認が発生する業務では、運用を標準化しやすいサービスの活用が有効です。ここでは、TOKIUMで見直しやすい手作業領域を整理します。
TOKIUMが対応しやすい手作業領域
TOKIUMが対応しやすいのは、紙の領収書や請求書の回収、証憑の確認、申請・承認のやり取り、入力や保管といった、経理の中でも繰り返し発生しやすい業務です。こうした領域は、手作業が多いほど確認の往復や差戻しが起きやすく、月末月初の負担にもつながります。
また、申請者と承認者、経理担当者のあいだでやり取りが発生しやすい業務ほど、運用ルールを整えることで効果が出やすい傾向があります。単純な入力負担だけでなく、回収・承認・保存まで含めた流れで見直すことが大切です。
TOKIUM導入で削減できるコストの例
TOKIUMのような仕組みを活用すると、手入力や紙回収にかかる工数、証憑の確認や検索にかかる時間、申請不備による差戻し負担などを削減しやすくなります。とくに、紙の回収や原本管理に手間がかかっている場合は、運用を見直すだけでも現場負担の改善につながるでしょう。
さらに、申請から承認、保管までの流れが整理されると、担当者ごとのやり方の差が小さくなり、属人化の解消にもつながります。結果として、経理部門だけでなく、申請する現場部門の負担軽減も期待できます。
導入前に確認したいポイント
手作業コストを減らすためにサービスを導入する場合は、現在の課題が「入力が大変なのか」「証憑管理が煩雑なのか」「承認フローが遅いのか」を先に整理しておくことが重要です。課題が曖昧なままだと、導入後に期待した効果が出にくくなります。
また、導入時には、申請ルールや承認ルート、証憑の扱いなど、運用面の整理も必要です。ツールだけで解決しようとせず、現在の業務フローを見直したうえで活用することが、削減効果を高めるポイントです。
まとめ
経理の手作業コストは、人件費だけでなく、紙の運用、差戻し、再入力、確認の往復、属人化による引き継ぎ負担など、見えにくい形でも発生しています。こうしたコストを放置すると、月末月初の繁忙やミス対応が増え、改善に使える時間が確保しにくくなります。
まずは、自社で件数が多い業務や差戻しが多い業務を洗い出し、手入力や紙運用が残っている箇所から見直すことが重要です。小さく始めて効果を測りながら改善を進めることで、無理なく手作業コストを減らしやすくなるでしょう。




