経理DX促進

「AI時代における企業の生存戦略」【ウェビナーレポート】

更新日:2026.01.21

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AI時代における企業の生存戦略_TOKIUM_AI_VISION

本記事は、2026年1月20日に開催されたオンラインカンファレンス「TOKIUM AI VISION AIとともに企業の未来を創る」のウェビナーレポートです。AIエージェントの登場により、スモールチームでも「10人力・100人力 」の成果を出せる時代が到来しました。経営者は、AIの性能向上を前提とした事業構造づくりと、課題を小さく絞って着実に成果を出すアプローチが今後求められます。株式会社TOKIUM代表の黒崎氏とチームみらい党首の安野氏にお話を伺いました。

3行要約

  • AIエージェントにより、スモールチームでも「10人力・100人力」の成果が出せる時代に。組織構造はよりフラットに、アジャイル(短いサイクルで素早く改善を繰り返す手法)に変化していく。
  • 経営者に求められるのは技術理解と「AIの性能向上を前提とした事業構造づくり」。モデルの進化を見越した投資判断が競争力を左右する。
  • AI導入で成果を出す企業の共通点は「課題を小さく絞る」こと。コア業務とクイックウィンの交わる領域から着手すべき。

【登壇者情報】

安野 貴博 氏(チームみらい党首・AIエンジニア・SF作家)

チームみらい党首・AIエンジニア・起業家・SF作家。東京大学・松尾研究室出身。AIスタートアップを2社創業。2024年に東京都知事選に出馬し15万票獲得。2025年1月「デジタル民主主義2030」発足、同年5月に「チームみらい」を結党し、参議院選で初当選・政党要件を満たす2%以上の得票率を達成。

黒﨑 賢一(株式会社TOKIUM 代表取締役)

1991年生まれ。筑波大学在学中の2012年に株式会社TOKIUMを共同創業し、家計簿アプリ「Dr.Wallet」の提供を開始。2016年より、法人向けサービスへと事業転換し、「TOKIUM経費精算」、「TOKIUMインボイス」など5つのサービスを展開。2025年5月に「経理AIエージェント」の提供開始を発表。

経理エージェントとは何か – SaaSとの違い

黒﨑: TOKIの経理エージェントは、経理業務の自動運転を支援するものです。プロダクトビジョンとして「あらゆる経理”作業”から人々を解放する」ことを掲げています。経理は経理部だけのものではなく、営業やマーケティングの方でも見積書を出したり、出張申請を出したりと、全社員が巻き込まれる作業です。

黒﨑: SaaSはユーザーが人間でしたが、経理エージェントではソフトウェアやデータベースを操作するのはAIエージェントが行います。さらにTOKIではプロスタッフがミックスして作業を行うため、AI単体だと心配な出力の精度や品質に関しても、人がサポートしてチェックして納品しています。

安野氏: やはり今のAIはすごいけれど万能ではありません。絶対にミスは起きますし、100点は取れない中で、人とミックスしながら「もし間違えても人がチェックしているから大丈夫」というところはユニークなサービスだと思います。

AI経費承認が多くの企業で導入される理由

黒﨑: 5月の発表から7つのAIエージェントを出しており、AI経費承認は多く導入実績があります。今まで上司が1個ずつ中身を見て承認ボタンを押していたものを、エージェントが社内規程を読み込んで自動的にチェックし承認してくれます。

黒﨑: 経費申請を差し戻す側の上司は、97%が実は差し戻すことに抵抗を感じながら差し戻していました。また80%の人が経費承認を他の人にやってほしいと思っていたことがわかり、導入が加速しています。AIエージェント単体では280社以上にご利用いただいております。 導入企業では、承認コストが8分の1になったり、出張に関する時間を50時間削減できたという成果が出ています。

エンジニアが先に体感している「凄まじい破壊力」

安野氏: エージェントに関しては、社会の中で実感している人はまだそこまで多くないと思います。しかしソフトウェアエンジニアは一歩先にAIエージェントの凄まじい破壊力を体感しています。

安野氏: 私は本業で党首をやっていますが、移動時間でClaude Codeを使って最近アプリを1個立ち上げました。AIで人にインタビューするプラットフォームを作りました。。これは100%Claude Codeで作っていますが、1年前だったら党首業をやりながらアプリを開発することは考えられないことでした。

安野氏: AIエージェントによって生産性がめちゃくちゃ上がるということは、ビジネスのやり方がかなり変わります。ソフトウェアが今までの10分の1や100分の1のコストで作れるなら、その瞬間だけ使うワンタイムのソフトウェアや、一人に一回見てもらうための動画なども採算が合うようになるかもしれません。

企業の組織構造はどう変わるか

安野氏: AIによってコミュニケーションコストが下がり、一人がマネージできるメンバーの数も増えます。ピラミッド構造がよりフラットに、階層が浅くて広い形になるでしょう。また、スピード感が速くなるので、ウォーターフォール(計画→設計→開発→テストと順番に進める従来型の開発手法)よりもクイックに動くことの価値が高まります。

安野氏: AIによってスモールチームでもできることが非常に増えます。今まで巨大資本がないとできなかった仕事も生成AIでカバーできるようになってきました。例えばハリウッドスタジオくらいの資本が必要だった動画制作も、生成AIでルックアンドフィール(見た目や操作感)がそれっぽいものを作れるようになっています。

黒﨑: 実際、私たちが出しているAIエージェント一つ一つは本当に数人で企画して開発しています。今まで企画する人、販売する人、作る人、マネージする人と分かれていたのが、一人が企画もデザインも実装もできるようになりました。試行回数が上がることで早く未来に到達できるという実感があります。

経営者に求められる「AIの性能向上を前提とした構造づくり」

安野氏: 経営者がやるべきことは、AIの性能向上を前提として、それが続いていくことを見越した上で「AIが性能向上すると自分たちのビジネスが伸びる構造」をいかに作っておくかだと思います。将来の性能向上を見込んで準備しておけば、それで刈り取れるということがあります。

安野氏: 例えばCursorというAIエージェントのソフトウェアは、1年前はあまり評判が良くなくて「コンセプトは面白いけど使い物にならない」と言われていました。しかしモデルが賢くなっていくと、いきなり「手放せない」と言われるようになりました。モデルがこのように性能向上していくという全体感を把握し、ビジネスに組み込む際にどの部分は自社で作り、どの部分は外部AIの進化を待てばいいか、その目利きが重要です。

安野氏: AIに関しては2つのロバストなトレンドがあります。一つは「8ヶ月ごとに仕事能力が倍になる」というもので、2020年頃は数秒の仕事しかできなかったのが、今では2時間くらいの仕事ができるようになっています。もう一つは「1年間でコスト10分の1になる」というトレンドです。去年の最高モデルと同じ水準のものが、今年は10分の1のコストで使えます。

AI導入で成果を出す企業の共通点

黒﨑: 目的をすごく小さく絞れた会社は成果をちゃんと取れています。AIがすごそうだからと汎用型AIを全員に配っても、誰も使ってくれないとか、メールの文章作成に使ったけどGmail側にその機能がついて使われなくなったということが起きます。

黒﨑: 例えば物流業界で運送経路を最適化したい、これが実現できたら月に10万円浮くという課題が明確な会社は成果を得やすいです。AI経費承認が人気なのも、社内業務なので他社には迷惑をかけず、うまくいったらマネージャーの人件費コスト分得するというのがわかりやすいからです。

安野氏: クイックウィンを出すことは大事ですが、経営者でリーダーシップのある方は大きな問題、自社のコア業務に対してもトライしていかれた方がいいと思います。世界中で同業他社がコア業務にAIを使おうと試行錯誤している中で、負けないためにもコア業務にも目配せが必要です。

PoC止まりを防ぐに

安野氏: PoC(Proof of Concept:概念実証、本格導入前の検証)で失敗する一番大きな原因は、ふわっとしているケースです。ふわっとAIを入れてみようという形だと、ステークホルダー同士でゴールを共有しにくく、プロジェクトとしてはうまくいっても実務に取り入れられずに終わってしまいます。

安野氏: もう一つのパターンは、そもそも課題が間違っていたケースです。これを自動化できるとすごく嬉しいと思い始めたものの、よく見るとそれが全体業務の一部でしかなく、時間とお金をかけるほどのインパクトがなかったということがあります。PoCをやる前に本当は整理すべきことです。

経営者が今日から起こすべきアクション

安野氏: まずAIを触ったことない人は触りましょう。部下に報告してもらうだけでなく、自分でChatGPTなりGeminiなりを立ち上げて、自分がよく知っているドメインで聞いてみてください。この分野では今AIは何点くらいのところにいるのかをしっかり見ていただくのがいいと思います。それなりに使える方は、クイックウィンをどう設計するか、将来の性能向上を見込んだ上でどうトランスフォーメーションしていくか、仮説を作っていくところからスタートされるといいでしょう。

黒﨑: 社内で一緒に長く働きたいと思う仲間がいると思います。10年後どうなっているかわからない中で、「俺はお前と一緒に働きたいんだ」という話をまずしてみてはどうでしょうか。現段階でこういうことが起きていると伝えれば、「じゃあ俺たち何やる?」という話になり、一歩目が見つかるはずです。結局それがその会社の未来を作り、世の中の未来を作っていくと思います。

「TOKIUM AI VISION AIとともに企業の未来を創る」見逃し配信中!

TOKIUM_AI_VISION

AIは、もはや単なる業務効率化ツールではありません。
企業の未来をともに創る「ビジネスパートナー」へと進化しています。

私たちは、どのようにAIをパートナーとして、企業の未来を創るべきか。 本カンファレンスでは、元OpenAIのZack Kass氏や国内の有識者の知見、先進企業の事例を通じて、 バックオフィスから企業の未来を創るための、具体的なヒントと次の一歩を提示します。

2026年1月20日に開催された本イベントの見逃し配信を行っております。
ぜひご覧ください。

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「TOKIUM AI VISION AIとともに企業の未来を創る」での講演内容をそれぞれレポート記事としてまとめております。ぜひ合わせてご覧ください!

AI時代における企業の生存戦略(安野 貴博 氏/田岡 凌 氏/黒﨑 賢一)

AI時代におけるバックオフィスのあるべき姿(豊田 健一 氏)

「AI改革の出発点」~企業文化を変えるためのマインドセットと実践論(磯和 啓雄氏)

株式会社博展CFO補佐が語る、経理AI導入の「リアル」(鈴木 裕太 氏)

【導入秘話】創業380年を超える老舗企業がAIエージェント導入を決定するまで(一岡 聖二 氏)

「AI時代の勝ち筋のつくりかた」(入山 章栄 氏/金 剛洙氏/松原 亮)

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