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AI時代の勝ち筋のつくりかた【ウェビナーレポート】

更新日:2026.01.21

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AI時代の勝ち筋のつくりかた_TOKIUM_AI_VISION

本記事は、2026年1月20日に開催されたオンラインカンファレンス「TOKIUM AI VISION AIとともに企業の未来を創る」のウェビナーレポートです。ChatGPT登場から3年、経営層の本気度によって企業間の差が開き始めています。正解がある意思決定はAIに任せ、人間は「知の探索」—答えがない中で遠くの知を組み合わせる創造的な仕事—へシフトすべき時代が到来しています。この時代の変化の中で何から始めるべきか?早稲田大学ビジネススクール教授の入山氏と株式会社松尾研究所取締役 副社長の金 剛洙 氏にお話を伺いしました。

【3行要約】

  • 正解がある意思決定はAIが行う時代に。経営者に残るのは「答えがない中で決断し責任を取ること」であり、そのためには直感力を鍛えるしかない。
  • 知の深化(効率化・安定化)はAIに任せ、人間は知の探索(新しいことを試す)にシフトすべき。DeNAが既存事業を半分の人員で回し、残り半分を新規事業に充てる方針は好例。
  • 経営者は今すぐAIを習慣的に使い始め、若手に権限委譲してAI変革を進めるべき。リスキリングではなく「メタモルフォーゼ(転生)」レベルの変革が求められる。

【登壇者情報】

入山 章栄 氏(早稲田大学ビジネススクール 教授)

慶應義塾大学卒業、同大学院経済学研究科修士課程修了。三菱総合研究所でコンサルティング業務に従事後、2008 年 米ピッツバーグ大学経営大学院より Ph.D.(博士号)取得。同年より米ニューヨーク州立大学バッファロー校ビジネススクール助教授。 2013 年より早稲田大学大学院 早稲田大学ビジネススクール准教授。 2019 年より教授。専門は経営学。国際的な主要経営学術誌に論文を多数発表。メディアでも活発な情報発信を行っている。

金 剛洙 氏(株式会社松尾研究所 取締役 副社長)

東京大学工学部卒、同大学院工学系研究科を修了。シティグループ証券株式会社に入社し、日本国債・金利デリバティブのトレーディング業務に従事。その後、株式会社松尾研究所に参画し、機械学習プロジェクトの企画からPoC、開発を一貫して担当。2022年より同社取締役に就任、また生成AIに特化したVCファンドを新設。株式会社MK Capital 代表取締役社長CEO

松原 亮(株式会社TOKIUM 取締役)

東京大学を卒業後、新卒でドイツ証券に入社。投資銀行業務に携わる。2020年にTOKIUM参画。 入社当初は請求書受領クラウド「TOKIUMインボイス」の事業責任者として事業を推進したのち、2021年ビジネス本部長就任。2022年4月より取締役。

ChatGPT登場から3年、企業の差が開き始めている

金氏: いろいろな企業様とお話しさせていただいていますが、ChatGPTが出てから約3年が経ち、AIの導入のスピードは企業によってまちまちです。

金氏: 大手企業の中でも同じくらいのティアと言われる会社でも差が開き始めています。トップの方、あるいはAIやデータを見ている方がどれくらい本気で取り組んでいるかで差が出ており、業界問わず経営者の意識があるかないかがもう表れています。

金氏: AI導入を成功させるには、誰がそれを進めているかが大事です。担当者ににしっかり決裁権があって、予算がついているか。発言権がある方に旗振り役が任されているかが結構大きいと感じます。

2026年は大リストラの年になる

入山氏: 経営層は大変です。何が大変かというと、まず経営のやり方自体がすごく変わります。経営の本質は意思決定であり、正解がないところで意思決定すること。正解がある意思決定は全部AIがやってくれます。

入山氏: AIによって経営のやり方が大きく変わる中で社内の人材を変容させないといけません。今まで定型的な業務をやっていた人を、AIができないような仕事に振らなければなりませんが、それが大変です。はっきり言いますと、2026年は大リストラの年になると思います。

入山氏: アメリカはもう昨年マイクロソフトが1万人のエンジニアを解雇しています。今アメリカではアイビーリーグのトップを出ても就職できない状況です。日本は幸い人口が減っているので、採用を絞って自然減を待つことで対応できますが、アメリカやベトナム、インドは人口が増えているので失業率が上がる可能性があります。

経営者に残るのは「直感」だけ

入山氏: 意思決定に残るのは直感だけです。答えがあるものは全部AIがやってくれるので、答えがないことで大量の不確実性がある時に決めるには直感しかないのです。

入山氏: 直感は3つの要素で構成されています。1つ目はパターン認識。様々なパターンを見てきた経験から「この状況は前と同じだな」と認識する力です。2つ目は世界モデルで、世界がどういう因果で動いているかを脳内で推論する力。3つ目は情緒的な価値の重み付けで、結果をシミュレーションした時に「こうなったら嬉しい」という主観的な判断です。

入山氏: この3つを鍛えるには、まずパターン認識は大量の経験、つまり意思決定の回数を増やすことです。日本の大企業では20代、30代、40代とガチガチに固まっていて意思決定する機会がない。だから直感力が鍛えられません。世界モデルは普段から因果関係を意識して考えること。3つ目は感情豊かになることや、体を鍛えること、そして哲学です。

データの品質が勝負を分ける

金氏: 汎用モデルがどんどん進化しているので、差分を出すにはいかに良いデータを保持してAIに与えられるかが大事です。最近はコンテキストエンジニアリングという言葉が増えてきており、社内のコンテキストを全部与えることが重要になっています。

金氏: ただ日本のデータは品質が良くないです。会社のマニュアルが実態と違うことを言っていたり、規程類が更新されていなかったり。今まで日本企業がずさんにやってきたツケが、AIが読み込む時に問題になっています。

金氏: 人が読みやすいマニュアルとAIが読みやすいマニュアルは違います。渡すコンテキストが大きすぎると逆にうまく動かないこともあります。まずは文書と実態が違うところをAIで見つけて直すことから始めるといいと思います。

知の深化から知の探索へ

入山氏: イノベーションを起こすには「知の探索」が重要です。目の前の知の組み合わせだけでは限界があるので、なるべく離れた遠くの知を見て、どんどん持ってきて組み合わせる。うまくいきそうなところだけ深掘りして効率化する「知の深化」とのバランスが大事です。

入山氏: 今までの世界中の組織は「知の深化」に偏りすぎでした。でも深化はほぼAIがやってくれます。うまくいきそうなところを深く掘って効率化して安定化させるのはAIが一番得意です。逆に探索は答えがない中で遠い知を見て、いろいろ試して組み合わせて決める作業なので、AIが一番苦手です。

入山氏: AIロボティクスという会社は2026年に売上300億円を見込んでいますが、従業員は27人です。探索で新しいアイデアを思いついたら深化側は全部エージェントがやってくれる。そんな時代になってきています。

今日からやるべきこと – 習慣化と権限委譲

金氏: まずはChatGPTでもGeminiでも、使ってみることからです。何ができるかわかった上で経営に使いたいという姿勢がなければ始まりません。実際に業務に落とし込んでいくのは、経営層の世代では難しいので、権限委譲して若い人にやらせていくべきです。ミドルレイヤーは日々の仕事に忙殺されてやらないからです。

入山氏: 習慣化が大事です。私はAIを5分に1回くらい使っています。わからないことがあればすぐ聞きます。AIを使ってみればその便利さに気が付いて習慣化されるはずです。

入山氏: この時点でAIの意識が弱い経営者は経営者としてどうなのかと思います。中長期的にAI時代の破壊が来るのは間違いない。「AI分からない」なんてのんびり構えている人には、私なら1円も投資しません。

リスキリングではなくメタモルフォーゼ

入山氏: AIによって人の変容が必要になるのは先ほど申し上げました。ですが、私はリスキリングという言葉は。ぬるいから嫌いですメタモルフォーゼレベルで人を変えていくことが重要です。異世界で英雄になるレベルで転生してほしい。だから、これからは人事がめちゃくちゃ大事になります。特に大手と中堅の企業で。

入山氏: 多くいる従業員のうち、今まで深化側をやっていた人たちに探索をやってくれと言うのはかなり大変です。それでもやってくれと言わなければならないので、かなりの胆力が求められます。

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TOKIUM_AI_VISION

AIは、もはや単なる業務効率化ツールではありません。
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私たちは、どのようにAIをパートナーとして、企業の未来を創るべきか。 本カンファレンスでは、元OpenAIのZack Kass氏や国内の有識者の知見、先進企業の事例を通じて、 バックオフィスから企業の未来を創るための、具体的なヒントと次の一歩を提示します。

2026年1月20日に開催された本イベントの見逃し配信を行っております。
ぜひご覧ください。

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AI時代における企業の生存戦略(安野 貴博 氏/田岡 凌 氏/黒﨑 賢一)

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「AI改革の出発点」~企業文化を変えるためのマインドセットと実践論(磯和 啓雄氏)

株式会社博展CFO補佐が語る、経理AI導入の「リアル」(鈴木 裕太 氏)

【導入秘話】創業380年を超える老舗企業がAIエージェント導入を決定するまで(一岡 聖二 氏)

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