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本記事は、2026年1月20日に開催されたオンラインカンファレンス「TOKIUM AI VISION AIとともに企業の未来を創る」のウェビナーレポートです。
社員数が200人から540人に倍増する中、出張手配や経費承認の工数が膨大に膨らんでいき、「人だけでは回らない」状態に。その中でCFOがTOKIUMのAIエージェントを見て即決し、トップダウンで進めた背景とは?株式会社博展 コーポレート本部 CFO補佐の鈴木 裕太 氏にお話を伺いました。
【3行要約】
- 社員数が200人から540人に倍増する中、出張手配や経費承認の工数が膨大に。300人を超えたあたりから「人だけでは回らない」状態になり、BPOでルール整備を進めた上でAIエージェント導入を決断。
- CFOがピボットで経理エージェントを見て即座に導入を決定。トップダウンで決めたことで比較的スムーズに進み、10月からテスト、12月から全社本格導入を実現。
- 導入のコツは「まず触ってもらう」こと。マニュアルを作り込むより実際に使ってもらい、できる人から広げていく。小さなところから始めて、他の業務にも展開していくアプローチが有効。
【登壇者情報】
鈴木 裕太 氏(株式会社博展 コーポレート本部 CFO補佐)
展示会のプロフェッショナル、博展の事業
鈴木氏: 博展は1970年に展示会のブース設営施工をメインとする会社として設立しました。その後、クリエイティブと営業の人員を増やし、事業を拡大。2008年にはヘラクレスに上場しました。現在は展示会だけでなく、イベントプロモーションやカンファレンス領域にも事業を拡大しています。
鈴木氏: 人の体験を総合的にデザインして、顧客の様々なマーケティング課題の解決に貢献することが私たちの事業です。展示会出展、商談会、イベント、プロモーションにデジタルを組み合わせて、マーケティング活動にとって効果的な体験をデザインしています。
鈴木氏: 現在社員は約540人。クリエイティブが約100人、営業が200人、制作部隊が100人ほどいます。全国各地で現場があるので、社員は各地を飛び回っており、移動がかなり多いですね。
300人を超えて「見切れなくなった」

鈴木氏: 私は2013年に入社し、経理部長を経て現在はCFO補佐として働いています。入社当時は200人ちょっとでしたが、現在は倍以上になりました。営業やクリエイティブの社員が各地を飛び回って忙しく働いているので、現場の工数が減るような改善を進めてきました。
鈴木氏: 200人規模の時はまだ見れていました。誰がどこにいるかもなんとなくわかっていた。それが300人を超えてきたあたりからは「ちょっと見切れないな」という部分が出てきました。500人を超えた今は、もう手に負えないレベルの人数です。基本的にはもっと効率化や統制のための業務改善が必要だと感じていました。
鈴木氏: 社員が多くなるに従って、経理側の承認確認作業がどんどん増えましたし、出張の手配もかなりの時間を割いている状態でした。システムで完全にカバーするのは難しく、人がやらなければならない部分が多かったので、まずはアウトソースを利用し始めました。
CFOがピボットを見て即決断
鈴木氏: BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)を進めてルールが定まってきたあたりで、弊社のCFO藤井がピボットを見て「TOKIさんがエージェントを作ったぞ、これ使えるんじゃないか」とすぐ思い、早速導入しようという話になりました。
鈴木氏: アウトソースで任せることを進めていたので、ルールがある程度整っている状態でした。これならばすぐにAIに置き換えられるんじゃないかということで、9月頃にその記事が出て、早速TOKIさんにすぐ連絡。10月から触ってみることにしました。
鈴木氏: ルールを事前に渡して、エージェントに落とし込んでもらい、実際に触ってみるテスト運用を2025年10月からスタート。段階的に現場側に落としていって、12月からは全社で本格導入しました。現在は出張手配とAI経費承認の2つを入れています。
出張エージェント導入の背景
鈴木氏: 社員の出張が非常に多く、申請・手配・精算・照合という3ステップがバラバラのシステムで運用されていたため、非常に工数がかかっていました。これを1本化したかったという思いがありました。
鈴木氏: 出張が確定したら、ホテルを探して新幹線を手配して、事前申請して予約して、出張して、帰ってきたらシステムに入力して申請する。事前申請の承認を待っている間にホテルの値段が上がって申請し直すこともありました。帰ってきてからも領収書の束を処理するのは本当に面倒な仕事です。
鈴木氏: 出張エージェントを入れることで、AIエージェントが全て代わりに実行してくれます。業務がスムーズに流れるようになりましたし、統制もしっかり取れるようになりました。
AI経費承認で差し戻しの工数を削減

鈴木氏: 弊社の経費精算は月に大体500~600件くらいの申請があり、明細でいうと3000件になります。経理側の最終確認もそうですし、マネジメント層が経費の承認をしていく負担が非常に大きかった。マネージャーも現場を抱えているので、あまり詳しくは見られない状態でした。
鈴木氏: 経理側からチェックして差し戻すと、もう一回マネージャーに承認が回って、経理に届くまで何日もかかる。その無駄な工数をエージェントで解消したかった。申請した瞬間にチェックが入るようにすることで、マネージャー側も経理側もチェックの工数をかなり減らせると思いました。
鈴木氏: 差し戻すべきものは差し戻す、承認すべきところは承認するとしっかり仕分けしてくれます。微妙なラインのところもエージェントがコメントしてくれるので、「ここだけ見ようか」という判断がつきやすくなりました。
現場の抵抗はほぼなかった
鈴木氏: 抵抗という抵抗はあまりありませんでした。弊社はいろいろシステムややり方が変わる会社なので「また変わるのか」という声はありましたが、基本的には便利になるサービスですし、半ば強制的にルールを変えましたと進めたので、そこまで強い抵抗はなかったですね。
鈴木氏: 今回はCFOの藤井がサービスを見つけてきたこともあり、トップダウンで「これ入れよう」という声があったので、比較的スムーズに導入を決めることができました。普段はボトムアップ型で進めることが多いのですが、今回は違いました。
鈴木氏: 弊社ではAI活用について規定を定め、「こういう風にAIは使ってください」と社内で決めています。クリエイターの方たちもデザインで使っていますし、企画書を考えたり文章を考えたりでも使っていますので、GeminiやChatGPTを触っている人は多かった。出張エージェントの画面ややり取りはそれとあまり変わらないので、触っている人は抵抗なくすんなり入れました。
導入のコツは「まず触ってもらう」こと
鈴木氏: 決めた後に浸透させていくことが重要ですが、もう触ってもらうしかありません。まだ触る必要がない人にも「一旦触ってみてくれ」と声をどんどんかけていきました。「今どうだった」という話を聞いて、フィードバックを集めて要望を出したり、ルールを見直したりしています。
鈴木氏: システムの感度が強い社員はどの部署にも何人かいます。できそうな人にまず触ってもらって、できるとなると一定数ができる。やはりできない人も出てくるので、そういった方には直接教えに行ったり、その場で生の声を聞いて対応を考えます。
鈴木氏: マニュアルはあまり作り込みませんでした。触ってみればなんとなくわかるものだと思っているので、簡単なマニュアルだけ作って触ってもらっています。できる人とできない人が分かれてくるので、できない人にはマニュアルを拡充させたり、システム側で制御してもらったりしています。
小さなところから始めて広げていく

鈴木氏: エージェントを導入する最初の壁は大変だと思いますが、使えるところからでもいいので、ちょっとでも触っていただくと「ここもできるんだ」ということに気づけます。まずは本当に小さなところからエージェントを導入してみることが大事です。
鈴木氏: 私の会社も基本的に小さいところから進めています。ちょっとずつエージェントを活用して、将来的にはかなりの業務がエージェントに置き換えられるのではないかと感じています。
鈴木氏: 経理だけでなく総務も人事も、事務作業や営業サポート的なこともかなりやっています。エージェントがもっと進化すると、そういった業務よりも本来の業務にかける時間が多くなります。今まで見えていなかったデータを活用したり、より利益に貢献する活動にもっと時間を割けるようになると思っています。
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2026年1月20日に開催された本イベントの見逃し配信を行っております。
ぜひご覧ください。
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