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BPOとは?アウトソーシングとの違い・メリット・向いている業務

更新日:2026.05.11

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BPOとは?

BPOとは、企業の業務プロセスの一部または全体を外部の専門会社に委託する方法です経理業務では、請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認、月次締め前の確認作業など、件数が多く定型化しやすい業務が対象になりやすい領域です。単なる作業代行ではなく、業務の流れを整理し、実行や改善まで含めて任せられる点が特徴です。

経理や総務などのバックオフィスでは、人手不足、担当者依存、月末月初の業務集中に悩む企業も少なくありません。一方で、何を任せるべきかを整理しないまま始めると、費用だけが増え、期待した効果が出にくくなる可能性があります。

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本記事では、BPOの意味、アウトソーシングとの違い、メリット・注意点、経理業務での活用例、無理なく始める手順まで、初心者にもわかりやすく解説します。

BPOの意味や活用場面を最初に整理すると、自社で検討すべきか判断しやすくなります。まずは、BPOの基本的な考え方を早見表で確認しましょう。

項目内容経理業務での例
意味業務プロセスを外部の専門会社に委託すること請求書処理や経費精算の確認を外部に任せる
目的人手不足の補完、業務品質の安定、属人化の解消月末月初の処理負担を減らす
向いている業務件数が多く、手順を整理しやすい業務請求書の受領確認、経費精算チェック、支払処理前の整理
注意点委託範囲や社内確認ルールを明確にする必要がある最終承認や資金繰り判断は社内に残す
始め方負担が大きい業務から小さく始める請求書処理の一部や経費精算の一次確認から始める

BPOとは?まず意味をわかりやすく解説

BPOとは「Business Process Outsourcing」の略で、企業の業務プロセスを外部の専門会社に委託する方法です。日本語では「業務プロセスの外部委託」と表現されます。単に人手が足りない作業を外部に頼むだけでなく、業務の進め方や役割分担を整理しながら、実行や改善まで任せる考え方です。

BPOの意味

BPOは、企業が自社で行っている業務の一部または一連の流れを、外部の専門会社に任せる仕組みです。たとえば、経理部門であれば、請求書の受領、内容確認、データ化、支払処理前の確認、経費精算のチェックなどが対象になります。

ポイントは、単発の作業だけでなく、複数の工程をまとめて任せられる点です。たとえば「請求書を入力する」だけでなく、「請求書を受け取る」「内容を確認する」「不備があれば差し戻す」「支払いに必要な情報を整理する」といった一連の流れを任せる場合、BPOの考え方に近くなります。

BPOで任せられる業務の考え方

BPOに向いているのは、毎月繰り返し発生し、手順を整理しやすい業務です。反対に、経営判断や個別判断が必要な業務は、すべて外部に任せるのではなく、社内で確認する範囲を残す必要があります。

たとえば、請求書の内容確認や経費精算のチェックはBPOに向いています。一方で、支払いの優先順位を決める、取引先との条件を見直す、資金繰りを判断する、といった業務は社内判断が必要です。BPOは「すべてを丸投げする方法」ではなく、「任せる業務と社内に残す業務を分ける方法」と理解すると、導入後の失敗を防ぎやすくなります。

BPOが注目される背景

BPOが注目される背景には、人手不足、業務の属人化、紙やエクセル中心の管理、法改正への対応負担などがあります。特に経理業務では、月末月初に作業が集中しやすく、少人数体制では締め作業や確認作業に追われやすくなります。

また、担当者ごとに処理方法が異なる状態では、引き継ぎやチェックに時間がかかります。BPOを活用すると、業務手順を整理し、外部の専門会社と役割分担を明確にしながら、業務の安定化を図りやすくなります。

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BPOとアウトソーシングの違い

BPOとアウトソーシングは似た言葉ですが、任せる範囲と目的に違いがあります。アウトソーシングは特定の作業を外部に依頼する意味で使われることが多く、BPOは業務の流れ全体を見直しながら外部に任せる考え方です。自社が「作業を任せたい」のか「業務全体を整えたい」のかを整理することで、適した委託方法を選びやすくなります。

アウトソーシングは特定業務の外部委託

アウトソーシングは、社内で行っている業務の一部を外部に委託することです。たとえば、データ入力だけを外部に依頼する、給与計算だけを外部に任せる、問い合わせ対応だけを委託する、といったケースが該当します。

業務の一部を切り出して依頼しやすいため、短期的な人手不足の補完や、特定作業の負担軽減に向いています。ただし、業務全体の流れや社内ルールの見直しまで含める場合は、アウトソーシングだけでは十分でないことがあります。

BPOは業務プロセスごと任せる考え方

BPOは、特定の作業だけでなく、業務プロセス全体を外部に委託する考え方です。たとえば、請求書処理であれば、受領、確認、データ化、承認前の整理、支払処理に必要な情報の準備までを一連の流れとして任せる場合があります。

そのため、BPOでは「誰が何をするか」「どのタイミングで確認するか」「不備があった場合はどう対応するか」といった運用ルールの整理が重要です。作業を外に出すだけでなく、業務全体を安定して回せる状態に整えることが目的になります。

経理代行・派遣・BPOの違い

経理領域では、BPOのほかに、経理代行や派遣といった選択肢もあります。それぞれ役割が異なるため、目的に応じて使い分けることが大切です。

選択肢任せる内容向いているケース注意点
BPO業務の流れごと委託する業務改善や属人化解消も進めたい場合委託範囲や確認体制の整理が必要
アウトソーシング特定の作業を委託する一部作業の負担を減らしたい場合業務全体の改善までは進みにくい場合がある
経理代行記帳、請求書処理、経費精算などの経理業務を委託する経理の定型業務を任せたい場合社内判断が必要な業務は残りやすい
派遣外部人材に社内業務を担当してもらうすぐに人手を補いたい場合業務管理や指示は社内側に残る

以下の記事では、経理AI BPOとは何かを出発点に、経理BPOとの違い、できること、向いている会社、注意点、失敗しにくい始め方まで、詳しく解説していますので参考にしてください。

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BPOで委託されやすい業務領域

BPOは、経理、人事、総務、カスタマーサポート、情報システムなど、幅広い業務で活用されています。特に、毎月繰り返し発生する業務件数が多い業務社内で標準化しにくい業務は、BPOの対象になりやすい領域です。ここでは、BPOで委託されやすい業務を部門別に整理します。

経理・会計業務

経理・会計業務では、請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認、仕訳入力、月次締め前の資料整理などがBPOの対象になりやすい業務です。これらは件数が多く、処理ルールを整理しやすい一方で、社内担当者の負担になりやすい業務でもあります。

特に、請求書の受領方法がメール、郵送、システムなどに分かれている場合、社内での確認や整理に時間がかかります。BPOを活用すれば、受領後の流れを整え、処理漏れや確認遅れを減らしやすくなります。

人事・労務業務

人事・労務領域では、勤怠データの確認、給与計算に必要な情報の整理、入退社手続き、年末調整に関連する書類確認などが対象になります。従業員数が増えるほど、確認作業や問い合わせ対応が増えやすいため、BPOとの相性があります。

ただし、従業員対応や制度設計など、社内事情を踏まえた判断が必要な業務は、すべて外部に任せるのではなく、社内側の確認体制を残すことが重要です。

総務・庶務業務

総務・庶務業務では、備品管理、郵送物対応、契約書や社内申請書類の整理、問い合わせ対応などが委託対象になります。細かな作業が多く、担当者の時間を圧迫しやすい領域です。

総務業務は「誰かが対応しているが、業務量が見えにくい」状態になりやすいため、BPOを検討する前に、依頼件数や対応時間を棚卸しすることが大切です。

問い合わせ対応・カスタマーサポート

問い合わせ対応やカスタマーサポートでは、定型的な問い合わせへの回答、受付対応、一次対応などがBPOの対象になります。対応品質をそろえたい場合や、繁忙期に問い合わせが集中する場合に活用しやすい領域です。

一方で、重要顧客への対応や個別判断が必要な問い合わせは、社内担当者へ引き継ぐルールを明確にする必要があります。どこまで外部で対応し、どこから社内で確認するかを決めておくことが重要です。

情報システム関連業務

情報システム関連では、アカウント管理、端末管理、社内問い合わせの一次対応、システム利用状況の確認などがBPOの対象になります。社内の情報システム担当者が少ない場合、日常的な問い合わせ対応に追われ、本来進めるべき改善業務に時間を使えないことがあります。

BPOを活用する場合は、権限管理や情報管理のルールを明確にし、外部に渡す情報の範囲を慎重に設計する必要があります。

経理業務でBPOが向いているケース

経理業務は、請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認、月次締めなど、正確性と期限管理が求められる業務が多い領域です。一方で、入力や確認、照合などの定型業務に時間を取られ、分析や改善に手が回らないケースもあります。BPOを検討する際は、まずどの業務が外部委託に向いているかを見極めることが重要です。

請求書処理の件数が多い

請求書処理は、BPOと相性のよい経理業務の一つです。請求書の受領、内容確認、金額や取引先情報の確認、支払いに必要な情報の整理など、毎月多くの作業が発生します。

特に、請求書がメール、紙、システムなど複数の経路で届いている場合、受領漏れや確認遅れが起きやすくなります。BPOを活用して受領後の流れを整理すると、処理状況を確認しやすくなり、月末月初の負担軽減につながります。

経費精算の確認・差し戻しが多い

経費精算では、領収書の添付漏れ、申請内容の不備、勘定科目の誤り、社内規程との不一致などが発生しやすくなります。確認や差し戻しが多いと、経理担当者だけでなく申請者側の負担も増えます。

BPOを活用する場合は、チェック項目をあらかじめ整理し、どの不備を外部で確認するか、どの判断を社内に残すかを決めることが大切です。定型的な確認を外部に任せることで、経理担当者は判断が必要な申請に集中しやすくなります。

月末月初に業務が集中している

経理業務は、月末月初に請求書処理、経費精算、入出金確認、月次締め作業が集中しやすい特徴があります。少人数体制では、通常業務に加えて締め作業が重なり、残業や確認漏れの原因になることがあります。

BPOを活用すれば、定型的な確認やデータ整理を外部に任せ、社内担当者は承認や最終確認に集中しやすくなります。繁忙期だけ業務量が急増する企業にとっても、有効な選択肢になります。

担当者しかわからない業務が多い

経理業務が特定の担当者に依存している場合、休職や退職、異動が発生した際に業務が止まりやすくなります。また、処理方法が担当者ごとに異なると、確認や引き継ぎに時間がかかります。

BPOを検討する過程では、業務手順や確認ルールを整理する必要があります。そのため、外部委託そのものだけでなく、属人化している業務を見える化するきっかけにもなります。

法改正対応や確認業務に不安がある

経理業務では、インボイス制度や電子帳簿保存法など、制度対応を踏まえた書類管理や確認が必要になる場面があります。社内だけで対応しようとすると、担当者が制度内容を調べながら運用を整える必要があり、負担が大きくなります。

BPOを活用する場合は、制度対応そのものを外部に任せきるのではなく、確認項目や保存方法、社内承認の流れを整理したうえで、定型的な確認作業を委託することが重要です。

業務BPOとの相性理由
請求書の受領・確認高い件数が多く、確認項目を標準化しやすいため
経費精算のチェック高い不備や差し戻し理由を整理しやすいため
支払処理前の確認中〜高承認ルールを明確にすれば委託しやすいため
月次締め前の資料整理締め日や社内確認の流れを整える必要があるため
資金繰り判断低い経営判断に近く、社内での確認が必要なため

BPOが向いている会社・まだ準備が必要な会社

BPOは、すべての会社に同じように効果が出るわけではありません。業務量や社内ルールの整理状況によって、すぐに始めやすい会社と、先に準備したほうがよい会社があります。自社の状況に近い項目を確認してみましょう。

区分状態おすすめの進め方
BPOが向いている会社請求書処理や経費精算など、毎月同じ業務が大量に発生している件数が多い定型業務から委託を検討する
BPOが向いている会社月末月初に業務が集中し、残業や確認遅れが発生している繁忙期に集中する確認作業や資料整理から始める
BPOが向いている会社特定の担当者しか処理方法を把握していない業務手順を整理しながら、外部委託できる範囲を決める
まだ準備が必要な会社社内ルールや承認フローが明文化されていないまずは承認者、締め日、確認項目を整理する
まだ準備が必要な会社どの業務にどれだけ時間がかかっているか把握できていない業務一覧を作成し、負担の大きい工程を見える化する

BPOを検討する際は、いきなり広い範囲を任せるのではなく、負担が大きく、手順を整理しやすい業務から始めることが重要です。準備が不十分な場合でも、業務を一覧化するだけで、外部委託に向く工程と社内に残すべき工程を判断しやすくなります。

BPOを導入するメリット

BPOの主なメリットは、人手不足の補完、業務品質の安定、担当者依存の解消、社内リソースの有効活用です。経理部門では、定型業務を外部に任せることで、社内担当者が資金管理、月次分析、業務改善など、より重要度の高い業務に時間を使いやすくなります。ここでは、BPOの代表的なメリットを実務目線で整理します。

人手不足を補いやすい

BPOを活用すると、社内で新たに採用しなくても、外部の専門会社に業務を任せることができます。経理人材の採用が難しい場合や、退職・休職によって急に人手が不足した場合でも、業務を止めにくくなります。

ただし、BPOは単に人手を増やす方法ではありません。業務の流れを整理し、どこまで外部に任せるかを決めておくことで、より効果を得やすくなります。

業務品質を安定させやすい

経理業務では、担当者ごとに確認方法や処理手順が異なると、ミスや確認漏れが起きやすくなります。BPOを導入する際には、確認項目や手順を整理するため、業務品質のばらつきを減らしやすくなります。

たとえば、請求書の確認項目を一覧化し、不備があった場合の対応方法を決めておけば、処理の基準をそろえやすくなります。結果として、社内の確認負担も軽減しやすくなります。

担当者依存を減らしやすい

特定の担当者だけが処理方法を把握している状態では、その担当者が不在になったときに業務が滞る可能性があります。BPOを活用するには、業務手順やルールを外部に説明できる状態にする必要があるため、属人化の解消につながります。

業務が見える化されると、社内での引き継ぎもしやすくなります。担当者の経験に頼っていた作業を整理し、組織として安定して運用できる状態を目指せます。

社内担当者が重要業務に集中しやすい

経理担当者は、入力や確認などの定型業務だけでなく、月次分析、資金管理、予実管理、経営資料の作成など、会社の意思決定を支える業務も担います。しかし、日々の処理に追われていると、改善や分析に時間を使いにくくなります。

BPOによって定型業務を外部に任せれば、社内担当者は判断や改善が必要な業務に集中しやすくなります。経理部門を単なる処理部門ではなく、経営を支える部門として機能させるうえでも有効です。

繁忙期の負担を平準化しやすい

月末月初、四半期決算、年度末など、経理業務には繁忙期があります。繁忙期だけ業務量が増える場合、社内人員だけで対応すると残業が増えたり、確認が後回しになったりすることがあります。

BPOを活用すれば、定型的な処理や確認を外部に任せ、社内の負担を平準化しやすくなります。繁忙期に合わせて委託範囲を調整できる場合もあるため、業務量の波が大きい企業にとっても検討しやすい方法です。

BPOのデメリットと注意点

BPOには多くのメリットがある一方で、注意点もあります。委託範囲が曖昧なまま始めると、想定外の費用が発生したり、社内に業務知識が残りにくくなったりする可能性があります。また、経理業務では請求書や取引情報などの重要な情報を扱うため、情報管理や確認体制も欠かせません。導入前にリスクを把握しておきましょう。

委託範囲が曖昧だと費用が増えやすい

BPOでは、どの業務をどこまで任せるかによって費用が変わります。委託範囲が曖昧なまま始めると、当初想定していなかった作業が追加になり、費用が増える可能性があります。

たとえば、「請求書処理を任せる」といっても、受領だけなのか、内容確認まで含むのか、不備連絡まで含むのかによって作業量は変わります。契約前に、対象業務、対応件数、確認範囲、追加費用の条件を明確にしておくことが重要です。

社内に業務知識が残りにくい場合がある

BPOに頼りすぎると、社内で業務の流れを把握できる人が減る可能性があります。特に、外部会社に任せている作業内容を社内で確認していない場合、トラブル発生時に原因を把握しにくくなります。

このリスクを防ぐには、業務の進捗や処理状況を定期的に確認し、社内側にも必要な知識を残すことが大切です。月次の報告や定例確認の場を設けると、外部任せになりすぎる状態を防ぎやすくなります。

情報管理体制の確認が必要

経理業務では、請求書、取引先情報、振込先情報、従業員の経費情報など、重要な情報を扱います。そのため、BPOを導入する際は、情報管理体制の確認が欠かせません。

具体的には、アクセス権限の管理、データの受け渡し方法、担当者の権限範囲、情報の保管方法、契約終了後のデータ取り扱いなどを確認する必要があります。費用や対応範囲だけでなく、安心して情報を預けられる体制があるかを確認しましょう。

外部任せにしすぎると判断が遅れる

BPOは便利な仕組みですが、すべての判断を外部に任せることはできません。たとえば、支払いの優先順位、例外的な取引の扱い、社内規程にない申請の判断などは、社内で確認する必要があります。

外部会社から確認が必要な事項が上がってきた際に、社内の担当者や承認者がすぐに判断できないと、処理が止まってしまいます。あらかじめ社内の確認者を決め、判断が必要な場合の連絡方法を明確にしておくことが重要です。

社内ルールとのすり合わせが必要

BPOを効果的に活用するには、外部会社の標準的な進め方と、自社の社内ルールをすり合わせる必要があります。経費精算の承認ルール、請求書の締め日、支払い条件、勘定科目の使い方などは、会社ごとに異なります。

導入前に社内ルールを整理しておくと、外部会社との認識違いを減らせます。ルールが曖昧なまま委託すると、確認や差し戻しが増え、かえって手間が増える可能性があります。

BPOを失敗しにくく始める手順

BPOは、いきなり広い範囲を任せるよりも、負担が大きい業務から小さく始めるほうが失敗しにくくなります。まずは業務を棚卸しし、どこで時間がかかっているのか、どこでミスや差し戻しが起きているのかを確認しましょう。そのうえで、委託範囲、社内に残す判断業務、確認方法を決めることが大切です。

現在の業務を棚卸しする

最初に行うべきことは、現在の業務を一覧にすることです。経理業務であれば、請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認、月次締め、問い合わせ対応など、日常的に発生している業務を書き出します。

その際、業務名だけでなく、担当者、発生頻度、件数、処理にかかる時間、確認が必要な相手も整理すると、負担が大きい工程を見つけやすくなります。

負担が大きい工程を見つける

次に、書き出した業務の中から、時間がかかっている工程、差し戻しが多い工程、担当者に依存している工程を確認します。BPOは、社内の負担が大きく、手順を整理しやすい業務から検討すると始めやすくなります。

たとえば、毎月の請求書確認に時間がかかっている場合は、請求書の受領から内容確認までを委託候補にできます。経費精算の不備確認が多い場合は、一次チェックを外部に任せる方法も考えられます。

任せる業務と社内に残す業務を分ける

BPOを始める際は、任せる業務と社内に残す業務を明確に分けることが重要です。定型的な確認やデータ整理は外部に任せやすい一方で、最終承認や経営判断に近い業務は社内に残す必要があります。

この切り分けが曖昧だと、外部会社が判断できずに処理が止まったり、社内側で再確認が増えたりします。どこまでを外部で対応し、どこから社内で確認するのかを事前に決めておきましょう。

まずはスモールスタートで効果を確認する

BPOは、最初から大きな範囲を任せる必要はありません。まずは請求書処理の一部、経費精算の一次確認、月次締め前の資料整理など、範囲を限定して始めると、自社に合うかを確認しやすくなります。

小さく始めることで、社内担当者も外部会社との連携に慣れやすくなります。実際の運用を見ながら、委託範囲を広げるか、社内に戻す業務があるかを判断できます。

定例確認で改善点を見直す

BPOは、導入して終わりではありません。運用開始後は、処理件数、差し戻し件数、確認にかかった時間、社内担当者の負担感などを定期的に確認することが重要です。

月1回程度の定例確認を行い、うまくいっている点と改善が必要な点を整理しましょう。確認の場を設けることで、外部会社との認識違いを防ぎ、業務を継続的に改善しやすくなります。

BPO導入前に確認したいチェックリスト

BPOを始める前に、社内で確認すべき項目を整理しておくと、委託範囲や費用条件の認識違いを防ぎやすくなります。以下の項目に多く当てはまるほど、BPOの検討を具体化しやすい状態です。

  • □ 毎月発生している経理・バックオフィス業務を一覧化できている
  • □ 請求書処理、経費精算、支払処理など、負担が大きい業務を把握できている
  • □ 業務ごとの件数や処理時間をおおよそ把握できている
  • □ 担当者しかわからない業務や確認ルールを洗い出せている
  • □ 外部に任せたい業務と、社内に残す判断業務を分けられている
  • □ 最終承認者や社内確認者を決められている
  • □ 請求書や経費精算などの確認項目を整理できている
  • □ 情報の受け渡し方法やアクセス権限を確認できている
  • □ 追加費用が発生しやすい作業を事前に確認する予定がある
  • □ まずは一部業務からスモールスタートする方針を決められている

すべての項目を最初から完璧に整える必要はありません。まずは、業務一覧、負担の大きい工程、社内に残す判断業務の3点を整理するだけでも、BPOの検討を進めやすくなります。

BPO会社を選ぶときの確認ポイント

BPO会社を選ぶときは、費用だけで比較するのではなく、自社の業務範囲に合っているか、確認体制が明確か、情報管理のルールが整っているかを確認する必要があります。特に経理業務では、期限、正確性、承認の流れが重要です。自社の課題に合う委託先を選ぶために、比較時に見るべきポイントを整理します。

対応できる業務範囲

まず確認すべきなのは、委託したい業務に対応できるかどうかです。請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認など、どの範囲まで対応できるかを具体的に確認しましょう。

また、単に「経理業務に対応できます」という説明だけでなく、受領、確認、差し戻し、承認前整理など、工程単位で確認することが大切です。

経理・バックオフィス業務への理解

経理業務を委託する場合は、経理特有の締め日、承認、証憑確認、支払処理の流れを理解しているかが重要です。業務理解が不足していると、確認のやり直しや社内説明の負担が増える可能性があります。

自社の業務に近い支援実績があるか、経理業務の用語や流れを理解しているか、運用開始前にどの程度業務整理を支援してもらえるかを確認しましょう。

費用体系と追加費用の条件

BPOの費用は、対応範囲、件数、作業量、確認レベルによって変わります。月額固定の場合もあれば、件数に応じて費用が変わる場合もあります。

確認すべきなのは、基本料金に含まれる範囲と、追加費用が発生する条件です。たとえば、想定件数を超えた場合、不備対応が増えた場合、急ぎ対応が必要な場合などに費用が変わるかを確認しておくと安心です。

BPOの費用を考えるときは「金額」だけで比較しない

BPOの費用を比較する際は、月額料金や単価だけで判断しないことが重要です。同じように見える料金でも、対応範囲、確認レベル、処理件数、追加作業の条件によって、実際の負担や総額は変わります。

たとえば、請求書処理を委託する場合でも、請求書の受領だけを任せるのか、内容確認や不備連絡まで任せるのかによって、必要な作業量は大きく異なります。費用を確認する際は、以下の観点で比較すると判断しやすくなります。

確認項目確認する内容確認しない場合のリスク
基本料金に含まれる範囲受領、確認、データ化、不備連絡など、どこまで含まれるか想定外の作業が追加費用になる可能性がある
処理件数の上限月間の請求書枚数、申請件数、問い合わせ件数など件数超過時に費用が増える可能性がある
確認レベル形式確認だけか、社内ルールに沿った確認まで含むか社内で再確認する手間が残る可能性がある
急ぎ対応の条件締め日前や繁忙期の追加対応が可能か月末月初の処理遅れにつながる可能性がある
報告・共有方法処理状況や不備内容をどのように共有するか社内で進捗を把握しにくくなる可能性がある

BPOの費用は、安ければよいというものではありません。社内に残る作業量や確認負担まで含めて比較することで、自社にとって費用対効果の高い委託範囲を判断しやすくなります。

情報管理・権限管理の体制

経理業務では、取引先情報、請求金額、振込先情報、従業員情報などを扱います。そのため、情報管理や権限管理の体制は必ず確認すべき項目です。

データの受け渡し方法、アクセスできる担当者の範囲、情報の保管期間、退職者や担当変更時の権限管理などを確認しましょう。業務効率だけでなく、情報を安全に扱える体制があるかが重要です。

社内担当者との連携方法

BPOは外部会社に業務を任せる方法ですが、社内との連携が不要になるわけではありません。確認事項が発生した場合の連絡方法、定例確認の頻度、処理状況の共有方法を事前に決めておく必要があります。

連携方法が曖昧なままだと、確認待ちが増え、処理が遅れる原因になります。チャット、メール、管理システムなど、どの方法で進捗や確認事項を共有するかを明確にしておきましょう。

以下の記事では、経理BPOの選び方を、委託範囲、費用、体制、情報管理、進め方の順に整理してわかりやすく解説していますので、参考にしてください。

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BPO・システム・AIはどう使い分けるべきか

業務効率化を考える際は、BPOだけでなく、システムやAIの活用も選択肢になります。件数が多く、ルール化しやすい業務はシステムやAIと相性がよく、例外対応や社内調整が多い業務はBPOの支援が向く場合があります。大切なのは、どれか一つを選ぶことではなく、業務の性質に合わせて組み合わせることです。

システムに向いている業務

システムに向いているのは、ルール化しやすく、同じ流れで繰り返し処理できる業務です。たとえば、経費精算の申請・承認、請求書の受領管理、支払状況の確認、証憑の保存などが該当します。

紙やエクセルで管理している業務をシステム化すると、処理状況を見える化しやすくなります。業務の抜け漏れや確認遅れを防ぎたい場合にも有効です。

AIに向いている業務

AIに向いているのは、データの読み取り、分類、確認候補の抽出など、人の判断を支援する業務です。たとえば、請求書や領収書の内容を読み取る、申請内容の不備を検知する、過去の処理傾向から確認すべき項目を示す、といった使い方があります。

ただし、AIが示した結果をそのまま確定するのではなく、重要な処理や例外的な取引では人の確認を組み合わせることが大切です。

BPOに向いている業務

BPOに向いているのは、作業量が多く、社内担当者だけでは処理しきれない業務や、確認・差し戻し・問い合わせ対応など人の手が必要な業務です。定型処理だけでなく、一定の判断や確認を含む業務では、BPOの活用が効果的です。

たとえば、請求書の不備確認、経費精算の一次チェック、問い合わせ対応、月次締め前の資料整理などは、BPOによって社内負担を減らしやすい業務です。

組み合わせると効果が出やすい業務

経理業務では、システム、AI、BPOを組み合わせることで効果が出やすくなります。システムで申請や承認の流れを整え、AIでデータ読み取りや不備検知を行い、BPOで確認や差し戻し対応を行う、といった使い分けが考えられます。

業務の特徴向いている選択肢
件数が多くルール化しやすいシステム・AI経費精算、請求書データ化
確認や照合が多いAI+人の確認請求書確認、証憑チェック
社内調整や例外対応が多いBPO承認前の確認、問い合わせ対応
経営判断に関わる社内対応支払い優先順位、資金繰り判断

このように、BPOは単独で使うだけでなく、システムやAIと組み合わせることで、より実務に合った業務改善につなげやすくなります。

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まとめ

BPOとは、業務の一部または一連の流れを外部の専門会社に任せ、効率化や品質向上を目指す方法です。アウトソーシングが特定作業の代行を指すことが多いのに対し、BPOは業務の進め方や役割分担の見直しまで含めて考える点に特徴があります。

経理業務では、請求書処理、経費精算、支払処理、入金確認、月次締め前の確認作業など、件数が多く定型化しやすい業務と相性があります。ただし、すべてを外部に任せればよいわけではありません。最終承認や資金繰り判断など、社内に残すべき業務もあります。

まずは業務を棚卸しし、負担が大きい工程、差し戻しが多い工程、担当者に依存している工程を整理することが重要です。小さく始めて効果を確認すれば、自社に合うBPOの活用範囲を無理なく広げられます。

FAQ

BPOを検討し始めた段階では、「中小企業でも使えるのか」「どこまで任せてよいのか」「費用は高いのか」などの疑問が出やすくなります。ここでは、BPOを初めて検討する経理・バックオフィス担当者に向けて、よくある質問をQ&A形式で整理します。

BPOは中小企業でも利用できますか?

はい、中小企業でも利用できます。BPOは大企業だけの選択肢ではありません。少人数で経理や総務を担当している企業ほど、請求書処理、経費精算、支払処理などの定型業務が担当者に集中しやすくなります。

最初から広い範囲を任せる必要はありません。まずは負担が大きい業務を一部切り出し、スモールスタートで効果を確認する方法が現実的です。

BPOと外注は何が違いますか?

外注は、特定の作業を外部に依頼する意味で使われることが多い言葉です。一方、BPOは業務の流れや役割分担を整理しながら、業務プロセスとして外部に任せる考え方です。

たとえば、単にデータ入力だけを依頼する場合は外注に近くなります。受領、確認、データ化、差し戻し、進捗管理まで含めて任せる場合は、BPOに近い形になります。

経理業務はどこまでBPOに任せられますか?

経理業務では、請求書処理、経費精算の確認、支払処理前の整理、入金確認、月次締め前の資料整理などを任せられる場合があります。ただし、最終承認、資金繰り判断、例外的な取引判断などは、社内に残す必要があります。

BPOを活用する際は、外部に任せる作業と、社内で判断する業務を分けることが重要です。

BPOの費用はどのように決まりますか?

BPOの費用は、委託する業務範囲、処理件数、作業量、確認レベル、対応時間などによって変わります。月額固定の場合もあれば、件数や作業量に応じて変動する場合もあります。

費用を比較する際は、金額だけでなく、どこまで対応範囲に含まれるかを確認しましょう。追加費用が発生する条件も事前に確認しておくことが大切です。

社内に残すべき業務はありますか?

あります。経営判断に関わる業務、最終承認、例外的な取引判断、社内規程の見直し、資金繰り判断などは、社内に残すべき業務です。

BPOは、すべてを外部に任せる方法ではありません。定型業務や確認作業を外部に任せ、社内担当者が重要な判断や改善業務に集中できる状態をつくるための手段です。

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