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SuicaやPASMOで支払った交通費を、どう経費にすればいいのか迷う場面は多いものです。チャージした金額はそのまま経費にできるのか、領収書が出ない電車賃の支払い記録(証憑)はどう残すのか、帳簿づけ(仕訳)ではどの費目(勘定科目)を使うのか。判断に迷いやすいポイントを、処理の手順から仕訳、利用履歴の扱い、効率化のコツまで順に整理します。
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交通系ICカードは経費精算に使えるか
交通系ICカードは経費精算に使えます。ただし経費になるのはチャージした時点ではなく、実際に電車やバスに乗った時点です。チャージはあくまで前払いで、利用した日・区間・金額が確定してはじめて交通費として計上します。
つまり判断の軸は「チャージ=経費」ではなく「利用=経費」です。この3点が分かる履歴を証憑として残せば、ICカードでの支払いも問題なく経費精算できます。『利用した分だけが経費』という考え方を押さえると、以降の仕訳も領収書の扱いも迷いません。
▼ ICカードで経費になるタイミング
| タイミング | 経費になるか | 扱い |
|---|---|---|
| チャージした時 | ならない | 前払い。資産として一時的に計上する |
| 電車・バスを利用した時 | なる | 利用実績にもとづき旅費交通費として計上する |
| コンビニ等で買い物した時 | なる | 購入した内容に応じた勘定科目で計上する |
ICカードで経費精算する方法と手順
ICカードでの経費精算は、利用履歴を取り出し、業務利用分だけを抜き出して交通費精算書で申請し、経理が確認して旅費交通費として計上する流れで進みます。まず履歴をどう取得するかを押さえ、その後の申請・承認の流れを見ていきます。
利用履歴の取得方法
利用履歴を取り出す方法は大きく4つあります。取得できる件数の上限やデータの出力可否が異なるため、運用に合うものを選びます。
▼ 利用履歴の主な取得方法
| 取得方法 | やり方 | 特徴・上限 |
|---|---|---|
| 駅の券売機で印字 | 対応する券売機で利用履歴を紙に印字する | 直近の一定件数まで。印字できる件数に上限がある |
| モバイルアプリで確認 | モバイルSuica・モバイルPASMOのアプリで履歴を表示・出力する | スマホ上で確認でき、CSVなどのデータ出力もしやすい |
| ICカードリーダーで読む | カードをリーダーにかざしPCで読み取る | カード内に残る直近の履歴を読み取れる |
| 経費精算システムと連携 | ICカードの情報を経費精算システムに取り込む | 乗車区間や金額を自動で取り込み、手入力を省ける |
履歴には保持できる件数の上限があり、古い履歴は新しい利用で上書きされます。こまめに出力するか、システムに連携して自動で蓄積する運用にしておくと、精算のたびに履歴が消えて困る事態を避けられます。
申請から経理処理までの流れ
履歴が用意できたら、交通費精算書に日付・区間・金額を記載して申請します。承認者が内容を確認し、経理が交通費の費目である旅費交通費として計上して精算する流れです。私的利用が混ざっている場合は、申請の段階で業務利用分だけを抜き出しておきます。

ICカードで経費精算するときの勘定科目と仕訳
ICカードの仕訳は、チャージした時にいったん資産として記録し、利用した時に旅費交通費という費用へ移し替える(振り替える)のが基本です。この流れは、会社が用意したICカードか、従業員が個人のカードで立て替えたかで変わります。あわせて、交通費以外の買い物で使った場合の科目も見ていきます。

チャージした時の仕訳
会社が用意したICカードにチャージした場合、その金額はまだ使っていない前払いなので、費用にはなりません。現金でチャージしてもクレジットカードでチャージしても、借方(お金の使い道側)はいずれも仮払金(前渡ししたお金)です。貸方(お金の出どころ側)は、現金でチャージしたなら現金、クレジットカードでチャージしたなら未払金(後で支払う分)になります。仮払金のほか、前払金や貯蔵品として処理する会社もあるため、どれを使うかは社内で統一しておきます。従業員が自分のICカードにチャージした分は個人のお金なので、会社側の仕訳は不要です。なお消費税は、チャージした時点では認識せず、実際に電車やバスを利用した時点で課税仕入れとして扱います。
▼ チャージした時の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 会社のカードに現金で10,000円チャージ | 仮払金 10,000 | 現金 10,000 |
| 会社のカードにクレカで10,000円チャージ | 仮払金 10,000 | 未払金 10,000 |
| 従業員が個人のカードにチャージ | 仕訳なし | 仕訳なし |
利用した時の仕訳と残高の扱い
実際に電車やバスを利用したら、利用履歴で日付・区間・金額を確定し、旅費交通費として計上します。会社支給カードなら、チャージ時に資産計上した仮払金を減らして(取り崩して)費用へ振り替えます。従業員が個人のカードで立て替えた場合は、精算のタイミングで旅費交通費を計上し、後日その分を支払います。残高が残っている間は仮払金のままで、費用に振り替えるのは利用した分だけです。消費税の扱いでも、チャージ時ではなくこの利用時にはじめて課税仕入れとなり、支払った消費税を差し引ける仕入税額控除の対象になります。
▼ 利用した時の仕訳例
| ケース | 借方 | 貸方 |
|---|---|---|
| 会社カードで電車を500円利用 | 旅費交通費 500 | 仮払金 500 |
| 個人カードで立て替えた500円を精算 | 旅費交通費 500 | 未払金 500 |
買い物で使った時の勘定科目
交通系ICカードは電子マネーとして買い物にも使えます。業務で備品や消耗品を購入した場合は、旅費交通費ではなく購入した内容に応じた勘定科目で処理します。たとえば事務用品を買ったなら消耗品費、書籍なら新聞図書費といった具合です。交通費とそれ以外の支出が同じカードに混ざるため、利用履歴で用途を分けて計上します。なお後述する公共交通機関の特例は電車・バスなどの運賃だけが対象で、買い物には使えません。ただし駅の自動販売機やコインロッカーなど税込3万円未満のものは別の特例(自動販売機特例)で帳簿の保存だけで仕入税額控除でき、コンビニなど店舗での購入は原則としてインボイス(適格請求書)の保存が必要です。
ICカードの利用履歴と領収書の扱い
電車やバスの運賃には領収書が発行されません。代わりに、券売機で印字した履歴やシステムで出力した利用明細が、領収書に代わる証憑として認められます。証憑をどう残すか、税務上の特例、そして電子帳簿保存法への対応まで押さえておきます。
利用履歴が領収書の代わりになる
交通費は利用履歴を証憑として保管すれば、領収書がなくても経費精算できます。消費税のインボイス制度でも、公共交通機関の運賃には特例があります。
電車やバスの運賃は、1回の取引が税込3万円未満なら、決まった項目を書いた帳簿を残すだけで、支払った消費税を差し引ける仕入税額控除が受けられます。インボイス(適格請求書)の保存がなくても、日常の電車・バス代はこの特例に収まります。3万円未満かどうかは切符1枚ごとではなく、1回の取引の税込価額で判定します。ただし特例の対象は鉄道・バス・船舶に限られ、タクシーや航空機は対象外です。 出典:国税庁 消費税の仕入税額控除制度における適格請求書等保存方式に関するQ&A(交付義務の免除・公共交通機関特例)/同Q&A(帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる場合)(最終確認日:2026年7月15日)
1回の取引が税込3万円以上になる場合は、仕入税額控除を受けるために適格請求書の受領と保存が必要です。なお従業員に支給する出張旅費や宿泊費は、金額にかかわらず帳簿の保存だけで控除できる別の特例があり、ICカードでの実費精算とは分けて考えます。
履歴の保存期間と上限に注意する
利用履歴は無期限に残るわけではありません。券売機で印字できるのは直近の一定件数まで、モバイルアプリで確認できる範囲も一定期間に限られます。古い履歴は新しい利用で上書きされるため、月をまたぐ前に出力するか、システムに連携して自動で蓄積しておくのが安全です。証憑が取れないまま利用が積み重なると、あとから交通費を裏づけられなくなります。
電子帳簿保存法に対応する
履歴をどう受け取ったかで保存方法が変わります。駅の券売機で紙に印字した履歴はそのまま紙で保存できますが、アプリやシステムから電子データで受け取った履歴は、帳簿類の電子保存を定めた電子帳簿保存法の電子取引に当たり、紙に印刷せず電子のまま保存する必要があります。
電子データの保存では、日付・金額・取引先で検索できるようにする可視性の要件と、タイムスタンプの付与または訂正・削除の事務処理規程の整備といった真実性の要件を満たします。事務処理規程を整えれば追加コストをかけずに真実性の要件を満たせるため、まず自社の保存方法を決めておきます。
電子取引で授受した取引情報は、電子帳簿保存法の保存要件にしたがって電子データのまま保存することが求められます。 出典:国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】(最終確認日:2026年7月15日)
ICカードで経費精算するメリット
ICカードを使った経費精算には、手作業を減らしミスや不正を防ぎやすいという利点があります。何がどう楽になるのかを整理します。
▼ ICカード経費精算の主なメリット
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 手入力の削減 | 利用履歴に区間と金額が残るため、経路や運賃を1件ずつ手で打ち込む必要が減る |
| 入力ミスの減少 | 履歴の実績値を使うので、運賃の打ち間違いや経路の誤りが起きにくい |
| 不正の抑止 | 実際の利用履歴と照らせるため、乗っていない区間の水増し請求を見抜きやすい |
| 情報の一元管理 | 履歴をデータで蓄積でき、交通費の申請・確認・保管を1か所にまとめられる |
とくに効くのが不正の抑止です。実際の乗車履歴と申請内容を突き合わせられるため、経路を長く申告する水増しや、乗っていない区間の請求を防ぎやすくなります。手書きの申請では気づきにくかったズレが、履歴と照合するだけで見えるようになります。
ICカードで経費精算するときの注意点
便利な一方で、運用を決めずに始めるとかえって手間が増える面もあります。つまずきやすいポイントを先に押さえておきます。
▼ ICカード経費精算の注意点
| 注意点 | 内容 | 対策の方向性 |
|---|---|---|
| 私的利用との区別 | 仕事と私用が同じカードに混ざると、1件ずつ仕分ける手間が生じる | 業務専用のカードを1枚用意する、または業務分だけを抽出する運用にする |
| 二重計上 | 申請者が現金・オートチャージ時の領収書を経費として上げ、利用履歴でも計上すると経費が二重になる | 利用実績ベースで計上し、チャージ時の領収書では精算しない |
| 定期区間の控除 | 定期券の区間を含めて申請すると、二重で交通費を払うことになる | 定期区間を差し引いて申請・確認する |
| 手作業が残る | 履歴の出力・業務分の抽出・入力を人が行うと、結局は手間がかかる | 履歴の取得から入力までを仕組みで自動化する |
これらは運用ルールを決めれば防げるものが多いのですが、私的利用の切り分けや定期区間の控除を毎回手作業でチェックすると、経理と申請者の双方に負担が残ります。次に、こうした手間をどう減らすかを見ていきます。
ICカードの経費精算を効率化する方法
ICカード経費精算の手間は、履歴の取得から入力までをどれだけ自動化できるかで大きく変わります。すぐに取り組める工夫から、仕組みで解決する方法まで段階的に見ていきます。
まずできるのは、モバイルSuicaやモバイルPASMOに切り替えて、履歴をアプリ上で確認・出力できるようにすることです。CSVでデータを書き出せれば、券売機に並んで印字する手間がなくなります。業務専用のカードを1枚決めておけば、私的利用との切り分けも楽になります。
さらに踏み込むなら、経費精算システムとICカードを連携させ、乗車区間と金額を自動で取り込む方法があります。実際の乗車履歴がそのまま申請データになるため、手入力と目視チェックの手間が減り、水増しの防止やペーパーレス化にもつながります。定期区間の控除まで自動化できれば、経理が毎回目視で確認する負担も軽くなります。
ICカードの経費精算を楽にするならTOKIUM
交通系ICカードの経費精算は、チャージではなく利用実績で計上し、利用履歴を証憑として残すのが基本です。私的利用の区別や定期区間の控除、消費税の区分、電子帳簿保存法への対応まで含めると手作業は増えがちです。こうした手作業を仕組みで解けるかどうかが、効率化の分かれ目になります。
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ICカードの経費精算に関するよくある質問
交通費はICカードの金額と切符の金額のどちらで請求すべきですか
実際に支払った金額で請求します。ICカードで乗車したならICカード運賃、切符を買ったなら切符の金額です。ICカードは1円単位、切符は10円単位で運賃が計算されるため、同じ区間でも数円ずれることがあり、利用履歴に残る実額を使えば申請と実支出が一致します。会社の規程でICカード運賃に統一しているケースもあるため、社内ルールがあればそれに従います。
ICカードの利用履歴を会社に提出するのは個人情報の問題になりませんか
業務利用分の交通費を精算するために必要な範囲であれば、利用履歴の提出は通常の経費精算の手続きです。ただし私的利用の記録まで会社に見せたくないという声はあります。業務専用のICカードを1枚用意して私用と分ける、モバイルアプリで業務分だけを抽出して提出するといった運用にすると、余計な履歴を見せずに済みます。
個人事業主がICカードのチャージ分を経費にする方法はありますか
個人事業主も、チャージ額ではなく事業で利用した分を経費にします。チャージ時は前払いとして扱い、事業の移動で使った日・区間・金額を利用履歴で確定して旅費交通費に計上します。プライベートの移動と混ざりやすいため、事業専用のカードを用意するか、履歴から事業利用分だけを抜き出して記帳すると管理が楽になります。




