経理DX促進

AIで仕事はどう変わる?なくなる仕事・残る仕事・生まれる仕事

更新日:2026.08.17

この記事は約 6 分で読めます。

ai仕事_なくなる仕事と残る仕事

AIの普及で仕事は「なくなる」「残る」「生まれる」の3つの方向に同時に変わりつつあります。不安をあおる見出しが目立ちますが、実際に進んでいるのは仕事が丸ごと消えることよりも、仕事の中身が組み替わる変化です。

→ダウンロード:新リース会計基準クイズ(回答解説集付き)

AIに奪われやすいといわれる仕事、AIでは代わりにくい仕事、AIの普及で新たに生まれている仕事、そしてこれから必要になるスキル。この順に整理します。後半では、影響が大きいとされる経理・バックオフィス職がどう変わるのか、現場の実感に近い視点で掘り下げます。

AIで仕事はどう変わるのか|現状の整理

結論からいえば、AIによる仕事の変化は「職業が丸ごと消える」より「仕事の中の作業(タスク)が置き換わる」形で進んでいます。1つの仕事は複数の作業の束でできており、AIが得意な作業から順に自動化され、人の時間は残りの作業に寄っていきます。

国内では、野村総合研究所が英オックスフォード大学の研究者と共同研究を行い、2015年に試算を公表しています。それによれば、10〜20年後に、日本の労働人口の約49%が就いている職業は、技術的には人工知能やロボット等で代替できる可能性が高いとされています。これは技術的な可能性の試算であり、実際にその仕事がなくなるという予測ではない点に注意が必要です。 出典:野村総合研究所 ニュースリリース(2015年12月2日)(最終確認日:2026年8月14日)

▼ AIによる仕事の変化の3方向

変化の方向起きていること
なくなる・減る定型的な作業がAI・自動化に置き換わるデータ入力、転記、定型的な問い合わせ対応
変わる・組み替わる作業の一部をAIが担い、人は確認・判断に回る資料作成はAIが下書き、人が仕上げと判断
生まれる・増えるAIを作る仕事・使いこなす仕事が新たに発生AI導入の企画、プロンプト設計、データ整備

近年の変化で見逃せないのは、影響の範囲が広がったことです。これまでの自動化は工場のラインや定型処理が中心でしたが、ChatGPTに代表される生成AIの登場で、文章作成・要約・翻訳・企画のたたき台といった知的なホワイトカラー業務にも置き換えが及ぶようになりました。「自分はデスクワークだから関係ない」とは言えなくなった一方、使いこなせば恩恵がもっとも大きいのもデスクワークです。

つまり「自分の仕事はなくなるか」という問いは、正確には「自分の仕事のうち、どの作業が置き換わり、何が残るか」という問いに分解できます。次章から、置き換わりやすい仕事と残る仕事をそれぞれ見ていきます。

AIによる仕事の変化タスクが組み替わる概念図
新リース会計基準クイズ

AIに奪われる・なくなるといわれる仕事|共通する特徴と職種

AIの影響を受けやすい仕事には、はっきりした共通点があります。手順が決まっている・繰り返しが多い・判断の基準が明文化できるという3つです。職種そのものというより、こうした性質の作業を多く含む仕事ほど、置き換えが先に進みます。

▼ AIの影響を受けやすいといわれる仕事の例

影響を受けやすい仕事置き換わりやすい理由
一般事務・データ入力紙や画面からの転記・入力はAI-OCRや自動化ツールの得意分野
電話・チャットの一次対応よくある質問への定型回答はAIチャットボットが代替しやすい
受付・案内来訪手続きや道案内など手順が決まった対応は無人化が進む
レジ・精算セルフレジ・無人決済の普及で省人化が進行
銀行の窓口・後方事務定型的な手続き処理はシステム化・オンライン化で減少傾向
倉庫内の仕分け・ピッキングロボットと在庫管理AIの組み合わせで自動化が進む
工場の検品・検査画像認識AIが目視検査を代替しつつある
集計・チェック中心の経理事務仕訳入力や突合などの定型処理は経理AIの主戦場(詳細は後述)

注意したいのは、ここに挙がった職種でも仕事のすべてが消えるわけではないことです。たとえば事務職なら、入力・転記は減っても、部門間の調整やイレギュラー対応は残ります。「職種が危ない」ではなく「この作業が置き換わる」と読み替えるほうが、現実の変化に合っています。

AIで仕事がなくなるのはいつ?時期の見通しが割れる理由

「10年後になくなる」といった時期の予測は記事によって大きく割れますが、これには理由があります。技術的に可能になることと、実際に職場へ行き渡ることの間には、導入コスト・法制度・現場の運用づくりという時間のかかる段差があるからです。一方で、人手不足が深刻な業界では自動化が前倒しで進むという逆方向の力も働きます。時期を言い当てるより、「自分の業務のどの作業から置き換わるか」の順番を把握しておくほうが、備えとしては確実です。

AIで残る・なくならない仕事|AIが代わりにくい3つの領域

AIが進歩しても代わりにくい仕事には、創造する仕事・人と向き合う仕事・責任を持って判断する仕事という3つの領域があります。いずれも「正解が1つに決まらない」ことが共通点です。

▼ AIが代わりにくい3つの領域と職種例

領域AIが代わりにくい理由職種の例
創造する仕事何を作るべきかという課題設定や、前例のない企画はAIの不得意分野企画職、デザイナー、研究開発、経営者
人と向き合う仕事信頼関係や感情の機微への対応は人にしか担えない営業、カウンセラー、介護・医療、教育
責任を持って判断する仕事結果に責任を負う最終判断は制度上も実務上も人に残る管理職、医師、士業、経理・財務の統制業務

見落とされがちですが、3つ目の「判断」はAIの精度の問題ではありません。AIがどれだけ正確でも、間違えたときに責任を取る主体にはなれないため、お金・健康・法律に関わる最終判断は人の仕事として残り続けます。これは後述する経理職の将来を考えるうえでも核心になる視点です。

もう1つ、これは領域というより働き方ですが、「AIを使いこなす人」も実質的に残る側に入ります。同じ職種でも、AIに定型作業を任せて判断や企画に時間を使える人と、従来どおりの手作業を続ける人とでは、生み出す成果に差が開いていきます。残る仕事に就いているかどうかと同じくらい、いまの仕事でAIを使う側に回れているかが分かれ目になります。

AIが代わりにくい残る仕事の3領域の対比図

AIによって生まれる仕事|新しい職種と役割

過去の技術革新がそうだったように、AIも仕事を減らすだけではありません。AIを作る・導入する・使いこなす・管理するという4つの方向で、新しい仕事がすでに生まれています。

▼ AIによって生まれている仕事の例

方向生まれている仕事内容
AIを作るAIエンジニア、データサイエンティストAIモデルの開発や、データ分析の設計を担う
AIを導入するAI導入コンサルタント、DX推進担当業務のどこにAIを組み込むかを設計し、現場に定着させる
AIを使いこなすプロンプトエンジニア、AI活用の社内講師AIから狙った出力を引き出す指示の設計や、社内教育を担う
AIを支える・管理するアノテーター(学習データ作成)、AIガバナンス担当AIの学習データを整備し、利用ルールやリスク管理を担う

注目したいのは、これらの多くがエンジニア以外にも開かれている点です。AI導入の企画も、プロンプトの設計も、社内へのAI教育も、出発点は「現場の業務を知っていること」。いま現場で働いている人こそ、業務知識×AI活用という組み合わせで新しい役割に移りやすい立場にいます。

歴史を振り返っても、ATMの普及で銀行員が消えたわけではなく、表計算ソフトの登場で経理がいなくなったわけでもありません。定型作業が機械に移るたびに、人の仕事はより判断や対人の比重が高い方向へ組み替わってきました。AIによる変化も、規模こそ大きいものの、この延長線上にあると考えるのが現実的です。

新リース会計基準クイズ

【職種別】AIで仕事はどう変わるかの見通し

「自分の職種はどうなのか」に答えるため、主な職種ごとに置き換わりやすい作業と残る仕事を整理します。どの職種も共通して、定型作業が減り、判断・対人・企画の比重が増す方向に変わります。

▼ 職種別に見るAIによる仕事の変化の見通し

職種置き換わりやすい作業残る・比重が増す仕事
事務職入力・転記・書類整理部門間の調整、例外対応、業務改善の企画
営業職議事録作成、提案資料の下書き、日報顧客との関係構築、提案の最終調整、交渉
経理・財務仕訳入力、突合、定型レポート統制・承認、数字の分析と経営への説明
ITエンジニア定型コードの生成、テストの一部設計、要件定義、AIには書けない部分の判断
クリエイティブ職素材出し、たたき台の量産コンセプト設計、選択と編集、品質の最終判断
医療・介護・教育記録・事務作業、情報整理対人ケア、診断・指導の責任ある判断

こうして並べると、どの職種でも残るのは前章の3領域(創造・対人・判断)に重なることが分かります。職種を変える必要があるかどうかより先に、いまの職種の中で比重が増す側の仕事へ軸足を移せるかを考えるのが、現実的なキャリアの守り方です。

AI時代の仕事に必要なスキル|身につけ方の順番

AI時代への備えは、特別な才能の話ではありません。必要なスキルは①AIを使う力、②人間ならではの力、③掛け合わせる専門性の3層に整理でき、どれも今日から積み上げられます。

▼ AI時代に必要なスキルの3層と身につけ方

スキルの層具体的な中身身につけ方
①AIを使う力プロンプトの書き方、AIツールの選び方、出力を確かめる力日々の業務の1作業(メール下書き、要約など)からAIに任せてみる
②人間ならではの力課題設定、対人コミュニケーション、責任ある判断AIに任せた時間を、調整・企画・判断の仕事に振り向ける
③掛け合わせる専門性自分の業務知識・業界知識×AI活用「自分の業務のどこにAIが効くか」を語れる人材は希少価値が高い
AI時代に必要なスキルの3層構造図

順番のおすすめは①からです。プロンプト(AIへの指示文)の基本を覚えてAIに作業を任せられるようになると、空いた時間で②と③を伸ばす余裕が生まれます。プロンプトは数時間で基礎が身につく、もっとも費用対効果の高い第一歩です。プロンプトの型は関連記事で詳しく解説しています。

関連記事
プロンプトとは?AIへの指示文の意味・書き方の型・コピペで使える例文と経理プロンプト集
プロンプトとは?AIへの指示文の意味・書き方の型・コピペで使える例文と経理プロンプト集

AI時代への備えを今日から始める3ステップ

大げさな学び直しを構える必要はありません。「1つの作業を任せる→出力を直しながら型を覚える→任せる範囲を広げる」の3ステップで、仕事の中でスキルは自然に積み上がります。たとえば最初の一歩は、明日のメールの下書きや会議メモの要約をAIに頼んでみることです。出力に手を入れるうちに、どう指示すれば望む答えが返るかという感覚(プロンプト力)が身につき、気づけば「AIに何を任せ、何を人がやるべきか」を語れる、職場で頼られる側に変わっています。

経理・バックオフィスの仕事はAIでどう変わるか|残る経理スキル

前半で「集計・チェック中心の経理事務」を影響を受けやすい仕事に挙げました。では経理職はなくなるのかといえば、答えは逆です。なくなるのは経理の「作業」であって、経理の「職能」はむしろ価値が上がります

▼ 経理・バックオフィスの仕事のAIによる変化

経理の仕事AIでどうなるか
領収書・請求書の入力、仕訳の転記AI-OCRと経理AIで自動化が進む。人が打ち込む仕事は減っていく
申請内容のチェック、規程との突合AIが規程を参照して一次チェックする段階に入り、人は例外対応に集中
月次の集計・レポート作成データ集計はAIが下書きし、人は数字の意味づけと説明を担う
不正・誤りの統制、最終承認会社のお金に責任を持つ判断は人に残る。むしろ統制設計の重要度が増す
経営への分析・提言自動化で生まれた時間の使い道。経理が事業に踏み込む余地が広がる

実際に自動化はすでに実務の水準にあります。TOKIUM経費精算は、これまで約8,000名のオペレーターによる独自のオペレーション基盤で、高い精度の証憑データ化を続けてきました。加えて2026年4月14日のアップデートで、AI-OCR(画像から文字を自動で読み取る技術)による即時のデータ化を新たに選択できるようになりました。証憑をアップロードするとその場でデータ化が完了します(iOS版アプリで先行提供、Android版は同年5月提供予定)。 出典:株式会社TOKIUM プレスリリース(2026年4月14日)(最終確認日:2026年8月14日)

つまり経理職の将来は、入力・転記のスピードを競う方向にはありません。残るのは、自動化されたデータを読んで判断する力、規程や統制を設計する力、経営に数字で語る力です。これらは前述の「残る仕事の3領域」のうち、責任ある判断と創造(課題設定)にまっすぐ重なります。

これからの経理人材像を一言でいえば、「処理する人」から「しくみを設計し、数字を語る人」への移行です。月次の締めに追われていた時間が自動化で空けば、原価や経費の傾向分析、規程の見直し、事業部門への助言といった、これまで手が回らなかった仕事に踏み込めます。AIの導入が進んだ職場ほど、こうした役割を担える経理担当者の存在感は増しています。

経理の仕事はAIでどう変わるか業務対比図

「AIに取られる側」ではなく「AIを使う側」に回る

変化への最善の備えは、自分の業務でAIを先に使い始めることです。経理・バックオフィスなら、AIで何がどこまで自動化できるかを知っている人が、社内のAI活用をリードする立場になります。業務の自動化の全体像と、AIへの指示の出し方は、次の関連記事から始めるのが近道です。

関連記事
AIによる業務自動化とは|RPA・チャットボットとの違い・事例・進め方から経理活用まで
AIによる業務自動化とは|RPA・チャットボットとの違い・事例・進め方から経理活用まで
関連記事
経理業務はAIでどこまで自動化できる?活用例8選と導入の始め方
経理業務はAIでどこまで自動化できる?活用例8選と導入の始め方
新リース会計基準クイズ

AIと仕事に関するよくある質問

AIでなくなる仕事にはどんなものがありますか?

データ入力や転記、定型的な問い合わせ対応、レジ・受付など、手順が決まっていて繰り返しの多い作業を中心とする仕事が影響を受けやすいとされています。ただし職種が丸ごと消えるより、仕事の中の定型作業から置き換わる形で進みます。

AIに奪われない仕事の特徴は何ですか?

正解が1つに決まらない仕事です。具体的には、課題を設定して新しいものを生み出す創造の仕事、信頼関係や感情に向き合う対人の仕事、結果に責任を負う判断の仕事の3領域は、AIでは代わりにくいとされています。

AIによって生まれる仕事には何がありますか?

AIエンジニアやデータサイエンティストのような開発職に加え、AI導入コンサルタント、プロンプトエンジニア、学習データを整備するアノテーター、AIの利用ルールを管理するガバナンス担当などが生まれています。現場の業務知識を起点に移れる役割も多くあります。

AI時代に必要なスキルは何ですか?

AIを使う力(プロンプト・ツール選定・出力の検証)、人間ならではの力(課題設定・対人・判断)、そして自分の業務知識との掛け合わせの3層です。まずはプロンプトの基本を覚え、日々の業務の1作業をAIに任せることから始めるのが効果的です。

AIに仕事を奪われないか不安です。何から始めればいいですか?

自分の業務でAIを先に使い始めることがもっとも確実な備えです。定型作業をAIに任せて、判断・調整・企画といった人に残る仕事へ軸足を移しながら、業務知識とAI活用力の掛け合わせで希少性を高めていきましょう。

事務職や経理の仕事はAIでなくなりますか?

入力・転記・突合といった定型作業は自動化が進みますが、職種が消えるわけではありません。例外対応や統制、数字の分析・説明といった判断の仕事は人に残り、自動化を使いこなす人材の価値はむしろ高まります。

まとめ|AIで仕事は「なくなる」より「組み替わる」。使う側に回る人から変化は味方になる

AIによる仕事の変化は、職業が丸ごと消えるのではなく、定型的な作業から置き換わり、人の時間が創造・対人・判断へ寄っていく組み替えとして進んでいます。影響を受けやすいのは手順が決まった繰り返しの作業であり、課題を設定する力、人と向き合う力、責任を持って判断する力は、これからも人の仕事の中心であり続けます。

備えの第一歩は、AIを恐れることでも無視することでもなく、自分の業務で先に使ってみることです。プロンプトの基本を覚えて1つの作業を任せるところから始めれば、「取られる側」の不安は「使う側」の手応えに変わっていきます。経理・バックオフィスの方は、自動化の全体像と残る職能を押さえたうえで、社内のAI活用をリードする側に回ってください。

DOCUMENT
もっと役立つ情報を
知りたい方はこちら
経理AIエージェント「TOKIUM」サービス紹介資料
経費精算システム選び方ガイド

関連記事