経理DX促進

経理業務はAIでどこまで自動化できる?活用例8選と導入の始め方

更新日:2026.06.11

この記事は約 7 分で読めます。

RPA,AI,経理

経理業務は、AIによって請求書・領収書の読み取り、明細入力、仕訳候補の作成、経費申請のチェック、問い合わせ対応などを自動化できます。ただし、会計処理の最終判断、例外対応、承認責任、内部統制や監査対応までAIに任せきることはできません。

経理部門でAIを活用する際は、まず「AIに任せやすい業務」と「人が確認すべき業務」を分けて整理することが重要です。処理件数が多く、ルール化しやすく、確認作業に時間がかかっている業務から導入すると、効果を実感しやすくなります。

経理AIの基本的な仕組みや導入手順は、このあと業務別にくわしく解説していきます。

経理業務AIで自動化しやすいこと人が確認すべきこと導入優先度
請求書処理請求書の読み取り、支払情報の入力、発注・納品データとの照合支払可否の判断、例外処理、承認、証跡管理
経費精算領収書の読み取り、規程違反の検知、重複申請のチェックグレーゾーンの判断、差し戻し内容、最終承認
仕訳入力過去データに基づく勘定科目・税区分の候補提示会計処理の妥当性、例外取引、最終確定中〜高
問い合わせ対応経費規程や申請方法に関する一次回答例外回答、規程改定時の更新、担当者への引き継ぎ
月次決算補助未処理データの抽出、異常値の検知、確認対象の洗い出し決算数値の妥当性確認、修正判断、経営報告

経理AIの台頭と、これからの経理業務

経理AIの登場で変わるのは、仕事の有無ではなく経理の役割です。定型作業はAIが引き受け、人は数字を読み解いて経営に活かす側へと移っていきます。

経理の仕事はAIでなくなる?──なくなる業務・残る業務

結論から言うと、経理の仕事はなくなりません。今期の費用はこれくらい、売上はこれくらい、そして将来の見込みは、流行りは、環境は……。経営は一筋縄ではありません。AIでデータを機械的に集めても、そのデータを分析し、判断ができるパーソンがいなくてはデータの価値はまったくないに等しいのです。

ただし、経理の役割は今後大きく変化します。
これまで経理担当者の多くの時間を占めてきた記帳や仕訳処理のような定型作業は、AIによって自動化が進んでいきます。その結果として、経理担当者は、定型作業から解放され、より経営の意思決定に関わるような付加価値の高い業務を遂行する能力が求められるようになります。

これからの経理に求められる“人間のコアスキル”

AIが定型業務を担うようになるほど、人にしかできない力の価値が高まります。具体的には、財務データを読み解く分析力、数字をもとに経営に提言する力、社内外との調整・コミュニケーション力、そしてAIを使いこなすITリテラシーです。これらは今後の経理担当者にとって中核となるスキルといえます。たとえば、売上や原価の実態を把握して経営に提言したり、部署や担当ごとの負担の偏りに気づいて改善を促したりといった動きが、人にしかできない価値になります。

例えば、常に最新の財務状況をダッシュボードなどで可視化し、経営陣が勘や経験だけに頼らない、データに基づいた迅速な意思決定を下せるよう支援します。さらに、AIによる高精度な未来予測(フォーキャスティング)を活用することで、資金繰りの計画や先行投資の判断をより精度の高いものにしていくことなどが挙げられます。

したがって、経理の仕事そのものはなくなりませんが、求められる経理としてのスキルセットや役割が大きく変化し、定型業務そのもののスキルだけでなく、経営視点を持ってデータを分析していく能力や立ち回りが必要になってくるといえるでしょう。

関連記事
経理の仕事はAIでなくなる?なくなる業務・残る業務と今からできる対策
経理の仕事はAIでなくなる?なくなる業務・残る業務と今からできる対策

経理業務でAIができること・できないこと

AIは必ずしも万能というわけではなく、得意としている業務と得意としていない業務があります。AIそのものの特性を正しく理解し、人間とAIの役割分担を明確にすることが重要です。

経理業務でAIができること・できないこと

AIができること

AIでは、ルールが明確で繰り返し発生する定型業務や、大量のデータを扱う業務を処理することを得意としています。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • データの読み取りと入力:AI-OCRの技術を使用した、請求書や領収書の文字情報の読み取り
  • 仕訳・分類:過去の取引パターンに基づいた、勘定科目の提案
  • 照合・突合(マッチング):入金データと請求データの照合
  • 異常検知:経費規定違反などの検知
  • 大量データ処理:財務データの集計・可視化

AIができないこと

一方で、AIは前例のないイレギュラーな対応や、状況に応じた柔軟な判断、そして人間同士のコミュニケーションなどが必要な業務はAIが苦手としています。例えば、以下のようなものが挙げられます。

  • 前例のない取引への対応:初めて発生した取引における会計処理の判断
  • 複雑な会計基準の解釈:新しい会計基準の適用や、解釈が別れる高度な会計判断
  • 交渉・調整業務:監査法人との協議や関連部署の承認作業に関わるコミュニケーション
  • 経営戦略に関する意思決定:財務分析の結果を基にした、事業の将来性を見据えた経営判断や戦略の提言

【注目】経理AIエージェントで「実行まで自動化」が可能に

AIができること、できないことをご紹介してきましたが、2025年では、目的の達成のために自律的に判断・実行できる「AIエージェント」が登場し、AIと人間の役割分担は固定的なものではなく、テクノロジーの進化がその境界線を大きく塗り替えようとしています。

その中心にいるのが、自律的に業務を遂行する「経理AIエージェント」です。

これは、単なる効率化ツールではありません。経理AIエージェントはAI-OCRや機械学習などを組み合わせ、自ら判断し業務を遂行する「頭脳」を持ったデジタル労働力と言えます。

経理AIエージェントの本質は、複数のツールをシームレスに連携させ、一連の業務フローを自律的に実行できる点にあります。例えば、以下のような動きが可能です。

  • メールで受信したPDFの請求書をAI-OCRで自動的にデータ化し、過去の取引履歴から勘定科目を推測。
  • Slackで担当者に承認を依頼し、承認されれば会計ソフトへ自動で仕訳を登録。
  • 支払期日が近づけば、担当者にリマインドを送り、支払準備までを支援する。

このように、これまで人間の担当者が行っていたツール間の橋渡しや細かな判断を、AIエージェントが代行します。

ただし、AIは完璧ではありません。そこで重要になるのが、AIの自動処理に人間の確認・判断を組み込む「ヒューマンインザループ」という考え方です。AIと人間が互いの長所を活かし、短所を補い合う協働関係を築くことで、経理担当者は単純な「作業者」から、AIを管理し、経営戦略を支援する「AI管理者」や「ビジネスパートナー」へと、その役割を進化させていくことができるのです。

経理AIエージェントについて詳しくはこちらをご覧ください。

関連記事
経理AIエージェントとは?活用シーンや導入ステップを徹底解説
経理AIエージェントとは?活用シーンや導入ステップを徹底解説

また、PIVOTにて「経理AIエージェント元年」をご紹介しています。動画で学びたい方はこちらをご覧ください。

経理業務にAIを導入するメリット

経理AIを導入すると、これまで人手に頼っていた定型業務を自動化でき、経理部門全体の生産性を高められます。ここでは代表的な4つのメリットを紹介します。

業務効率化と人件費・コストの削減

請求書の読み取りや仕訳入力といった反復作業をAIが担うことで、担当者は確認・判断に集中できます。処理スピードが上がり、残業時間や外部委託コストの削減につながります。

ヒューマンエラーの削減

手入力や転記で起こりがちな金額違いや勘定科目の誤りを、AIの自動チェックで未然に防ぎます。一定の品質を保ちやすくなり、後工程での差し戻しも減ります。

月次決算の早期化とリアルタイムな経営の見える化

データがリアルタイムに集計・可視化されるため、月次決算を早め、経営陣がスピーディーに意思決定できる状態を支えます。

属人化の解消と業務の標準化

ベテラン担当者の経験に依存していた処理をルール化・自動化することで、特定の人に業務が偏る“属人化”を防ぎ、引き継ぎや内部統制を行いやすくします。

経理業務にAIを導入する際の注意点

一方で、経理AIには導入前に押さえておきたい注意点もあります。メリットと併せて理解し、自社に合った形で活用することが重要です。

導入・運用にコストと体制づくりが必要

ツールの利用料に加え、既存の業務フローやデータの整備が必要です。導入後も精度を保つための運用体制づくりが欠かせません。

すべての業務を任せきることはできない

前例のない取引の判断や、最終的な承認・責任は人が担う必要があります。AIはあくまで人を支援する役割であることを前提に設計します。

セキュリティ・ブラックボックス化・過信のリスク

機密情報や個人情報を扱うため、権限管理やログ管理が重要です。また、AIの判断根拠が見えにくくなる“ブラックボックス化”や、結果を過信するリスクにも注意し、人によるチェック体制を整えておく必要があります。

こうした注意点は、使うサービス次第で抑えられます。TOKIUMなら、初期設定や運用の立ち上げをサポートし、日々の入力はオペレーターが代行するため、専任体制を一から組まなくても始められます。読み取りと入力はAIとオペレーターの二段構えで行い、最終確認は人が担う設計です。権限管理や操作ログ、内部統制にも配慮しているため、AIだけに任せきれない品質面や、ブラックボックス化・過信のリスクを抑えながら導入を進められます。

3分で分かる!TOKIUM

経理AIの導入ステップと進め方

経理AIを導入する際は、いきなり全業務の自動化を目指すのではなく、請求書処理や経費精算、仕訳入力など、件数が多くルール化しやすい業務から段階的に始めることが重要です。AIに任せる範囲と人が確認・判断する範囲を分けながら進めることで、無理なく現場に定着させやすくなります。

導入を成功させる5つのステップ

具体的には、次の5つのステップで進めます。①目的と課題の明確化 → ②自動化する業務範囲の決定 → ③ツールの選定 → ④小さく試す(PoC) → ⑤効果測定と改善、の順です。

スモールスタートで身近な業務から始める

まずは交通費や経費の精算、伝票のデータ化など、毎日発生して手間のかかる業務をスマートフォンやスキャンで電子化することから始めます。慣れてきたら売上や原価、経費の集計へ範囲を広げ、最後は部署や担当ごとの状況まで見えるようにすると、経営に活かせるデータがそろっていきます。

経理業務においてのAIの活用例8選

それでは、具体的にどのような経理業務でAIが活用できるのでしょうか。ここでは、実際の活用例を8つ紹介します。

請求書・領収書のデータ化(AI-OCR)

紙やPDFで受け取った請求書・領収書をスキャンまたはアップロードするだけで、AI-OCRが取引先名、日付、金額、品目といった情報を高精度に読み取り、テキストデータに変換します。これにより、これまで経理担当者が一件ずつ手入力していた作業が不要になり、入力ミスや転記漏れといったヒューマンエラーを大幅に削減できます。

仕訳の自動提案

データ化された情報や、銀行の入出金明細などを基に、AIが過去の仕訳パターンを学習します。そして、取引内容から最適な勘定科目を自動で推測し、「これは通信費」「これは交際費」といった形で仕訳を提案します。担当者はAIが提案した内容を確認・承認するだけで済むため、仕訳作業にかかる時間が大幅に短縮され、経理知識が浅い担当者でも一定の品質を担保できます。

出張手配と事前申請作成の自動化

従業員がチャットで「大阪出張 1泊2日」といった形で自然言語で依頼するだけで、AIエージェントが自律的に動き出します。社内規程を読み込み、最適な交通経路や宿泊先を複数の予約サイトから横断的に検索して提案。日当や手当も自動で計算し、出張申請書を完成させます。担当者は内容を確認してボタンを押すだけで、面倒な手配・申請業務から解放されます。

経費承認の一次承認

申請が承認者に届く前の段階で、これらの確認作業をすべて代行します。申請内容を社内規程や過去の承認履歴と照合し、不備や規定違反があれば自動で申請者に差し戻し。これにより、承認者は形式的な確認作業から解放され、「この経費は本当に事業に必要なのか」といった、より本質的な判断に集中できるようになります。

社内規程に関する問い合わせ対応の自動化

AIチャットボットが、従業員からの経費精算に関する問い合わせに24時間365日対応します。AIはWordやPDFなど様々な形式で保管されている社内規程を学習し、質問に対して規程の根拠(エビデンス)を示しながら即座に回答。経理担当者が問い合わせ対応に追われる時間をなくし、本来のコア業務に集中できる環境を作ります。

請求書処理の自動化

メールなどで請求書を受信すると、AIが自動で内容をデータ化。さらに、システム内の発注データや納品データと照合し、内容の正確性を確認します。情報に不一致がなければ、会計ソフトへの記帳から支払データの作成までをシームレスに実行。担当者が介在するのは最終確認のみとなり、請求書処理業務を大きく効率化します。

異常値検知による不正・ミスの早期発見

膨大な仕訳データの中から「通常とは異なるパターン」を学習し、異常な取引を検知します。「過去の取引と比べて金額が極端に大きい」「通常発生しない勘定科目が使われている」といった取引に自動でフラグを立て、担当者に警告。これにより、不正やミスの兆候を早期に発見し、問題が大きくなる前に対処することが可能になります。

AIによる経費の全件監査

提出された全経費データを対象に、多角的な監査を自動で行います。社内規程と全データを照合し、「上限額を超えた接待交際費」「規定ルート外のタクシー利用」といった規程違反を自動でリストアップ。監査担当者は、AIが抽出した疑わしい項目に集中してレビューすれば良くなるため、監査の精度と効率を飛躍的に向上させ、内部統制を強化します。

このように、これまで担当者自身で調べたり確認が必要な作業やルーティンワークとなるような定型業務もAIを活用することで、大幅に自動化・効率化を実現することが可能になるといえるでしょう。

なお、TOKIUMでは、活用例でご紹介した業務の自動化をサービスとしてご提供しています。

ご興味のある方はぜひご覧ください。

経理AIエージェントの概要資料ご案内

経理AIの導入事例

経理AIの導入事例として、仕訳・請求書処理・経費精算という、AIが力を発揮しやすい3つの領域で成果が出た企業を紹介します。いずれもTOKIUMを使って、手作業と確認の負担を大きく減らしています。

仕訳入力の自動化で年間80時間を削減

製造業の幸袋テクノ様では、AIによる明細入力を取り入れ、仕訳入力にかかっていた工数を年間80時間以上減らしました。あわせて請求書処理のフローを組み直し、誰が何を確認するかを明確にしたことで、ガバナンスの強化にもつなげています。

出典:TOKIUM導入事例(株式会社幸袋テクノ様)(最終確認日:2026年6月10日)

請求書明細のデータ化で月200時間の手作業をゼロに

商社のENEOSトレーディング様では、毎月およそ3,000行にのぼる請求書明細をデータ化し、月200時間かかっていた手作業をゼロにしました。AI-OCRと入力代行で読み取りから入力までを任せ、担当者は内容の確認に集中できる体制へ変わっています。

出典:TOKIUM導入事例(ENEOSトレーディング株式会社様)(最終確認日:2026年6月10日)

経費精算の見直しで全社年間15,000時間を削減 

小売の神奈川トヨタ自動車様では、会社統合を機に経費精算の進め方を見直し、全社で年間15,000時間を削減しました。基幹システムとの連携まで含めて業務をつなぎ直したことで、精算のたびに発生していた手作業と差し戻しのやり取りが大きく減っています。

出典:TOKIUM導入事例(神奈川トヨタ自動車株式会社様) (最終確認日:2026年6月10日)

こうした成果は、AI-OCRと入力代行を組み合わせたTOKIUMの仕組みによるものです。自社の経理業務でどこまで自動化できるかは、お気軽にご相談ください。

まとめ

本記事では、経理業務におけるAIの活用方法と今後の役割について解説しました。

AIを活用することで、請求書処理や経費精算などの定型業務を大幅に効率化できます。特に経理AIエージェントは、データ化から実行までを自律的に行う「デジタル労働力」として注目されています。

ただし、経理の仕事はなくなりません。AIが単純作業を担い、人間は判断・分析・提案といった付加価値の高い業務にシフトします。AIと人間が協働することで、経理は企業成長を牽引する戦略的パートナーへと進化していくことになるでしょう。 

経理AIエージェントの利用申し込み

FAQ

経理業務はAIでどこまで自動化できますか?

請求書や領収書の読み取り、明細入力、仕訳候補の作成、経費申請のチェック、問い合わせ対応などはAIで自動化しやすい業務です。一方で、会計処理の最終判断、例外対応、承認責任、内部統制や監査対応は人が確認する必要があります。

経理の仕事はAIでなくなりますか?

経理の仕事がすべてなくなるわけではありません。AIによって減りやすいのは、入力・転記・照合などの定型作業です。今後は、AIの出力を確認し、例外を判断し、経営に必要な情報を整理する役割がより重要になります。

経理AIはどの業務から導入すべきですか?

まずは、処理件数が多く、ルール化しやすく、確認作業に時間がかかっている業務から始めるのがおすすめです。具体的には、請求書処理、経費精算、明細入力、仕訳候補の作成などが導入しやすい領域です。

AIとRPAは経理業務でどう違いますか?

RPAは、決められた手順を自動で実行する仕組みで、転記やファイル連携などの定型作業に向いています。一方、AIは過去データやルールをもとに、読み取り、分類、推定、異常検知などを行える点が特徴です。実務では、RPAとAIを組み合わせることで、より広い範囲の業務を効率化できます。

経理AIを導入する際の注意点は何ですか?

AIに任せる範囲と、人が確認する範囲を明確にすることが重要です。また、機密情報や個人情報の取り扱い、権限管理、ログ管理、誤判定時の確認フロー、監査証跡の保存方法もあらかじめ決めておく必要があります。

DOCUMENT
もっと役立つ情報を
知りたい方はこちら
経理AIエージェント「TOKIUM」がすぐわかる 3点セット
支出管理プラットフォームTOKIUM「導入事例集」
経理AIエージェント「TOKIUM」導入事例集

関連記事