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旅費交通費と交通費の用語解説|勘定科目に該当する経費を解説

更新日:2023.05.17

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空港を歩くビジネスマン

旅費交通費と交通費はなにを基準に判断するのでしょうか。
同じ精算伝票を使っているし、会社によっては勘定科目も同じ場合があります。
しかし、旅費規程が制定されていれば、規程にもとづいて支払った金額は領収証のチェックは不要です。
また、支払った日当が給与とみなされないため、所得税非課税であるなど日常業務のこまごましたところに影響がでます。
法人税の計算や、社員の年末調整の計算にも影響します。

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私も長年経理担当をしていますが精算伝票のチェックは作業量も多く大変です。旅費交通費か交通費かが判断できれば多少なりとも確認項目が減り作業は楽になります。
旅費交通費と交通費もしくは他の勘定科目で処理する場合に該当するものと、税金計算で注意すべき点を例にあげながら詳しくご説明します。

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旅費交通費と交通費の違いは?

旅費交通費と交通費は日常の経費精算業務では混同されがちです。しかし、明確な違いがあります。
ずばり旅費交通費と交通費の違いは本来所属している本務勤務地での業務が交通費、それ以外の場所での業務が旅費交通費です。
同じ精算内容でも、業務目的により旅費交通費と交通費もしくは他の勘定科目で処理することになります。科目によっては法人税の計算や社員の所得税に影響しますので正しい処理をしなければなりません。

1. 旅費交通費とは

旅費交通費とは、会社の業務上の命令で通常の勤務地以外の場所へ向かうための交通費とその業務に必要な経費をいいます。
遠隔地に出張した場合に旅費規程にもとづき支給される出張旅費はこれにあたります。移動のための交通費、宿泊費のほか日当(出張手当)なども含みます。
旅費に勤務地以外で活動する交通費を加えたもの「旅費交通費=旅費+出張中の交通費」と考えるとイメージしやすいです。
旅費については会社の旅費規程に定義されています。そのため会社により、どこまで該当するかまちまちです。一般的に旅費規程に基づいて支給される費用はすべてが旅費となります。
(例)旅費規程の「旅費の種類」の条項が次のようになっていれば、1~3の費用はすべて旅費と認識します。
—————————————-
○○条 旅費の種類
旅費は以下の3種類とする。
1. 出張旅費
2. 海外旅費
3. 赴任旅費
—————————————-

2. 交通費とは

交通費とは、会社の業務上の命令で通常の勤務地から客先などへ向かうための交通費をいいます。社用車の客先訪問中の駐車場料金もこれにあたります。
会社によっては通勤費を単独の勘定科目で処理している場合もあります。これは、通勤費の一部が所得税の課税対象になることがあるためです。今回は通常の勤務地に通勤するために必要な「交通費」としてご説明します。

旅費交通費に該当するもの

旅費交通費は通常の勤務地以外に行く交通費だけでなく必要な経費も含みます。旅費交通費の主なものは1.~5.のようなものです。
また、長期出張や遠方への出張の場合、「仮払金」として一定の現金を事前に社員に渡しておくことがあります。その場合の現金は、社員へ支払った時は「仮払金」の勘定科目で処理して、出張が終わって精算した時に「旅費交通費」へ振替して処理します。

1. 公共交通機関などの出張交通費

業務上必要な出張の交通費は旅費交通費です。会社の旅費規程をもとに支払われる出張に係る交通費と出張先での活動費と考えればイメージしやすいです。
(例)飛行機代、新幹線・電車・バスなどの公共交通機関の料金、有料道路通行料金、タクシー代など

2. 宿泊費

業務上必要な出張の宿泊費のことです。領収書をもとに精算したものだけでなく、旅費規程をもとに支払われる定額も該当します。旅費規程が制定されていない場合に定額で精算すると個人の所得となりますので注意してください。
(例)宿泊したホテル代のほかに規程をもとに支払われる一定額

3. 旅費交通費にできる日当や食事代とは?

旅費規程には、出張に対して日当(出張手当)や昼食代等の食事代・食費を定額で支払う条項が定められている場合があります。その条項にもとづいて支払った金額は旅費交通費となります。旅費規程が制定されていない場合の日当や食事代は、所得となり所得税が課税されます。
日当の支払基準は距離と宿泊実態で決めている会社が多いと思います。「宿泊日数に乗じて日当を支払う」とか「100km以上の出張には日当を支給する」などです。
(例)日当(出張手当)・昼食代等の食事代・食費

4. 海外出張

海外への出張も旅費交通費で処理します。ただし、出張旅費、宿泊費、日当は原則として海外で使用した分は課税仕入れになりません。消費税は国内だけですから、国内分は課税、海外分は非課税で分けて処理します。
海外出張規程などが単独で制定されている場合は、その規程に沿って定額で支払う海外出張支度金なども旅費交通費で処理します。
(例)飛行機代、ホテル代、食事代(1日5,000円など規程で決められている額)

5. 赴任旅費

転勤のための赴任にかかる旅費も旅費交通費で処理します。赴任手当や荷造運送費も含めます。規程で定めることにより、赴任に帯同する家族の交通費や宿泊費も旅費交通費として処理することができます。また、事前に社宅などの選定のため赴任地におもむく社員・配偶者の交通費・宿泊費も含めることができます。
赴任費用は業務の遂行に必要なものではありませんので仕入税額控除の対象外です。
単身赴任者が家族のもとへ帰る帰省旅費(帰郷旅費)は所得税の課税対象です。確定申告で給与所得者の特定支出控除を申告すれば「特定支出控除額の適用判定の基準となる金額」を超える部分の金額を給与所得控除後の所得金額から差し引くことができる制度があります。

参考:国税庁「給与所得者の特定支出控除」

交通費に該当するもの

交通費は通常の勤務地から取引先へ行くなどの近距離の移動にかかった費用のことです。主に1.~4.のようなものです。交通費のなかにも所得税が課税されるものがありますので注意しましょう。

1. 電車・バス・タクシー代

電車・バス・タクシー代など通常の日常的な交通費です。経理担当が扱う伝票の多くは、この交通費の精算ではないでしょうか。実費を精算しますので精算ルートの確認など経理担当の業務負担が大きく、精算する社員の事務負担も大きい部分です。

近年多くの企業では、経費精算システムを使って勘定科目の設定が簡略化されています。申請から承認までをスマートフォンで完結できる「TOKIUM経費精算」では、勘定科目を従業員が理解しやすい言葉に置き換えて設定することができます。

従業員はわかりやすくなった科目名を選んで申請できるため、経理担当者の確認時において勘定科目の訂正が不要になります。また、会計システムにデータを連携する際には、正規の勘定科目名やコード情報を出力できるので、データの加工や修正に手間がかからない点も安心です。

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2. 駐車場料金

外出先のコインパーキングなどの有料駐車場利用料が該当します。月極の駐車場代は地代家賃となり、勘定科目が違いますので注意してください。
例えば営業活動のため、最寄り駅前の駐車場を利用する場合でも、1日だけなら交通費月極で借りるなら地代家賃ということです。

3. 高速道路など有料道路料金

有料道路料金は交通費です。利用した分だけを実費精算します。ただし、遠方への出張に社用車で行った場合の有料道路料金は旅費交通費となります。あくまでも、通常の勤務地を拠点に移動した場合です。

4. 通勤費

国税庁:通勤費の非課税限度額

通勤費とは通常の勤務地へ通勤するための費用です。自宅から出張先へ直行する時の交通費は旅費交通費です。
定期代を支給している場合も、定期券を現物支給している場合も、通勤のために通常必要とする範囲内のものは全額が課税仕入れになります。
通勤費は所得税法上では非課税とされる金額に上限があります。非課税となる部分は通勤距離や限度額などで定められています。それを超えた部分は所得税の課税対象です。平成28年の税改正で非課税額が変更していますので確認してください。
出典:国税庁「通勤費の非課税限度額

全社員に通勤費を一律支給している会社もあります。その場合は、徒歩通勤者に支給されている通勤費は給与とみなされ全額が所得税の課税対象となります。
旅費交通費は全額が非課税になりますので、通勤費と交通費・旅費交通費を混同せず、きちんと分けて管理・支給することが大切です。

同じ移動でも目的により勘定科目が違います

同じ場所に行くための交通費でも「旅費交通費」「交通費」以外に次のような勘定科目で処理する場合があります。
内容的に交際費のものを交通費で処理すると法人税の計算に影響してきます。処理する時は使用目的を確認して処理する勘定科目を選択するようにしてください。
決算時に税計算のため勘定科目の誤使用の確認しますので、日常から正しい勘定科目で処理するように気を付けてください。

使用目的処理する勘定科目
取引先を接待するためのタクシー代交際費
不特定多数の一般消費者を招待するための旅費広告宣伝費
業界団体など親睦目的の会へ参加するための旅費や交通費交際費
社員旅行福利厚生費
研修のための交通費や宿泊費研修費

まとめ

旅費交通費と交通費は会社によりあつかいを分けていないかもしれません。しかし、処理する勘定科目により会社の法人税計算に影響がでます。また、社員の給与所得となるものもあり、判断をあやまると年末に行う年末調整の所得税計算の結果がかわってきます。そういったことを踏まえて日常の精算を行いましょう。

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