・貴社の事業内容について教えてください
当社は関東広域圏を放送対象地域としてテレビ放送を行う特定地上基幹放送事業者です。1952年に放送免許を獲得し、その翌年に日本国内で最初に開局した民放テレビ局です。主に放送法による基幹放送事業及び一般放送事業、メディア事業、その他放送に関連する事業を展開しています。当社は今年が開局70周年となり、「テレビを超えろ、ボーダーを超えろ。」をスローガンとし、HuluやTVerなど様々なプラットフォームに最適なコンテンツ制作を行い、「感動×信頼のNo.1企業」を目指しています。
・TOKIUM経費精算とTOKIUMインボイスの両方を導入していただいていますが、まずは経費精算業務での申請者の業務負担について教えてください
番組制作や取材などで、社外に出る社員・協力スタッフがたくさんいます。例えば報道記者は記者クラブが実質的な職場となっていてオフィスに出社する必要はありません。しかし、経費精算業務は社内でしか行えず、社外からオフィスに戻ってくる必要がありました。また、申請者は会計システムで出力した伝票に領収書を貼り付ける作業があり、こちらも手間となっていました。公共交通機関(電車・バス)を利用した際の交通費精算は、申請者がわざわざ運賃を調べ会計システムに入力していました。
・承認者にはどのような業務負担がありましたか?
申請者と同じように、承認者や経理担当者も出社して経費の承認作業等をする必要がありました。当社は承認の階層が多くなるケースや、複雑になるケースもあります。紙で申請書を回覧していた当時は押印による承認でしたので、押印が済んだら次の承認者に申請書を渡していました。そのため、回覧が終わるまでにかなりの時間がかかっており、さらに物理的に申請書が移動するので紛失や滞留のリスクも存在しました。さらに、申請者は外出していることが多いので、申請書の差戻しが発生した際に、迅速に対応が進まないことも起きていました。
・他にも業務負担になっていたことはありましたか?
紙の伝票を整理整頓して保管する業務も非常に負担となっていました。一見、簡単そうに見えますが大量の伝票を順番に並べ替えファイリングし、その後、倉庫に保管するために経理局のある31階から地下4階まで運ばなければなりません。単純な作業にも関わらず、業務時間を奪われていました。
・プロジェクトで目指した理想の経費精算業務について教えてください
導入当時は社内的に働き方改革の機運もあり、各部署で働き方改革の施策を推進していたので、経理部でも以前から課題意識があった経費精算の業務改革に取り組みたいと考えていました。経費精算システム導入に向けてプロジェクトを立ち上げ、現場社員と経理担当者双方にメリットがあるシステムを探しました。
選定にあたってこだわった事は、「時間と場所にとらわれずに作業できること」「スマホで経費精算ができること」「精度の高い自動入力機能があること」でした。また、重複申請や不正利用のリスクを鑑みると、データと原本の突合・保管は必須であり、保管作業の効率化も重要な要件となりました。
・TOKIUM経費精算の導入に至った理由について教えてください
TOKIUM経費精算はこの業務効率とガバナンスの両立ができるシステムでした。スマホで領収書の写真を撮影して、経費精算を行うことができます。そして、アップロードされた領収書はオペレーターの入力代行によって自動入力されます。これは申請者の入力の手間を省きながら高いデータ化精度を担保できるものでした。また、領収書原本はTOKIUM側で保管され、申請データと原本の突合まで行ってくれます。
経費精算をスマホで時間と場所にとらわれずに行うことができ、自動入力機能で入力の手間を省けます。そして、原本の突合・保管まで行ってくれることは、現場の社員、経理担当者の業務負担を大きく軽減すると考え選定いたしました。
・TOKIUM経費精算の承認フローはどの点がよかったでしょうか?
当社の承認階層が多いフローに対応できたことです。他のベンダーでは承認者を減らしてくださいという運用提案からはじまりましたが、TOKIUMでは当社の運用をほとんど変えずに承認フローを反映できたことは大変助かりました。
さらに、複雑でパターンの多い承認フローへの対応もできました。一般の経費と番組の経費で承認ルートが異なりますが、一般経費は自部署の上長へ、番組経費は番組ごとにプロデューサーなど制作側へと自動的に承認フローを分岐させることができます。また、同一の経費科目であっても、部署やプロジェクトごとに、会計システムの勘定科目(間接経費や一般管理費・販売管理費など)を自動設定する事ができ、会計システムとの連携をスムーズに行う事ができました。
・TOKIUM経費精算の効果について教えてください
電子申請・電子承認により、出社しなくとも自宅や外出先で作業できるようになり、時間や場所に縛られず作業できるようになりました。自動入力の精度や二重計上の検知の精度が高く、入力ミスの削減と共に、承認者によるチェック作業の軽減を実現できました。
・突合・保管サービスの効果はありましたか
この作業は自社で行っていましたが、導入後は自社で突合や保管を行う必要がなくなり、作業の省力化となりました。
・次に請求書支払業務について教えてください
経費精算業務のペーパーレス化をTOKIUM経費精算で実現できた一方、請求書業務については紙を主体とした業務でした。当社においては、2023年1月より請求書支払業務を電子化するにあたり、紙の請求書の電子化(PDF化)は大きな課題でした。従業員の負担軽減やスキャン品質の保持を実現するため、紙で受領した請求書に関しては、経理で一括回収し、請求書をPDF化する事にしました。ここで課題となったのが、PDF化した請求書を申請者に受け渡す方法でした。メールで受け渡すと、他のメールに混ざってしまい受領した申請者が見落としてしまう事が懸念されます。また、経理部側で送信後の処理状況を把握できないため、請求書の支払処理が遅延する可能性が高まってしまいます。これが締日の作業を圧迫する要因にもなりかねませんでした。
・TOKIUMインボイスの導入に至った理由を教えてください
TOKIUMインボイスを導入した大きな決め手は、申請者がTOKIUMインボイスのシステム内で請求書を管理できる事と、受け渡しフローに関する機能です。請求書がデータ化されたのちに、TOKIUMインボイス上で請求書の受け渡しを一気通貫で実現できます。TOKIUMインボイスで受け渡しフローを電子化できれば、どこで受け渡しが滞っているのかわかるようになりますので支払遅延のリスクを回避できます。また、先んじて導入していたTOKIUM経費精算と同一画面で扱えるシステムであり操作感も似ていたので使いやすいというのも理由の一つです。
・請求書の受け渡しの課題は改善されましたか?
TOKIUMインボイスで受け渡しのステータスが可視化出来たことで、誰のところで受け渡しが止まっているかすぐに確認し、連絡が取れるようになったので良かったです。
また、それ以外にも各自で紙面請求書をPDF化する作業の削減、一連のフローの可視化により、より一層、不正機会の低減を図ることが出来たとも考えています。
こちらもパソコンさえあればどこでも受け渡し作業ができるのでとても時間効率がいいです。時間や場所にとらわれず、作業を進められるようになりました。
・目指す経理部像について教えてください
財務分析や税制改正などの対応検討など、高度なスキルを要する業務に時間かけるべきだという認識のもと、ルーティンワークを減らして行きたいと考えています。TOKIUMの導入でやるべき仕事に時間を使えるようになってきていると感じています。
ルーティンワークが多いと日々の数字を作成するだけで手いっぱいになってしまいます。もちろん、数字を作成するのも経理部の重要な仕事ですが、その数字が何を意味するのかを考えることを大事にしたいです。そこからどういう戦略をなすべきなのか、会社経営に対して今後のアクションをとるための情報をしっかり伝えていくのが経理の役割だと思っています。
【取材日:2023年03月29日】