仕訳FAQ

ポイント利用時の会計処理・仕訳は?買手・売手・個人事業主ごとに徹底解説!

公開日:2022.02.22更新日:2022.06.10
ポイント

近年、ビジネス上の取引にポイント制度を導入することも増えてきています。
販売側としてポイントを付与するだけでなく、事業者も購入する側としてポイントを利用することも多いです。

ポイントの仕訳は、複雑でわかりにくいうえに処理方法も一通りではありません。
特に販売側では、財務諸表の数値に大きな影響を与える可能性もあり、注意が必要です。
この記事では、筆者の会計事務所での勤務経験を踏まえて、ポイントにかかわる取引の仕訳を、販売側購入側に分け、財務諸表や税金計算への影響、新収益認識基準まで、徹底解説します。

ポイントの仕訳方法とは(2020年8月現在)

ポイント制度は、主に、自社で発行したポイントを自社で付与、割引をおこなう制度と、他社で発行したポイントを数社で共通して付与、割引をする制度の2つがあります。本記事では、前者の制度パターンについて解説していきます。

ポイント制度には、2020年8月現在、仕訳の元となる会計処理基準として明確なものがありません。
基本的に、ポイントを付与する側では、付与した時は何もせず、購入者に使用された時に仕訳をしますが、仕訳方法には2つの方法があります。

そして、決算時には、発行したポイントの未使用残高の一部を、ポイント引当金として費用計上していきます。

ポイント引当金は、過去の実績率などによって将来の使用率を予測して計算します。
また、ポイントを付与する側ではなく、使用する側では、仕訳方法は3つあるといえます。
2021年4月以降は、企業会計基準委員会の新収益認識会計基準が適用となる法人もあるので、それについても後述します。

【売り手側】ポイントを購入者に付与する時の仕訳

10,000円の商品を現金で販売して、1,000円のポイントをお客に付与した場合の仕訳は、次のようになります。

借方貸方
現金10,000円売上高10,000円

ポイントを付与した時点では、ポイントに関する仕訳は特におこないません。

ポイントを購入者が使用した時の仕訳

ポイントを購入者が使用した時の仕訳には、2つの仕訳方法が考えられます。

  • ポイント分が値引きと同様の効果があるため、売上値引として捉える
  • ポイントの販売促進効果に着目し、販売促進費として捉える

購入者が、ポイントを500円分使用して、30,000円の商品を購入し、29,500円の支払いをした場合、次のような仕訳になります。

借方貸方
現金29,500円売上高30,000円
売上値引/販売促進費500円  

なお、仕訳方法によって、損益計算書で表示される項目の位置づけが異なることになります。
売上値引とした場合は、損益計算書では売上高の控除項目となります。
これに対し、販売促進費とした場合は、損益計算書上、販売費及び一般管理費の項目となります。

決算時の仕訳

期末決算時には、未使用のポイント残高について、ポイント引当金を設定します。
ポイント引当金の計算方法は、次のようになります。

  • ポイント引当金=ポイント未使用残高×(1―失効率)×1ポイント当たり単価

失効率は、将来失効すると見込まれる割合として、過去の使用実績等に基づき、合理的に見積もった値です。
1ポイント当たり単価は、原価ベースあるいは売価ベースとなります。
期末未使用ポイント残高500ポイント、失効率10%、1ポイント当たり単価0.8円の場合、ポイント引当金の仕訳は次のようになります。
ポイント引当金=500×(1―10%)×0.8=360円

借方貸方
ポイント引当金繰入360ポイント引当金360

なお、以上は、企業会計原則では認められている仕訳方法ですが、法人税法上、債務確定主義によりポイント引当金の損金算入は認められていません。
法人では、法人税申告の際、別表4にて加算調整をおこなうことになります。

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【買い手側】ポイントを支払いに使った時の仕訳

これまでは、ポイントを付与して販売する側の仕訳をみてきました。
それでは、ポイントを支払いに使う、購入者側の仕訳はどのようになるのでしょうか。
購入者側の仕訳は、次の3つの方法があります。

  • 現金支払額で処理する
  • 仕入値引で処理する
  • ポイントを収入で処理する

税金については、いずれの方法で仕訳をしても課税される利益に影響を及ぼすことはなく、変わりはありません。
以下で、購入者が、ポイントを500円分使用して、30,000円の商品を仕入れ、29,500円の支払いをした場合の購入者側仕訳を3つの方法ごとに説明します。

現金支払額で処理する仕訳

現金支払額で処理する場合は、次のような仕訳になります。

借方貸方
仕入29,500円現金29,500円

ポイント分の金額を相殺し、支払った純額で仕訳計上するだけです。

仕入値引、収入で処理する仕訳

仕入値引で処理する場合、ポイントを収入で処理する場合は、次のような仕訳になります。

借方貸方
仕入30,000円現金29,500円
  仕入値引/雑収入500円

貸方が仕入値引になるか、雑収入になるか、の違いになります。
ただし、仕訳方法によって損益計算書における表示項目が変わってきます。
仕入値引の場合、仕入高の控除項目として、当期商品仕入高から控除して表示します。
これに対し、雑収入の場合、営業外収益項目に表示されることが多いでしょう。
また、購入した商品が仕入として扱われるものではなく、消耗品費などの場合、仕入値引という勘定科目で処理することはできないため、ポイント部分は雑収入で処理することになるでしょう。

個人事業者がポイントを支払いに使った時の仕訳

個人事業者がポイントを支払いに使った場合、事業と生計を分ける必要があるので、仕訳には少々注意する必要があります。
具体的には、事業のポイントを私用に使った場合と、私用のポイントを事業に使った場合、に仕訳が必要になり、所得税額にも影響が出てきます。
以下で具体例を示します。

個人事業者が事業のポイントを私用に使った仕訳

個人事業者が、事業で付与されたポイント1,000円を私用に使用した場合、次のような仕訳になります。

借方貸方
事業主貸1,000円雑収入1,000円

雑収入の分だけ、事業所得が増え、所得税を支払うことになります。

個人事業者が私用のポイントを事業に使った仕訳

個人事業者が、私用で付与されたポイント1,000円を事業に使用して消耗品を購入した場合、次のような仕訳になります。

借方貸方
消耗品費1,000円事業主借1,000円

 私用のポイントを使ったとしても、事業用の消耗品等を購入していれば必要経費に算入することができ、その分事業所得が減って、所得税の節税になります。

新収益認識基準によるポイントの仕訳の場合

2021年4月より、一部の監査が必要な大企業には、企業会計基準委員会が規定した新収益認識基準が適用されます。
新収益認識基準では、ポイントの会計処理について、商品販売とは別個の履行義務として識別し、取引価格を配分しなければならないとしています。

そして、ポイントの収益の認識は、履行義務が充足された時点、つまり、購入者がポイントを使用した時点でおこなうものとされています。
以下では、新収益認識基準におけるポイントの仕訳について、購入者に付与する時と、購入者が使用した時に分けて、具体例を設定して説明します。

ポイントを購入者に付与する時の仕訳

10,000円の商品を販売し、購入者に、1,000ポイントを付与したとします。ポイントは1ポイント1円の価値があるものとします。
この場合、商品に配分される取引価格は次のように計算されます。
10,000円×10,000円/(10,000円+1,000円)=9,091円
1,000ポイントに配分される取引価格は次のようになります。
10,000円×1,000円/(10,000円+1,000円)=909円
これらの配分された価格を下に、次のように仕訳をおこないます。

借方貸方
現金10,000円売上高9,091円
  契約負債909円

商品の販売時点では、商品に配分された取引価格分のみが売上として計上されます。
付与されたポイントに配分された取引価格分は、契約負債として、将来のポイント使用時まで収益の認識を繰り延べられます。

ポイントを購入者が使用した時の仕訳

上述の1,000ポイントが購入者によって使用された場合、次のような仕訳をおこないます。

借方貸方
契約負債909円売上高909円

ポイントが使用された場合、契約負債を売上高に振り替えます。
ポイントが期限内に仕様されなかった場合も、契約負債が消滅するため、同様の仕訳が必要になります。

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まとめ

以上、ポイントにかかる取引の仕訳がおわかりいただけたかと思います。
販売側では、決算時の引当金の計上仕訳には注意したいといえます。
購入側では、雑収入で計上するのが一般的でしょう。
新収益認識基準の適用を受けるようなら、ポイント部分に価格を配分し、別個に収益認識することになります。

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