【税理士監修】取引先からの入金がない!得意先の請求書未払い(未入金、未収)が発生すると何が起こる?対応の手順や対策も詳しく解説

記帳

企業活動において、商品や役務(サービス)の提供が完了したら、経理部門は請求業務の対応を進めます。

請求業務では、得意先に商品やサービスを提供後、売上を計上すれば、次は請求書を作成となります。

一般には、請求書には支払期限を明記して送るのですが、支払期限が過ぎても入金がない場合(未入金、未収)、どのように対応したらよいのでしょうか?

この記事では「得意先の請求書未払い」について考えます。

請求書の支払期限

一般に、請求書を作成する際、得意先との契約などを元に、請求書に支払期限を記載します。

請求書は法律によって有効期限が決まっており、その期限を過ぎると請求できなくなる可能性があるのです。

会社が請求書を発行することで、得意先に請求金額を支払わせる権利として、債権を持つことになります。
債権とは、「相手に特定の行為をさせる権利」のことを言います。

令和2年4月1日以降、債権の消滅時効について民法では次のような改正がなされました。

(新民法166条1-1)
⦁ 債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年
⦁ 権利を行使することができるときから10年
このいずれか早いほうが到達したときに、売掛債権を請求する権利が消滅します。

取引の解説

民法はすべての取引に適用しますので、商取引については「債権者が権利を行使することができることを知ったときから5年」が当てはまります。

当社から見れば、5年間行使しないと債権は消滅するということになります。債権の行使とは「請求する」ということですので、商品やサービスを提供後、5年間請求しなければ請求できません。

うっかり、請求書の発行を忘れて5年経ってしまうと、もう請求できないということです。

また、支払サイトとは、締め日から支払期日までの期間のことをいいます。

掛け取引における支払代金を「確定」させてから「支払」いをするまでの期間が支払サイトです。
よく使われるサイトとしては、「月末締め翌月末払い」や「月末締め翌々月末払い」などがあります。

請求書

上のような請求書の場合では、赤字で示した請求日からお振込み期限までが支払サイトとなります。

この振込期限が過ぎても入金のない売掛金が、社内で管理すべき「請求書の未払い」案件となります。

請求書未払いが発生すると何か起こる?

請求書を提出しても、未払いとなった場合には何が起こるでしょうか?

その売掛金がずっと支払われず、貸倒れとなる可能性が上がります。

そして、最悪なケースは、「資金ショート」です。

一般には会社においては、現預金で棚卸資産を調達し、それを売り上げて、再度現預金を得るという、現預金に始まり現預金に終わるサイクルがあります。これを正常営業循環基準といいます。

会社の資金繰りは、この支払サイトに合わせ、予定された入金を前提にその先の支払いをするというサイクルを繰り返します。設備投資などの大きな支払は別途予算を投じて支払うのが一般的です。

資金ショートとは、現預金が不足して、予定していた代金や経費などが支払えなくなってしまうことをいいます。

資金ショートは売上代金の回収と仕入代金の支払いのズレが大きい場合に起こります。

そして、資金ショートは倒産の引き金になります。

請求書の未払いが発生したらどうするか?

請求書の未払いが発生した場合の対応を順番に解説します。

1.請求内容の確認

まず、正しく請求書が送付されているかどうか、内容に問題はないかを確認します。

当方のミスで振込期限が間違っていたり、請求先に届いていなかったりはないかを調べます。

請求内容について、別件の問い合わせがきていないかも合わせてチェックします。

この段階で、請求書未払いが発生していることを上層部や営業部などを社内で共有します。

2.先方担当者に連絡

先方の担当者に電話やメールで連絡を取ります。

先方とよく連絡を取り合う営業担当同士で連絡を取り合うのがやりやすいでしょう。

多いのは、「単なる支払いもれ」、「請求書の紛失」などで、請求書の再発行などが求められる場合があります。先方に連絡がついた場合には、入金予定日を必ず確認し、これも社内で共有します。

3.内容証明郵便の送付

何度かメールや電話による連絡をしても、先方とうまく意思疎通がはかれない場合には、「内容証明」を送付します。

ここから少し、入金までに日にちがかかることになります。

内容証明とは、当社の意思を公的制度で表明したものです。弁済期限を設けた催告書(請求内容を明らかにしたもの)を作成し、先方に送付します。

4.支払督促

督促とは、簡易裁判所に申し立てをして、先方に支払いを求める手続きとなります。

裁判所からのの督促に対し、先方の異議の申立てがない場合には、その督促は確定判決と同じ効力をもち、債権者は強制執行の手続きをすることができます。

参考:法務省 督促手続きについて

http://www.moj.go.jp/MINJI/minji68-1.html

請求書の未払いをなくすには?

自社が送った請求書の未払いをなくすためにできることはなんでしょうか?

それは、請求情報の管理社内体制の明確化に尽きます。

請求書管理業務においては、初めからリスクを考え、できる限りの手を打っておきましょう。

請求情報を管理

請求情報の管理とは、顧客情報管理の一つです。

請求内容そのものについては業務担当に任せるとしても、次の項目は確認しましょう。

  • 新たな契約などはないか?または、期限切れの契約となっていないか?
  • 送付先の宛名は適切か?先方の担当者名が入っている場合には要注意です。
  • 請求書発行日(締め日)は正しいか?
  • 支払期限は正しいか?
  • 通例の入金時期はいつであるか?
  • 過去の未払いの履歴を管理しているか?

顧客によっては、先方専用の請求書でないと受け取らない場合などもありますので注意しましょう。

これら請求書管理については、例えば、インボイスポストのようなクラウドサービスを利用する方法もあります。

さらに、この時点で資金繰りへの影響があるものは、資金移動の計画を立てておきます。

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社内体制の明確化

先方担当者に連絡をする場合、社内のどの部門からかなどを明確にしておきます。

顧客によっては、いきなり面識のない相手からの催促に気分を害する場合もありますので注意しましょう。

また、請求書未払いの情報は社内で関係部署と上層部で共有しましょう。

社内の関係要員がチームとなって請求書未払いに臨まなければなりません。

債権における与信管理とは、得意先の未払いを無くしたり、軽減したりする活動のことをいいます。

「この得意先と取引しても大丈夫なのか」、「この得意先ならいくらまで取引しても大丈夫なのか」という自社の基準を得意先ごとに決め、それを定期的に見直さなければなりません。

したがって、次のような安全策が可能な場合は積極的に進めます。

  • 初回の取引額が一定額以上の場合には、事前に支払いを受けるルールとする
  • 継続的な取引がある場合は、口座振替を利用する

まとめ

いかがでしたでしょうか?

一般に、請求書を発行する得意先とは先に契約を締結しています。

しかし、長年取引をしている得意先の中には、契約書らしきものがない場合もあります。そんな場合でも長年築いた信頼関係によって少々のトラブルは乗り越えてきたのですから、未払いが起こっても乗り越えたいものです。

社内における事前の策、請求書管理サービスを活用するなど日々の管理と先方とのスムーズなやり取りによって、請求書の未払いに備えましょう。

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