会計処理

法定福利費とは?福利厚生費との違いと計算方法・仕訳例【税理士監修】

更新日:2026.04.16

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計算

法定福利費とは、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料・労災保険料など、法律により企業負担が義務付けられている福利厚生関連の費用です。給与計算や月次決算では、従業員負担分と会社負担分を分けて処理する必要があります。

→ダウンロード:従業員数が多い組織が抱える経費精算の5大課題の解決策

一方、福利厚生費は健康診断費用や社内行事、慶弔見舞金など、企業が任意で実施する福利厚生にかかる費用です。本記事では、法定福利費の対象、福利厚生費との違い、計算方法、仕訳例、建設業で見積書に記載する際の考え方を経理担当者向けに解説します。

【この記事のポイント】

  • 法定福利費とは、法律に基づき企業が負担する社会保険料・労働保険料などの費用です。
  • 福利厚生費との違いは、支払いが法律上の義務か、会社の任意施策かという点です。
  • 従業員負担分は「預り金」、会社負担分は「法定福利費」として処理します。
  • 保険料率は年度・都道府県・業種によって変わるため、最新の公的情報を確認する必要があります。

法定福利費とは

法定福利費とは、従業員を雇用する企業が法律に基づいて負担する福利厚生関連の費用です。具体的には、健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料、子ども・子育て拠出金などが該当します。

給与から控除する従業員負担分は会社の費用ではなく、従業員から一時的に預かっている金額です。そのため、経理処理では従業員負担分を「預り金」、会社負担分を「法定福利費」として区分します。

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法定福利費と福利厚生費の違い

法定福利費と福利厚生費の違いは、支出の根拠が法律上の義務か、会社の任意施策かという点です。法定福利費は企業に負担義務がある費用であり、福利厚生費は従業員の働きやすさや満足度向上を目的として会社が任意で支出する費用です。

項目法定福利費福利厚生費
支出の根拠法律上の義務会社の任意施策
主な例健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料、子ども・子育て拠出金健康診断費用、社内行事、慶弔見舞金、社員旅行、社宅補助など
会計処理会社負担分を法定福利費として計上要件を満たすものを福利厚生費として計上
注意点料率、対象者、納付時期を確認する全従業員を対象にした制度か、金額が社会通念上妥当かを確認する

一部の従業員にのみ支出する費用は福利厚生費には該当しません。あくまでも全従業員が利用可能であるものとなります。役員のみで行く旅行などは「福利厚生費」には該当しません。
福利厚生費』について気になる方は以下の記事をご覧ください。

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法定福利費に含まれる主な費用

法定福利費に含まれる費用は、社会保険と労働保険に大きく分けられます。いずれも従業員を雇用する企業に関係する費用ですが、会社と従業員で折半するもの、会社が全額負担するものがあります。

費用の種類主な内容負担の考え方
健康保険料従業員や被扶養者の医療費負担を支える保険料原則として会社と従業員で折半
厚生年金保険料老齢年金、障害年金、遺族年金などに関する保険料会社と従業員で折半
介護保険料40歳以上65歳未満の健康保険加入者に関係する保険料会社と従業員で折半
雇用保険料失業給付、育児休業給付、雇用安定事業などに関する保険料会社と従業員がそれぞれ負担。事業主のみ負担する部分もある
労災保険料業務災害や通勤災害に備える保険料会社が全額負担
子ども・子育て拠出金児童手当などの財源に充てられる拠出金会社が全額負担

法定福利費の計算方法

法定福利費は、対象となる賃金や標準報酬月額に保険料率をかけて計算します。社会保険料は標準報酬月額や標準賞与額をもとに計算し、労働保険料は賃金総額をもとに計算します。

ただし、保険料率は年度、都道府県、事業の種類によって変わります。たとえば協会けんぽの健康保険料率は都道府県ごとに異なり、雇用保険料率や労災保険料率も年度や業種によって確認が必要です。実務では、給与計算システムや公的機関の最新料率表を確認したうえで処理します。

項目計算の基本確認すべきポイント
健康保険料標準報酬月額・標準賞与額 × 健康保険料率加入する保険者、都道府県、介護保険の対象有無
厚生年金保険料標準報酬月額・標準賞与額 × 厚生年金保険料率標準報酬月額の等級、賞与支給時の処理
雇用保険料賃金総額 × 雇用保険料率事業の種類、従業員負担分と会社負担分
労災保険料賃金総額 × 労災保険率業種ごとの労災保険率、年度更新

なお、料率を本文中に固定して記載すると、年度改定時に情報が古くなる可能性があります。記事内では具体例として扱い、実務で使用する場合は必ず最新の料率表を確認してください。

法定福利費の仕訳例

法定福利費の仕訳では、会社負担分と従業員負担分を分けて処理します。従業員負担分は給与から控除するため「預り金」とし、会社負担分のみを「法定福利費」として費用計上します。

給与支給時の仕訳例

給与300,000円から、社会保険料の従業員負担分45,000円を控除して支給する場合の仕訳例です。

借方金額貸方金額
給与手当300,000円預り金45,000円
普通預金255,000円

社会保険料を納付したときの仕訳例

従業員負担分45,000円と会社負担分45,000円、合計90,000円を納付する場合の仕訳例です。

借方金額貸方金額
預り金45,000円普通預金90,000円
法定福利費45,000円

建設業では法定福利費を見積書に内訳明示する

建設業では、社会保険等への加入に必要な金額を確保するため、見積書に法定福利費を内訳として明示することが求められています。従来の総額による見積では、法定福利費が工事費の中でどのように扱われているか分かりにくい場合があるためです。

建設業で見積書を作成する際は、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料など、工事に従事する労働者に関係する法定福利費を適切に見積もる必要があります。下請企業に工事を発注する予定がある場合は、下請企業の法定福利費も含めて見積書を作成する点に注意が必要です。

確認項目確認内容
対象となる保険健康保険、厚生年金保険、雇用保険など
見積書での扱い工事費総額とは別に、法定福利費の内訳を明示する
下請企業がある場合下請企業に係る法定福利費も含めて見積もる
注意点適用対象外の事業所や労働者がいる場合は、実態に応じて確認する

法定福利費で経理担当者が注意すべきポイント

法定福利費は、給与計算、社会保険手続き、労働保険の年度更新、月次決算に関係するため、処理の誤りが起きやすい勘定科目です。とくに、従業員負担分と会社負担分の混同、料率改定の反映漏れ、賞与支給時の計算漏れには注意が必要です。

  • 従業員負担分を法定福利費として計上していないか確認する
  • 会社負担分のみを法定福利費として処理する
  • 健康保険料率や雇用保険料率の改定を給与計算に反映する
  • 賞与支給時の社会保険料を漏れなく処理する
  • 労働保険の年度更新で賃金総額と保険料を確認する
  • 建設業では見積書への内訳明示も確認する
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法定福利費に関するよくある質問

法定福利費とは何ですか?

法定福利費とは、企業が法律に基づいて負担する社会保険料や労働保険料などの費用です。健康保険料、厚生年金保険料、介護保険料、雇用保険料、労災保険料、子ども・子育て拠出金などが該当します。

法定福利費と福利厚生費の違いは何ですか?

法定福利費は法律上の義務として企業が負担する費用です。一方、福利厚生費は健康診断費用、社内行事、慶弔見舞金など、会社が任意で実施する福利厚生にかかる費用です。

従業員負担分も法定福利費に含めますか?

従業員負担分は会社の費用ではないため、法定福利費には含めません。給与から控除した従業員負担分は「預り金」として処理し、会社負担分のみを「法定福利費」として計上します。

法定福利費の計算で注意すべき点は何ですか?

保険料率が年度、都道府県、業種によって異なる点に注意が必要です。健康保険料率、雇用保険料率、労災保険料率などは改定されることがあるため、実務では最新の料率表を確認して計算します。

建設業の法定福利費とは何ですか?

建設業の法定福利費とは、工事に従事する労働者の社会保険料など、企業が負担する法定福利費です。建設業では、社会保険等への加入に必要な金額を確保するため、見積書に法定福利費を内訳として明示することが求められています。

まとめ

法定福利費とは、健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、労災保険料など、法律により企業負担が義務付けられている費用です。福利厚生費との違いは、法律上の義務に基づく支出か、会社が任意で実施する福利厚生かという点にあります。

経理処理では、従業員負担分を「預り金」、会社負担分を「法定福利費」として区分することが重要です。また、保険料率は年度や地域、業種によって変わるため、古い料率表を使い続けないよう注意しましょう。給与計算や月次決算の正確性を保つためにも、最新の公的情報を確認しながら処理することが大切です。

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