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インボイス制度がやばい?そう言われる理由と制度導入のメリット

更新日:2023.12.21

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インボイス制度が2023年10月から導入されたことにより、経理業務に大きな影響が生じたことでしょう。

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本記事では、インボイス制度の仕組みやその影響について解説し、なぜ「やばい」と言われるのかを解説します。また、あまり知られていない制度導入のメリットや代表的な対応システムについてもご紹介します。

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インボイス制度とはどのような制度?

インボイス制度とは、2023年10月1日から導入された新しい仕入税額控除の方式です。正式名称は「適格請求書等保存方式」といいます。この制度は、売上にかかる消費税額から仕入にかかる税額を差し引き、実際に納税する消費税額を計算するものです。

そして、仕入税額控除とは、売上にかかる消費税額から仕入にかかる税額を差し引くことで、実際に納税する消費税額を計算する仕組みです。例えば、売上が100万円で仕入が50万円の場合、消費税率が10%だとすると、売上税額は10万円(100万円 × 10%)で仕入税額は5万円(50万円 × 10%)です。仕入税額控除を適用すると、納税する消費税額は5万円となります。

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また、仕入税額控除を受けるには、売り手から買い手に対して交付される適格請求書(インボイス)と呼ばれる請求書の保存が必要です。ただし、適格請求書の発行は「適格請求書発行事業者」として登録されている事業者に限られます。適格請求書発行事業者になるためには、課税事業者に登録し、国税庁への登録申請書を提出する必要があります。

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インボイス制度では、適格請求書の発行・保存に関するルールも定められています。発行した適格請求書や受け取った適格請求書の写しは、課税期間末日の翌日から2ヶ月経過した日から数えて7年間保存する必要があります。

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インボイス制度が「やばい」と言われる理由

SNSなどを通じて、インボイス制度がやばいと言われることがあります。そこには、売り手側と買い手側それぞれに関連する要因が見られます。以下では、やばいと言われる具体的な理由について詳しく見ていきましょう。

売り手側が「やばい」と感じる3つの理由

売り手側がやばいと感じる理由は大きく分けて3つです。いずれも、仕入税額控除を受けるために3つの事柄が新たに必要になったからです。

1.適格請求書発行事業者への登録が必要になる

適格請求書(インボイス)を発行できるのは、適格請求書発行事業者として登録されている事業者のみです。そのため、適格請求書発行事業者になっていない売り手は、取引先が減る可能性があります。

特に、適格請求書を発行できない免税事業者との取引では、買い手側の税負担が大きくなるため、買い手は免税事業者との取引を避ける可能性があります。

2.課税事業者になり、消費税の納付義務が生じる

また、売上1000万円未満の免税事業者にとっても「やばい」状況が生じます。これまで売上1000万円未満の事業者は、消費税の納税が免除されていました。しかし、現行制度下では適格請求書発行事業者になるためには課税事業者になる必要があり、消費税の納付義務が発生します。そのため、売上1000万円未満の免税事業者にとっては、税金の負担が増える可能性があります。

3.請求書や領収書の様式を変更しなくてはならない

さらに、インボイス制度により請求書や領収書の様式に変更が必要となることも、売り手側にとっての課題です。仕入税額控除を認めてもらうためには、原則的に請求書や領収書を適格請求書の要件を満たす様式に変更しなければなりません。税率ごとの消費税額や税務署に申請し登録した「登録番号」の記載などが必要です。このような様式の変更は手間がかかり、売り手にとって煩雑な手続きとなることが考えられます。

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買い手側が「やばい」と感じる2つの理由

買い手側は取引相手が適格請求書発行事業者であるかを確認する必要が新たに生じます。また、経理担当者は業務負担の増加に対して適切な対策を講じることが重要です。

インボイス制度の導入に伴う変化に対応するためには、事前の準備や適切な情報管理の体制整備が必要となるため、買い手側にとっても「やばい」と言われることがあります。以下に主な理由を、2つご紹介します。

1.売り手が適格請求書発行事業者になっているかの確認が必要になる

インボイス制度では、買い手は取引相手が適格請求書を発行できる事業者であるかの確認が必要になります。適格請求書発行事業者になっていない場合、仕入税額控除が適用されず、消費税の納税額が増えることにつながります。

このため、買い手は取引相手の適格請求書発行事業者登録の有無を確認し、適切な取引相手を選ぶことで税金の負担を最小限に抑えることが求められます。

2.経理担当者の業務負担の増加する

インボイス制度においては、適格請求書の保管や管理などの業務が増えるため、経理担当者の負担が増加することも考慮しなければなりません。具体的には、適格請求書の発行や受領、保存、必要な情報の把握など、これまでにはなかった業務の追加が予想されます

また、インボイス制度によって適格請求書が電子データとして扱われる場合、データの管理やシステムの導入も必要となるでしょう。

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「やばい」だけではない!インボイス制度導入のメリット

インボイス制度は「やばい」と言われることもありますが、制度導入にはいくつかのメリットも存在します。それらを以下でご紹介します。

適格請求書発行事業者(売り手)は、新たな取引先を得られる可能性がある

まず最初のメリットは、インボイス制度の導入により、買い手側が適格請求書発行事業者の売り手を新たに探しているケースがある点です。特に、適格請求書発行事業者になっていない免税事業者との取引を見直す会社が増えることが予想されます。したがって、適格請求書発行事業者として登録することで、新たな取引先を獲得できる可能性が広がります

電子化により業務効率を図れる

次に、インボイス制度下では適格請求書等保存方式において、電子データ形式の適格請求書(電子インボイス)の送付や保管が認められています。これにより、ペーパーレス化が進み、社内での業務の効率化を図りやすくなります。経理業務を中心に紙で運用する負担が減り、業務効率が向上するでしょう。

また、電子インボイスはデータの自動化やシステム連携が容易になるため、請求書の作成や管理が効率的に行えます。取引データの正確性や追跡性も向上し、経理業務全体の品質向上につながるでしょう。

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不正やミスの防止につながる

また、インボイス制度の導入は不正やミスの防止にも役立ちます。従来の紙の請求書や領収書は手書きや印刷によって作成されるため、記入漏れや誤りが発生する可能性がありました。しかし、インボイス制度では適格請求書の電子データが使用されるため、データの自動計算や正確な情報の記録が行われます。これにより、記入漏れや誤りが少なくなり、取引の正確性と信頼性が向上します。

取引の透明性も高まる

さらに、取引の透明性が向上する点もインボイス制度におけるメリットです。適格請求書には取引内容や金額が詳細に記載されているため、両者間での取引内容の確認に役立ちます。買い手側も適格請求書を保管することで、請求内容の正確性を確認することができます。これにより、信頼関係の構築や取引の円滑化が進むでしょう。

節税にも有利

最後に、インボイス制度の導入は節税にも有利です。適格請求書に基づいて消費税の計算が行われるため、正確な税額の把握が可能となります。これにより、適切な税額の申告や支払いが行われ、節税効果が期待できることに加え、税金の最適化や財務の健全性を確保することができます。

インボイス制度に伴う課題と対策

インボイス制度には、一部の課題や懸念も存在します。以下では、その課題に対する対策について考えてみましょう。

対策1. 既存の業務プロセスを見直す

インボイス制度下では、既存の業務プロセスの見直しが必要になります。例えば、適格請求書の電子化やデータの連携を行うためには、適切なシステムの導入などを検討する必要があるでしょう。さらに、業務プロセスの変更に伴い、経理や関連部署とのコミュニケーションや調整をする必要も出てきます。

これらを失敗しないように対応するには、早めの準備が欠かせません。請求書に関する業務は経理だけで完結するものではないので、システムや業務フローの展開にも時間がかかります。先を見越して準備に着手することをお勧めします。

対策2. 適格請求書の作成や管理を効率化する

インボイス制度の導入に伴い、適格請求書の作成や管理には新たな知識やスキルが求められます。特に、適格請求書発行事業者として登録する場合には、適格請求書の要件やルールを理解し、正確なデータの記載や保存を行う必要があります。

対策として、適格請求書の作成や管理においては、専用のソフトウェアやクラウドシステムを活用するのがおすすめです。専用システムを活用することにより、データの正確性や保管期間の管理が容易になります。

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最近話題になっている請求書受領システムでは、受領した請求書をオペレーターやOCRでデータ入力を代行してもらえるものが多いです。さらに、電子帳簿保存法に則ったタイムスタンプ機能で、保管開始日をシステムに自動記録してくれるものもあります。インボイス制度への対応を機に、業務効率化に取り組むという意味でも、システム導入を検討するのも一つの手でしょう。

関連記事:電子帳簿保存法をわかりやすく解説!2022年改正後の変更点・要件緩和についても紹介

インボイス制度に対応した代表的なシステム

代表的な請求書受領サービス 「TOKIUMインボイス」は、紙やメール・ウェブシステム経由で届くあらゆる形式の請求書を受領代行し、請求書の確認・処理を電子化するサービスです。

請求書の受け取り・スキャン・データ化・原本管理まで全て代行され、システム上で一元管理できるため、ペーパーレス化と同時に請求書支払いにかける時間を約1/5にまで削減することができます。さらに、受け取った請求書はインボイス制度・電子帳簿保存法に対応する形で保管されるため、法対応に関する追加の手間をなくせる点も魅力です。

TOKIUMインボイストップ3
出典:TOKIUMインボイス公式

TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法に対応したシステムの証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証機関である日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に導入し、利用しているサービスです。

月額費用は、基本利用料(1万円〜)+請求書の件数に基づく従量制で決まります。また、利用できるアカウント数が無制限のため、利用者数が多い場合も追加料金が一切かかりません。したがって、企業規模に関わらず、最小限のコストで請求書業務を効率化できます。

「料金表や機能を詳しく知りたい」という方は、下記より資料をご覧ください。
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まとめ

本記事では、インボイス制度の基本知識や、やばいと言われる理由を売り手と買い手側の立場から解説し、インボイス制度導入のメリットや対応システムについても紹介しました。

インボイス制度は影響範囲が広いため「やばい」と言われることが多いですが、だからこそメリットを上手く得られるよう対応していきましょう。

インボイス制度対応チェックリスト インボイス制度対応チェックリスト
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