【2021年】電子帳簿保存法の要件緩和!改正点を徹底解説します!

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令和2年12月21日閣議で令和3年度税制改正の大綱が決定しました。税制改正大綱は翌年の税制を定めるもので、課税対象や個々の税率変更などについて網羅的にまとめた方針です。今回の大綱には「電子帳簿保存法」の抜本的見直しが盛り込まれました。前年も改正されていますので年々導入のハードルがさがっているといえます。

この記事では長年経理を担当している筆者が電子帳簿保存法について詳しく解説します。

電子帳簿保存法とは?

電子帳簿保存法とは国税関係帳簿書類の保管負担を軽減する目的で、1998年7月に施行された法律です。制定時の要件は厳しく,

なかなか普及がすすみませんでした。しかし、改正を重ねて規制が緩和され、導入企業も増えています。

2020年12月に閣議決定された税制大綱でも、2021年の税制改正での抜本的な見直しが盛り込まれています。この改正で、中小企業へのさらなる浸透が期待されます。

参考:令和3年度税制改正の大綱

こちらの「スキャナ保存制度とは?電子帳簿保存法に関連する手続・運用方法を徹底解説!!」で詳しく解説しています。

電子帳簿保存法とe-文書法の関係

電子帳簿保存法はe-文書法のなかの一部です。e-文書法は別名「電子文書法」とも呼ばれ、法人税法や商法、証券取引法などで紙の原本保存が義務付けられている帳票や文書を電子保存できるようにするものです。この法律により国税関係書類のスキャナ保存制度もスタートしています。

それぞれの法律で対応するものは次のようになります。

【電子帳簿保存法】

○国税関係帳簿
・総勘定元帳
・補助元帳
・仕訳帳

○国税関係書類
・取引関係書類
見積書、契約書、注文書、請求書、領収書、発注書など
※これらの「受注先から受領した書類」や「自社発行書類の写し」は、スキャナ保存制度を利用して、スキャンした電子データの形式で保存することができます。

・決算関係書類
貸借対照表、損益計算書、キャッシュフロー計算書、棚卸表など

○電子取引の電磁的記録
・電子契約書(クラウドサイン)
・メール
・FAX
・EDIデータ(取引先との専用回線を使って交換したビジネス文書等の電子データ)

【e-文書法】

・有価証券報告書
・経営関係資料
・稟議書
・人事資料
・予算資料

電子帳簿保存法の要件

電子帳簿保存法では書類の電子データを保存する場合と、スキャナ保存する場合で要件がことなります。詳しくみていきましょう。

(1) 電子データを保存する場合の要件

○真実性の確保

1.訂正・削除履歴の確保(帳簿)
記録事項について訂正又は削除を行った場合や通常の期間を経過した後に処理を行った場合に、事実及び内容を確認することができる電子計算機処理システムを使用すること。

2.相互関連性の確保(帳簿)
関連する帳簿間で相互にその関連性を確認できること

3.関係書類等の備え付け
システム概要書、システム仕様書、操作説明書、事務処理マニュアル等のシステム関係書類を備え付けること

○可視性の確保

1.見読可能性の確保
帳簿に係る電磁的記録の保存等をする場所でパソコンやプリンターなどの操作説明書を備え付け、電磁的記録をディスプレイの画面及び書面に速やかに出力できるようにしておくこと。

2.検索機能の確保
取引年月日・勘定科目・取引金額その他の主要な記録項目を検索条件として設定でき、金額範囲を指定して条件設定できること。また、2つ以上の任意項目を組み合わせて条件を設定できること

参考:国税庁|電子帳簿保存法上の電子データの保存要件

(2) スキャナ保存する場合の要件

スキャナ保存する場合は、スキャンする書類の区分により「重要書類」と「一般書類」にわかれ、要件がことなります。該当する区分の要件を確認して処理しましょう。

重要書類 : 契約書、納品書、請求書、領収書など資金や物の流れに直結する書類。

一般書類 : 見積書、注文書、検収書など資金や物の流れに直結しない書類。

○真実性の確保

1.入力期間の制限
重要書類 : 受領後、速やか(7日以内)に入力。規定を定めている場合は業務の処理に係る通常の期間(2カ月以内)を経過後、速やか(7日以内)に入力
一般書類 : 適時に入力

2.解像度及び読み取り
重要書類 : 解像度200dpi以上で、赤・緑・青の解像度が256階調以上 (24ビットカラー)
一般書類 :グレースケールでも可

3.タイムスタンプの付与
重要書類 : 一般財団法人日本データ通信協会が認定するタイムスタンプを付与し、記録事項が変更されていないことを保存期間を通じて確認でき、任意の期間を指定して一括検証可能など
一般書類 : 受領者等が読み取る場合は受領者等が署名の上、3日以内 にタイムスタンプを付与

4.読み取り情報の保存
重要書類 : 読み取った際の解像度、階調及び大きさに関する情報を保持。受領者等が読み取りした「A4」以下のサイズのスキャンは、大きさに関する情報の保持は不要
一般書類 : 読み取った際の大きさについての情報の保持は不要

5.ヴァージョン管理
重要書類 : 訂正・削除の行った際は、これらの事実と内容を確認できること
一般書類 : 重要書類と同じ

6.入力者等情報の確認
重要書類 : 入力者または入力者を直接監督する者に関する情報を確認できること
一般書類 : 重要書類と同じ

7.適正事務処理要件
重要書類 : 相互牽制 ・定期的な検査・再発防止の受領から入力までを規程に定めて事務処理を行うこと(小規模事業者は税務代理人が定期的な検査を行えば相互牽制は不要)
一般書類 : 不要

○可視性の確保

1.帳簿との相互関係性の確保
重要書類 : 国税関係書類の記録と関連する帳簿の記録で相互にその関連性を確認できること
一般書類 : 重要書類と同じ

2.見読可能装置の備付け等
重要書類 : 14インチ以上のカラーディスプレイやカラープリンタなどの操作説明書を備え付けて、電磁的記録を整然とした形式で該当国税関係書類と同程度明瞭に拡大縮小して印刷できること。4ポイントのサイズの文字を認識できること
一般書類 : グレースケールで保存している場合はカラープリンタでなくてよい

3.システム開発関係書類等の備え付け
重要書類 : 電子計算機処理システムの概要、操作説明書、開発時の書類の備付け及び保存に関する事務手続き書類を備え付けること
一般書類 : 重要書類と同じ

4.検索機能の確保
重要書類 : 取引年月日・勘定科目・取引金額その他の主要な記録項目を検索条件として設定でき、金額範囲を指定して条件設定でき、また、2つ以上の任意項目を組み合わせて条件を設定できること
一般書類 : 重要書類と同じ

参考:国税庁|はじめませんか、書類のスキャナ保存!

2021年電子帳簿等保存制度改正の内容

2021年の税制改正で電子帳簿等保存制度は抜本的な見直しをされます。政府はこの改正により、中小企業の電子帳簿等保存制度導入を促しています。

電子帳簿等保存制度の見直し等

・経理の電子化による生産性の向上、テレワークの推進、クラウド会計ソフト等の活用による記帳水準の向上に資するため、帳簿書類を電子的に保存する際の手続を抜本的に見直す。また、スキャナ保存制度については、ペーパーレス化を一層促進する観点から、手続き・要件を大幅に緩和するとともに、電子データの改ざん抑止のための措置を講ずる。

出典:財務省|令和3年度税制改正の大綱の概要

発表されている税制改正大綱は上記のようになっています。経理業務の電子化による生産性向上やテレワークの推進、クラウド会計などを活用するための手続きの簡素化を狙った内容です。詳しい改正内容をみていきましょう。

(1) 紙保存が原則である税務関係の帳簿書類のデータ保存が可能に

電子帳簿が電子データのまま保存できるようになります。

・自己が電子的に作成する帳簿書類

・取引の相手方から受領する書類の書面のスキャナ保存や電子的に受け取った書類のデータ保存

税務署長による事前承認も廃止され始めやすくなりました。また、信頼性の高い電子帳簿はインセンティブにより、過少申告加算税5%軽減・青色申告特別控除が65万円(10万円加算)となります。

経済産業関係 税制改正について

引用:経済産業省|経済産業関係 税制改正について 令和2年12月

(2) スキャナ保存のための内部統制要件の抜本的見直し

スキャナ保存のための要件として定められていた内部統制が緩和され、ペーパレス化が一層促進されます。

スキャナ保存特有の要件であった、タイムスタンプ付与の日数期限が3日以内から最長約2カ月以内に緩和され、2名以上の相互確認が必要であった事務処理が1名でも可能となります。

書類への自署も不要となり、年1回などの定期検査で突合するまで破棄できなかった電子データの原本が電子化後すぐに破棄できるようになりました。

経済産業関係 税制改正について 令和2年12月

引用:経済産業省|経済産業関係 税制改正について 令和2年12月

電子帳簿保存法の改正で過去に保存したデータはどうなる?

たびかさなる法改正で要件が緩和されている電子帳簿保存法ですが、利用する時は、申請時や改正前後の適用要件について確認しましょう。

税制改正前の承認済国税関係書類については、改正前の要件で当該国税関係書類の保存期間が満了するまで保存する必要があります。改正日前に提出した承認申請書に係る国税関係書類については、改正後も従前のルールにしたがうということです。

まとめ

国税関係の書類は膨大で、紙の原本で定められた期間保存すると書庫がいっぱいで置くところがない、などということもしばしばあります。電子帳簿保存法の活用はその点で有効です。社内の書庫で管理しきれない帳票は外部に倉庫を借りたり、管理委託していることもありますので、経費削減効果も期待できます。導入を検討してみてもよいのではないでしょうか。