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消費税の仕訳とは?税込経理方式と税抜経理方式の違いと仕訳例

更新日:2026.03.26

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消費税_仕訳

消費税の仕訳は、税込経理方式税抜経理方式のどちらを採用しているかによって変わります。売上や仕入の仕訳だけでなく、決算時の処理や使う勘定科目も異なるため、違いを整理せずに進めると、実務で迷いやすくなります。

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この記事では、消費税の仕訳の基本を経理初心者にもわかりやすく整理したうえで、税込経理方式と税抜経理方式の違い、売上・仕入・決算時の仕訳例、仮受消費税等・仮払消費税等・租税公課などの勘定科目、課税事業者や簡易課税制度の基本まで順番に解説します。

消費税の仕訳について先に確認したいQ&A

まずは、消費税の仕訳でよくある疑問を先に整理します。全体像をつかんでから本文を読むことで、税込経理方式と税抜経理方式の違いや、実務での処理ポイントを理解しやすくなります。

消費税の仕訳は何がポイントですか?

消費税の仕訳で最も重要なのは、税込経理方式と税抜経理方式のどちらを採用しているかを明確にすることです。採用している方式によって、日々の仕訳で使う勘定科目や、決算時の処理方法が変わります。

税込経理方式と税抜経理方式の違いは何ですか?

税込経理方式は、消費税を含めた金額で売上や経費を処理する方法です。一方、税抜経理方式は、本体価格と消費税額を分けて処理する方法です。税込経理方式は日々の仕訳が比較的わかりやすく、税抜経理方式は消費税額を把握しやすいという違いがあります。

消費税の仕訳ではどんな勘定科目を使いますか?

税抜経理方式では、主に仮受消費税等仮払消費税等未払消費税等などを使います。税込経理方式では、消費税相当額を日々分けて処理しないため、納付時などに租税公課を使うケースが一般的です。

経理初心者はどこで迷いやすいですか?

経理初心者が迷いやすいのは、売上時と仕入時で使う勘定科目の違い、決算時に必要な処理、そして課税取引かどうかの判断です。とくに、税込経理方式と税抜経理方式の違いを整理できていないと、仕訳例を見ても理解しにくくなります。

どちらの方式を選べばよいですか?

日々の処理をシンプルにしたい場合は税込経理方式、消費税額を把握しやすくしたい場合は税抜経理方式が向いています。どちらが合うかは、事業規模や経理体制、社内で求める管理精度によって変わるため、本文で違いを確認しながら判断するのがおすすめです。

この記事を読むと何がわかりますか?

この記事を読むと、消費税の仕訳の基本、税込経理方式と税抜経理方式の違い、主な勘定科目、売上・仕入・決算時の仕訳例、実務で迷いやすいポイントまでまとめて確認できます。はじめて消費税の仕訳を担当する方でも、実務の流れをつかみやすくなる構成です。

消費税の仕訳は、まず税込経理方式と税抜経理方式の違いを整理すると理解しやすくなります。ここでは、実務で迷いやすいポイントを中心に、両者の違いを早見表で確認します。

比較項目税込経理方式税抜経理方式
日々の仕訳方法消費税を含めた金額で処理する本体価格と消費税額を分けて処理する
売上時の考え方売上高に消費税を含めて計上する売上高は税抜で計上し、消費税相当額は仮受消費税等で処理する
仕入・経費計上時の考え方仕入高や経費に消費税を含めて計上する仕入高や経費は税抜で計上し、消費税相当額は仮払消費税等で処理する
主に使う勘定科目売上、仕入高、消耗品費、租税公課など売上、仕入高、消耗品費、仮受消費税等、仮払消費税等、未払消費税等など
日々の処理のわかりやすさ比較的わかりやすいやや複雑になりやすい
消費税額の把握しやすさ把握しにくいことがある把握しやすい
決算時の処理納付する消費税額を租税公課などで処理する仮受消費税等と仮払消費税等を精算し、未払消費税等へ振り替える
向いているケースまずはシンプルに処理したい場合消費税額を区分して管理したい場合

税込経理方式は日々の入力が比較的わかりやすく、税抜経理方式は消費税額を把握しやすい点が特徴です。このあと本文では、それぞれの考え方と具体的な仕訳例を順番に見ていきます。

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消費税の仕訳は税込経理方式と税抜経理方式で変わる

消費税の仕訳を理解するうえで、最初に押さえたいのが税込経理方式税抜経理方式の違いです。どちらの方式を採用しているかによって、売上や仕入の計上方法、使う勘定科目、決算時の処理が変わります。

まずは、それぞれの考え方を整理したうえで、実務でどのように使い分けるのかを確認していきましょう。

税込経理方式とは

税込経理方式とは、売上や仕入、経費を消費税を含めた金額で仕訳する方法です。日々の入力では本体価格と消費税額を分けないため、経理初心者でも処理の流れをつかみやすい点が特徴です。

たとえば、11万円で売上を計上する場合は、売上高11万円として処理します。仕入や消耗品の購入でも、税込金額のまま仕入高や消耗品費として計上するため、日々の仕訳は比較的シンプルです。

一方で、消費税額が帳簿上で見えにくくなるため、実際にいくら納付する見込みなのかを日常業務の中で把握しにくい点には注意が必要です。

税抜経理方式とは

税抜経理方式とは、売上や仕入、経費を本体価格と消費税額に分けて仕訳する方法です。売上にかかる消費税額は仮受消費税等、仕入や経費にかかる消費税額は仮払消費税等で処理します。

たとえば、税込11万円で売上があった場合、売上10万円と仮受消費税等1万円に分けて記帳します。日々の仕訳は税込経理方式より細かくなりますが、消費税額を把握しやすく、決算時の納付見込みも確認しやすい点がメリットです。

税込経理方式と税抜経理方式の違いを比較すると

税込経理方式は、日々の仕訳をできるだけシンプルに進めたい会社に向いています。売上や費用が税込で表示されるため、会計処理そのものはわかりやすくなります。

一方、税抜経理方式は、消費税額を区分して管理したい場合に向いています。納税見込みを把握しやすく、経営数値を税抜ベースで見たい会社とも相性がよい方法です。

どちらが適しているかは、事業規模だけで決まるわけではありません。自社の会計方針や管理のしやすさを踏まえて、継続して運用しやすい方法を選ぶことが大切です。

どちらの方式を選ぶべきか

まずは処理をわかりやすくしたい場合は、税込経理方式が取り入れやすい方法です。日々の記帳では消費税額を分けないため、担当者が変わっても運用しやすい傾向があります。

一方、月次で納税額の見込みを確認したい、税抜の売上高や原価をより明確に管理したい場合は、税抜経理方式のほうが向いています。経理担当者だけでなく、経営管理の視点でも数字を見やすくなるためです。

なお、方式は一度決めたら、収益と費用でばらばらに運用するのではなく、社内ルールとして統一しておくことが重要です。

消費税の仕訳例

ここからは、実務でよく出てくる場面ごとに消費税の仕訳例を確認します。税込経理方式と税抜経理方式の違いがもっともわかりやすいのは、売上時と仕入時、そして決算時の処理です。

売上時の仕訳

たとえば、税抜10万円の商品を販売し、税込11万円を現金で受け取った場合の仕訳は次のようになります。

方式借方貸方
税込経理方式現金 110,000円売上 110,000円
税抜経理方式現金 110,000円売上 100,000円
仮受消費税等 10,000円

税込経理方式では、受け取った金額をそのまま売上として計上します。税抜経理方式では、売上本体と消費税額を分けて記帳する点が大きな違いです。

仕入時の仕訳

次に、税抜5万円の商品を仕入れ、税込5万5,000円を掛けで購入した場合を考えます。

方式借方貸方
税込経理方式仕入 55,000円買掛金 55,000円
税抜経理方式仕入 50,000円
仮払消費税等 5,000円
買掛金 55,000円

仕入でも考え方は同じです。税込経理方式は税込額で一括計上し、税抜経理方式は本体価格と消費税額を分けて処理します。

経費精算時の仕訳

消耗品を税込1万1,000円で購入し、後日会社が立て替え分を精算した場合も、税込経理方式と税抜経理方式で処理が分かれます。

方式借方貸方
税込経理方式消耗品費 11,000円現金 11,000円
税抜経理方式消耗品費 10,000円
仮払消費税等 1,000円
現金 11,000円

旅費交通費や通信費などでも基本の考え方は同じです。ただし、取引によっては非課税や不課税となるものもあるため、税区分の確認は欠かせません。

決算時の仕訳

税抜経理方式では、決算時に仮受消費税等と仮払消費税等を精算し、納付すべき金額を未払消費税等へ振り替えます。たとえば、仮受消費税等が10万円、仮払消費税等が6万円だった場合、差額4万円が納付見込み額です。

借方貸方
仮受消費税等 100,000円仮払消費税等 60,000円
未払消費税等 40,000円

税込経理方式では、日々の仕訳で仮受消費税等や仮払消費税等を使わないため、納付時または決算整理時に租税公課として処理する形が一般的です。

中間納付時の仕訳

中間納付がある場合は、納付時に仮払金や仮払消費税等として処理し、確定時に未払消費税等と相殺する方法がよく使われます。実務では会計ソフトの設定や社内ルールに合わせて科目を統一しておくことが重要です。

たとえば、中間納付として3万円を普通預金から支払った場合は、次のように処理できます。

借方貸方
仮払金 30,000円普通預金 30,000円

その後、確定した消費税額と中間納付額を相殺して、最終的な未払額または還付額を整理します。

消費税の仕訳で使う主な勘定科目

消費税の仕訳では、方式によって使う勘定科目が変わります。ここでは、特に登場しやすい科目を整理します。

仮受消費税等

仮受消費税等は、売上などで受け取った消費税相当額を一時的に計上する勘定科目です。税抜経理方式で売上を計上するときに使われ、決算時には仮払消費税等と相殺して、納付すべき税額の計算に使います。

仮払消費税等

仮払消費税等は、仕入や経費の支払いで負担した消費税相当額を一時的に計上する勘定科目です。税抜経理方式で使う科目で、仮受消費税等との差額が納付税額または還付税額の基礎になります。

未払消費税等

未払消費税等は、決算時点で納付すべき消費税額を計上する科目です。税抜経理方式では、仮受消費税等と仮払消費税等の差額を未払消費税等へ振り替えて管理するのが基本です。

租税公課

租税公課は、税込経理方式で納付する消費税額を費用として処理するときに使う代表的な勘定科目です。税込経理方式では日々の売上や経費に消費税額を含めているため、納付段階で租税公課として処理する考え方が基本になります。

消費税の仕訳で迷いやすいポイント

消費税の仕訳では、方式そのものよりも、実際の運用で迷う場面が多くあります。ここでは、担当者がつまずきやすいポイントをまとめます。

税込経理方式では日々の仕訳をどう処理するか

税込経理方式では、原則として売上も仕入も経費も税込額でそのまま仕訳します。そのため、日々の入力自体は簡単ですが、月次の数字を確認するときに、売上や費用の中に消費税が含まれている点を意識しておく必要があります。

また、税込経理方式を採用しているのに、一部だけ税抜で処理すると帳簿の整合性が崩れやすくなります。社内で方式を統一し、会計ソフトの税区分設定もあわせて確認しておきましょう。

税抜経理方式では決算時に何をするか

税抜経理方式では、日々の取引ごとに仮受消費税等と仮払消費税等が積み上がるため、決算時に両者を整理して未払消費税等や未収消費税等へ振り替える必要があります。

この処理を正しく行うためには、日常の税区分設定が適切であることが前提です。日々の仕訳で税率や税区分が誤っていると、決算時の精算額もずれてしまいます。

課税取引・非課税取引・不課税取引の違い

消費税の仕訳では、すべての取引に消費税がかかるわけではありません。一般的な商品の販売や課税仕入れは課税取引ですが、土地の譲渡や住宅の家賃のように非課税となるもの、給与や寄附金のように消費税の対象外である不課税取引もあります。

同じ勘定科目でも、内容によって税区分が変わることがあるため、勘定科目だけで判断しないことが大切です。迷ったときは、何に対する支払いなのかを確認して税区分を決めましょう。

インボイス制度で注意したい点

インボイス制度のもとでは、仕入税額控除を受けるために、原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要です。税抜経理方式では消費税額を区分して処理するため、請求書の保存状態や記載内容の確認がとくに重要になります。

請求書に登録番号や税率ごとの消費税額が記載されているか、帳簿の内容と整合しているかを確認しながら処理することで、後から修正が必要になるリスクを減らしやすくなります。

課税事業者と簡易課税制度の基本

消費税の仕訳を理解するうえでは、どの事業者が課税事業者になるのか、簡易課税制度を使えるのはどのような場合かも押さえておく必要があります。ただし、ここは条件が複数あるため、単純に「売上がいくらを超えたら必ずこうなる」と言い切らず、基本の考え方として整理するのが大切です。

課税事業者になる主なケース

一般的には、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合に課税事業者となります。ただし、それだけでなく、特定期間の課税売上高や給与等支払額による判定、適格請求書発行事業者の登録、課税事業者選択届出書の提出などによっても課税事業者になることがあります。

そのため、単純に「前々年の売上高だけを見ればよい」とは限りません。実際の判定では、自社がどの条件に当てはまるのかを確認する必要があります。

簡易課税制度を選べる条件

簡易課税制度は、基準期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者が選択できる制度です。実際の課税仕入れ等の税額を積み上げる代わりに、事業区分ごとのみなし仕入率を使って納付税額を計算します。

仕訳そのものは会計方式に従って行いますが、申告計算の負担を抑えやすい点が特徴です。中小企業では、事務負担を軽くするために簡易課税制度を選ぶケースもあります。

簡易課税制度の届出で注意したい点

簡易課税制度は、自動的に適用される制度ではありません。適用を受けたい課税期間の初日の前日までに、原則として「消費税簡易課税制度選択届出書」を提出しておく必要があります。

また、届出を出していても、基準期間の課税売上高が5,000万円を超える課税期間には適用できません。制度の適用をやめる場合にも届出が必要になるため、経理担当者は申告時期だけでなく届出の有無もあわせて確認しておくことが重要です。

「簡易課税制度」について深く詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

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消費税の仕訳に関するよくある質問

最後に、消費税の仕訳でよくある質問をまとめました。税込経理方式と税抜経理方式の違いや、課税事業者の判定、簡易課税制度の考え方を確認したいときにお役立てください。

消費税の仕訳は税込経理方式と税抜経理方式のどちらで行えばよいですか?

どちらの方式を採用するかは、自社の経理方針や管理方法によって変わります。日々の処理をシンプルに進めたい場合は税込経理方式、消費税額を区分して把握したい場合は税抜経理方式が向いています。大切なのは、社内で方式を統一し、継続して同じ考え方で処理することです。

税込経理方式と税抜経理方式の違いは何ですか?

税込経理方式は、売上や仕入、経費を消費税を含めた金額で処理する方法です。税抜経理方式は、本体価格と消費税額を分けて処理する方法です。税込経理方式は日々の仕訳が比較的わかりやすく、税抜経理方式は納付する消費税額を把握しやすい点が違いです。

消費税の仕訳で使う主な勘定科目は何ですか?

税抜経理方式では、仮受消費税等、仮払消費税等、未払消費税等などを使うことが一般的です。一方、税込経理方式では、日々の売上や経費を税込で処理し、納付時などに租税公課を使うことが多くあります。どの科目を使うかは、会計ソフトの設定や社内ルールも確認しておきましょう。

免税事業者でも税抜経理方式で仕訳できますか?

帳簿上で税抜ベースの管理をしているケースはありますが、免税事業者は所得税または法人税の所得金額の計算上、税込経理方式を適用する考え方になります。そのため、実務上の管理方法と税務上の取り扱いが一致しているかを確認することが大切です。

課税事業者になる基準は売上高1,000万円超だけですか?

一般的には、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える場合に課税事業者となります。ただし、それ以外にも特定期間の課税売上高や給与等支払額による判定、適格請求書発行事業者の登録などによって課税事業者となることがあります。売上高だけで単純に判断せず、自社がどの条件に当てはまるかを確認することが重要です。

簡易課税制度はどのような場合に使えますか?

簡易課税制度は、基準期間の課税売上高が5,000万円以下の課税事業者が選択できる制度です。ただし、自動で適用されるわけではなく、適用を受けたい課税期間の初日の前日までに、原則として届出書を提出する必要があります。事務負担を抑えやすい制度ですが、届出漏れがないかを確認しておくことが大切です。

インボイス制度の開始後、消費税の仕訳で注意したいことは何ですか?

インボイス制度のもとでは、仕入税額控除を受けるために、原則として帳簿と適格請求書等の保存が必要です。請求書に登録番号や税率ごとの消費税額が記載されているかを確認し、帳簿の内容と整合するように処理することが重要です。とくに税抜経理方式では、税区分の誤りが決算時の精算に影響しやすいため注意しましょう。

まとめ

消費税の仕訳は、税込経理方式と税抜経理方式のどちらを採用しているかで考え方が変わります。税込経理方式は日々の処理を進めやすく、税抜経理方式は消費税額を把握しやすい点が特徴です。

まずは、自社が採用している経理方式を確認し、その方式に合わせて売上時、仕入時、決算時の仕訳を統一することが大切です。あわせて、課税事業者の判定や簡易課税制度、インボイス制度の基本も押さえておくと、実務で迷いにくくなります。

会計ソフトで自動仕訳を利用している場合でも、消費税の仕組みを理解しておくことで、税区分の誤りや決算時の修正を防ぎやすくなります。仕訳例を見ながら、自社の運用ルールに置き換えて確認してみてください。

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