経費精算

クレジットカードで領収書が必要なときは?代替案や注意点を解説

更新日:2024.12.25

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クレジットカード決済が当たり前となった現代社会において、領収書の取り扱いは個人・企業双方にとって重要な課題となっています。経費精算や確定申告、税務処理など、様々な場面で必要となるクレジットカードの領収書。しかし、その正しい処理方法について、意外と知られていない点も多いのではないでしょうか。

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今回は、クレジットカード利用時の領収書に関する基本的な知識から注意点まで詳しく解説していきます。

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クレジットカード決済と領収書に関するポイント

クレジットカード決済では、原則として領収書は発行されません。しかし、売り手に依頼するとサービスとして発行してもらえることがあります。領収書は金銭のやり取りの証拠書類であり、クレジットカードは後払いとなるため、商品を受け取った時点では領収書が発行される段階にないのです。

クレジットカード決済で領収書は発行されない

クレジットカード決済の特徴として、実際の支払いが後日行われる後払い方式を採用しているため、商品やサービスを受け取った時点では、領収書が発行されないのが一般的です。

これは、領収書の本質的な役割が現金などの金銭の受け渡しを証明する書類であることに起因しています。つまり、商品購入時にはまだ実際の支払いが完了していないため、領収書を発行する条件が整っていないと言えます。

代わりに、クレジットカード利用時には「お客様控え」「利用明細票」が発行されます。これは取引記録として機能しますが、法的な領収書としては扱われません。実際の支払い証明としては、後日クレジットカード会社から送付される「利用明細書」が該当します。

このような仕組みは、クレジットカード決済特有の後払いシステムに基づいており、現金取引とは異なる証憑書類の体系となっているのです。

サービスで発行された領収書は税法上認められない

クレジットカード決済の際、店舗やサービス提供者が任意で領収書を発行してくれるケースがありますが、これには重要な注意点があります。店舗のサービスとして発行されるこうした領収書は、あくまでも参考資料として扱われ、税法上の正式な「領収書」としては認められません。これは、クレジットカード決済の場合、実際の支払いが利用者から店舗に直接行われるのではなく、カード会社を介して行われるためです。

そのため、確定申告や経費精算などで税法上の証憑が必要な場合は、クレジットカード会社が発行する利用明細書や、取引内容が記載された請求書などの別の書類で代用する必要があります。

特に事業における経費処理や税務申告の際は、この点に十分注意を払い、適切な証憑書類を用意することが重要です。安易にサービスとして発行された領収書のみに頼ることは、後々のトラブルを招く可能性があるため避けるべきでしょう。

サービスの領収書にはクレジットカード決済の記載が必要になる

クレジットカード決済を利用した際の領収書発行において、特に注意が必要なのが記載内容です。取引の証明として発行される領収書には、支払方法としてクレジットカード決済であることを明記する必要があります。

 

これは単なる形式的な要件ではなく、印紙税法上で重要な意味を持ちます。領収書にクレジットカード払いである旨の記載がない場合、その書面は印紙税法上の「領収書」として扱われることになります。特に取引金額が5万円以上の場合、印紙税法により収入印紙を貼付することが義務付けられています。

この要件を満たさない領収書は、税務調査の際に指摘を受ける可能性があり、場合によってはペナルティの対象です。そのため、事業者は領収書発行時に支払方法を適切に記載し、不要な税務リスクを回避することが重要です。

税務調査時に領収書がない場合の対処方法については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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領収書をインボイスに利用する場合はどうする?

インボイス制度が2023年10月から開始され、仕入税額控除を受けるためには適格請求書が必要となっています。クレジットカード決済の場合、領収書にこだわる必要はなく、適格請求書の要件を満たす書類であれば、その形式を問わず仕入税額控除の対象です。

適格請求書として認められるためには、登録番号、取引年月日、商品やサービスの内容、税率ごとに区分された対価の額、消費税額、適用税率、販売者の氏名または名称及び住所、買い手の氏名または名称を記載する必要があります。

つまり、クレジットカード決済時に受け取る書類が、これらの要件を満たしていれば、それが領収書であるかどうかに関わらず、インボイス制度における適格請求書として利用することができます。重要なのは形式ではなく、必要な情報が正確に記載されているかどうかという点です。

インボイス制度で買い手側がすべきことについては、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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インボイスの少額特例

インボイス制度では、仕入税額控除を受けるために原則として適格請求書の発行を受ける必要がありますが、税込金額が1万円未満の取引については「少額特例」が適用されます。

この特例では、支払方法が現金やクレジットカード決済かに関わらず、適格請求書の保存が不要となり、一定の事項を記載した帳簿の保存のみで仕入税額控除を受けることができます。ただし、この特例には重要な制限があり、適用期間は2029年9月30日までと定められています。

また、対象となる事業者も限定されており、基準期間における課税売上高が1億円以下、または特定期間における課税売上高が5,000万円以下の事業者のみが利用可能です。この制度は小規模事業者の事務負担軽減を目的としています。

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クレジットカード決済で領収書の代わりになるもの

クレジットカード決済で領収書の代わりになるものには、利用明細書やレシートがあります。

レシート

レシートは、クレジットカード決済における領収書の代替として広く認められています。POSシステムなどから自動的に出力されるレシートには、取引日時、商品名、金額、支払方法など、取引の証明に必要な情報が網羅的に印字されています。

領収書との大きな違いは宛名の有無ですが、経理処理上、レシートでも十分な証憑として認められるケースが多いです。特に、レシートは機械による自動発行という特性上、手書きの領収書と比べて改ざんが困難であり、取引の信頼性を担保する証明書類として高く評価されています。

日常的な買い物では、つい不要な紙切れとして捨ててしまいがちですが、経費処理や確定申告に必要となる可能性を考慮し、取引内容を確認の上、適切に保管することが推奨されます。

利用明細書

クレジットカード決済を行った際、領収書の代替として利用できるのが利用明細書です。店頭での決済時には、通常レシートと共に利用明細書が発行され、これを領収書の代わりとして使用することができます。

オンラインショッピングなどの通信販売の場合も、商品配送時に利用明細書が同梱されることが一般的で、明細書の発行を依頼すれば対応してくれる販売店がほとんどです。

ただし、インボイス制度における仕入税額控除の証憑として利用する場合は、その利用明細書が適格請求書の要件を満たしているかどうかの確認が必要です。具体的には、登録番号や取引内容、税率区分、消費税額などの必要事項が正しく記載されているか、事前に確認することが重要になります。

【参考】法人カードを利用した場合

法人カードは企業や個人事業主向けに発行されるクレジットカードで、一般的なクレジットカードと基本的な機能は同じですが、より事業用途に特化した特徴を持っています。具体的には、利用限度額が高く設定されていることや、従業員用の追加カードを発行できるなど、ビジネスでの利用を想定した機能が充実しています。

しかし、法人カードを使用した際の経理処理には注意が必要です。特に重要なのが、領収書の代替となる書類についてです。

法人カードの場合、カード会社から送付される利用明細書は領収書としては認められず、取引時に発行されるカードの売上票が領収書の代替として扱われます。そのため、経費処理や税務申告の際には、必ずカードの売上票を保管しておく必要があります。

法人カードの作り方については、以下の記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

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書類の保存期間

領収書やその代替書類の保管は、法令で定められた期間の保存が義務付けられています。

法人の場合は原則として7年間、個人事業主の場合は確定申告を行う青色申告者で7年間白色申告者で5年間の保存が必要です。この保存期間は、書類の発行日からではなく、確定申告の提出期限の翌月から計算を開始する点が重要です。

近年では、保管の効率化のため、書類を電子データとしてスキャンして保存することも認められていますが、単なる画像データとしての保存では不十分です。電子保存を行う場合は、真実性や可視性の確保、検索機能の確保など、電子帳簿保存法で定められた要件を満たすシステムを使用する必要があります。

これらの要件を満たさない電子データは、正式な保存書類として認められない可能性があるため、慎重な対応が求められます。

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領収書をもらう際の注意点

クレジットカード決済で領収書をもらう際の注意点として、以下の3点に気をつけましょう。

  • 領収書の発行は義務ではない
  • 発行された領収書にはクレジットカード決済の文言を忘れない
  • 関連書類を添えて保管しておく

領収書の発行は義務ではない

クレジットカード決済における領収書の発行について、もらえて当然のものと思われがちですが、実は法的な発行義務は存在しません。

クレジットカード決済の場合、支払いの証明はカード会社を通じて行われるため、加盟店には領収書を発行する義務がないのです。

店舗や事業者が領収書を発行している場合、それは顧客サービスの一環として自主的に行っているものです。そのため、領収書の発行を店舗に強制することはできません。

この点は特に経費処理やビジネス利用の際に重要となってきます。事前に領収書が必要な場合は、支払い前に発行の可否を確認し、必要に応じて他の支払い方法を検討するなど、適切な対応を取ることが賢明です。

発行された領収書にはクレジットカード決済の文言を忘れない

クレジットカード決済を行った際の領収書発行時には、特に重要な確認ポイントがあります。先述したように、領収書上に「クレジットカード払い」「カード決済」などの支払方法を示す文言が明記されているかどうかです。

この記載が抜け落ちていると、その領収書は現金による支払いとして扱われ、取引金額が5万円以上の場合は収入印紙の貼付が必要となってしまいます。そのため、領収書を受け取る際は、必ずクレジットカード決済であることを示す文言が記載されているか確認し、記載がない場合は発行者に追記を依頼しましょう。

関連書類を添えて保管しておく

クレジットカード決済における領収書の管理では、関連書類との一体的な保管が重要です。領収書単体では十分な証憑書類とはならないため、利用証明書やレシートなどの関連書類と合わせて保管する必要があります。

これらの書類を別々に管理してしまうと、経費の二重計上や書類の紛失などのリスクが高まります。特に二重計上は、意図的な不正行為と判断される可能性があり、税務調査などで深刻な問題となる可能性があります。

そのため、取引の都度、関連する全ての書類を一括して整理・保管することが推奨されます。具体的には、領収書、利用証明書、レシートなどを取引ごとにまとめてファイリングするなど、わかりやすい管理方法をとりましょう。

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【まとめ】経理の悩みはTOKIUMにおまかせ

クレジットカード決済における領収書の取り扱いについて重要なポイントは、クレジットカード決済では原則として領収書は発行されないことです。領収書の代わりとしては、利用明細書やレシートが使用できます。店舗のサービスとして発行される領収書には、クレジットカード決済である旨の記載が必要です。記載がない場合は印紙税法上の問題が生じる可能性があるので、必ず記載してもらうようにしましょう。

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