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請求書の送付は、企業間取引において欠かせない重要な業務です。しかし、初めて請求書を送る方や、これまでのやり方を見直したい方にとって、正しい送り方やマナーがわからず不安に感じることもあるでしょう。
この記事では、請求書の基本的な送り方から封筒の書き方、送付状の作成方法まで、具体例を交えて解説します。
また、手間のかかる郵送作業を効率化する方法も紹介するので、請求業務の改善をお考えの方は、ぜひ参考にしてください。
請求書を郵送する方法と最低限のマナー
請求書の郵送には、基本的なマナーと手順があります。単に請求書を封筒に入れて送るだけでなく、送付状を添えたり、封筒に「請求書在中」と記載したりするなど、いくつかの配慮が必要です。
気を付ける事項のひとつとして、請求書や封筒の宛名には、相手に応じて「御中」と「様」を使い分ける必要があります。誤った使い方をすると失礼になるため、以下のルールを覚えておきましょう。
<「御中」を使用するケース>
- 会社名だけの場合:「株式会社○○ 御中」
- 部署名宛ての場合:「株式会社○○ △△部 御中」
- 団体名の場合:「○○協会 御中」
<「様」を使用するケース>
- 個人名を記載する場合:「株式会社○○ △△部 山田太郎様」
- 役職と個人名を記載する場合:「株式会社○○ 部長 山田太郎様」
- 担当者が不明な場合:「株式会社○○ △△部 ご担当者様」
注意点として以下があります。
- 「御中」と「様」を併用しない(「株式会社○○御中 山田様」は誤り)
- 会社名の略称(「(株)」など)は使用しない
- 個人名には必ず「様」をつける
- 「御中様」という表現は誤り
- 海外企業の場合も基本的に同じルールを適用する
事前に取引先に確認をとり、相手の希望する宛名の書き方があれば、それに従うことをお勧めします。また、請求書は信書として扱われるため、普通郵便または速達での送付が必要です。宅配便やメール便は利用できないので注意しましょう。
【用意するもの】
- 請求書:取引内容や金額を正確に記載し、捺印したもの(原本)
- 送付状:取引先への挨拶と同封書類を記載した文書
- 中身が見えない封筒:白か薄い青色の封筒が一般的
- 切手:封筒の重さに応じた料金(定形郵便物の場合は110円/2024年10月時点)
送付状の書き方
送付状は、取引先へ請求書を送付する際に添える文書です。請求書の送付であることを伝え、同封している書類の内容を明記します。
送付状の添付は必須ではありませんが、ビジネスマナーとして送付状をつけることで、より丁寧な印象を与えることができます。また、送付状があることで、取引先も請求書の内容を確認しやすくなります。
送付状に法的な決まりはありませんが、1枚にまとめ、シンプルで読みやすい文面にすることが望ましいです。また、季節に合わせた時候の挨拶を入れることで、より丁寧な印象を与えることができます。
同封する書類が複数ある場合は、リストを具体的に記載することで、取引先が内容を確認しやすくなります。
【送付状の記載事項】
- 送付する日付
- 和暦、西暦どちらでも可
- 宛先
- 会社名、部署名、役職名、担当者名を記載
- 個人名の場合は「様」、法人名の場合は「御中」を使用
- 差出人情報
- 自社の会社名、所在地、部署名、担当者名を記載
- 連絡先(電話番号、メールアドレスなど)も記載
- 本文
- 「拝啓」で始まり「敬具」で締めくくる
- 時候の挨拶を入れる
- 日頃の取引への感謝の言葉を添える
- 書類内容と送付枚数
- 送付する書類名と枚数を明記
- 「記」という文字の後に箇条書きで記載
- 本紙(送付状自体)も含める
その他:捺印欄
- 担当者印または会社印を押印(必須ではない)
送付状の文例
ここからは、送付状の文例を紹介します。
なお、文例1と文例2の主な違いは下記のとおりです。
- 文例1:比較的シンプルでフォーマルさを抑えた文面
- 文例2:より丁寧で格式高い表現を使用
- 文例2:住所や送付書類がより詳細
送付状の文例1 令和6年4月1日 株式会社〇〇商事営業部 部長山田太郎 様 株式会社△△製作所 営業部 営業1課係長 佐藤一郎 TEL:03-xxxx-xxxx Mail:xxxxx@xxxx.co.jp 拝啓 陽春の候、貴社ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。 平素は格別のお引き立てを賜り、厚く御礼申し上げます。 さて、下記書類を送付させていただきますので、ご確認くださいますようお願い申し上げます。 記 請求書(3月分) 1通 送付状 1通(本紙) 敬具 |
主な用途は以下の通りです。
- 定期的な取引先への請求書送付
- 担当者が明確で、すでに関係性が構築されている取引先向け
- 中小企業間の取引での使用に適している
また、想定される送り先は下記になります。
- 普段からやり取りのある営業担当者
- 継続的な取引のある企業の特定部署
- 比較的フランクなコミュニケーションが可能な取引先
この文例の特徴をまとめると、以下のようになります。
- シンプルな時候の挨拶
- 簡潔な本文
- 同封書類は最小限
- メールアドレスを記載し、連絡のしやすさに配慮
送付状の文例2 2024年4月1日 株式会社□□工業経理部 ご担当者 様 株式会社▽▽システム 経理部 鈴木花子 〒xxx-xxxx 東京都〇〇区××1-2-3 TEL:03-xxxx-xxxx 拝啓 春暖の候、貴社におかれましてはますますご発展のこととお慶び申し上げます。 日頃より格別のご高配を賜り、誠にありがとうございます。このたび、下記の書類を送付させていただきます。 ご多忙のところ誠に恐縮ではございますが、ご確認のほどよろしくお願い申し上げます。 記 3月分請求書 1通 納品書(No.xxxx) 1通 送付状 1通(本紙) 敬具 |
主な用途は以下の通りです。
- 新規取引先や大企業への請求書送付
- より正式な文書としての体裁が求められる場合
- 初めての請求書送付や重要な案件の場合
また、想定される送り先は下記になります。
- 大手企業の経理部門
- 新規取引先
- 公的機関や団体
- 特に丁寧な対応が求められる取引先
この文例の特徴をまとめると、以下のようになります。
- より丁寧な時候の挨拶
- 謙譲語を多用した本文
- 郵便番号や住所など詳細な連絡先情報
- 同封書類に納品書も含む
- より慎重な言い回しを使用
封筒の書き方
請求書の郵送には長形3号(A4用紙三つ折り用)または角形2号(A4用紙そのまま用)の封筒を使います。色は白か薄い青が一般的で、中身が透けないものを選びましょう。なお、赤い封筒は「赤字」を連想させるため避けましょう。
封筒は縦型・横型どちらでも問題ありませんが、社内で統一することをおすすめします。
封筒の表裏とも、記載事項は丁寧な文字で読みやすく書くことを心がけましょう。特に宛先と差出人の情報は、配達の正確性に関わるため、誤字や脱字がないよう注意が必要です。
また、「請求書在中」の文字は目立つように記載し、取引先が内容を把握しやすいようにします。
封筒の表面の書き方
封筒の表面には、宛先の郵便番号、住所、会社名、部署名、担当者名を正確に記載します。また、左下(縦型の場合)か右下(横型の場合)に「請求書在中」と記載し、右上に切手を貼ります。
会社名には「御中」、個人名には「様」を使い分けることを忘れずにしましょう。
<縦書きの場合の記載項目>
- 郵便番号:右上の枠内もしくは枠外に記載
- 宛先住所:郵便番号の右端下から1字下げて記載
- 会社名:住所の左に記載
- 部署名・担当者名:会社名の後に記載
- 敬称(「御中」「様」):宛名の末尾に記載
- 「請求書在中」:左下に記載
- 切手:左上に貼付
<横書きの場合の記載項目>
- 郵便番号:左上部から2文字程度空けて記載
- 宛先住所:郵便番号の下に記載
- 会社名:封筒中央部に記載
- 部署名・担当者名:会社名の下に記載
- 敬称(「御中」「様」):宛名の末尾に記載
- 「請求書在中」:右下に記載
- 切手:右上に貼付
封筒の裏面の書き方
封筒の裏面には、差出人の情報として郵便番号、住所、会社名、部署名、担当者名を記載します。また、送付日(和暦・西暦どちらでも可)を左上に書き、封筒の継ぎ目には「〆」を記入します。
すべての情報は読みやすい文字で丁寧に記載しましょう。
<縦書きの場合の記載項目>
- 送付日:左上部に和暦で記載
- 差出人の郵便番号:封筒裏面中央の継ぎ目右側に記載
- 差出人の住所:郵便番号の下に記載
- 差出人の会社名:継ぎ目左側に記載
- 差出人の部署名・担当者名:会社名の下に記載
- 封緘印(〆):封筒の継ぎ目中央に記載
<横書きの場合の記載項目>
- 送付日:中央上部に記載
- 差出人の郵便番号:送付日の下に記載
- 差出人の住所:郵便番号の下に記載
- 差出人の会社名:住所の下に記載
- 差出人の部署名・担当者名:会社名の下に記載
- 封緘印(〆):封筒の継ぎ目中央に記載
請求書の折り方・入れ方
A4サイズの請求書と送付状は、以下の手順で折り、封入します。
- まず送付状を一番上に置き、その下に請求書を重ねます
- 書類の下から3分の1を内側に折ります
- 次に上から3分の1を内側に折ります
- 封筒を裏返しにした状態で、折った書類の右側が開く方向になるように入れます
このように折ることで、受取人が封筒を開封した際に、まず送付状が目に入り、その後スムーズに請求書の確認ができます。また、このような折り方をすることで、書類がきれいに収まり、型崩れを防ぐことができます。
郵送の方法
請求書は信書として扱われる書類のため、送付方法は普通郵便か速達のいずれかを選択します。料金は、2024年10月1日から値上げとなり、定形郵便物(25gまで)は以前の84円から110円になります。
封入する請求書の枚数によって重さが変わるため、必ず郵便物の重さを計ってから適切な金額の切手を貼付します。
料金の詳細は、日本郵便のウェブサイトで確認できます。
【請求書の送付に使えない郵送方法】
- ネコポス
- 宅配便
- メール便
- ゆうパック
- クリックポスト
請求書の到着を急ぐ場合は、取引先の了承を得たうえでFAXでの送信も可能です。
ただし、FAXで送信した場合でも、その後必ず請求書の原本を郵送する必要があります。FAXは便利ですが、画質の劣化や誤送信のリスクもあるため、急を要する場合のみ利用することをおすすめします。
請求書を郵便で送る前のチェックポイント
請求書を郵送する前の主なチェックポイントは以下の通りです。
これらを送付前に必ずダブルチェックすることで、ミスを防ぎ、スムーズな取引につながります。
【請求書を郵便で送る前のチェックポイント】
- 記載内容(金額、日付、取引内容など)
- 宛先情報(会社名、部署名、担当者名)
- 自社情報(会社名、住所、連絡先など)
- インボイス要件(登録番号、税率区分など)
- 送付状の内容
- 封筒の記載事項
請求書の内容に誤りがないか
請求書は金銭の授受に関わる重要書類です。金額の間違いは取引先との信頼関係を損なうだけでなく、経理処理の手戻りにもつながります。送付前には必ず複数人でチェックするようにしましょう。
【請求書への記載事項】
- 発行日
- 宛名(会社名、部署名など)
- 取引内容
- 請求金額(税抜・税込)
- 支払期限
- 振込先情報
【適格請求書(インボイス)への記載事項】
- 適格請求書発行事業者登録番号
- 軽減税率対象品目の区分
- 税率ごとに区分された対価の額
- 税率ごとに区分された消費税額
請求書送付前にミスを発見した場合は、訂正印や二重線での修正は避け、必ず新しい請求書を再発行します。既に送付済みの場合は、すぐに取引先へ連絡してお詫びし、正しい請求書を再発行して送付します。
インボイスの場合は、誤った請求書の返還を受けるか破棄してもらい、新たに正しい請求書の発行が必要です。
以下の記事では、請求書に印鑑を押す位置・注意点から電子化の方法まで詳しく解説していますので参考にしてください。
送付先に誤りがないか
郵送やFAXでの送付前には、宛先情報を必ず確認します。特に取引先が複数の支店や営業所を持つ場合は、送付先を間違えないよう注意が必要です。新規取引先の場合は、事前に請求書の送付先を確認しておくとよいでしょう。
請求書には取引金額だけでなく、自社や取引先の機密情報も含まれています。誤った送付先に請求書が届くと、情報漏洩という重大な問題に発展する可能性があります。
また、取引先の信用を失うことにもなりかねません。送付先の確認は慎重に行いましょう。
請求書の送付作業を効率化する方法
請求書の郵送は、書類の準備から封入、切手の貼付、投函まで多くの手作業が必要です。特に大量の請求書を発送する場合、この作業に多くの時間を取られてしまいます。また、封筒代や切手代などのコストも発生します。
【請求書の送付作業を効率化する方法】
- PDFでの電子送付
- クラウドシステムの活用
- 請求代行サービスの利用
- 電子請求書発行システムの導入
これらの方法を活用することで、作業時間の短縮やコスト削減が可能になります。
請求書をPDFで送付する
請求書は、PDFファイルにして電子メールで送付することができます。紙の請求書と同様の法的効力があり、取引先の了承があれば積極的に活用できる方法です。
PDFでの送付には以下のようなメリットがあります。
- 郵送費や封筒代などのコスト削減
- 発送作業の手間が省ける
- 即時に相手に届く
- 紛失のリスクが少ない
- 保管スペースが不要
ただし、PDFでの送付は必ず事前に取引先の了承を得る必要があります。送付先のメールアドレスは担当者に確認し、誤送信を防ぐため送信前の確認を徹底しましょう。
また、自社で作成したPDFファイルは電子帳簿保存法に基づき、PDFのまま保存することが可能です。紙に印刷して保管する必要がないため、保管の手間も大幅に削減できます。
以下の記事では、電子化した請求書の有効性について詳しく解説していますので参考にしてください。
クラウドシステムを利用する
クラウドシステムを利用すると、請求書の作成から送付、保管までをオンライン上で一元管理することができます。システムに取引データを入力するだけで、自動的に請求書が作成され、取引先に送付することも可能です。
TOKIUMの支出管理プラットフォームでできることと、その魅力は以下の通りです。
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さらに、請求書の受け取りから支払いまでの一連のプロセスを自動化できるため、経理担当者の作業負担を大幅に軽減できます。インボイス制度にも対応しており、税率や登録番号の確認も自動で行えます。支払調書の作成や、経費精算などの機能も備えているため、経理業務全体の効率化が図れます。
まとめ
請求書の送付には、送付状の添付や封筒の書き方など、守るべきマナーがあります。これらの基本的なルールを押さえておくことで、スムーズな取引が可能になります。ただし、郵送での請求書送付は手間とコストがかかるため、業務効率化の観点からPDFでの送付やクラウドシステムの活用を検討してみましょう。
特に請求書の発行件数が多い場合は、TOKIUMの支出管理プラットフォームのような請求書管理システムの導入がおすすめです。AI-OCRによる自動データ化や承認ワークフローの自動化により、経理担当者の作業負担を大幅に削減できます。
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