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海外企業との取引で納品書を作成する必要が生じた際、正式な書き方や表現が分からずに悩んでしまうことがあるでしょう。
ビジネスのグローバル化が進む昨今、海外企業との取引では英語で書類を作成する機会も増えているため、正式な書き方を把握することはビジネスの成功に欠かせません。
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この記事では納品書の英語表現から書き方のポイントの他、取引先へメールを送付する際の例文も紹介します。サンプルを見ながら作成すれば、英語での納品書作成も安心して取り組めるようになるため、ぜひ参考にして下さい。
納品書は英語で「Delivery Slip」「Delivery Note」「Statement of Delivery」
納品書を表す英語表現としては「Delivary Slip」「Delivery note」「Statement of Delivery」などが挙げられます。
この中で最も日本語の納品書に近い意味合いをもつのは「Statement of Delivery」です。「Delivary Slip」や「Delivery Note」はどちらかというと、運送業における配達票や配達伝票などの意味で使われます。
ただ「Statement of Delivery」が英語圏でよく使われているかといえば、そうでもありません。なぜなら、基本的に英語圏では届けた商品に納品書を添付する文化がないからです。通常、英語圏では請求書と納品書を兼ねた「Invoice」を、商品を届ける際に添付します。
英語での納品書の書き方
前述したように英語圏の企業では、商品を納入する際に納品書を添付する文化がありません。
ただ、例えば海外企業でも日系企業だと国によっては納品書を必要とする場合もあります。そのため、取引先によっては海外企業でも英語の納品書を作成しなければなりません。
通常、海外企業に依頼されて納品書を作成する場合、国内企業間でやり取りする際に使用する納品書を英訳したものを使います。ここでは、納品書を英語で作成する際の具体的な方法を解説します。
英語での納品書に必要な項目
英語での納品書に必要となる主な項目は次の通りです。
- タイトル(Title)
日本語であれば納品書ですが、英語の場合は、前述した「Statement of Delivery」と記載。
- 納品書発行日(Invoice Date)
納品書を発行する日を記載。単純に「Date」とする場合もある。
- 納品書発行番号(Invoice Number)
納品書を発行する番号。「Number」「No.」でも問題なし。
- 自社情報(Company Information)
自社の社名(Name)、住所(Address)、電話番号(Phone)などを記載。
- 取引先情報、納品書宛先(Customer Information)
取引先企業の名前(Name)と納品書の宛先となる住所(Address)、電話番号(Phone)などを記載。
- 取引先情報、送付先(Customer Information)
商品を届ける場所が納品書の宛先と異なる場合に記載。
- 納品明細(Description)
詳しくは後述※1
- 備考(Note / Remarks)
特記事項があれば記載。
※1:納品明細に記載する主な項目
- 注文品(Item)
- 商品名(Product Name)
- サービス内容(Service Description)
- サイズ(Size)
- 数量(Quantity)
- 単価(Unit Pric)
- 各商品の金額合計(Total / Amount)
英語で納品書の送付を伝えるメールの書き方
次は納品書を送付したことを、取引先企業にメールで伝える際の書き方について解説します。
件名に取引内容、取引番号などを含めて簡潔に記載
メールの件名はそれだけで何の取引なのか分かるように、取引内容や取引番号を簡潔に記載します。英語の例文は次の通りです。
Delivery Note for [Order Number / Your Order] (注文番号・ご注文に関する納品書)
納品書の添付を明記
本文でも、納品書を添付してあることを改めて明記します。英語の例文は次の通りです。
Please find attached the delivery note for your recent order.
(最近のご注文に対する納品書を添付いたします)
納品書の目的を明記
納品書を添付した目的を明記して納品書の閲覧を促し、内容に間違いがないか確認してもらいます。英語の例文は次の通りです。
Please review the delivery note and confirm that all details are correct.
(納品書をご確認頂き、全ての内容が正しいかご確認下さい)
お礼の言葉・締めの言葉
メール本文の最後には、取引に対するお礼と締めの言葉を記載します。英語の例文は次の通りです。
Thank you for your business, and please let us know if there is anything else we can assist you with. Kind regards,
(お取引頂きありがとうございます。他にお手伝いできることがございましたら、お知らせ下さい。よろしくお願いいたします)
納品書のトラブルに関する表現
英語の納品書を添付したことを、メールで伝える英文例を紹介してきました。ここではさらに踏み込んで、納品書にトラブルがあった際の対応方法を伝えるための英文例を紹介します。
- Should you require any modifications to the delivery note, please contact our support team.
(納品書に修正が必要な場合は、サポートチームまでご連絡下さい)
- The delivery note number is required for any inquiries regarding the shipment.
(発送に関するお問い合わせには、納品書番号が必要です)
- Please retain the delivery note for your records and future reference.
(記録および将来的な参照のために、納品書を保管しておいて下さい)
- If the delivery note is lost, please contact us, and we will provide a replacement copy.
(納品書を紛失した場合はご連絡下さい。代替のコピーをお送りします)
金額・支払の詳細に関する表現
納品した商品の支払いを求める際の方法や期限については、次のような英文を用います。
- The total amount on the delivery note should be paid within 30 days.
(納品書に記載の合計金額は30日以内にお支払い下さい)
- To facilitate the processing of your payment, please reference the delivery note number on your payment slip.
(お支払い手続きを円滑に進めるために、振込用紙に納品書番号をご記入下さい)
英語で住所を書く際のルール
英語では自社や取引先企業の住所を書く際のルールが日本とは異なり、逆順で丁目・番地から始まり最後に都道府県、国名を記載します。
例えば「〒104-0061 東京都中央区銀座6丁目18-2 野村不動産銀座ビル12階」の場合、英語で記載すると次のようになります。
「12F, Nomura-Fudosan Bldg. 2-18-6, Ginza Chuo-ku, Tokyo 104-0061 JAPAN」
貿易に関連する納品書(インボイス)
納品書は英語圏ではあまり使われないと前述しました。しかし、海外企業との取引は貿易であるため、貨物通関手続きで必要となる、納品書と請求書を兼ねた「Invoice(インボイス)」を必ず作成しなければなりません。
海外へ商品を送付する際には納品書(インボイス)が必要であり、その種類は「商業送り状」と「公用送り状」の2つです。それぞれの概要について解説します。
商業送り状(Commercial Invoice)
商業送り状とは、輸出者が取引先の輸入者に対して発行する貨物の詳細を示す商取引書類です。
商業送り状は2つの種類があります。1つは商品を船に積んだ際、輸出者が輸入者に対して作成する「船積送り状(Shipping Invoice)」です。船に積んだ荷物の請求書としての役割や出荷案内としての役割をもっています。
もう1つは、売買契約を行う前に輸出者が輸入者に対して作成する「見積送り状(Proforma Invoice)」です。輸入者が輸入通関を行う際に使用する場合もあります。
主な記載項目は次の通りです。
- インボイス番号(Invoice No.)
- 発行日(Date)
- 輸出者情報(Shipper / Exporter)
- 輸入者情報(Consignee)
- 積載予定の船もしくは飛行機情報(Shipped Per / Air Flight)
- 出航予定日(Sailing on)
- 船積港情報(Port of Loading)
- 仕向港情報(Port of Destination)
- 貿易条件(Trade Terms)
- 支払い条件(Payment Terms)
- 貨物品名(Description on Goods)
- 貨物単位(Quantity)
- 貨物単価(Unit Price)
- 数量と単価をかけ合わせた金額(Amount)
- 合計金額(Total)
- 原産国(Certificate of Origin)
- 荷印(Shipping Mark)
- 支払い先情報(Bank detail)
- 輸出者のサイン(Sign)
公用送り状(Official Invoice)
公用送り状とは、商品を輸出入する際にかかる関税の不正を防止する目的の書類です。主に脱税や不当な廉価販売阻止を目的とした「領事送り状」と輸入する国の税関に輸出品が適正かつ公正な価格であることの明示を目的とした「税関送り状」があります。
近年、領事送り状が使われている国は減っているものの、アフリカや中南米諸国の一部では提出を求められるケースもあり、事前の確認は必須です。
また、どちらも送り状に記載する内容は基本的に商業送り状と変わりませんが、輸出国に駐在する輸入国領事のビザの必要性が異なります。領事送り状はビザが必要ですが、税関送り状はビザが不要です。国によってフォーマットが決まっていることもあるため、作成時には必ず確認しましょう。
パッキングリスト
パッキングリストとは、箱や樽、パレットなど商品の単位や個数、重さなどを英語で記載した輸出入貨物の梱包明細書です。
商品を海外へ輸出、海外から輸入する場合、コンテナを使われるケースが多く、納品書(インボイス)だけでは輸入者側の商品の照合が難しい場合があります。その際、照合を分かりやすくするためにパッキングリストを作成し、納品書と併せて商品に添付します。
デリバリーノート
デリバリーノートとは、商品を海外へ輸出する際に輸出者が輸入者宛てに発行する書類です。パッケージに貼り付けたり、箱の中に封入したりするのが一般的です。
内容は商品の明細や送付先、供給業者などを記載した書類で、商品の照合にも使える点ではパッキングリストに類似しています。
ただ、パッキングリストは税関で確認されますが、デリバリーノートは税関で見られることはなく、取引を行う当事者間でのみ確認するための書類です。
海外企業との取引では納品書(インボイス)作成が必須
英語圏では納品書を使用する文化がなく、特有のルールもありません。そのため、日本で使っている納品書をそのまま英訳して使うのが一般的です。
納品書を商品ではなくメールに添付して送る場合は、件名に取引内容や番号を簡潔に記載した上で、本文では納品書を添付したことや目的を明記します。そして、最後は国内企業に送る場合と同じように、お礼の言葉で締めましょう。
ただし、海外企業との取引において、国内での取引で使われるような納品書は必須ではないものの、貿易に関する納品書(インボイス)は必須です。通関手続きを行う際は必ず必要となるため、取引先に確認した上で適切に作成して下さい。その他国によってルールが異なる場合もあるので、取引の際は適宜要件を確認することをおすすめします。