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請求書照合とは?作業を効率化する5つの方法を解説

更新日:2025.06.27

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請求書 照合

毎月、大量に届く請求書。その一枚一枚を発注書や納品書と突き合わせる「請求書照合」は、経理部門にとって時間と手間がかかる業務の一つです。目視での確認作業は、集中力を要するだけでなく、ヒューマンエラーのリスクも常に伴います。

「この照合作業をもっと効率化できないか」「ミスをなくし、月末月初の残業を減らしたい」——。多くの経理担当者が、このような課題を抱えているのではないでしょうか。

→ダウンロード:突合・照合業務の課題解決策とは?

本記事では、請求書照合の基本的な知識から、手作業が抱える具体的な課題、そして明日からでも始められる効率化の方法までを体系的に解説します。さらに、請求書受領サービスなどのシステム導入を成功させるための選定ポイントも紹介します。この記事を読めば、貴社の請求書照合業務を自動化し、経理部門全体の生産性を向上させるための具体的な道筋が見えるはずです。

突合・照合業務の課題解決策とは?

請求書照合とは?経理業務における重要性

請求書照合とは、取引先から受領した請求書に記載された内容が、自社が発行した発注書や、受け取った商品・サービスの納品書といった関連書類の内容と一致しているかを確認する作業です。この照合プロセスは、企業の支出を管理し、財務の健全性を保つ上で極めて重要な役割を担っています。

請求書照合の目的:支払いの正当性を担保する

請求書照合の最大の目的は、支払いの正当性を確認し、不正や誤りを未然に防ぐことです。具体的には、以下のようなリスクを回避するために行われます。

  • 過払いの防止: 数量や単価の誤り、二重請求などによる過払いを防ぎます。
  • 架空請求の防止: 取引実態のない請求(架空請求)を見抜き、不正な支払いを防ぎます。
  • 契約遵守の確認: 発注時の契約内容(金額、数量、納期など)通りに納品・請求が行われているかを確認します。

これらの確認を怠ると、企業は不必要な金銭的損失を被るだけでなく、取引先との信頼関係を損なう可能性もあります。正確な照合業務は、企業のコンプライアンスとガバナンスを支える基盤と言えるでしょう。

主な照合パターン「2点照合」と「3点照合」

請求書照合には、主に「2点照合」と「3点照合」という2つのパターンがあります。

  • 2点照合:「請求書」と「発注書(または納品書)」の2つの書類を照合する方法です。発注内容と請求内容が一致しているかを確認する、比較的シンプルな照合プロセスです。
  • 3点照合:「請求書」「発注書」「納品書(または検収書)」の3つの書類を照合する方法です。発注したものが、確かに納品され、その内容に基づいて正しく請求されているか、という一連の取引プロセス全体を検証します。3点照合は、より厳密な確認が可能であり、内部統制の強化に繋がります。

企業の規模や取引の特性によって適切な方法は異なりますが、特に物品の購入などでは、現物の受領を確認する納品書を含む3点照合が推奨されます。

請求書照合で確認すべき8つのチェックリスト

請求書照合を正確に行うためには、以下の項目を網羅的に確認することが重要です。自社のチェックリストとしてご活用ください。

No.チェック項目確認内容
1請求書発行元取引基本契約書などに記載された、正式な取引先名称・住所と一致しているか。
2請求日・支払期限取引先との契約で定められた請求日、支払期限の通りか。
3合計請求金額請求書の合計金額が、発注書や納品書の金額と一致しているか。
4品目・品番発注した品目や品番と、請求書に記載された内容が一致しているか。
5数量・単価発注した数量、単価と差異がないか。
6消費税適用税率、消費税額の計算は正しいか。(インボイス制度の要件も確認)
7振込先口座事前に登録されている取引先の口座情報と一致しているか。
8担当者・承認印社内規定で定められた担当者や承認者の押印・サインがあるか。

特にインボイス制度(適格請求書等保存方式)の開始以降は、適格請求書発行事業者の登録番号の有無や、税率ごとの消費税額の記載など、確認すべき項目が追加されています。法改正への正確な対応も、照合業務の重要なポイントです。

アナログな請求書照合が抱える3つの課題

多くの企業で、請求書の照合作業は依然として担当者による目視確認に依存しています。しかし、このアナログな手法には、見過ごせない3つの大きな課題が存在します。

膨大な作業時間と人件費

請求書の処理枚数が増えれば増えるほど、照合にかかる時間は比例して増加します。担当者は、紙の書類を探し出し、一枚一枚、項目を目で追い、電卓を叩いて検算するといった作業に多くの時間を費やしています。

特に月末月初の繁忙期には、この照合作業のために残業を余儀なくされるケースも少なくありません。本来であれば、予算分析や資金繰り計画といった、より付加価値の高い業務に従事すべき経理担当者の時間が、単純な突合作業に奪われているのです。これは、企業にとって見えない人件費の増大に他なりません。

ヒューマンエラーによる手戻りや支払いミス

どれだけ注意深く確認しても、人間が介在する以上、ミスを完全になくすことは困難です。金額の読み間違い、二重計上、確認漏れといったヒューマンエラーは、支払いミスに直結します。

もし誤って過払いをしてしまった場合、取引先への連絡や返金交渉といった追加の業務が発生します。逆に支払いが漏れていれば、取引先からの信用を失うことにもなりかねません。これらの手戻りやトラブル対応は、担当者の精神的な負担を増大させる要因にもなります。

不正や改ざんの見逃しリスク

アナログな照合プロセスは、内部不正の温床となるリスクもはらんでいます。例えば、担当者が取引先と共謀し、架空の請求書や水増しされた請求書を処理するといったケースです。

また、担当者の思い込みや確認の甘さから、巧妙に偽装された請求書を見逃してしまう可能性もゼロではありません。厳密な3点照合のルールが形骸化していたり、担当者任せの属人的なチェック体制になっていたりする場合、そのリスクはさらに高まります。システムの力を借りずに個人の能力だけで不正を発見し続けることには限界があります。

請求書照合を効率化する5つの方法

これらの課題を解決し、請求書照合を効率化するためには、どのようなアプローチがあるのでしょうか。ここでは、5つの具体的な方法を紹介します。

Excel関数やマクロの活用

最も手軽に始められるのが、Excelを活用する方法です。発注データと請求データをそれぞれExcelに入力し、VLOOKUP関数やIF関数などを使って、金額や品番の不一致を自動で検出する仕組みを作ることができます。マクロ(VBA)の知識があれば、より複雑な照合プロセスを自動化することも可能です。

ただし、データの入力は手作業で必要であり、マクロの作成やメンテナンスには専門的な知識が求められるというデメリットもあります。

会計ソフトの標準機能の利用

多くの会計ソフトには、買掛金の管理機能の一部として、発注データと請求データを照合する機能が備わっています。発注情報をあらかじめシステムに登録しておくことで、請求データを取り込んだ際に自動で突合し、差異があるものだけをアラートで知らせてくれます。

既に導入している会計ソフトがある場合は、照合機能の有無や活用方法を確認してみる価値があるでしょう。

OCR(光学的文字認識)ツールの導入

OCRとは、紙の請求書やPDFファイルに記載された文字情報を読み取り、テキストデータに変換する技術です。OCRツールを使えば、請求書の内容を手入力する手間を大幅に削減できます。変換されたデータを会計ソフトなどに取り込むことで、照合作業の入り口を自動化することが可能です。

請求書受領サービスの活用

請求書受領サービスは、紙や電子(PDF、EDIなど)といった様々な形式で送られてくる請求書を、企業に代わって一元的に受け取り、データ化してくれるサービスです。

多くのサービスでは、OCRによるデータ化だけでなく、オペレーターによる内容確認・補正も行われるため、高い精度でのデータ化が期待できます。さらに、発注データとの自動照合機能を備えたサービスも多く、照合作業そのものを大幅に自動化できます。

TOKIUMインボイスは、紙やメール、WEBからのダウンロード、FAXなどあらゆる形式での請求書受領を代行し、支払い業務の効率化を実現する請求書受領クラウドです。

受領した請求書はオペレーターとAI-OCRの組み合わせにより、高い精度でデータ化し、支払申請・承認・仕訳、会計ソフトへの連携もクラウド上で完結します。請求書の原本は、TOKIUMが保管するので、ファイリング作業も不要。電子帳簿保存法やインボイス制度にも対応しています。

支出管理プラットフォームTOKIUMのシリーズ累計導入社数は2,500社を超え、規模や業種を問わず幅広くご利用いただいております。

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BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用

システム導入と並行して、あるいはそれ以上に抜本的な解決策となりうるのが、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)の活用です。これは、請求書照合を含む一連の業務プロセスそのものを、専門の外部企業へ委託する方法を指します。

「請求書受領サービス」が主にシステム(SaaS)の提供によって効率化を図るのに対し、BPOは「ヒト」と「業務プロセス」をセットでアウトソースする点に特徴があります。

BPOで委託できる業務の例

  • 請求書の代理受領・開封・スキャニング
  • 請求書内容のデータ入力
  • 発注情報との突合・照合作業の実行
  • 不備があった際の内容確認と、貴社担当者へのエスカレーション
  • 仕訳データの作成・会計システムへの入力代行
  • 処理済み請求書のファイリング・保管
突合・照合業務の課題解決策とは?

まとめ

請求書照合は、支払いの正当性を担保する重要な業務ですが、手作業に依存し続ける限り、時間、コスト、ミスのリスクといった課題から逃れることはできません。Excelの活用から本格的なシステム導入まで、効率化の方法は多岐にわたります。自社の課題や規模に合わせて、最適な方法を選択することが、経理部門の生産性向上の第一歩となります。

近年では、単なるシステムの導入に留まらず、AIが人間に代わって一連の経理業務を遂行する**「経理AIエージェント」**という新たな概念も現実のものとなりつつあります。請求書の受け取りから、内容の読み取り、照合、仕訳計上、そして支払い申請までをAIが自律的に判断し、実行する。そんな未来がすぐそこまで来ています。

請求書照合の自動化は、その未来に向けた重要なステップです。単純作業をテクノロジーに任せ、経理担当者がより創造的で付加価値の高い業務に集中できる体制を構築するために、まずは自社の照合作業の見直しから始めてみてはいかがでしょうか。

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