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「毎月の出張手配、正直大変…」「もっと安く最適なプランがあったはずなのに…」。企業の総務部門では、従業員の出張手配に関する悩みが尽きません。交通機関や宿泊先の選定、予約、そして承認・精算プロセスは、時間と手間がかかるだけでなく、コスト管理やガバナンスの観点からも重要な業務です。
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しかし、これらの煩雑な業務は、仕組みを見直すことで大幅に効率化できる可能性があります。本記事では、総務担当者が直面する出張手配の課題を整理し、BTM(ビジネストラベルマネジメント)の活用やシステム導入といった具体的な解決策を徹底解説します。自社に最適な方法を見つけ、戦略的な総務業務への第一歩を踏み出しましょう。
総務担当者を悩ませる、出張手配の5つの課題
出張手配業務には、多くの企業で共通する課題が潜んでいます。まずは、自社の状況と照らし合わせながら、課題を具体的に把握することから始めましょう。
課題1:煩雑な手配業務による時間的コストの増大
出張手配は、単にチケットを予約するだけの単純な作業ではありません。出張者からの依頼を受け、複数の予約サイトで料金や空き状況を比較し、最適な交通手段と宿泊先を選定するプロセスは非常に時間がかかります。特に、急な出張依頼や複数人の手配が重なると、担当者の負担はさらに増大し、本来注力すべき他のコア業務を圧迫する原因となります。
課題2:出張コストの不透明性と管理の難しさ
出張者それぞれが異なる方法で予約を行ったり、領収書の提出が遅れたりすると、会社全体で「いつ、誰が、何に、いくら使ったのか」を正確に把握することが困難になります。コストが可視化されないと、無駄な支出を見過ごしてしまったり、予算実績の管理が曖昧になったりするリスクがあります。コスト削減を求められても、どこから手をつけるべきか判断がつきません。
課題3:出張規定の形骸化とガバナンスの問題
多くの企業では、宿泊費の上限や利用可能な交通機関のクラスなどを定めた「出張旅費規程」が存在します。しかし、この規定が全従業員に正しく理解・遵守されているとは限りません。規定を超えた予約が黙認されていたり、承認プロセスのチェックが甘かったりすると、規定は形骸化し、コーポレートガバナンスの低下につながる恐れがあります。
課題4:従業員の立替払いや精算業務の負担
出張者が旅費や宿泊費を一時的に立替払いする運用は、従業員にとって経済的な負担となります。また、帰社後には大量の領収書を整理し、経費精算書を作成するという煩雑な作業が待っています。総務・経理担当者側も、提出された申請書と領収書の突合作業や仕訳作業に多くの時間を費やしており、双方にとって大きな負担です。
課題5:電子帳簿保存法など法改正への対応
2022年1月に改正された電子帳簿保存法への対応も、新たな課題となっています。これまで紙で回収していた領収書を電子データで保存するには、法の要件を満たす運用体制の構築が必要です。出張関連の経費は領収書の種類も多岐にわたるため、法対応を適切に進めるには、手配から精算までのプロセス全体の見直しが求められます。
まずはここから!出張手配の基本的な流れと潜む非効率
課題を解決するためには、まず現在の業務フローを正しく理解することが重要です。ここでは、一般的な出張手配から精算までの流れと、各段階に潜む非効率なポイントを解説します。
① 出張申請と承認
出張者が日程や目的地、目的などを記載した申請書を作成し、上長が承認します。このプロセスが紙やメールベースで行われている場合、申請書の回覧に時間がかかったり、承認状況が分かりにくかったりする問題があります。承認の遅れは、早期予約割引などを逃す原因にもなりかねません。
② 交通機関・宿泊先の手配と予約
承認後、総務担当者または出張者本人が、新幹線や飛行機、ホテルなどの手配を行います。この際、複数の予約サイトを往復して価格や条件を比較検討する必要があり、最も時間のかかるプロセスです。また、法人契約しているサービスがない場合、手配方法が属人化し、最適な選択がなされているかの判断が難しくなります。
③ 出張報告と経費精算
出張から戻った後、出張者は出張報告書と経費精算書を作成し、立替えた費用の領収書を添付して提出します。この一連の作業は、出張者にとっても経理担当者にとっても大きな負担です。領収書の糊付けや申請内容のチェック、支払い処理など、手作業が多く発生し、ミスや確認の手間が生じやすくなります。
総務の出張手配を効率化する4つの解決策
前述した課題や非効率なポイントは、適切なツールやサービスを導入することで解決できます。ここでは、代表的な4つの解決策を紹介します。
解決策1:出張管理規定の整備と周知徹底
ツール導入の前に、まず取り組むべきなのが出張管理規定の整備です。宿泊費の上限額、利用可能な交通手段や座席クラス、日当の基準などを明確に定め、全社で共有します。規定を明確にすることで、手配時の迷いをなくし、従業員間の公平性を保ち、ガバナンスを強化する基盤ができます。
解決策2:BTM(ビジネストラベルマネジメント)の導入
BTM(Business Travel Management)とは、出張に関する手配や管理業務を一元的にサポートする仕組みやサービスのことです。BTMサービスを利用すると、専用のシステムを通じて航空券や宿泊先の手配が可能になり、出張データが一元管理されます。これにより、コストの可視化、規定遵守の徹底、危機管理の強化などが実現できます。
解決策3:出張手配代行サービス(旅行代理店)の活用
出張手配業務そのものを、専門の旅行代理店などにアウトソーシングする方法です。出張の日程や要件を伝えるだけで、専門のオペレーターが最適なプランを提案・手配してくれます。特に、海外出張や団体での出張など、手配が複雑な場合に有効です。担当者は煩雑な手配業務から解放され、コア業務に集中できます。
解決策4:出張手配から精算までを一元化するシステム導入
出張手配機能と経費精算機能が一体となったシステムを導入する方法です。システム上で手配した交通機関や宿泊先のデータは、そのまま経費精算システムに連携されるため、手入力の必要がありません。申請から承認、手配、精算までの一連のプロセスがデジタル化され、ペーパーレス化も促進。業務全体を劇的に効率化します。
【徹底比較】BTM・代行サービス・システム、自社に合うのはどれ?
自社に最適な解決策を選ぶために、それぞれのメリット・デメリットを理解しておきましょう。
BTM|コスト削減とガバナンス強化を両立したい企業向け
- メリット: 出張データの一元管理によるコストの可視化と分析が可能。出張規定に基づいた手配制御でガバナンスを強化できる。一括請求により立替精算が不要になる場合も多い。
- デメリット: 導入や運用に一定のコストがかかる。提供されるサービス内容が多岐にわたるため、自社の課題に合ったサービスを慎重に選ぶ必要がある。
出張手配代行サービス|手配業務を丸ごと委託したい企業向け
- メリット: 手配業務から完全に解放される。複雑な旅程や緊急時の対応も任せられる安心感がある。
- デメリット: 手配ごとに手数料が発生する場合が多く、出張頻度が高いとコストがかさむ可能性がある。経費精算プロセスは別途効率化を検討する必要がある。
出張手配・経費精算システム|手配と精算の連携を重視する企業向け
- メリット: 手配から精算までが一気通貫で効率化される。従業員の立替払いや精算の手間を大幅に削減できる。電子帳簿保存法にも対応しやすい。
- デメリット: システムの導入・運用コストがかかる。従業員が新しいシステム操作に慣れるまで、一時的に教育コストが発生する可能性がある。
失敗しない効率化手法の選び方3つのポイント
どの解決策が自社に最適かを見極めるために、以下の3つのポイントを検討しましょう。
ポイント1:出張の頻度や国内外の比率で選ぶ
国内出張が月に数件程度であれば、まずは規定の見直しや経費精算システムの導入から始めるのが現実的かもしれません。一方、国内外への出張が頻繁に発生し、手配業務が大きな負担となっている場合は、BTMや代行サービスの導入が有効です。
ポイント2:コスト削減とガバナンス強化、何を最優先するか
最も解決したい課題は何かを明確にしましょう。「とにかくコストを削減したい」のであれば、購買データを分析できるBTMが適しています。「規定遵守を徹底させたい」というガバナンス強化が目的なら、手配内容を制御できるBTMやシステムが有効です。「担当者の業務負担軽減」が最優先なら、代行サービスも選択肢に入ります。
ポイント3:既存の経費精算フローとの連携は可能か
出張手配は、経費精算と切り離せない業務です。新しいツールやサービスを導入する際は、既存の経理システムや会計ソフトとの連携が可能かどうかを必ず確認しましょう。データがスムーズに連携できれば、手配から精算までのプロセス全体をシームレスに効率化できます。
まとめ:
総務担当者を悩ませる出張手配業務は、BTMやシステムの導入、アウトソーシングといった手法を活用することで、大幅に効率化し、コスト削減やガバナンス強化を実現できます。重要なのは、自社の課題や規模に合わせて最適な解決策を選択することです。
そして、これらの業務効率化の先には、さらなる自動化の未来が待っています。AI技術の進化により、将来的には「経理AIエージェント」が出張手配を担う時代が来るかもしれません。出張者の過去の傾向やスケジュールから最適なプランをAIが自動で提案し、予約から精算申請までを代行する。そんな未来を見据え、まずは手配と精算のプロセスをデジタル化し、一元管理することから始めてみてはいかがでしょうか。
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