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RPA処理とは?経理の自動化で成果を出す設計・運用・改善【2025年版】

更新日:2025.08.22

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人手不足や属人化、インボイス制度・電帳法対応など、経理部門には「正確さ」と「速さ」の両立が求められます。RPA処理は、ルールが明確な定型業務をソフトウェアロボットに任せ、ヒューマンエラーと残業を同時に減らす実装手段です。

→業務の自動運転を実現する経理AIエージェントとは?

本稿は、経理の現場目線で“失敗しないRPA処理”を設計→運用→改善の流れで解説し、最新事例やトラブル対策、AIエージェントとの使い分けまで網羅します。

RPA処理の基礎を押さえよう

RPA処理は、人が行うクリックや入力の手順(シナリオ)を模倣し、定型業務を高速・正確に繰り返します。経理では請求データの転記、仕訳入力、残高照合など“ルールで決まる”処理に強みがあります。まずは向き/不向きの境界を理解し、例外が多い業務を無理に適用しない見極めが出発点です。

RPA処理の定義と対象業務

RPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)は、パソコン上で繰り返し行われる定型作業を自動化する技術です。特に経理業務では、請求書処理や仕訳入力などのルール化された作業が多く、属人化や人手不足、高齢化といった課題が顕在化しています。RPA処理を導入することで、こうした単純作業をソフトウェアロボットが自動で実行し、作業速度や正確性が大幅に向上します。

向いている/向いていない処理の判定軸

RPA処理の導入は、安定した業務運用や人材不足の解消にも寄与します。定型作業を自動化することで、従業員はより付加価値の高い業務に集中でき、残業削減や業務効率化が期待できます。最近ではAIとの連携も進んでいますが、RPAの特徴は「人間が定めたルール通りに正確に作業を行う」点にあります。まずはRPA処理の仕組みを理解し、どの業務が自動化に適しているかを見極めることが重要です。

経理での代表例(転記・照合・集計)

例えば、大学の財務会計業務では、期末作業に10時間以上かかっていた処理をRPA処理ツールとデータプレパレーションソフトの組み合わせで自動化し、作業時間を約1分に短縮した事例があります。こうしたRPA処理自動化の効果は、経理部門の業務効率化やコスト削減に大きく貢献しています。

RPA処理自動化の最新事例

大学の財務会計で10時間超の処理が約1分へ短縮した事例や、近距離旅費計算・勤怠チェックの自動化など、教育・行政領域でも効果が確認されています。海外では公的機関による大規模コミュニティが運用・ガイドを整備し、ミス削減と処理スピードを両立しています。

学内会計の高速化に寄与した東大の例

経理部門や事務部門でRPA処理を導入すると、どのような成果が得られるのでしょうか。東京大学では、RPA処理ツールを活用し、近距離旅費の自動計算や勤務表の自動チェックなどを実現し、作業省力化と業務ミスの削減を達成しています。

参考:【総長賞】RPAを利用した近距離旅費自動計算から振込処理まで及びPADを利用した就労管理システム勤務表らくらくチェック | 東京大学

公共部門に広がる運用ナレッジ

また、クラウド型のRPA処理ツールを活用する事例も増えており、ExcelやWebサイト、クラウドサービスなど多様なシステムと連携しやすい点が特徴です。プログラミング知識がなくても導入しやすく、教育現場でもRPA処理自動化ソフトの体験が進んでいます。こうした取り組みは、将来の人材育成にもつながっています。

クラウドRPAを活用した連携効果

海外では、アメリカ合衆国連邦政府がRPAコミュニティを組織し、100以上の省庁から1,600人以上が参加する大規模なRPA処理支援プログラムを展開しています。業務効率やコスト削減、ミスの削減などの効果が報告されており、RPA処理自動化は世界中の公的機関や企業で広がっています。

判断が絡む例外処理はAI、実行はRPAという役割分担の詳細については、以下の記事を参考にしてください。

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RPA処理効率化のポイント

導入そのものより業務設計が成否を分けます。紙の廃止・入力源の統一・命名規則の統一でデータの“通り道”を整え、取得→加工→検証→登録の流れを明文化。まずは小さく始めることで早期に成果と学びを得て、標準化テンプレートで横展開します。

可視化とペーパーレスで“通り道”を作る

RPA処理効率化を実現するには、単にソフトウェアを導入するだけでなく、業務フローの見直しや業務整理が不可欠です。現場の実務を詳細に洗い出し、どの作業が最も時間を要しているかを把握することが第一歩となります。紙ベースの書類が多い場合はペーパーレス化を進め、Excelや会計システムなど電子化された情報を効率的につなぐことで、RPA処理フローを最適化できます。

シナリオ設計の型(取得→加工→検証→登録)

RPA処理用のシナリオ設計では、「どのデータをどこから取得し、どこへ転記するか」「どのタイミングで確認が必要か」を明確に定義することが重要です。経理担当者やシステム管理者、法務や総務など複数部署が連携することで、RPA処理業務効率がさらに向上します。まずは小規模な業務からRPA処理自動化を始め、成功事例を積み重ねることが推奨されます。

スモールスタートと標準化テンプレ

米国の失業保険手続きでは、RPA処理を活用して複雑な控訴処理を迅速に対応しています。RPA処理は既存システムを大きく変更せずに導入でき、人的ミスの減少や処理速度の向上といったRPA処理効果が得られています。

RPA処理運用と監視のコツ

RPA処理は入れて終わりではなく、運用が本番です。管理画面と操作ログで進捗・エラーを見える化し、変更管理と定例レビューで法改正や画面変更に追従します。開発者と現場が密に連携し、ナレッジ共有の場を持つことで、停止時間と属人化を防ぎます。

ダッシュボード/ログ設計とアラート

RPA処理は導入して終わりではなく、継続的な運用と監視が重要です。例えば、入力内容の変化や法改正による項目追加など、業務環境の変化に柔軟に対応できる体制を整える必要があります。

変更管理・定例レビューの運用ルール

RPA処理監視のポイントは、業務進捗やエラー状況を定期的に確認できる管理画面の設置や、操作ログのモニタリングによる不具合やボトルネックの分析です。大学などでは、報告会やウェビナーを通じてRPA処理事例や改善方法を共有し、幅広い視点から運用をチェックする体制が構築されています。

教育・勉強会・事例共有の仕組み

また、RPA処理を開発する担当者と実際に運用する現場担当者が密にコミュニケーションを取ることも重要です。小さな変更でもRPA処理シナリオに影響を与える可能性があるため、定期的な情報共有やミーティングを通じてRPA処理の状態を把握し、最適な運用を目指しましょう。

RPA処理のトラブル対策と改善策

想定外のUI変更や外部API障害は避けられません。検証環境→本番反映のリリース手順、リトライ・タイムアウト・並列化など性能設計で耐性を高めましょう。定期のリファクタリングとKPI点検で、処理時間・精度を維持・改善します。

テスト環境と段階的リリース

RPA処理は業務効率を大幅に高めますが、トラブルが発生することもあります。想定外のエラーやシステムアップデートによる動作不良などを最小限に抑えるため、RPA処理ボットのテスト環境を用意し、定期的な検証を行うことが基本です。特に外部システムと連携する場合は、アップデート後の安全稼働を早期に確認しましょう。

ボトルネック特定と並列・分割の設計

処理時間が長くなる場合は、ロボットタスクの分割や並列実行、シナリオの見直しによるRPA処理速度の最適化も重要です。条件分岐の複雑化や重複ステップの有無を定期的にチェックし、業務全体のRPA処理フローをスムーズに保つことが求められます。法改正や組織変更に合わせて柔軟にRPA処理設定をアップデートする姿勢も大切です。

法改正・組織変更に強い設定運用

例えば、アメリカの退役軍人省では、RPA処理を活用した請求システムの自動化により、支払い完了までの期間が7日以内に短縮され、従業員が年間13万3,000時間以上の余力を確保できたと報告されています。処理精度も98.5%に向上し、RPA処理改善による業務効率化の成功例となっています。

参考:Harnessing Robotic Process Automation and Claims Automation for Faster Service to Veterans – DigitalVA

経理AIエージェント

RPA処理の導入効果と今後の展望

RPA処理は時間短縮・精度向上・人員最適化に寄与し、決算期の山も平準化します。今後は、契約や証憑の解釈・判断はAIエージェント、転記・照合などはRPA処理という分業が主流に。KPI管理とガバナンスで全社規模に拡張していくのが理想像です。

成果指標(時間・精度・コスト)の設計

RPA処理の導入により、中堅・中小企業から大企業まで、経理部門の人手不足や高齢化、業務の属人化といった課題に対応しやすくなります。RPA処理が単純作業を担うことで担当者の負担が減り、残業削減や法改正対応の負担軽減、ミスの減少など多くのRPA処理効果が期待できます。月次・年次決算期の負担軽減や人員コストの最適化にもつながり、「ラクしてトクしたい」という潜在的なニーズにも応えます。

経理AIエージェントとの役割分担と連携

さらに、AI技術や他のITソリューションと組み合わせることで、RPA処理はより高度な分析や意思決定支援へと進化しています。たとえば、自然言語処理技術と連携したRPA処理ソリューションの開発も進んでおり、今後は経理業務だけでなく、さまざまな業務プロセス全体の最適化が期待されます。

今後は「経理AIエージェント」など、AIを活用した新たな自動化ソリューションの登場も期待されています。以下の表にあるように、従来の会計ソフトやRPA処理と異なり、AIエージェントはより柔軟な判断や自律的な業務遂行が可能となり、経理担当者自身がAIを活用して業務効率化を進める時代が到来しつつあります。

業務タスク性質推奨代表的な入力出力/成果物KPI(例)リスク/対策
証憑の内容解釈・仕訳候補提示非定型/判断含むAI請求書・領収書PDF、注記勘定科目・税区分・補助・摘要の候補推奨精度(%)、補正率、処理時間誤推奨→人手レビュー・ルール制約/機微情報→マスキング
仕訳登録・転記定型・ルール化RPA仕訳CSV・API、承認済みデータ会計システムへの登録処理件数/時、エラー率画面変更→セレクタ堅牢化・可能ならAPI化
残高照合・突合定型(例外あり)RPA+AI銀行明細、台帳データ突合結果、差異リスト突合完了率、差異検出件数例外多発→AIで差異分類・説明生成
経費精算の不備検知半定型/ルール+判断併用申請データ、レシート画像差戻し理由、フラグ付け差戻し率、平均承認リードタイム過検知→しきい値調整・ABテスト
近距離旅費・通勤費計算定型RPA区間・経路情報、運賃マスタ算定額、根拠ログ自動計算率、手修正率運賃改定→マスタ更新の自動化・監視
問い合わせ一次対応/規程FAQ非定型(自然言語)AI経費規程、ナレッジ、過去QA回答案、参照リンク自己解決率、CSAT誤案内→二次対応へエスカレーション設計
例外判定・追加証憑の催促判断+定型通知AI(判定)+RPA(通知)申請・証憑、ルール要追加項目、催促通知再提出完了率、再提出までの時間トーン不一致→通知テンプレ整備
月次クロージングの進捗管理定型運用RPA(収集)+AI(要約)タスク一覧、処理ログ進捗レポート、遅延アラートクローズ日差、未完タスク件数ログ欠落→ロボット台帳・必須ログ定義
法改正影響分析(インボイス/電帳法など)非定型(読解)AI(人確認)改正本文、解説資料影響リスト、要件差分と対応案分析完了までの時間、抜け漏れ件数誤読→専門家レビュー・テストケース化
監査証跡の作成・保管定型RPA操作ログ、承認記録証跡パッケージ、監査用フォルダ監査指摘件数、収集時間保管漏れ→自動エクスポート・保管年限ルール
凡例:併用=AIが「判断」、RPAが「実行」を担う。KPIは一例であり、実際は業務KPIと連動させて設定します。

スモールスタートでAI活用を体験し、業務改善を実感できる環境づくりも今後の重要なポイントです。

全社展開とガバナンス・標準化

RPA処理導入を成功させるには、管理体制の整備が不可欠です。経理部長などの意思決定者が中心となり、全社的なRPA処理運用・管理を推進することが重要です。適切なRPA処理ツールの選定やチームづくり、スケジュール管理を徹底し、自社に最適化したRPA処理システムを段階的に導入することで、経理部門だけでなく企業全体の持続的成長に貢献できます。

AIとRPAを組み合わせた全体最適の最新動向については、以下の記事を参考にしてください。

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まとめ

RPA処理は、ルール化できる反復作業を高速・正確に代替し、時間外労働やヒューマンエラーを着実に減らします。導入効果を最大化する鍵は、①業務の可視化と標準化、②小さく始める設計と検証、③ログ・監視・変更管理を備えた運用体制、④定期的なリファクタリングです。

さらに、証憑の解釈や例外判断のような非定型・高難度領域は経理AIエージェントを活用し、RPA処理と役割分担することで全体の生産性が伸びます。最後に、内部統制・法改正への追従を運用ルールに組み込み、KPIで効果を可視化しましょう。これらを押さえれば、現場のストレスを減らしつつ、決算スピードと品質を同時に高められます。

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