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社内でOneDriveの利用が始まり、「このサブスクリプション費用、どの勘定科目で処理すればいいのだろう?」とお悩みの経理・総務担当者の方もいらっしゃるのではないでしょうか。クラウドサービスの利用が当たり前になった今、同様の課題に直面するケースはますます増えてきています。
毎月の経費精算や仕訳入力に追われる中で、新しいサービスの経理処理方法を一つひとつ調べるのは大変な作業です。特に、上司への報告や将来の税務調査を考えると、処理の正確性は何よりも重要になります。
ご安心ください。この記事では、OneDriveの費用を計上する際の適切な勘定科目から、具体的な仕訳例、消費税の扱いといった注意点まで、あなたが知りたい情報を網羅的に解説します。さらに、この記事を読み終える頃には、OneDriveだけでなく、他のクラウドサービスの経理処理にも応用できる知識が身につき、日々の業務をよりスムーズに進めるヒントが得られるはずです。
OneDrive利用料の勘定科目は「通信費」が一般的

結論から言うと、OneDriveの利用料を処理する勘定科目に絶対的な正解はありません。しかし、企業の会計実務上、最も一般的に使われるのは「通信費」です。その他にも、企業の会計方針や費用の性質に応じて「支払手数料」や「消耗品費」などが使われることもあります。重要なのは、一度決めた勘定科目を継続して使用し、社内の経理処理に一貫性を持たせる「継続性の原則」を守ることです。
ここでは、それぞれの勘定科目がどのような考え方で選択されるのかを詳しく見ていきましょう。
なぜ「通信費」が最も一般的なのか
OneDriveは、インターネットという通信回線を通じてデータ保管や共有といったサービスを利用するものです。この「インターネット回線を通じて利用するサービス」という実態が、電話代やインターネットプロバイダー料金などと同じ性質を持つと解釈されるため、「通信費」として計上するのが最も合理的で、多くの企業で採用されています。
もしあなたの会社で、すでにGoogle WorkspaceやDropboxといった他のクラウドストレージサービスを利用しており、それを「通信費」で処理しているなら、OneDriveも同様に「通信費」で処理するのが経理の一貫性を保つ上で最も望ましい選択です。税務調査などで勘定科目の妥当性を問われた際にも、明確な基準をもって「通信の性質を持つ費用」として堂々と説明することができます。
「支払手数料」として処理するケース
次に選択肢として考えられるのが「支払手数料」です。これは、OneDriveの利用を「データ保管やファイル共有という特定のサービス提供に対する対価」と捉える考え方です。銀行の振込手数料や、専門家への報酬などと同じように、何らかの役務提供に対して支払う手数料として処理します。
特に、社内で「通信費」は電話やインターネット回線利用料のみに限定している、といった明確なルールがある場合には、「支払手数料」が適しているでしょう。サービスの利用実態をより重視する場合に、こちらの勘定科目が選択されることがあります。どちらの勘定科目を選ぶにせよ、なぜその科目を選んだのかという理由を明確にしておくことが大切です。
「消耗品費」や「雑費」での処理は適切か
金額が少額である場合、「消耗品費」や「雑費」で処理するケースも考えられます。例えば、一時的に数ヶ月だけ特定のプランを利用し、その金額が経理上重要でないと判断される場合などです。
ただし、「消耗品費」は文房具や日用品など、形のある物品の購入に使われるのが一般的であり、OneDriveのような継続的なサービス利用料には、その性質上、必ずしも最適とは言えません。
また、「雑費」は他のどの勘定科目にも当てはまらない、重要性の低い経費に使うための科目です。安易に「雑費」を多用すると、何にいくら使ったのかが分かりにくくなり、経営状況の分析を妨げる原因にもなります。したがって、OneDriveのような継続的に発生する費用を「雑費」で処理することは、特別な理由がない限り避けるべきでしょう。
【具体例】OneDrive利用料の仕訳方法をパターン別に解説
勘定科目が決まったら、次は実際の仕訳です。ここでは、最も一般的な「通信費」を例に、支払い方法に応じた具体的な仕訳例を見ていきましょう。今回は、月額1,500円(税抜)のプランを利用し、消費税が150円かかるケースを想定します。
法人カードで支払った場合の仕訳例
多くの企業では、クラウドサービスの支払いに法人カードを利用しています。利用料金を支払った時点ではまだ口座から引き落とされていないため、「未払金」を使って処理するのが一般的です。
まず、OneDriveの利用料が確定した日付で、以下のような仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 1,500円 | 未払金 | 1,650円 |
仮払消費税等 | 150円 |
この仕訳により、費用が発生した事実と、カード会社への支払い義務(未払金)を同時に記録します。
そして後日、カードの利用代金が法人口座から引き落とされた際に、未払金を消すための以下の仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
未払金 | 1,650円 | 普通預金 | 1,650円 |
これにより、一連の取引が完了します。
口座振替で支払った場合の仕訳例
口座振替で直接利用料が引き落とされる場合は、よりシンプルな仕訳になります。支払いが完了し、通帳に記帳された日付で、以下の仕訳を行います。
借方 | 金額 | 貸方 | 金額 |
通信費 | 1,500円 | 普通預金 | 1,650円 |
仮払消費税等 | 150円 |
この一度の処理で完結するため、経理担当者の手間は少なくなります。どちらの支払い方法であっても、取引の事実を正確に帳簿に記録することが重要です。
OneDriveの経理処理で押さえておきたい3つの注意点
勘定科目と仕訳方法を理解したら、次に経理処理の正確性をさらに高めるための注意点を確認しましょう。特に、消費税の扱いや契約形態の違いは、間違いやすいポイントなのでしっかりと押さえておく必要があります。
消費税の扱いは「課税仕入れ」が基本
日本国内の事業者である「日本マイクロソフト株式会社」から請求されるOneDriveの利用料は、原則として消費税の課税対象となります。したがって、仕訳の際には「課税仕入れ」として処理し、支払った消費税額を「仮払消費税等」として計上します。
ただし、ごく稀に海外のMicrosoft法人から直接請求されるケースがあります。その場合、「リバースチャージ方式」という特殊な消費税の申告方法が必要になる可能性があります。請求書の発行元がどこになっているかは、必ず確認するようにしましょう。もし海外法人からの請求であった場合は、処理方法が複雑になるため、速やかに税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
個人用プランを業務利用している場合の「家事按分」
もし会社としてではなく、従業員が個人契約しているOneDriveプランの費用を会社が負担している、あるいは個人事業主がプライベート兼事業用として利用している場合は、「家事按分(かじあんぶん)」という考え方が必要になります。
これは、利用料の全額を経費にするのではなく、事業のために使用した割合を合理的な基準で見積もり、その部分だけを経費として計上するという考え方です。例えば、OneDriveの利用時間のうち、80%が業務利用であれば、支払った利用料の80%を経費として計上します。この業務利用割合の根拠(業務日報など)は、税務調査で質問された際に説明できるよう、記録として残しておくことが重要です。
参照元資料:家事按分とは?個人事業主が知っておくべき経費計上の仕方や計算方法についてわかりやすく解説
面倒なクラウドサービスの経費精算、もっと楽にしませんか?

ここまでOneDriveの経理処理について詳しく解説してきましたが、「毎月発生するこの作業、もっと効率化できないだろうか…」と感じた方もいらっしゃるかもしれません。OneDriveに限らず、様々なサブスクリプションサービスの請求書や領収書が毎月バラバラに届き、それら一枚一枚を確認して会計ソフトに入力するのは、時間も手間もかかる作業です。
手作業での処理は、入力ミスや仕訳ミスを誘発する可能性も常にあります。そんな経理担当者の悩みを根本から解決するのが、経費精算システムの導入です。
経費精算システムの導入が根本的な解決策に
経費精算システムとは、領収書の取り込みから、経費の申請・承認、そして仕訳データの作成まで、一連の経費精算業務を自動化・効率化するためのツールです。
例えば、毎月のOneDriveの請求書をシステムにアップロードするだけで、支払先や金額、日付といった情報が自動でデータ化されます。紙の領収書であれば、スマートフォンで撮影するだけで同じように処理が完了します。これにより、手入力の手間とミスを劇的に削減することができます。
「TOKIUM経費精算」があなたの業務を効率化します

数ある経費精算システムの中でも、特に「TOKIUM経費精算」は、経理担当者の負担を大幅に軽減する機能を備えています。
「TOKIUM経費精算」を使えば、一度OneDriveの費用を「通信費」として登録しておくだけで、次回以降の請求書を取り込んだ際に、システムが自動で勘定科目を推測してくれます。担当者はその内容を確認するだけでよく、仕訳作業にかかる時間を大幅に短縮できます。
さらに、作成された仕訳データは、お使いの会計ソフトのフォーマットに合わせて出力できるため、会計ソフトへの再入力も不要になります。これまで請求書の処理から会計ソフトへの入力までにかかっていた時間が数分の一になることも珍しくありません。
手作業とTOKIUM導入後のフロー比較
工程 | 従来の手作業 | TOKIUM導入後 |
1. 請求書の受領・確認 | メールやPDFで受領し、内容を目視で確認 | システムにアップロードするだけでOK |
2. 経費精算の起票 | Excelや紙の申請書に手で転記 | 自動でデータ化され、申請内容はほぼ完成 |
3. 仕訳入力 | 会計ソフトに一件ずつ手入力 | 内容を確認し、ボタン一つで会計ソフトに連携 |
4. 保管 | 紙で印刷してファイリング | 電子データとしてシステム上で完結 |
このように、「TOKIUM経費精算」は、OneDriveのようなクラウドサービスの経費精算はもちろん、日々のあらゆる経費精算業務をシンプルにし、あなたを煩雑な手作業から解放します。空いた時間で、より付加価値の高い、本来やるべき業務に集中できる環境が手に入ります。
まとめ
今回は、OneDriveの利用料に関する経費処理について、使用する勘定科目から具体的な仕訳例、さらには処理上の注意点に至るまでを網羅的に解説しました。
OneDrive利用料の経費計上には「通信費」または「支払手数料」の勘定科目を用いるのが一般的ですが、最も重要なのは、社内で一度決めた科目を継続して使用し、会計処理に一貫性を持たせることです。また、消費税の区分は「課税仕入れ」として処理し、年間契約で前払いした場合には、費用の期間按分が必要になる点にもご留意ください。本記事でご紹介した仕訳例を参考に、各社の支払い方法に合わせて正確に処理を進めていただければ、今後OneDriveの経理処理で迷うことはなくなるでしょう。
この記事で解説したポイントが、皆様が自信を持って日々の業務に取り組む一助となれば幸いです。そして、もしOneDriveの処理のみならず、経費精算業務全体の非効率性に課題を感じていらっしゃるのであれば、ぜひ「TOKIUM経費精算」に代表されるような経費精算システムの導入をご検討ください。それは、経理担当者一人ひとりの業務負担を軽減し、ひいては会社全体の生産性を向上させるための、確かな一歩となるはずです。