経費精算

Instagram広告の経費科目はコレ!仕訳から消費税の注意点まで解説

更新日:2025.09.02

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企業のマーケティング活動において、Instagram広告の重要性はますます高まっています。ECサイトへの集客や新商品の認知度向上など、その効果を実感している企業も多いでしょう。一方で、経理担当者の皆様にとっては、新たな悩みの種が生まれているかもしれません。

「このInstagram広告の費用、勘定科目は何で処理すればいいのだろう?」「海外への支払いみたいだけど、消費税の扱いはどうなるの?」「毎月、クレジットカードの明細と広告マネージャの利用明細を突合するのが地味に大変…」

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特に、これまでWeb広告の経理処理に馴染みがなかったり、月末の繁忙期に新しい業務が加わったりすると、こうした疑問や不安を感じるのは当然のことです。

ご安心ください。この記事では、中小企業の経理・総務担当者であるあなたのために、Instagram広告の経費処理に関するあらゆる疑問を解消します。基本的な勘定科目の考え方から、多くの方がつまずきやすい消費税の特殊なルール、そして面倒な手作業から解放されるための具体的な効率化策まで、順を追って丁寧に解説していきます。

Instagram広告の勘定科目は「広告宣伝費」が基本

まず、最も重要な結論からお伝えします。Instagram広告の経費を計上する際の勘定科目は、「広告宣伝費」を使用するのが一般的です。なぜなら、Instagram広告は、不特定多数のユーザーに対して自社の商品やサービスを広く宣伝し、認知度向上や販売促進を目的として利用される費用だからです。これは、会計における広告宣伝費の定義と完全に一致します。

他の勘定科目を使う可能性はあるか

場合によっては、「販売促進費」という勘定科目が候補に挙がることもあります。しかし、販売促進費は、特定の商品を購入した顧客への景品や、イベント開催費用など、より直接的な販売活動に結びつく費用を指すのが一般的です。Instagram広告のように、広く一般にアピールする費用は、広告宣伝費として処理する方が事業内容をより正確に財務諸表に反映できます。

経理の一貫性を保つためにも、特別な理由がない限りは「広告宣伝費」で統一することをお勧めします。一度決めたルールを一貫して運用することで、期間ごとの比較がしやすくなり、経営分析にも役立ちます。

経費を計上する正しいタイミングは「発生主義」

次に、いつ経費として計上すべきか、というタイミングの問題です。会計の原則として「発生主義」という考え方があります。これは、現金の支出があった時点ではなく、サービスが提供されたり、費用が発生した事実があったりした時点で経費を認識するというルールです。

Instagram広告の場合、広告が実際に配信され、広告サービスが提供された月に費用として計上するのが正しい処理となります。例えば、9月中に配信された広告の費用が、クレジットカード会社から10月に請求されたとしても、その経費は「9月分」として計上する必要があります。これにより、その月の売上と費用が対応し、より正確な月次損益を把握することができます。

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【最重要】Instagram広告の消費税の取り扱いとリバースチャージ方式

Instagram広告の経費処理において、最も注意が必要で、多くの方が混乱しやすいのが「消費税」の扱いです。通常の国内取引とは異なる、特殊なルールが適用されるため、ここでしっかりと理解を深めましょう。

なぜInstagram広告の消費税は特別なのか

その理由は、Instagram広告のサービス提供元が、日本の法人ではない「国外事業者」であるためです。具体的には、アイルランドにある「Meta Platforms Ireland Limited」という法人が契約の相手方となります。

日本の消費税は、国内で行われる取引に対して課税されるのが原則です。しかし、インターネットを介した広告配信のようなサービスは、国境を越えて提供されます。こうした「事業者向け電気通信利用役務の提供」と呼ばれる国外事業者からのサービスについては、国内の取引とは異なる特別な課税方式が定められています。それが「リバースチャージ方式」です。

「リバースチャージ方式」とは?初心者向けに解説

出典:国税庁 国境を越えた役務の提供に係る消費税の課税関係について

リバースチャージ方式を簡単に説明すると、「サービスの受け手である日本の事業者が、支払う側に代わって消費税を計算し、国に申告・納税する仕組み」のことです。

通常の国内取引では、サービス提供者が代金と一緒に消費税を預かり、まとめて国に納税します。しかし、国外事業者に日本の消費税の納税義務を課すのは現実的ではありません。そこで、サービスの提供を受けた国内事業者が、その取引にかかる消費税を「預かった」とみなし、同時に「支払った」とみなして処理を行うのです。この特殊な会計処理が、リバースチャージ方式と呼ばれています。

あなたの会社はリバースチャージの対象?判定フローで確認

「リバースチャージ方式について、わかったような、わからないような…」「うちの会社も、この複雑な処理をしないといけないの?」と不安に思われたかもしれません。ご安心ください。すべての事業者がリバースチャージ方式の対象となるわけではありません。

実は、多くの中小企業は、このリバースチャージ方式による納税が免除されるケースがほとんどです。対象となるかどうかは、主にその課税期間の「課税売上割合」によって決まります。

以下のフローチャートで、自社が対象となるかを確認してみましょう。
解説

  • 課税売用割合とは: 会社の総売上のうち、消費税が課税される取引(国内の製品販売やサービス提供など)が占める割合のことです。輸出取引や土地の売却など、非課税の売上が多い場合、この割合が95%を下回ることがあります。
  • 簡易課税制度: 中小事業者の納税事務負担を軽減するための制度で、これを選択している場合もリバースチャージの納税義務は免除されます。

多くの国内向けB2C事業を営む中小企業では、課税売上割合が95%以上となることがほとんどです。そのため、Instagram広告の消費税については「不課税(対象外)」として処理し、リバースチャージ方式を適用する必要がない場合が多いでしょう。ただし、念のため自社の状況は経理の上長や顧問税理士にご確認ください。

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【実践】具体的な仕訳例をケース別に解説

それでは、ここまでの内容を踏まえて、具体的な仕訳例を見ていきましょう。リバースチャージの対象外である場合と、対象である場合の両方のケースを解説します。

ケース1 リバースチャージ方式が「対象外」の場合の仕訳

ほとんどの中小企業はこちらに該当します。消費税は「不課税」となるため、非常にシンプルな仕訳となります。

例:9月分のInstagram広告費100,000円が、月末にクレジットカードで決済された。

日付勘定科目(借方)借方金額勘定科目(貸方)貸方金額摘要
9月30日広告宣伝費100,000円未払金100,000円9月分Instagram広告費

まず、広告サービスを受けた9月末の時点で、費用(広告宣伝費)と債務(未払金)を計上します。消費税は考慮しません。

そして、翌月(10月27日など)に、クレジットカードの利用代金が普通預金口座から引き落とされた。

日付勘定科目(借方)借方金額勘定科目(貸方)貸方金額摘要
10月27日未払金100,000円普通預金100,000円9月分カード利用料引落

次に、口座から引き落とされたタイミングで、計上していた未払金を消し込みます。このように、取引の発生と代金の支払いを分けて記録することで、正確な会計処理が実現できます。

ケース2 リバースチャージ方式が「対象」の場合の仕訳

課税売上割合が95%未満など、リバースチャージの対象となる場合の仕訳です。消費税(10%と仮定)を両建てで処理します。

例:9月分のInstagram広告費100,000円を計上する。

日付勘定科目(借方)借方金額勘定科目(貸方)貸方金額摘要
9月30日広告宣伝費100,000円未払金100,000円9月分Instagram広告費
9月30日仮払消費税等10,000円仮受消費税等10,000円リバースチャージ

まず、費用自体の計上はケース1と同じです。それに加えて、広告費100,000円に対する消費税10,000円を、借方に「仮払消費税等」、貸方に「仮受消費税等」として同時に計上します。これにより、納税額の計算上はプラスマイナスゼロとなり、事業者の税負担は変わりませんが、申告上はこの処理が必要となります。

Instagram広告の経費精算でよくある悩みと解決策

理論的な会計処理を理解しても、日々の実務ではまた別の悩みが出てくるものです。ここでは、多くの経理担当者が直面する具体的な課題と、その解決策を見ていきましょう。

悩み1:「領収書はどこで手に入れる?」

Instagram広告の費用は、Meta社から紙の請求書や領収書が郵送されてくるわけではありません。経費精算に必要な領収書(利用明細)は、Web上の「Facebook広告マネージャ」から自分でダウンロードする必要があります。経費精算の際には、このPDFファイルを証憑として使用します。マーケティング担当者に依頼するか、経理担当者自身が広告アカウントにアクセスして取得する必要があるため、社内でルールを決めておくとスムーズです。

悩み2:「カード明細との突合作業が面倒…」

広告費の支払いを法人カードで行っている場合、月末になるとカード会社から送られてくる利用明細と、広告マネージャからダウンロードした個々の領収書を一つひとつ突き合わせる作業が発生します。広告キャンペーンが複数あったり、金額が細かく分かれていたりすると、この作業は非常に手間がかかり、チェック漏れやミスも起こりがちです。月末の忙しい時期に、この地味で時間のかかる作業が業務を圧迫していると感じている担当者の方も多いのではないでしょうか。

悩み3:「電子帳簿保存法への対応はどうすれば?」

ここで、もう一つ重要な法律が関係してきます。それが「電子帳簿保存法」です。広告マネージャからダウンロードした領収書のPDFデータは、法律上「電子取引」に該当します。そして、2024年1月からは、この電子取引データを紙に印刷して保存することが認められなくなり、一定のルールに従ってデータそのものを保存することがすべての事業者に義務化されました。

つまり、ダウンロードした領収書PDFは、ファイル名を「20250930_Meta_100000」のように変更したり、検索可能な状態で管理したりするなど、法律の要件を満たす形で保存しなければなりません。この法改正への対応も、経理担当者の新たな負担となっています。

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面倒な手作業から解放される!経費精算の自動化・効率化への道

ここまで見てきたように、Instagram広告の経費処理には、勘定科目の選定から消費税の特殊ルール、法改正への対応、そして地道な突合作業まで、多くの手間と注意点が伴います。これらの課題を一つひとつ手作業で乗り越えていくのは、正直なところ大変です。

しかし、これらの面倒な作業は、適切なツールを導入することで、劇的に効率化し、自動化することが可能です。

ステップ1:法人カードの活用で支払いを一本化

まず最初のステップとして、支払いを法人カードに一本化することをお勧めします。個人のクレジットカードで立て替え払いをすると、従業員の負担になるだけでなく、経費精算の申請漏れや遅延の原因にもなります。法人カードに統一すれば、誰がいつ何にいくら使ったのかが明細で一元管理でき、経理の透明性も向上します。

ステップ2:経費精算システムで根本的な課題を解決

出典:TOKIUM経費精算-スマホで完結できる経費精算システ

そして、根本的な課題解決のために最も効果的なのが、「経費精算システム」の導入です。弊社の提供する「TOKIUM経費」のようなシステムを活用することで、あなたが抱える悩みの多くを解消できます。

例えば、「TOKIUM経費」を法人カードと連携させると、カードの利用明細が自動でシステムに取り込まれます。これにより、手入力の作業が一切不要になり、金額の打ち間違いといったミスも防げます。

また、広告マネージャからダウンロードした領収書のPDFをシステムにアップロードするだけで、搭載されたAI-OCRが日付や金額、支払先といった情報を高精度で読み取り、自動でデータ化します。あなたは、自動で取り込まれたカード明細と、自動でデータ化された領収書の内容が一致しているかを確認するだけ。これまで時間をかけて行っていた突合作業から解放されるのです。

さらに、一度「Meta社からの支払いは広告宣伝費」というルールを設定すれば、次回以降はシステムが自動で仕訳を行ってくれます。「毎回、勘定科目を調べるのが面倒…」というあなたの潜在的なニーズに、システムが応えてくれます。

TOKIUM経費なら法改正にも自動で対応

出典:電子帳簿保存法対応のクラウド文書管理システ

電子帳簿保存法への対応も万全です。「TOKIUM経費」にアップロードされた領収書データは、法律の要件を満たす形で安全に保管されます。あなたは複雑な法令を意識することなく、通常通りにシステムを利用するだけで、自然と法改正に対応できるのです。これにより、法対応への不安なく、安心して本来の業務に集中することができます。

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まとめ

本記事では、Instagram広告の経費処理について、勘定科目の基本から、最も重要なポイントである消費税(リバースチャージ方式)のルール、そして日々の実務で役立つ具体的な効率化策まで、網羅的に解説しました。

重要なポイントとして、勘定科目は「広告宣伝費」で処理し、広告が配信された月の「発生主義」で経費を計上するのが基本です。中でも特に注意すべきは消費税の扱いで、「リバースチャージ方式」を正しく理解し、自社が対象となるかを確認することが不可欠です。また、広告マネージャから入手する領収書は「電子取引データ」として、電子帳簿保存法の要件に沿って保存する必要がある点も忘れてはなりません。

こうした一連の処理は、法人カードや「TOKIUM経費」のような経費精算システムを活用すれば、面倒な手作業から解放され、経理業務を劇的に効率化することが可能です。

正しい知識を身につけ、適切なツールを味方につければ、経費処理は決して難しいものではありません。この記事を通じて、Instagram広告の経費処理に対するあなたの不安が解消されたなら幸いです。

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