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X(旧Twitter)広告の勘定科目はどれが正解?仕訳例と注意点を徹底解説

更新日:2025.09.03

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企業のマーケティング活動において、X(旧Twitter)広告は今や欠かせないツールの一つとなっています。しかし、経理担当者の方にとっては、その利用料をどの勘定科目で処理すればよいのか、毎回判断に迷う瞬間があるのではないでしょうか。「前回は『広告宣伝費』で処理したけれど、本当にこれで合っているのだろうか…」「他のSNS広告と同じ扱いでいいのかな?」といった不安を感じながら、請求書や利用明細と向き合っている方も少なくないはずです。

特に、Web広告の種類が増えるたびに新しい勘定科目の判断が必要になり、その都度調べる手間がかかるのは悩ましい問題です。もし間違った処理をしてしまうと、後から上司や税理士に指摘される可能性も考えられ、精神的な負担にもなりかねません。

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この記事では、X広告の費用を処理する際の適切な勘定科目について、その理由から具体的な仕訳例、さらには注意点までを網羅的に解説します。この記事を最後まで読めば、もうX広告の経費処理で迷うことはなくなり、自信を持って日々の業務に取り組めるようになります。

X(旧Twitter)広告の勘定科目は「広告宣伝費」が一般的

結論から言うと、X広告にかかった費用は、勘定科目の「広告宣伝費」として処理するのが最も一般的で適切です。多くの企業でこの勘定科目が採用されており、税務調査などにおいても正当なものとして認められます。まずは、なぜ広告宣伝費が適切なのか、そして混同しやすい他の勘定科目とどのように違うのかを深く理解していきましょう。この点をしっかり押さえることで、他の広告媒体が出てきた際にも応用が利くようになります。

なぜ「広告宣伝費」で処理するのが適切なのか

広告宣伝費とは、不特定多数の人々に対して、自社の商品やサービス、あるいは企業そのものの存在を広く知らせ、認知度を高めたり、購買意欲を促進したりするためにかかった費用のことを指します。テレビCMや新聞広告、Webサイトに掲載するバナー広告などが典型的な例です。

X広告の特性を考えてみましょう。X広告は、タイムラインや検索結果、あるいは特定のアカウントのプロフィールページなどに表示され、非常に多くの、そして不特定多数のユーザーの目に触れることを目的としています。特定の個人や企業に限定してアプローチするものではなく、広く一般の消費者に対して情報を届けるためのツールです。この「不特定多数に向けた宣伝活動」という性質が、まさに広告宣伝費の定義と完全に一致します。したがって、X広告の利用料は広告宣伝費として計上するのが、会計上も税務上も最も合理的であると言えるのです。

他の勘定科目との使い分けを理解しよう

経費を処理する際、似たような性質を持つ勘定科目がいくつか存在するため、判断に迷うことがあります。特に「販売促進費」は広告宣伝費と混同されやすい代表的な科目です。ここでは、それぞれの勘定科目の本質的な違いを理解し、なぜX広告が広告宣伝費に該当するのかをさらに明確にしていきましょう。

まず、「販売促進費」についてです。これは、商品やサービスの販売を「直接的に」促進するために使われる費用を指します。例えば、実演販売のイベント開催費用、購入者向けの景品やノベルティグッズの制作費、特定の顧客層に送るダイレクトメールの郵送費などが該当します。広告宣伝費が「広く認知させる」ことを目的としているのに対し、販売促進費は「購買という次のアクションを直接促す」という、より具体的な販売活動に結びついた費用という違いがあります。X広告も最終的には販売に繋げる目的がありますが、その主たる役割はあくまで広範なユーザーへのリーチと認知拡大であるため、広告宣伝費として扱うのが適切です。

次に、「接待交際費」との違いも明確にしておく必要があります。接待交際費は、得意先や仕入先など、事業に関係のある特定の相手に対して、接待、供応、慰安、贈答などのために支出する費用です。食事会やゴルフ、お中元やお歳暮などがこれにあたります。対象が「特定の事業者」に限定されている点で、不特定多数にアプローチするX広告とは全く性質が異なるため、間違えることはないでしょう。

また、広告代理店に運用を依頼している場合、「支払手数料」という勘定科目も考えられるかもしれません。代理店に支払う金額に運用代行手数料が含まれている場合、その手数料部分だけを支払手数料として分ける処理も理論上は可能です。しかし、実務上は、広告の出稿にかかる一連の費用として、手数料も含めた総額を「広告宣伝費」として処理する方が一般的です。経理処理のシンプルさを考えても、まとめて広告宣伝費として計上することをお勧めします。

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【具体例で解説】X広告の仕訳方法

勘定科目が「広告宣伝費」であることが理解できたら、次は具体的な仕訳の方法を見ていきましょう。ここでは、多くの企業で採用されているであろう「クレジットカードでの直接支払い」と「広告代理店経由での支払い」の2つのパターンに分けて、分かりやすく解説します。会計処理は、費用が発生した時点で計上する「発生主義」で行うのが原則です。

クレジットカードで直接支払った場合の仕訳例

X広告の費用を会社のクレジットカードで直接支払っているケースは非常に多いでしょう。この場合、広告が配信されて費用が確定した時点と、後日クレジットカードの利用代金が口座から引き落とされた時点で、2段階の仕訳が必要になります。

例えば、9月中にX広告を100,000円(税抜)利用し、消費税が10,000円だったとします。9月末に費用が確定した場合、まずは費用の発生を記録する仕訳を行います。この時点ではまだお金は支払われていないため、貸方(右側)の科目は「未払金」を使用します。

(例)9月30日:広告費の発生

借方金額貸方金額
広告宣伝費100,000円未払金110,000円
仮払消費税等10,000円

その後、クレジットカードの引き落とし日である10月27日に、指定の普通預金口座から利用代金が引き落とされたとします。このタイミングで、計上していた未払金を消し、実際に資産が減少した仕訳を行います。

(例)10月27日:カード利用代金の引き落とし

借方金額貸方金額
未払金110,000円普通預金110,000円

このように、費用の発生と実際の支払いのタイミングが異なる点を意識して、正確に仕訳を行うことが重要です。

広告代理店経由で支払った場合の仕訳例

広告運用を専門の代理店に委託している場合、X社からではなく、その代理店から請求書が送られてきます。支払いも代理店に対して行います。この場合の仕訳も、基本的にはクレジットカード払いと考え方は同じです。

例えば、広告代理店から9月分のX広告利用料として、110,000円(税込)の請求書が10月5日に届いたとします。この請求書を受け取った時点で費用を認識し、仕訳を計上します。この場合も、まだ支払いは完了していないため、「未払金」または「買掛金」勘定を使用します。

(例)10月5日:代理店からの請求書受領

借方金額貸方金額
広告宣伝費100,000円未払金110,000円
仮払消費税等10,000円

そして、支払い期日である10月31日に、代理店の指定口座へ請求金額を振り込んだ際に、以下の仕訳を行います。

(例)10月31日:代理店への支払い

借方金額貸方金額
未払金110,000円普通預金110,000円

代理店への支払いには、運用手数料が含まれていることがほとんどですが、前述の通り、手数料も広告宣伝活動に付随する費用として、広告費と合算して「広告宣伝費」で処理するのが一般的で分かりやすいでしょう。

X広告の経費計上で押さえておきたい注意点

適切な勘定科目で仕訳を行うことと合わせて、経理処理上、いくつか注意すべきポイントがあります。特に「消費税の扱い」と「証憑(しょうひょう)書類の保存」は、税務調査などでもチェックされやすい重要な項目です。ここでしっかりと確認しておきましょう。

消費税の区分は「課税仕入れ」

X社(Twitter Japan株式会社)は日本の法人であり、国内の事業者に対して提供される広告サービスは、消費税の課税対象となります。そのため、X広告の費用を計上する際には、消費税区分を「課税仕入れ」として処理する必要があります。

仕訳例で示したように、支払った消費税額は「仮払消費税等」として資産計上します。これにより、決算時に、売上にかかる消費税(仮受消費税等)から仕入れにかかった消費税(仮払消費税等)を差し引く「仕入税額控除」を正しく適用することができます。この処理を忘れると、納付する消費税額が過大になってしまう可能性があるため、必ず忘れずに行いましょう。広告の管理画面や利用明細には、税抜金額と消費税額が明記されているはずですので、必ず確認する癖をつけることが大切です。

参照元資料:国税庁 No.6355 課税売上げと課税仕入れ

証憑(しょうひょう)書類の適切な保存

経費を計上する際には、その支払いが事実であることを証明するための証憑書類、つまり領収書や請求書、利用明細などを保存する義務があります。X広告の場合、紙の領収書が郵送されてくることはなく、広告管理画面からPDF形式などでダウンロードしたものが正式な証憑となります。

ここで重要になるのが、「電子帳簿保存法」への対応です。2024年1月からは、こうした電子データで受け取った取引書類(電子取引データ)は、原則として電子データのまま保存することが全ての事業者で義務化されました。つまり、X広告の利用明細をダウンロードして印刷し、紙でファイリングしておくという従来の管理方法は認められません。

電子データで保存する際には、「真実性の確保」と「可視性の確保」という要件を満たす必要があります。具体的には、タイムスタンプを付与したり、訂正や削除の履歴が残るシステムで保存したり、検索機能を確保したりといった対応が求められます。これらの要件を自社で完璧に満たすのは簡単ではありませんが、後述する経費精算システムなどを活用することで、スムーズに対応することが可能です。

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毎回悩む広告費の経費精算…根本的な解決策とは?

ここまで、X広告の勘定科目や仕訳方法について解説してきました。しかし、「理屈は分かったけれど、結局、広告媒体が増えるたびに同じような確認作業が発生するのは変わらない…」と感じている方もいるかもしれません。広告費の経費精算には、特有の課題がいくつも潜んでいます。

広告費の経費精算でよくある課題

Web広告を複数利用している企業の経理担当者の方は、日々このような課題に直面しているのではないでしょうか。例えば、X広告、Meta広告、Google広告など、媒体ごとに利用明細のフォーマットはバラバラです。どこに請求金額が書かれているのか、どの期間の利用分なのかを確認するだけでも一苦労です。

また、新しい広告媒体を試しに利用した場合、その都度、勘定科目は何が適切かを調べ直す必要があり、その調査に時間が取られてしまいます。こうした手作業での確認や会計ソフトへの入力は、どうしても人的ミスを誘発しやすくなります。金額の入力ミスや勘定科目の選択ミスは、月次決算の遅れや、後々の手戻りの原因となり、業務効率を大きく低下させてしまいます。さらに、各媒体からダウンロードした証憑データを、電子帳簿保存法の要件を満たす形で管理するのも非常に煩雑な作業です。

経費精算システムの導入で業務はここまで効率化できる

このような広告費精算にまつわる数々の課題は、経費精算システムを導入することで、その多くを解決し、劇的に業務を効率化させることができます。最新の経費精算システムは、単に経費の申請・承認を電子化するだけではありません。

例えば、法人クレジットカードの利用明細をシステムに自動で取り込む機能があります。これにより、担当者が一件ずつ手入力する手間がゼロになります。また、AIや過去の仕訳履歴を学習して、取り込まれた明細データに対して適切な勘定科目を自動で推測・提案してくれる機能も搭載されています。これにより、担当者が勘定科目の判断に迷う時間を削減し、経理処理の属人化を防ぐことにも繋がります。もちろん、電子帳簿保存法に対応した証憑の保管機能も備わっているため、法令を遵守した上でペーパーレス化を推進できます。

法人カード・経費精算システムなら「TOKIUM」がおすすめ

もし、あなたが広告費をはじめとする経費精算業務の根本的な効率化を考えているのであれば、経費精算システム「TOKIUM」の導入が非常におすすめです。TOKIUMは、経理担当者の負担を徹底的に軽減するための、優れた機能を数多く備えています。

TOKIUM経費精算で広告費の処理が楽になる理由

出典:TOKIUM経費精算-スマホで完結できる経費精算システム

TOKIUMがなぜ広告費の処理を楽にしてくれるのか、その具体的な理由をご紹介します。まず、TOKIUMは、証憑のデータ化において圧倒的な強みを持っています。一般的なOCR(光学的文字認識)だけでなく、オペレーターによる手入力での補正が入るため、非常に高い精度で利用明細や領収書のデータを読み取ることができます。これにより、手入力作業とその後の確認・修正作業から完全に解放されます。

そして、経理担当者にとって特に嬉しいのが、勘定科目の自動仕訳機能です。過去の仕訳データを基に、システムが「この支払先なら、この勘定科目が適切だろう」と自動で判断し、提案してくれます。X広告の利用料であれば、一度処理すれば、次回以降は自動で「広告宣伝費」として仕訳を行ってくれるため、担当者が迷うことはもうありません。これは、あなたの業務時間を短縮するだけでなく、仕訳ルールの統一化にも繋がり、会社全体の経理品質を向上させます。

さらに、法人カード「TOKIUMカード」と連携させれば、その効果は絶大です。TOKIUMカードで支払ったX広告の利用明細は、自動でTOKIUM経費精算システムに連携されます。担当者は、連携されたデータと自動でデータ化された利用明細を確認して申請するだけ。経費精算のために費やしていた時間を、より付加価値の高い業務に充てることができるようになります。

TOKIUMは電子帳簿保存法にも完全対応

出典:電子帳簿保存法対応のクラウド文書管理システ

先ほど触れた、電子帳簿保存法への対応もTOKIUMなら万全です。X広告の利用明細のような電子取引データをTOKIUMのシステム上にアップロードするだけで、法律で定められた検索機能の確保や、訂正・削除の履歴管理といった要件を全て満たした形で電子保存が完了します。コンプライアンスに関する不安を抱えることなく、安心してペーパーレス化を進めることができるのは、大きなメリットと言えるでしょう。面倒なファイル名の設定やフォルダ分けといった作業からも解放され、証憑管理が非常にスマートになります。

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まとめ

今回は、X(旧Twitter)広告の経費処理について、勘定科目から具体的な仕訳方法、注意点までを詳しく解説しました。

X広告の費用は、不特定多数への宣伝という性質から「広告宣伝費」として処理するのが最も適切です。仕訳を行う際は、費用の発生したタイミングで「未払金」を計上し、後日、実際の支払いがあった際に消し込むという発生主義の考え方を基本としましょう。また、消費税は「課税仕入れ」として処理し、証憑となる利用明細は電子帳簿保存法の要件に沿ってデータで保存することが重要です。

これらの基本を押さえることで、日々の経費処理に自信を持って取り組めるようになるはずです。そしてもし、あなたが広告費の精算業務をはじめとする経理業務全体の非効率性に課題を感じているのであれば、それは業務改善の大きなチャンスです。

経費精算システム「TOKIUM」のようなツールを活用することで、これまで当たり前だと思っていた手作業や確認作業を大幅に削減し、より本質的な業務に集中できる環境を整えることができます。この記事が、あなたの経理業務の正確性と効率性を高める一助となれば幸いです。

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