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【図解】企業の承認経路とは?非効率な業務を改善する5つのポイント

更新日:2025.12.05

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企業の承認経路を見直すだけで、経費精算や稟議の承認リードタイムを短縮し、差し戻しや内部統制リスクを同時に減らすことができます。しかし現場では、「承認者が多すぎていつも渋滞している」「紙やエクセル運用のままで、誰のところで止まっているのか分からない」といった悩みから、どこから手を付ければよいのか判断できないケースが少なくありません。

→経理を、申請チェック”作業”から解放する。TOKIUM AI経費承認とは?

本記事では、企業の承認経路とは何かという基本から、よくあるパターンと課題の診断方法、理想的な承認経路を設計するための5つのポイント、そしてワークフローシステムやAIを活用して業務を自動化・高度化する方法まで、経理・総務担当者の視点で整理して解説します。

企業の承認経路を見直すと何が変わる?よくある疑問Q&A

承認経路の見直しは、承認スピード・差し戻し・内部統制の3点に同時に効き、現状の複雑さやシステム導入効果をイメージしやすくすることが重要です。現場にとっては「面倒なルール変更」に見えがちですが、うまく設計すれば残業削減とガバナンス強化のどちらにも効く投資になります。ここでは、経理・総務部門からよく聞かれる疑問に、先にまとめてお答えします。

Q1. そもそも承認経路を見直すメリットは何ですか?

A. 承認リードタイムの短縮、差し戻しの削減、内部統制の強化という3つの効果が同時に得られます。
紙やエクセルのままでは「誰のところで止まっているか分からない」「ルールから外れた承認が紛れ込む」といった問題が起きやすくなります。承認経路と権限を整理することで、処理スピードを上げつつ、不正やミスを防ぐ仕組みを整えることができます。

Q2. 自社の承認経路が複雑かどうかは、どう診断すればよいですか?

A. 「承認者の人数」「差し戻し率」「承認完了までの日数」の3つを見ると、おおよそのボトルネックが分かります。
例えば、少額の経費申請でも部長や役員まで回っている、差し戻し理由の多くが「権限違い」「申請内容の記載ミス」である場合は、承認ステップと権限ルールの設計を見直す必要があるサインです。

Q3. ワークフローシステムを入れれば承認経路の課題は解決しますか?

A. システム導入だけでは不十分で、「承認経路の設計」と「職務権限の整理」がセットで必要です。
紙やメール運用で使っていた承認経路をそのままシステムに載せると、非効率な経路が固定化されてしまいます。まず現状の経路と権限を棚卸しし、シンプルで例外ルールも整理された承認経路に設計し直したうえで、ワークフローやAIに落とし込むことが重要です。

そもそも企業の承認経路とは?

企業活動における「承認経路」とは、ある申請内容に対して、「誰が」「どのような順番で」「承認または差し戻しの判断を下すか」という一連の流れを定めたルールのことを指します。稟議書や経費精算、購買依頼など、会社のお金や意思決定に関わるあらゆる手続きにおいて、この承認経路は重要な役割を果たしています。このルールが明確に定められていなければ、担当者の独断で物事が進んでしまったり、必要な確認が漏れたりするリスクが生じます。

なぜ承認経路が重要なのか?

承認経路を整備することは、単に手続きを形式化するだけではありません。企業の成長とコンプライアンスを支える上で、極めて重要な意味を持ちます。

第一に、迅速な意思決定を促進するという役割があります。申請内容に応じて、あらかじめ決められたルートに沿って自動的に承認依頼が回付されるため、申請者は「次に誰の承認を得ればよいのか」と迷う必要がありません。承認者も自分の役割を明確に認識できるため、プロセス全体がスムーズに流れ、結果として事業のスピードを加速させます。

第二に、内部統制を強化するという、非常に重要な役割を担っています。適切な権限を持つ人物が、定められた手順に従って承認を行う仕組みを構築することで、不正な支出やコンプライアンス違反のリスクを大幅に低減できます。例えば、「取引金額が100万円を超える場合は、必ず担当役員の承認を得る」といったルールを設けることで、担当者レベルでの安易な判断による大きな損失を防ぐことができます。

そして第三に、責任の所在を明確にする効果があります。「いつ、誰が、何を承認したのか」という記録が正確に残るため、後から監査や問題発生時の原因究明が必要になった際に、経緯を正確に追跡することが可能です。これにより、各承認者は自身の判断に責任を持つようになり、組織全体のガバナンス意識の向上にも繋がります。

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企業ではどんな承認経路パターンが使われている?主な種類と向いているケース

出典:株式会社COEL ワークフローでよくある3つの承認ルートをイラストで解説

承認経路には「直線型」「並列型(合議)」「条件分岐型」「代理承認」といったパターンがあり、申請の金額やリスクに合わせて組み合わせることで、スピードと統制のバランスを取れます。ここでは、代表的な承認経路の種類を、具体的な活用シーンとともにご紹介します。自社のどの申請がどのパターンに当てはまるか、または当てはめるべきかを考えながら読み進めてみてください。

ここまでの概要を踏まえつつ、代表的な承認経路パターンごとの「向いている申請」「メリット」「注意点」を一覧で整理すると、どのルートをどの場面で採用すべきかをイメージしやすくなります。

表:承認経路パターン別の特徴と向いている申請

パターン向いている申請・シーンメリット注意点
直線型承認日常的な経費精算、少額備品の購入申請など、判断基準が明確な定型業務シンプルで分かりやすく、ルールの説明や運用がしやすい承認者が多くなると最終承認までのリードタイムが延びやすい
並列承認(AND)複数部門が関わるプロジェクト稟議や、新規取引先の与信審査など関係部門の責任者が全員確認するため、抜け漏れや認識違いを防ぎやすい全員の承認が揃うまで次に進めないため、承認が滞留すると全体が遅れやすい
並列承認(OR)どちらか一方の部門・責任者が承認すれば足りる案件(例:営業部または企画部のいずれかで判断できる申請)いずれか1名が承認すればよいため、スピードを優先しやすい「どちらが見るのか」が曖昧だと、押し付け合いが起きて処理が遅くなる可能性がある
条件分岐承認申請金額やカテゴリに応じて、必要な承認者の階層を変えたい案件全般少額案件は現場決裁で迅速に処理し、高額案件は上位職で慎重に判断できる分岐条件が多すぎるとルールが複雑になり、現場が把握しづらくなる
代理承認承認者が出張・休暇などで不在になりやすい部門や、長期案件の承認フロー承認者の不在時でも業務が止まりにくく、ビジネスの継続性を確保しやすい誰が誰の代理をできるかを明確に定めないと、権限外の承認が行われるリスクがある

直線型承認

直線型承認は、最もシンプルで一般的な承認経路です。申請者から始まり、役職の序列に沿って一段階ずつ承認が進んでいく流れを指します。例えば、担当者が申請し、その直属の上長である課長が承認し、次に部長が承認するといった形です。日常的な経費精算や、少額の備品購入申請など、比較的定型的で判断基準が明確な業務に適しています。シンプルで分かりやすい反面、承認者が多くなると最終承認までに時間がかかってしまうという側面もあります。

申請者課長部長承認完了
申請承認承認

並列承認(合議)

並列承認は、複数の承認者や部署が同時に、または順不同で承認を行う経路です。これは「合議」とも呼ばれ、複数の視点からの確認が必要な場合に用いられます。例えば、新しいプロジェクトの企画稟議で、営業部門と開発部門、経理部門の各責任者の承認が同時に必要となるケースがこれに該当します。並列承認には、関係者全員の承認をもって次に進む「AND承認」と、関係者のうち誰か一人が承認すれば次に進める「OR承認」の2種類があり、案件の性質によって使い分けられます。

条件分岐承認

条件分岐承認は、申請の内容(例えば金額やカテゴリなど)に応じて、承認経路が自動的に変わる仕組みです。これは、効率性と内部統制を両立させる上で非常に効果的な方法です。例えば、「経費精算の申請金額が5万円未満なら部長決裁まで」「5万円以上100万円未満なら本部長決裁まで」「100万円以上なら役員決裁まで」といったように、金額の大きさによって承認者の階層を変えるルールを設定します。これにより、少額の申請は迅速に処理しつつ、高額な案件はより上位の役職者が慎重に判断するという、リスクに応じた適切な管理が可能になります。

代理承認

代理承認は、本来の承認者が出張や休暇などで不在の場合に、業務が停滞しないように、あらかじめ指定された別の人が代わりに承認を行うためのルールです。この設定がないと、「部長が1週間不在のため、すべての承認が止まってしまう」といった事態に陥りかねません。代理承認者を設定しておくことで、承認の遅延を防ぎ、ビジネスの継続性を担保することができます。誰が誰の代理をできるのか、という権限設定を明確にしておくことが重要です。

紙やエクセルで承認経路を管理すると、どんなムダやリスクが生まれるのか?

紙やエクセルでの承認経路管理は、「進捗が見えない」「改ざん・紛失リスクが高い」「組織変更のたびにメンテナンスが破綻する」といった課題を抱え、リモートワークや内部統制の観点でも限界があります。これまで見てきたような承認経路を、依然として紙の申請書やエクセルの管理簿で運用している企業は少なくありません。しかし、こうしたアナログな管理方法は、非効率であるだけでなく、多くの潜在的なリスクを抱えています。ここでは、多くの担当者が日々直面しているであろう、具体的な課題を深掘りしていきます。

紙やエクセル運用と、ワークフローシステム、さらにAIを組み合わせた運用では、「見える化」や内部統制、人手依存度がどのように変わるのでしょうか。主な観点を比較すると、改善の優先度が分かりやすくなります。

表:紙・Excel/ワークフロー/AI活用の比較表

管理方法承認状況の可視化内部統制の強さ組織変更への対応リモートワーク対応人手依存度
紙・押印ベース申請書の所在を個別に確認しないと分からない紛失・改ざんリスクがあり、承認権限の逸脱も気付きにくい異動のたびに用紙やルートを手作業で差し替える必要がある押印・書類回覧のため出社が前提になりやすい状況確認や催促など、多くの対応が担当者任せになりやすい
Excel・メール運用管理簿を更新すれば把握できるが、リアルタイム性に欠けるファイルの権限管理次第で一定の統制は図れるが、運用依存の部分が残る一覧表やテンプレートの更新・周知に手間がかかるメール承認で一部リモート対応は可能だが、運用ルールが属人的になりやすい更新漏れや古いファイル利用など、人の注意力に依存する場面が多い
ワークフローシステムシステム上で「誰のところで止まっているか」をリアルタイムに確認できる設定した承認経路以外では承認できず、操作ログも残るため監査に対応しやすい組織マスタやテンプレートを更新することで、一括で承認経路を切り替えられるPCやスマートフォンから承認でき、場所を選ばず運用できる催促・通知などを自動化でき、担当者の属人的なフォローを減らせる
ワークフロー+AI経費承認承認状況に加え、「どの申請がリスク高か」なども一覧で把握しやすくなる規程との照合や不正の兆候検知をAIが行うことで、チェックの質を高めやすいルール変更をシステムに反映することで、新しい基準に沿った判断を自動で適用できる場所だけでなく、時間帯に依存しないチェック・承認体制を整えやすい定型的な確認作業をAIに任せることで、人は例外判断や運用改善に集中できる

承認状況が分からず業務が停滞する

紙ベースの申請書で最も大きな問題は、承認プロセスの「ブラックボックス化」です。申請書を提出した後、「今、誰の机の上にあるのか」「どこで止まっているのか」が全く分からなくなります。申請者からは「あの件、どうなっていますか?」と頻繁に問い合わせが入り、経理担当者はその都度、関係者に電話やメールで確認したり、社内を探し回ったりする必要に迫られます。承認者自身も、自分が承認すべき書類がどれだけ溜まっているか把握しづらく、承認漏れや遅延の直接的な原因となります。

内部統制上のリスクが高い

アナログな管理は、内部統制の観点からも多くの脆弱性を抱えています。まず、物理的な書類であるため、紛失や破損のリスクが常に伴います。また、悪意があれば内容の改ざんも比較的容易に行えてしまいます。承認印が押されていても、それが本当に権限のある人物によって押されたものなのか、厳密な確認は困難です。承認ルールを逸脱した申請(本来は部長承認が必要な案件を課長が承認してしまうなど)が見過ごされる可能性も高く、不正の温床となりかねません。

組織変更や人事異動への対応が煩雑

企業組織は常に変化しています。春の人事異動や期中の組織変更のたびに、承認経路の見直しは必須の作業となります。エクセルで管理している場合、管理簿の修正、関係者への周知、古いフォーマットの差し替えなど、膨大で煩雑な作業が発生します。周知が徹底されず、古い承認経路のまま申請書が回ってきてしまい、差し戻しになるケースも後を絶ちません。こうした管理業務は経理や総務部門の大きな負担となり、本来集中すべきコア業務の時間を圧迫します。

リモートワークに対応できない

働き方が多様化する現代において、物理的な紙の受け渡しを前提とした承認プロセスは、リモートワークの大きな障壁となります。承認のためだけに出社を余儀なくされたり、承認者が長期出張中の場合にプロセスが完全に止まってしまったりと、柔軟な働き方を阻害する要因となります。これでは、せっかく導入したリモートワーク制度も形骸化してしまいかねません。

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理想的な承認経路を設計するには?見直しの5つのポイント

承認ステップの削減、権限と金額基準の明確化、例外・代理ルールの整備、定期的な見直し、プロセスの可視化という5つを押さえることで、承認のスピードとガバナンスを両立できます。非効率でリスクの高い現状から脱却し、スムーズで統制の取れた承認プロセスを構築するためには、どのような点に注意して承認経路を設計すればよいのかを解説します。

自社の承認経路のどこにボトルネックがあるのかを把握するには、「現場で起きている症状」から逆算して原因と対策を整理すると分かりやすくなります。よくある症状と、それに対応する見直しポイントを一覧化しました。

表:承認経路ボトルネック診断表(症状×原因×対策)

現場でよくある症状主な原因取るべき対策
少額の申請でも承認完了まで日数がかかり、現場から不満が出ている「念のため」の承認者が多く、金額やリスクに応じた承認階層になっていないポイント1・2:承認ステップを整理し、金額基準に基づいて必要最小限の承認者に絞り込む
差し戻しが多く、申請者と経理・承認者の双方が手間を感じている申請ルールや必要項目が分かりづらく、例外ルートや代理承認の運用が曖昧ポイント2・3:承認権限規程と申請ルールを分かりやすく文書化し、例外・代理のルールも明文化する
人事異動や組織変更のたびに承認経路のメンテナンスに追われている個人名ベースで承認経路を設計しており、役職や組織マスタと連動していないポイント4:役職や部署単位で承認権限を定義し、定期的に現状とルートの整合性を点検する
「この申請は今どこで止まっているのか」を毎回電話やメールで確認している承認プロセスがシステム上で可視化されておらず、ステータスを一覧できる仕組みがないポイント5:ワークフローシステムなどを活用し、承認経路と進捗を関係者全員が見える状態にする

ポイント1:承認経路をシンプルにする

まず最も重要なのは、承認経路を可能な限りシンプルにすることです。念のため、という理由で多くの承認者を入れると、責任の所在が曖昧になるだけでなく、意思決定のスピードを著しく低下させます。その承認ステップが本当に必要か、その人でなければ判断できないのかを厳密に問い直し、不要な承認者は大胆に削減する勇気も必要です。承認ステップは業務遂行上、必要最小限に留めるのが原則です。

ポイント2:承認権限と金額を明確に定義する

次に、誰が、いくらまでの金額を、どのような内容について承認できるのか、という「承認権限規程」を明確に文書化し、全社で共有することが不可欠です。例えば、「課長は10万円まで」「部長は100万円まで」といった具体的な金額基準を設けることで、個人の裁量による判断のブレを防ぎ、一貫性のある運用が可能になります。この規程が、承認経路を設計する上での揺るぎない土台となります。

ポイント3:例外処理と代理承認のルールを定める

日常業務では、緊急の対応が必要な案件や、イレギュラーな申請が発生することも少なくありません。また、承認者が病気や出張で長期間不在になることも想定されます。こうした事態に備え、「緊急時は、部長の判断で承認経路を短縮できる」「課長不在時は、〇〇さんが代理で承認する」といった例外処理や代理承認のルールをあらかじめ定めておくことが、業務の停滞を防ぐ上で非常に重要です。

ポイント4:定期的な見直しと形骸化の防止

一度作成した承認経路も、組織の成長や事業内容の変化に合わせて、陳腐化していきます。少なくとも年に一度など、定期的に承認経路が現状の組織体制や業務内容に即しているかを見直す機会を設けましょう。また、ルールが形骸化しないよう、新入社員研修や定期的な社内アナウンスを通じて、正しい承認プロセスを継続的に周知していく努力も欠かせません。

ポイント5:プロセスの可視化を徹底する

最後に、設計した承認経路と、現在進行中の申請状況が、関係者全員にとって「見える」状態になっていることが理想です。申請者は自分の申請が今どこにあるのかをいつでも確認でき、承認者は自分が処理すべきタスクを一覧で把握できる。このような透明性の高い環境が、問い合わせや催促の手間をなくし、プロセス全体の円滑化に繋がります。この「可視化」こそが、アナログ管理から脱却する最大の鍵となります。

承認経路の課題は、どこまでワークフローシステムで解決できるのか?

ワークフローシステムは、承認状況の可視化・権限ルールの自動適用・組織変更時のメンテナンス効率化を実現し、紙やエクセル運用では解消しづらい課題を大幅に軽減します。これらの課題を根本から解決するソリューションとして注目されているのが、「ワークフローシステム」です。ワークフローシステムとは、各種申請から承認までの一連の流れを電子化し、自動化するためのツールです。

ワークフローシステムで実現できること

ワークフローシステムを導入することで、これまで抱えていた課題の多くを解決に導くことができます。

まず、承認状況のリアルタイムな可視化が実現します。申請者はいつでもシステム上で自分の申請の進捗を確認できるため、経理担当者への問い合わせが激減します。承認者も自分のタスクを一覧で把握でき、スマートフォンなどから場所を選ばずに承認作業を行えるため、承認の遅延や漏れを劇的に減らすことができます。

次に、内部統制を自動的に強化できる点も大きなメリットです。あらかじめ設定した承認経路に沿ってしか申請は回付されず、承認権限のない人が承認することもできません。また、「いつ、誰が、何を承認したか」という操作ログがすべてシステム上に記録されるため、監査対応も容易になります。

さらに、承認経路の設定やメンテナンスが非常に簡単になります。多くのシステムでは、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、複雑な条件分岐を含む承認経路を簡単に作成できます。人事異動の際も、CSVデータの一括アップロードなどで簡単に情報を更新でき、管理部門の負担を大幅に軽減します。

そしてもちろん、ペーパーレス化が実現することで、リモートワークの推進にも直結します。印刷代や郵送費、保管スペースといった物理的なコストを削減できるだけでなく、場所に縛られない働き方を全社的に後押しすることができます。システムによっては、滞留している申請を承認者に自動で通知する自動催促機能もあり、これまで担当者が気を使って行っていた催促業務からも解放されます。

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AIは承認業務をどこまで代替・支援できるのか?TOKIUM AI 経費承認という選択肢

出典:TOKIUM 規程を参照し経費の一次承認を実行する 「TOKIUM AI経費承認」を提供開始

人が時間をかけていた経費申請のチェックや不正の兆候検知をAIに任せることで、承認者は「例外判断」と「本来のマネジメント業務」に集中でき、ガバナンスの質も向上します。TOKIUMは、AI技術を活用して承認業務そのもののあり方を変革する、未来のソリューション「TOKIUM AI 経費承認」を提供しています。これは、これまで人間が時間をかけて行っていた経費精算のチェックや判断といったプロセスをAIが代替・支援する機能です。承認者の負担を劇的に軽減し、より迅速で質の高い意思決定を可能にすることで、企業のガバナンスを新たなステージへと引き上げます。

AIによる申請内容の自動チェックで、差し戻しの手間を削減

経費精算の承認プロセスにおいて、承認者や経理担当者の時間を最も奪っているのが、申請内容一件一件の目視によるチェック作業です「交通費の経路は最適か」「勘定科目は適切か」「会議費の上限を超えていないか」といった社内規程との照合は、非常に手間がかかり、本来注力すべき業務を圧迫する要因となっています。「TOKIUM AI 経費承認」は、こうした定型的なチェック作業をAIが瞬時に実行します。規程違反の可能性がある項目や、記載不備をAIが自動で検知し、承認者にアラートを表示。これにより、承認者は全ての項目を精査する必要がなくなり、AIが示したポイントを重点的に確認するだけで済むようになります。軽微な修正であればAIが自動で行い、差し戻しが必要な場合も理由を明記して申請者に通知するため、これまで発生していたコミュニケーションコストも大幅に削減できます。

不正・不備の兆候を検知し、内部統制を自動で高度化

従来の目視チェックでは、どうしても見逃しのリスクや、担当者による判断のバラつきが生じがちでした。また、巧妙な不正申請を見抜くことは非常に困難です。「TOKIUM AI 経費承認」は、過去の膨大な承認データを学習することで、人間では気づきにくい不正や不備の「兆候」を検知します。例えば、「過去の利用実績と比べて異常に高額なタクシー代」「出張期間と一致しない日付の領収書」「不自然な経路での交通費申請」といったリスクの高い申請をAIが自動で抽出し、承認者と管理者に警告します。これにより、「承認ボタンを押すだけ」といった形骸化した承認プロセスから脱却し、データに基づいた客観的で質の高いチェック体制を構築。企業の内部統制を、人の経験や勘に頼るレベルから、AIによって自動的に高度化されるレベルへと進化させます。

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承認経路の見直しに関するよくある質問

承認経路の重要性や見直しのポイントは理解していても、「自社ではどこまで細かく設計すべきか」「どの程度の頻度で見直せばよいか」など、実務の場面では迷いやすいポイントが残ります。ここでは、経理・総務部門からよく寄せられる質問に絞ってQ&A形式で整理します。

Q. 承認者の人数は何人くらいが目安ですか?

A. 一般的には、1件の申請につき2~3段階程度の承認で収まるのが一つの目安です。少額で定型的な申請は現場の上長のみ、高額やリスクの高い申請だけ部長・役員など上位職位を追加するなど、金額とリスクに応じてメリハリをつけることが重要です。すべての申請を同じ階層まで上げている場合は、承認者を絞り込む余地がないか確認してみてください。

Q. 中小企業でも、承認経路を細かく設計する必要はありますか?

A. 中小企業であっても、「誰が・どの金額まで・どの範囲を承認できるか」という最低限のルールは明文化しておくことをおすすめします。一方で、最初から複雑なルートを作る必要はなく、まずは①金額基準、②リスクの高い取引のルート、③代理承認の条件の3点に絞って整理するだけでも効果があります。シンプルなルールから始めて、運用の中で必要に応じて細かくしていくイメージが現実的です。

Q. 承認経路を見直すタイミングや頻度の目安はありますか?

A. 最低でも年1回、組織改編や人事異動がまとまって発生するタイミングでの見直しをおすすめします。その際に、「実際の承認ルート」と「規程上のルート」が食い違っていないか、現場の運用も合わせて確認することが大切です。新しい事業や拠点が増えたとき、取引先や取引形態が大きく変わったときも、承認経路が実態に合っているかチェックするとよいでしょう。

Q. 社員から『承認フローが面倒になった』と反発されないようにするには?

A. ルールだけを一方的に変えるのではなく、「なぜ見直すのか」と「何が楽になるのか」をセットで伝えることが重要です。例えば、「少額の申請は承認者を減らしてスピードアップする」「申請フォーマットを整えて差し戻しを減らす」など、現場にとってのメリットも具体的に示すと受け入れられやすくなります。見直し前後で承認リードタイムや差し戻し件数の変化を共有し、効果を一緒に確認するプロセスも有効です。

Q. ワークフローやAIを導入しても、人が確認すべきポイントは残りますか?

A. はい、承認の最終責任を負うのはあくまで人であり、すべてを自動化できるわけではありません。システムやAIは、規程との突合や金額・勘定科目のチェックなど「ルール化しやすい部分」を得意としますが、事業の背景や取引先の関係性など、文脈を踏まえた判断は人が担う必要があります。そのため、「どこまでをシステム・AIに任せ、どこからを人が見るのか」をあらかじめ決めておくことが、安心して自動化を進めるうえで重要です。

承認経路そのものをシンプルにしたあと、さらに「差し戻しそのものをどこまで減らせるか」を検討したい場合は、差し戻しの症状と影響から優先度を整理した以下の記事が参考になります。

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まとめ

本記事では、企業における承認経路の重要性から、非効率なプロセスが抱える課題、そして理想的な承認経路を設計・運用するためのポイントまでを詳しく解説してきました。

承認経路の見直しは、単なる一担当者の業務改善に留まりません。それは、組織全体の生産性を向上させ、内部統制を強化し、迅速な意思決定を可能にする、極めて重要な経営課題です。紙やExcelでの管理に限界を感じているなら、今こそワークフローシステムの導入を具体的に検討すべきタイミングと言えるでしょう。

「TOKIUM」は、複雑な承認経路にも柔軟に対応し、経理業務全体のペーパーレス化と効率化を実現する強力なパートナーです。面倒な承認業務から解放され、より創造的な仕事に時間を使える未来を、TOKIUMで実現しませんか。

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