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【図解】承認経路とは?非効率な業務を改善する5つのポイント

更新日:2025.09.11

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「この申請、今どこで止まっているんだろう…」「また部長に承認の催促をしなくちゃ…」

経理や総務部門で日々、申請業務に携わっていると、このような悩みが尽きないのではないでしょうか。紙やエクセルで運用している承認プロセスは、進捗が見えづらく、問い合わせ対応や催促に多くの時間が割かれてしまいがちです。さらに、人事異動のたびに発生する煩雑な経路変更作業に、頭を抱えている方も少なくないでしょう。

→経理を、申請チェック”作業”から解放する。TOKIUM AI経費承認とは?

企業の意思決定を支える「承認経路」は、単なる事務手続きではありません。適切に設計・運用された承認経路は、業務をスムーズに進めるだけでなく、内部統制を強化し、企業の健全な成長を支える基盤となります。しかし、その重要性を理解しつつも、日々の業務に追われ、根本的な見直しに着手できていないのが実情ではないでしょうか。

この記事では、そんなお悩みを抱えるあなたのために、企業における承認経路の基本から、非効率なプロセスが抱える具体的な課題、そして理想的な承認経路を設計するための実践的なポイントまで、網羅的に解説します。さらに、これらの課題を根本から解決するワークフローシステムの活用法や、弊社の「TOKIUM」がどのように皆様の業務を変革できるのかについても、詳しくご紹介します。

そもそも企業の承認経路とは?

企業活動における「承認経路」とは、ある申請内容に対して、「誰が」「どのような順番で」「承認または差し戻しの判断を下すか」という一連の流れを定めたルールのことを指します。稟議書や経費精算、購買依頼など、会社のお金や意思決定に関わるあらゆる手続きにおいて、この承認経路は重要な役割を果たしています。このルールが明確に定められていなければ、担当者の独断で物事が進んでしまったり、必要な確認が漏れたりするリスクが生じます。

なぜ承認経路が重要なのか?

承認経路を整備することは、単に手続きを形式化するだけではありません。企業の成長とコンプライアンスを支える上で、極めて重要な意味を持ちます。

第一に、迅速な意思決定を促進するという役割があります。申請内容に応じて、あらかじめ決められたルートに沿って自動的に承認依頼が回付されるため、申請者は「次に誰の承認を得ればよいのか」と迷う必要がありません。承認者も自分の役割を明確に認識できるため、プロセス全体がスムーズに流れ、結果として事業のスピードを加速させます。

第二に、内部統制を強化するという、非常に重要な役割を担っています。適切な権限を持つ人物が、定められた手順に従って承認を行う仕組みを構築することで、不正な支出やコンプライアンス違反のリスクを大幅に低減できます。例えば、「取引金額が100万円を超える場合は、必ず担当役員の承認を得る」といったルールを設けることで、担当者レベルでの安易な判断による大きな損失を防ぐことができます。

そして第三に、責任の所在を明確にする効果があります。「いつ、誰が、何を承認したのか」という記録が正確に残るため、後から監査や問題発生時の原因究明が必要になった際に、経緯を正確に追跡することが可能です。これにより、各承認者は自身の判断に責任を持つようになり、組織全体のガバナンス意識の向上にも繋がります。

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よくある承認経路の種類と具体例

出典:株式会社COEL ワークフローでよくある3つの承認ルートをイラストで解説

企業の承認経路は、その目的や組織構造に応じて、いくつかの基本的なパターンを組み合わせて設計されます。ここでは、代表的な承認経路の種類を、具体的な活用シーンとともにご紹介します。自社のどの申請がどのパターンに当てはまるか、または当てはめるべきかを考えながら読み進めてみてください。

直線型承認

直線型承認は、最もシンプルで一般的な承認経路です。申請者から始まり、役職の序列に沿って一段階ずつ承認が進んでいく流れを指します。例えば、担当者が申請し、その直属の上長である課長が承認し、次に部長が承認するといった形です。日常的な経費精算や、少額の備品購入申請など、比較的定型的で判断基準が明確な業務に適しています。シンプルで分かりやすい反面、承認者が多くなると最終承認までに時間がかかってしまうという側面もあります。

申請者課長部長承認完了
申請承認承認

並列承認(合議)

並列承認は、複数の承認者や部署が同時に、または順不同で承認を行う経路です。これは「合議」とも呼ばれ、複数の視点からの確認が必要な場合に用いられます。例えば、新しいプロジェクトの企画稟議で、営業部門と開発部門、経理部門の各責任者の承認が同時に必要となるケースがこれに該当します。並列承認には、関係者全員の承認をもって次に進む「AND承認」と、関係者のうち誰か一人が承認すれば次に進める「OR承認」の2種類があり、案件の性質によって使い分けられます。

条件分岐承認

条件分岐承認は、申請の内容(例えば金額やカテゴリなど)に応じて、承認経路が自動的に変わる仕組みです。これは、効率性と内部統制を両立させる上で非常に効果的な方法です。例えば、「経費精算の申請金額が5万円未満なら部長決裁まで」「5万円以上100万円未満なら本部長決裁まで」「100万円以上なら役員決裁まで」といったように、金額の大きさによって承認者の階層を変えるルールを設定します。これにより、少額の申請は迅速に処理しつつ、高額な案件はより上位の役職者が慎重に判断するという、リスクに応じた適切な管理が可能になります。

代理承認

代理承認は、本来の承認者が出張や休暇などで不在の場合に、業務が停滞しないように、あらかじめ指定された別の人が代わりに承認を行うためのルールです。この設定がないと、「部長が1週間不在のため、すべての承認が止まってしまう」といった事態に陥りかねません。代理承認者を設定しておくことで、承認の遅延を防ぎ、ビジネスの継続性を担保することができます。誰が誰の代理をできるのか、という権限設定を明確にしておくことが重要です。

紙やエクセルによる承認経路管理が抱える課題

これまで見てきたような承認経路を、依然として紙の申請書やエクセルの管理簿で運用している企業は少なくありません。しかし、こうしたアナログな管理方法は、非効率であるだけでなく、多くの潜在的なリスクを抱えています。ここでは、多くの担当者が日々直面しているであろう、具体的な課題を深掘りしていきます。

承認状況が分からず業務が停滞する

紙ベースの申請書で最も大きな問題は、承認プロセスの「ブラックボックス化」です。申請書を提出した後、「今、誰の机の上にあるのか」「どこで止まっているのか」が全く分からなくなります。申請者からは「あの件、どうなっていますか?」と頻繁に問い合わせが入り、経理担当者はその都度、関係者に電話やメールで確認したり、社内を探し回ったりする必要に迫られます。承認者自身も、自分が承認すべき書類がどれだけ溜まっているか把握しづらく、承認漏れや遅延の直接的な原因となります。

内部統制上のリスクが高い

アナログな管理は、内部統制の観点からも多くの脆弱性を抱えています。まず、物理的な書類であるため、紛失や破損のリスクが常に伴います。また、悪意があれば内容の改ざんも比較的容易に行えてしまいます。承認印が押されていても、それが本当に権限のある人物によって押されたものなのか、厳密な確認は困難です。承認ルールを逸脱した申請(本来は部長承認が必要な案件を課長が承認してしまうなど)が見過ごされる可能性も高く、不正の温床となりかねません。

組織変更や人事異動への対応が煩雑

企業組織は常に変化しています。春の人事異動や期中の組織変更のたびに、承認経路の見直しは必須の作業となります。エクセルで管理している場合、管理簿の修正、関係者への周知、古いフォーマットの差し替えなど、膨大で煩雑な作業が発生します。周知が徹底されず、古い承認経路のまま申請書が回ってきてしまい、差し戻しになるケースも後を絶ちません。こうした管理業務は経理や総務部門の大きな負担となり、本来集中すべきコア業務の時間を圧迫します。

リモートワークに対応できない

働き方が多様化する現代において、物理的な紙の受け渡しを前提とした承認プロセスは、リモートワークの大きな障壁となります。承認のためだけに出社を余儀なくされたり、承認者が長期出張中の場合にプロセスが完全に止まってしまったりと、柔軟な働き方を阻害する要因となります。これでは、せっかく導入したリモートワーク制度も形骸化してしまいかねません。

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理想的な承認経路を設計するための5つのポイント

非効率でリスクの高い現状から脱却し、スムーズで統制の取れた承認プロセスを構築するためには、どのような点に注意して承認経路を設計すればよいのでしょうか。ここでは、実践的な5つのポイントをご紹介します。

ポイント1:承認ルートをシンプルにする

まず最も重要なのは、承認ルートを可能な限りシンプルにすることです。念のため、という理由で多くの承認者を入れると、責任の所在が曖昧になるだけでなく、意思決定のスピードを著しく低下させます。その承認ステップが本当に必要か、その人でなければ判断できないのかを厳密に問い直し、不要な承認者は大胆に削減する勇気も必要です。承認ステップは業務遂行上、必要最小限に留めるのが原則です。

ポイント2:承認権限と金額を明確に定義する

次に、誰が、いくらまでの金額を、どのような内容について承認できるのか、という「承認権限規程」を明確に文書化し、全社で共有することが不可欠です。例えば、「課長は10万円まで」「部長は100万円まで」といった具体的な金額基準を設けることで、個人の裁量による判断のブレを防ぎ、一貫性のある運用が可能になります。この規程が、承認経路を設計する上での揺るぎない土台となります。

ポイント3:例外処理と代理承認のルールを定める

日常業務では、緊急の対応が必要な案件や、イレギュラーな申請が発生することも少なくありません。また、承認者が病気や出張で長期間不在になることも想定されます。こうした事態に備え、「緊急時は、部長の判断で承認ルートを短縮できる」「課長不在時は、〇〇さんが代理で承認する」といった例外処理や代理承認のルールをあらかじめ定めておくことが、業務の停滞を防ぐ上で非常に重要です。

ポイント4:定期的な見直しと形骸化の防止

一度作成した承認経路も、組織の成長や事業内容の変化に合わせて、陳腐化していきます。少なくとも年に一度など、定期的に承認経路が現状の組織体制や業務内容に即しているかを見直す機会を設けましょう。また、ルールが形骸化しないよう、新入社員研修や定期的な社内アナウンスを通じて、正しい承認プロセスを継続的に周知していく努力も欠かせません。

ポイント5:プロセスの可視化を徹底する

最後に、設計した承認経路と、現在進行中の申請状況が、関係者全員にとって「見える」状態になっていることが理想です。申請者は自分の申請が今どこにあるのかをいつでも確認でき、承認者は自分が処理すべきタスクを一覧で把握できる。このような透明性の高い環境が、問い合わせや催促の手間をなくし、プロセス全体の円滑化に繋がります。この「可視化」こそが、アナログ管理から脱却する最大の鍵となります。

承認経路の課題は「ワークフローシステム」で解決できる

ここまで解説してきた理想的な承認経路の設計と運用ですが、これらを紙やExcelだけで実現するには限界があります。そこで、これらの課題を根本から解決するソリューションとして注目されているのが、「ワークフローシステム」です。ワークフローシステムとは、各種申請から承認までの一連の流れを電子化し、自動化するためのツールです。

ワークフローシステムで実現できること

ワークフローシステムを導入することで、これまで抱えていた課題の多くを解決に導くことができます。

まず、承認状況のリアルタイムな可視化が実現します。申請者はいつでもシステム上で自分の申請の進捗を確認できるため、経理担当者への問い合わせが激減します。承認者も自分のタスクを一覧で把握でき、スマートフォンなどから場所を選ばずに承認作業を行えるため、承認の遅延や漏れを劇的に減らすことができます。

次に、内部統制を自動的に強化できる点も大きなメリットです。あらかじめ設定した承認経路に沿ってしか申請は回付されず、承認権限のない人が承認することもできません。また、「いつ、誰が、何を承認したか」という操作ログがすべてシステム上に記録されるため、監査対応も容易になります。

さらに、承認経路の設定やメンテナンスが非常に簡単になります。多くのシステムでは、ドラッグ&ドロップなどの直感的な操作で、複雑な条件分岐を含む承認経路を簡単に作成できます。人事異動の際も、CSVデータの一括アップロードなどで簡単に情報を更新でき、管理部門の負担を大幅に軽減します。

そしてもちろん、ペーパーレス化が実現することで、リモートワークの推進にも直結します。印刷代や郵送費、保管スペースといった物理的なコストを削減できるだけでなく、場所に縛られない働き方を全社的に後押しすることができます。システムによっては、滞留している申請を承認者に自動で通知する自動催促機能もあり、これまで担当者が気を使って行っていた催促業務からも解放されます。

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AIが承認業務を変える「TOKIUM AI 経費承認」という選択肢

出典:TOKIUM 規程を参照し経費の一次承認を実行する 「TOKIUM AI経費承認」を提供開始

承認経路をシステム化し、効率を上げたその先へ。TOKIUMは、AI技術を活用して承認業務そのもののあり方を変革する、未来のソリューション「TOKIUM AI 経費承認」を提供しています。これは、これまで人間が時間をかけて行っていた経費精算のチェックや判断といったプロセスをAIが代替・支援する機能です。承認者の負担を劇的に軽減し、より迅速で質の高い意思決定を可能にすることで、企業のガバナンスを新たなステージへと引き上げます。

AIによる申請内容の自動チェックで、差し戻しの手間を削減

経費精算の承認プロセスにおいて、承認者や経理担当者の時間を最も奪っているのが、申請内容一件一件の目視によるチェック作業です「交通費の経路は最適か」「勘定科目は適切か」「会議費の上限を超えていないか」といった社内規程との照合は、非常に手間がかかり、本来注力すべき業務を圧迫する要因となっています。「TOKIUM AI 経費承認」は、こうした定型的なチェック作業をAIが瞬時に実行します。規程違反の可能性がある項目や、記載不備をAIが自動で検知し、承認者にアラートを表示。これにより、承認者は全ての項目を精査する必要がなくなり、AIが示したポイントを重点的に確認するだけで済むようになります。軽微な修正であればAIが自動で行い、差し戻しが必要な場合も理由を明記して申請者に通知するため、これまで発生していたコミュニケーションコストも大幅に削減できます。

不正・不備の兆候を検知し、内部統制を自動で高度化

従来の目視チェックでは、どうしても見逃しのリスクや、担当者による判断のバラつきが生じがちでした。また、巧妙な不正申請を見抜くことは非常に困難です。「TOKIUM AI 経費承認」は、過去の膨大な承認データを学習することで、人間では気づきにくい不正や不備の「兆候」を検知します。例えば、「過去の利用実績と比べて異常に高額なタクシー代」「出張期間と一致しない日付の領収書」「不自然な経路での交通費申請」といったリスクの高い申請をAIが自動で抽出し、承認者と管理者に警告します。これにより、「承認ボタンを押すだけ」といった形骸化した承認プロセスから脱却し、データに基づいた客観的で質の高いチェック体制を構築。企業の内部統制を、人の経験や勘に頼るレベルから、AIによって自動的に高度化されるレベルへと進化させます。

TOKIUM AI経費承認

まとめ

本記事では、企業における承認経路の重要性から、非効率なプロセスが抱える課題、そして理想的な承認経路を設計・運用するためのポイントまでを詳しく解説してきました。

承認経路の見直しは、単なる一担当者の業務改善に留まりません。それは、組織全体の生産性を向上させ、内部統制を強化し、迅速な意思決定を可能にする、極めて重要な経営課題です。紙やExcelでの管理に限界を感じているなら、今こそワークフローシステムの導入を具体的に検討すべきタイミングと言えるでしょう。

「TOKIUM」は、複雑な承認経路にも柔軟に対応し、経理業務全体のペーパーレス化と効率化を実現する強力なパートナーです。面倒な承認業務から解放され、より創造的な仕事に時間を使える未来を、TOKIUMで実現しませんか。

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