経理DX促進

中小企業がAIで業務自動化を進めるには?経理から始める現実的な進め方

更新日:2026.01.14

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中小企業_AI_業務_自動化

中小企業がAIで業務自動化を進めるなら、まずは「ルール化しやすく、件数が多い定型業務」から小さく始めるのが最も失敗しにくいです。理由は、例外が少ない業務ほど運用ルールを作りやすく、削減できた工数や手戻り(差し戻し)を数字で示せるため、社内の合意形成と横展開が進みやすいからです。

→業務の自動運転を実現する経理AIエージェントとは?

この記事では、AIで自動化しやすい業務の見極め方、進め方(3か月の着手手順)、失敗しないための注意点を、現場の運用に落とし込める形で整理します。

Q1. 中小企業でもAIで業務自動化は進められますか?

はい、進められます。ポイントは、全社で一気に置き換えるのではなく、まずは1業務に絞って試し、効果が出た型を横展開することです。小さく始めれば、費用・時間・現場負担を抑えながら改善を積み上げられます。

Q2. 最初に自動化すべき業務はどれですか?

最初は、入力・確認・照合・転記など、手順が決まっていて繰り返しが多い業務が向いています。判断が必要な部分は例外として残し、定型部分だけをAIに任せる設計にすると失敗しにくいです。

Q3. RPAやExcelマクロとAIは何が違うのですか?

RPAやマクロは、手順が固定された作業を自動で繰り返すのが得意です。一方AIは、文章の要約や分類、表現の揺れがある情報の整理など、同じ形に揃っていない情報を扱う補助が得意です。どちらか一方ではなく、業務に応じて役割分担させると効果が出やすくなります。

Q4. 情報漏えいや誤りが不安です。最低限の対策は何ですか?

まず、入力してはいけない情報(個人情報・機密情報など)を決め、現場の運用ルールとして明文化することが第一です。次に、利用権限を絞り、いつ誰が何を処理したかが追えるように記録(ログ)を残します。最後に、AIの結果は確定ではなく候補として扱い、人が最終確認する運用にします。

Q5. 3か月でどこまで進めれば、うまくいったと言えますか?

3か月で目指すのは全社導入ではなく、対象業務が1つ、安定して回る状態です。具体的には、①自動化する範囲と例外処理が決まり、②運用ルール(担当・確認・記録)が固まり、③効果が数字(削減工数、差し戻し回数など)で説明できる、の3点が揃えば合格ラインです。

中小企業はなぜ「AIによる業務自動化」を検討すべきか?

中小企業がAIによる業務自動化を検討すべき理由は、人手不足と属人化が「決算遅延・ミス増加・引継ぎ不能」といった経営リスクに直結するためです。AIで定型の確認・入力・照合を減らし、限られた人員を分析や改善などの高付加価値業務へ振り向けやすくなります。なお、AIは万能ではないため、例外対応と最終確認を残す前提で設計することが重要です。

人手不足・残業・属人化がもたらす経営リスク

経理や管理部門の人手不足や残業の増加は、「何となく大変」ではなく、決算遅延やミスの増加を通じて経営リスクに直結します。属人化した業務が多いほど、退職・異動が発生した際の業務停滞リスクも高まります。

特に中小企業では、ベテラン数名に業務が集中し、「この人がいないと回らない」状態になりがちです。この状態を放置すると、残業代の増加だけでなく、決算数値の精度低下や、金融機関・取引先への説明力低下にもつながります。AIによる業務自動化は、単純作業や定型判断を機械に任せ、限られた人材を「数字の分析」や「経営への提案」に振り向けるための手段と捉えるのが現実的です。

AIと従来の自動化(RPA・マクロ)は何が違うか?

従来の自動化は、エクセルのマクロやRPAなど、「あらかじめ決めた手順をその通りに実行する」ことが中心でした。一方、AIはパターン認識や文章の理解が得意で、「バラバラな書式の請求書を読み取る」「申請内容に不足がないかチェックする」といった、これまで人に依存していた仕事にも対応できます。

ただし、AIも万能ではありません。「あいまいな指示でも何とかしてくれる」という期待を持ちすぎると、かえってミスや混乱を招きます。中小企業がAIを活用する際は、「どの業務の、どの部分を任せるか」を具体的に切り出し、人間による最終確認や例外対応の設計をセットで考えることが重要です。

経理部門全体のデジタル変革とAI活用の位置づけをもう少し広い視点で整理したい場合は、以下の記事で、DXや単なるIT化との違いと実装ステップもあわせて確認してみてください。

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AIは難しい・高い・危ない?中小企業がつまずく誤解を整理

AI業務自動化は“全社で一気に置き換えるもの”ではなく、1業務から小さく試し、ルールと最終確認を残した運用で進めるのが現実的です。不安の多くは「AIに確定判断を任せる」前提で考えてしまうことから生まれます。ここでは、検討初期につまずきやすい誤解をQ&A形式で整理します。

誤解1「AI導入には高度なIT人材が必要ですか?」

回答:必須ではありません。 最初は“下書き作成・分類・チェック補助”のように、業務ルールを言葉で決められる範囲から始めれば、専門開発なしでも試験運用は可能です。重要なのはITスキルよりも、対象業務の手順と例外を整理し、運用ルールを作ることです。

押さえるポイント

  • まずは「誰が」「何を」「どこまでAIに任せるか」を文章で定義します
  • 例外(判断が必要なもの)は人が最終確認する前提にします
  • うまくいった“型”を次の業務へ横展開します

誤解2「いきなり全社導入しないと効果が出ませんか?」

回答:全社導入は不要です。 効果が出やすいのは、件数が多い定型業務を1つ選び、導入前後で工数・差し戻し・処理時間を比較できる形で始める方法です。小さく始めるほど、現場負担と手戻りを抑えつつ改善できます。

押さえるポイント

  • 対象は「1業務×1部門×短期間(数週間〜)」で十分です
  • KPIは工数(分/件)、差し戻し率、処理リードタイムなど“数字”で持ちます
  • 成果が出たら、同じ型で対象業務を増やします

誤解3「AIはコストが高く、中小企業には向きませんか?」

回答:費用は“やり方”でコントロールできます。 いきなり大規模投資をせず、試験運用で対象範囲を絞れば、費用対効果を見ながら段階的に拡大できます。まずは“削減できる工数”を把握し、投資判断の材料を揃えることが先決です。

押さえるポイント

  • 先に「削減したい工数・残業・差し戻し」を言語化します
  • 試験運用の時点で、削減時間を金額換算して説明できる形にします
  • コストは「利用料」だけでなく「運用設計・教育・例外処理」も含めて見積もります

誤解4「情報漏えいが心配なので、AIは使わない方が安全ですか?」

回答:ルールと統制を作れば、リスクを抑えて運用できます。 重要なのは、入力禁止情報の明確化、権限管理、処理の記録(ログ)、そしてAI出力の最終確認を人が行う運用です。セキュリティは“使う/使わない”ではなく、“どう使うか”で差が出ます。

押さえるポイント

  • 入力禁止情報(個人情報・機密情報など)と代替手段を決めます
  • 利用できる人・用途・承認の範囲を権限で絞ります
  • いつ誰が何を処理したか追えるよう、ログと証跡の残し方を決めます

誤解5「AIの出力は正しい前提で、そのまま業務を自動化してよいですか?」

回答:そのまま確定させるのは危険です。 AIは誤りを含む可能性があるため、当面は“下書き・候補・チェック結果”として扱い、確定判断は人が行う前提で設計します。特に数値・取引条件・社外向け文書は、最終確認と責任分界が必須です。

押さえるポイント

  • AIの役割は「候補提示」「不備検知」「要約・分類」などに寄せます
  • 確定前に、人が確認するチェックポイント(観点)を固定します
  • 誤りが起きたときのエスカレーション基準(誰が止めるか)を決めます

表1:セキュリティ最小チェック表

観点最低限決めること運用のポイント
入力禁止個人情報・機密情報など「入力してはいけない情報」の定義現場に周知し、迷ったら入力しないルールにします
権限利用者・用途・承認範囲(誰が何に使えるか)最初は対象者を絞り、拡大は運用が固まってから行います
ログ・証跡いつ誰が何を処理したか追える記録の残し方監査・内部統制の観点で説明できる形に揃えます
最終確認AI出力を確定せず、人が確認する前提(責任分界)数値・取引条件・社外文書は確認観点を固定します
例外対応AIが苦手なケース(例外)の扱いとエスカレーション止めどころ(誰が判断するか)を決め、手戻りを減らします

経理AI導入で自動化しやすい業務はどこから選ぶべきか?

AIによる業務自動化は、ルール化しやすく件数が多い定型業務から着手すると、効果を数字で示しやすく横展開もしやすいです。まずは読み取り・分類・チェックなどを“下書き/候補作成”としてAIに任せ、例外と最終判断は人が行う運用にすると、品質と定着を両立しやすくなります。

経理まわりの「定型×件数が多い」業務から始める

最初の候補として挙げやすいのは、次のような業務です。

  • 請求書の受領・内容の読み取り・仕訳候補の作成
  • 経費精算の申請内容チェック(領収書の有無、金額の整合性など)
  • 交通費・出張費の精算ルールチェック
  • 支払予定表の作成や支払データの作成

これらはいずれも、「一定のルールに従って判断する」「件数が多く、ミスが起きると差し戻しや再確認の手間が増える」という共通点があります。AIは紙・PDF・画像からの読み取りや、ルールベースのチェックを得意としているため、人が1件ずつ確認していた部分を大幅に減らせます。

経費精算まわりのAI自動化と、電帳法・インボイス対応を同時に進めたい場合は、以下の記事で具体的な運用ステップもチェックしてみてください。

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現場部門やバックオフィスとの分担をどう設計するか?

AIによる業務自動化は、経理だけで完結しません。現場部門が入力する申請フォームや、証憑の提出方法がバラバラのままだと、AIが処理しきれず、結局経理側の手作業が残ってしまいます。

そのため、「現場はここまで入力する」「経理はここから先をAIと一緒に処理する」という分担ルールを決めることが重要です。例えば、現場担当者にはスマートフォンから申請してもらい、AIが内容チェックと仕訳候補作成を行い、経理は例外ケースだけを確認する、といった形が現実的です。こうした分担設計を先に決めておくと、AI導入後の業務フローもスムーズに定着しやすくなります。

以下の表は、中小企業でAIによる自動化の対象になりやすい業務を、「業務領域×自動化しやすさ×優先度」でまとめたものです。自社の状況と照らし合わせて、候補を絞り込む際のたたき台としてご活用ください。

表2:AIで自動化しやすい経理業務マップ

業務領域具体的な業務例自動化しやすさ優先度の目安
請求書処理請求書の受領・内容読み取り・支払データ作成高い(紙・PDF問わずパターンが多いがルール化しやすい)◎:件数が多く、締め日前後に集中する企業は最優先
経費精算領収書の読み取り、申請内容のチェック、仕訳候補作成高い(同じようなパターンが繰り返される)◎:差し戻しが多い企業は優先して検討
交通費・出張費経路判定、運賃チェック、日当・宿泊費の計算中〜高(ルールを整理すれば自動化可能)◯:申請件数が多い企業で有効
支払・振込支払予定表作成、振込データの作成中程度(他システムとの連携要件が多い)◯:請求処理の自動化とセットで検討
マネジメント業務承認状況のモニタリング、遅延アラート、簡易レポート中程度(業務の可視化と組み合わせが必要)△:基礎部分の自動化が進んだ後に検討

ここまでで、自動化の優先順位は「定型で件数が多く、ルール化しやすい業務」から付けるのが基本だと整理しました。次の章では、その基準を部門別に当てはめ、どの業務から始めると成果が出やすいかを一覧で確認します。

支出管理ペーパーレス化から始める経理DX

中小企業の部門別にAIで自動化しやすい業務はどれですか?

AIによる業務自動化は、部門ごとに「定型」「繰り返し」「判断基準が言語化できる」業務から着手すると成果が出やすいです。まずは“下書き・候補作成・チェック補助”として使い、最終判断は人が行う運用にすると、品質と定着の両立がしやすくなります。

部門別ユースケース早見表

部門別にAI活用を考える際は、最初に「定型で繰り返しが多く、判断基準を言語化できる業務」を選ぶのが現実的です。例えば経理なら入力・不備チェック・照合、総務なら問い合わせ一次回答の下書き、人事なら文書作成やチェックリスト作成、営業なら提案文・メールの下書き、カスタマーサポートなら問い合わせ要約や返信テンプレの候補作成などが該当します。まずはAIを“確定処理”ではなく“下書き・候補・チェック補助”として使い、最終判断は人が行う運用にすると、品質を落とさずに効果を出しやすくなります。

まずは、以下の表から「件数が多い」「毎月繰り返す」「ルールを説明できる」業務を1つ選び、AIは“下書き・候補・チェック”として使うところから始めると、品質を落とさずに効果を出しやすいです。

表3:部門ごとのAIユースケース早見表

部門AIで自動化しやすい業務例(はじめの一歩)期待できる効果注意点・前提(失敗しないための条件)
経理請求書・領収書の読み取り補助/入力項目の抜け漏れチェック/規程違反の一次検知(例:上限超過、宛名不備)入力・確認の工数削減/差し戻し削減/月次の締め作業の平準化勘定科目やルールは先に整理/例外は人が確認する運用にする/証憑・ログの保管ルールを決める
総務社内問い合わせの一次回答(FAQ候補作成)/申請手順の案内文の下書き/会議メモの要約問い合わせ対応の負荷軽減/案内ミスの減少/情報共有のスピード向上回答の根拠となる社内規程・手順書を最新化/最終回答は担当者が確認する
人事・労務求人票・スカウト文の下書き/面談メモの要約/入社手続きのチェックリスト作成文書作成の時間短縮/抜け漏れ防止/手続きの標準化個人情報の入力ルールを厳格化/社内の表現ガイド(禁止表現など)を決める
営業提案書のたたき台作成/商談メモの要約/見積・メール文の下書き提案準備の時短/対応スピード向上/記録の品質向上顧客情報・機密情報の入力制限/事実関係の確認を必須にする(誤記の防止)
カスタマーサポート問い合わせ内容の分類・要約/返信テンプレの候補作成/ナレッジの追記案作成一次対応の平準化/返信品質の安定/ナレッジ蓄積の加速回答テンプレの承認フローを用意/誤回答時のエスカレーション基準を決める
購買・調達見積依頼文の下書き/比較観点(評価項目)の整理/取引条件の抜け漏れチェック(納期・支払条件など)比較検討の効率化/条件漏れの防止/担当者の属人化緩和評価項目を標準化/最終判断は人が実施/取引条件は社内ルールに合わせて確認する

失敗しないための共通ルール

部門が違っても、AI業務自動化でつまずく原因は共通しています。最初に決めるべきは、①入力してはいけない情報(個人情報・機密情報など)と扱い方、②利用できる人の範囲(権限)と承認の流れ、③誰がいつ何を処理したかを追える記録(ログ)の残し方、④例外の扱い(AIの結果をそのまま確定せず、人が最終確認する)です。

これらを最低限整えることで、誤回答や情報漏えいのリスクを抑えながら、現場が安心して使える状態を作れます。表で選んだ「1業務×1部門」を対象に、まずはこの共通ルールを当てはめて試験運用を始めましょう。

中小企業がAI業務自動化を始めるときの現実的な進め方は?

中小企業のAI業務自動化は、一気に全社展開せず「目的の数値化→小さく試す→うまくいった形を横展開」が基本です。まずは削減したい工数・差し戻し・残業などを言語化し、1業務×1部門で短期間の試験運用を回します。運用中に出る例外や手戻りを観察し、ルールとマニュアルを修正してから範囲を広げると定着しやすくなります。

「何時間・どの業務を減らしたいか」を先に決める

AIを導入する前に、まず「どの業務を、どれくらいの時間削減につなげたいか」を言語化しておくことが重要です。例えば、「請求書処理に月100時間かかっているので、半分の50時間に減らしたい」「経費精算の差し戻し件数を月30件から10件に減らしたい」といった具体的な目標です。

こうした目標がないままツールを導入すると、「便利にはなったが、どれだけ効果があるのか分からない」という状態になり、社内の理解が得られにくくなります。最初はざっくりとした目安でも構わないので、「時間」「件数」「残業時間」などの単位で目標を決めておくと、後の効果測定や改善も進めやすくなります。

小さく始めて検証し、うまくいったやり方を横展開する

ツール選定後は、いきなり全社で本格運用するのではなく、1つの部門・1つの業務に絞って小さく始めるのがおすすめです。例えば、「請求書処理のうち、特定の部門分だけ」「経費精算のうち、出張費だけ」といった限定的な範囲で運用してみます。

この小さな期間中は、「どの部分がスムーズに回っているか」「どこでエラーや差し戻しが発生しているか」「現場の負担はどう変わったか」を丁寧に観察します。そのうえで、ルールやマニュアルを修正し、うまくいった形を標準としながら、対象部門や対象業務を少しずつ拡大していくと、現場の抵抗感を抑えつつ定着させやすくなります。

以下は、1つの業務について4週間程度の試験運用を行う際に使える、簡易的な検証シートの例です。週ごとに「実施内容」と「気付いたポイント」を記録しておくことで、振り返りや改善に役立ちます。

表4:小さく始める検証シート(1業務×4週間の例)

実施内容観察したポイントメモ
1週目対象業務の範囲を限定し、AIツールを試験導入するエラーの有無、現場からの質問内容、想定外の手戻り最初の印象や懸念点を自由記入
2週目運用ルールやマニュアルを修正し、再度運用エラー件数の変化、処理時間の変化改善後に変わった点を記録
3週目対象ユーザーを少し増やして試す新たに出てきた課題、部門間の連携状況他部門への展開の可否を検討
4週目本格運用に向けた課題洗い出しと改善案の整理目標値(時間・件数)とのギャップ次の展開(対象部門・対象業務)の候補を記載

中小企業でAIエージェントをどの業務から小さく試し、残業削減と法対応を両立させるかを詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてご覧ください。

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AI業務自動化の効果はどう測り、経営に説明すべきか?

効果は「工数・残業・差し戻し率」など、現場の実感と経営判断に直結するKPIで導入前後を比較して測ります。削減時間を時給換算で金額に置き換え、投資対効果として説明できる形にすると合意が取りやすくなります。あわせて処理リードタイムの短縮など、決算締めや資金繰り管理への波及も整理すると説得力が上がります。

日本政策金融公庫(総合研究所)の調査(2025年1〜3月期特別調査)では、AI(人工知能)を導入した企業が得た具体的な成果として「業務の効率化」が、81.9%で最も多く挙げられています(複数回答)。この結果からも、AI業務自動化は「便利そうか」ではなく、工数・処理時間・差し戻しといった指標で効果を測り、経営に説明できる形にすることが、継続と横展開の前提になります。

参考:導入予定割合が最も高いデジタルツールはAI(人工知能)|日本政策金融公庫

AI業務自動化の効果は、現場の実感だけでなく、導入前後で比較できるKPIで示すことが重要です(以下、KPI表参照)。特に中小企業では「何が、どれだけ改善したか」を短期間で説明できると、次の業務への横展開と予算確保が進みやすくなります。ここでは、効果測定に使いやすいKPIを、測り方と注意点まで含めて整理します。

表5:KPI表

KPI何を測るか(定義)測り方(例)導入前の取り方(最小)目標の置き方(例)注意点(ブレやすいポイント)
工数対象業務にかかる作業時間(人の手作業部分)分/件 × 件数、または月間合計時間代表的な日(例:月末/週初)で「5〜10件」だけタイム計測し平均を取る例:分/件を20%削減、または月間作業時間を○時間削減繁忙期・担当者差でブレます。計測条件(期間・対象・例外扱い)を固定します
差し戻し率申請・処理が不備で戻る割合(手戻りの多さ)差し戻し件数 ÷ 総件数直近1か月の差し戻し件数を集計し、主な理由(不備項目)も3つに分類する例:差し戻し率を半減、差し戻し理由トップ3のうち2つを解消差し戻し基準が曖昧だと数値が変わります。基準を文章で明文化します
リードタイム受付〜完了までの所要時間(処理の滞留を含む)受付日時〜完了日時の差(平均/中央値)受付日と完了日だけでも記録し、平均ではなく中央値も見る例:中央値を○日短縮、月末の滞留を解消承認待ち・確認待ちなど「滞留理由」を分けないと改善点が見えません
残業(関連工数)対象業務が原因で発生する時間外労働の増減月末・締め前後の残業時間(対象者/チーム)対象業務の繁忙週だけでも、担当者ごとの残業時間を把握する例:締め前週の残業を○時間削減、ピークを平準化他要因(人員変動・繁忙度)で増減します。「対象業務に起因する作業」を切り分けます
締め日(締めの早期化)月次締めの完了日・確定までの日数(経営への波及)月次締め完了日、または「月末から締め完了までの日数」直近3か月の締め完了日を確認し、遅延要因(例:差し戻し、照合作業)を洗い出す例:締めを○営業日前倒し、締め遅延の要因を上位から潰す締めは複合要因です。AI対象業務と締め遅延の因果(どの工程が詰まるか)を紐づけます

まずは、工数(分/件)差し戻し率の2つから測るのがおすすめです。どちらも短期間で数値が動きやすく、改善点(不備の多い項目、例外処理の多い工程)が見えやすいためです。次に、処理の滞留が課題ならリードタイム、繁忙の平準化が課題なら残業(締め前週)、経営報告まで含めて説得力を上げるなら締め日(早期化)を加えると、導入効果を多面的に説明できます。

なお、同じ“効果測定”でも、目的が「経理の人手不足を軽くすること」の場合は、工程(入力・照合・承認・記録)ごとにKPIを揃えて改善幅を追える形にしておくと、横展開の判断が速くなります。人手不足解消のためのKPI設計と工程別の進め方は、以下の記事に整理しています。

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工数・残業・差し戻し率という基本指標

中小企業がAI自動化の効果を測る際は、まず次の3つの指標から始めると分かりやすくなります。

  • 工数(担当者がその業務に使っている時間の合計)
  • 残業時間(特に月末月初や決算期に集中する時間)
  • 差し戻し率(申請や伝票が差し戻される割合)

例えば、「請求書処理の月間工数が100時間→50時間になった」「経費精算の差し戻しが月30件→12件になった」といった変化は、現場にとっての実感値と、経営にとっての合理性の両方を示しやすい指標です。まずは、AI導入前後の変化を追えるように、対象業務についてシンプルな記録を残しておくことが重要です。

時間削減を金額インパクトに変換して説明する

経営層への説明では、「何時間減ったか」だけでなく、その時間削減が人件費や将来の人員計画にどう影響するかを示すと、投資対効果を伝えやすくなります。

例えば、「請求書処理の自動化で、月100時間→20時間になった」という場合、80時間分の削減です。これに、担当者の平均的な人件費(時給換算)を掛け算すれば、概算のコスト削減額を算出できます。さらに、「削減された時間を決算分析や予算策定などの高付加価値業務に振り向ける」という観点もあわせて整理すると、単なるコスト削減ではない価値も示すことができます。

以下の表は、AI自動化の効果を数値化する際に使える、基本的なKPIと試算の枠組みです。自社の数字を当てはめながら、経営層への説明資料づくりの出発点としてご利用ください。

表6:AI業務自動化のKPIと効果試算テンプレート

指標現状値目標値計算の考え方(例)
月間工数例:100時間例:50時間(現状工数 − 目標工数)× 時給換算額 = 月間削減額
残業時間例:40時間例:20時間(残業削減時間 × 残業単価)を算出し、繁忙期の負荷軽減もあわせて説明
差し戻し率例:20%例:5%差し戻し1件当たりの対応時間 × 件数の減少 = 間接的な削減工数
処理リードタイム例:請求処理完了まで5営業日例:3営業日早期化により、決算締め・資金繰り管理の質がどう変わるかを定性的に記載

なお、AI業務自動化の費用は、ツールのライセンスや初期設定費用だけでなく、「現場メンバーのトライアル参加時間」「ルール・マニュアル整備にかかる時間」も含めて見積もると、より現実的な投資対効果を把握できます。

AI自動化ツールの比較・選定に使える評価ポイントをより詳しく押さえたい場合は、以下の記事で具体的なチェック項目も確認してみてください。

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AI業務自動化のありがちな失敗パターンと、その防ぎ方は?

失敗は「ツール先行で任せる範囲が曖昧」「現場を巻き込めない」「ルール・マニュアル不足」で起きやすいです。防ぐには、ツール検討前に対象業務・目的・削減工数を合意し、試験運用の段階から現場の声を反映します。よくある例外を先に洗い出し、運用ルールと簡易マニュアルを整備してから拡大すると手戻りを減らせます。

ツール先行で「何を任せるか」が決まっていない

ありがちなケースが、「話題になっているから」「他社も導入しているから」といった理由でツールを決めてしまい、「どの業務の、どの作業を任せるのか」が曖昧なままプロジェクトが進むパターンです。その結果、運用開始後に「想定していた業務には合わなかった」「現場の入力作業が増えてしまった」という不満が出てしまいます。

これを防ぐには、ツール検討の前段階で「対象業務」「目的」「削減したい工数」を整理し、社内で合意しておくことが重要です。そのうえで、「この業務にはどのような自動化の選択肢があるか」を検討していけば、ツール選定もブレにくくなります。

現場を巻き込めず、途中で止まってしまう

もう一つの失敗要因は、経理・情報システム部門だけでプロジェクトを進めてしまい、実際に入力する現場部門が十分に巻き込まれていないケースです。現場からすると、「これまでより入力項目が増えた」「操作が分かりにくい」と感じた時点で、申請の遅延や誤入力が増え、結果的に経理側の手間が増えてしまいます。

対策としては、早い段階から現場代表者を巻き込み、「現場の負担を増やさずに済む運用」を一緒に検討することが重要です。試験運用のフェーズで現場からの声を丁寧に拾い、マニュアルや入力画面の改善に反映させることで、定着しやすい仕組みになります。

以下の表は、AI自動化プロジェクトで見られがちな失敗パターンと、そのとき現場で起きる症状、事前にとれる対策を整理したものです。計画段階で一度チェックしておくと、同じ失敗を避けやすくなります。

表7:AI業務自動化の失敗パターン×症状×対策

失敗パターン現場で起きる症状事前にとれる対策
ツール先行で業務設計が不十分「結局手作業が残る」「想定業務に合わない」といった声が出る対象業務・目的・削減したい工数を先に整理し、候補ツールを後から検討する
現場部門の巻き込み不足入力遅延や誤入力が増え、差し戻し件数が増加する現場代表者をメンバーに含め、試験運用の段階から意見を反映する
ルール・マニュアルの整備不足担当者ごとに運用方法がばらつき、例外対応が増える「よくあるパターン」を整理し、画面キャプチャ付きの簡易マニュアルを用意する
効果測定の指標がない導入後に「効果があるのか分からない」と評価が曖昧になる導入前に工数・残業・差し戻し率などの基準値を記録しておく

中小企業のAI業務自動化の成功事例から何を学べるか?

成功事例が示すポイントは、AI単体ではなく「業務の切り出し」「ルールの標準化」「人の確認(例外処理)」を組み合わせて成果を出している点です。紙や手書きが残る業務でも、読み取り・入力・チェックを工程分解し、標準化できれば少人数で回せる形に近づきます。成果は決算早期化や処理時間削減として可視化し、次に広げる対象業務の判断材料にします。

本章では、製造業や食品関連企業、自治体の事例(TOKIUM導入事例より)をもとに、中小企業が参考にしやすいポイントを整理します。

製造業の事例:売上計上の自動化で月次決算を前倒し

ある従業員約160名の製造業では、多様なフォーマットで届く売上報告書の処理が月次決算のボトルネックになっていました。紙で届く報告書をもとに、出資比率を加味した自社分の売上を手計算し、会計システムに入力する必要があり、特定の担当者に業務が集中していたのです。

AIと人の組み合わせによる外部スタッフ活用と業務標準化により、売上計上業務の完了が従来より2日間早まり、月次決算の早期化を実現しました。さらに、属人化していた業務がマニュアル化され、業務の継続性が高まったことで、削減された時間を連結決算や経営管理の業務に振り向けられるようになっています。

中小企業にとっての示唆は、「一見外に出しにくそうな業務でも、ルールを整理すれば切り出せる場合がある」「AIと人の組み合わせで、決算のボトルネックを解消できる」という点です。

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食品製造+自治体の事例:請求書処理を少人数で回す仕組み

食品製造業の企業では、デジタルから手書きまで多様な形式の請求書が届き、少数のベテラン社員に処理が集中していました。クラウドサービスとAIを活用して請求書のデジタル化と経費精算のオンライン化を進めた結果、請求書の約7割以上をペーパーレス化し、場所や時間に縛られない処理体制を実現しています。

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また、自治体の学校給食費を担当する部署では、市内52校分・月600件以上の食材費請求書をわずか2名で処理する必要がありました。AIによるデータ化とワークフローの見直しにより、年間1,000時間以上の業務時間を削減し、仕入れ先や学校側の負担を増やすことなく効率的なプロセスを構築しています。

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これらの事例からは、「手書きや紙文化が残る業務でも、AIを組み合わせれば少人数で処理できる」「自社だけでなく、取引先や関係者の負担も考慮した設計が重要」というポイントを学べます。

これから3か月で何から着手すればよいか?

最初の3か月は「①棚卸しと現状計測→②1業務で試験運用→③振り返りと次の展開判断」の3段階で進めるのが現実的です。件数・工数・差し戻しの現状を把握したうえで、対象範囲を絞って小さく回し、数字と現場の声をセットで評価します。大きな投資や組織変更の前に、運用ルールと分担を固めることが失敗回避につながります。

1〜3か月で取り組みたい「準備」と「小さな実践」

最初の1か月は、対象業務の棚卸しと現状の工数測定に充てるのが現実的です。請求書処理や経費精算など、候補となる業務について「月あたり何件」「誰がどれくらいの時間をかけているか」「どこで差し戻しやミスが起きているか」を把握します。

次の1〜2か月で、候補の中から1業務を選び、小さく試すスモールスタートを設計します。テスト対象の範囲(部門・期間)と、試験運用中に確認したい指標(工数・差し戻し・現場の負担感)を事前に決めておくと、振り返りもスムーズです。

社内で合意しながら一歩ずつ進めるコツ

AI自動化は、経理・情報システム部門だけで完結するテーマではありません。現場部門や経営層にとっても、「何が変わるのか」「どこまで任せて良いのか」は関心の高いポイントです。

そのため、計画段階から「目的」と「期待する効果」を共有し、試験運用の結果を定期的に報告する場を設けることが重要です。うまくいった点だけでなく、うまくいかなかった点や課題も含めて共有することで、社内全体での納得感が高まり、次の一歩(対象範囲の拡大)にもつながりやすくなります。

最後に、これから90日間でAIによる業務自動化を進める際の、シンプルなアクションプランの例をまとめました。自社の状況に合わせて、期間や項目を調整しながらご活用ください。

表8:中小企業のAI業務自動化「最初の90日」アクションプラン

期間の目安主な取り組み内容関わるメンバーポイント
1〜4週目対象業務の棚卸し、現状工数・差し戻し状況の把握経理、現場代表者、必要に応じて情報システム「どの業務を、どれだけ減らしたいか」を数値で言語化する
5〜8週目スモールスタートの設計と試験運用(1業務・1部門に限定)経理、対象部門の担当者週単位で気付きを記録し、ルールやマニュアルを柔軟に修正する
9〜12週目結果の振り返り、効果測定、次の展開範囲の検討経理、関係部門、経営層数字と現場の声をセットで共有し、次に広げるべき業務を決める

AI導入時には補助金や外部支援制度を活用しよう

AI業務自動化を進める際、要件に合えば補助金・支援制度を活用できる場合があります。ただし、補助対象・申請条件・締切・必要書類は公募回ごとに更新されるため、検討する場合は必ず公式サイトで最新情報(公募要領・申請手順・スケジュール)を確認してください。

  • IT導入補助金(サービス等生産性向上IT導入支援事業)
    公式確認先:IT導入補助金ポータル事業スケジュール
    注意:締切・枠の区分・要件は更新されます。申請前に必ず最新のスケジュールと手続き要件を確認してください。
  • ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)
    公式確認先:公式ホームページ公募要領について
    注意:公募要領は締切ごとに公表され、内容が変更される場合があります。申請は電子申請で、事前準備(例:アカウント取得等)にも時間がかかるため、早めに確認してください。
  • 中小企業省力化投資補助金
    公式確認先:公式サイト中小企業庁:補助金公募情報
    注意:対象となる設備・類型(枠)や要件は公募情報で確認が必要です。自社の導入目的(省力化・生産性向上)と制度要件が一致するかを先に整理してください。
  • 中小企業新事業進出補助金
    公式確認先:公式サイト中小企業庁:補助金公募情報
    注意:募集回・申請受付状況は更新されます。申請前に必ず最新の公募要領・スケジュール・必要書類を確認してください。

補助金申請で詰まりやすいのは、①締切までの準備期間が短く、社内稟議や見積取得が間に合わないこと、②自社の導入目的・対象経費が要件に合致せず、申請方針を途中で作り直すこと、③電子申請に必要な事前準備(アカウント取得、必要書類の収集・整備)に想定以上の時間がかかることです。

まずは公式サイトで最新の公募要領とスケジュールを確認し、対象業務・導入範囲・効果指標(KPI)を先に整理したうえで、必要書類の準備に着手すると手戻りを減らせます。

中小企業のAI業務自動化でよくある質問(FAQ)は?

中小企業のAI業務自動化では、「最初の一歩」「費用対効果の説明」「運用後に人が担う役割」で不安が出やすいです。本章では、検討初期に詰まりやすい論点をQ&Aで整理し、次の打ち手が止まらない状態をつくります。自社の検討状況と照らし合わせ、必要な前提(現状把握・KPI・分担設計)を確認しながら読み進めてください。

Q1. 中小企業でAIによる業務自動化を始めるとき、最初の一歩は何ですか?

A. 最初の一歩は、「どの業務にどれくらい時間がかかっているか」をざっくり把握することです。とくに、請求書処理や経費精算などの「定型で件数が多い業務」について、月あたりの件数と担当者の工数を見える化すると、最初に着手すべき候補が自然と絞られてきます。そのうえで、1つの業務・1つの部門に対象を限定し、小さく試せるスモールスタートを設計するのが現実的です。

Q2. AI業務自動化の費用対効果は、どうやって経営層に説明すればよいですか?

A. まずは「月間工数」「残業時間」「差し戻し件数」といった基本指標を導入前後で比較し、どれだけ時間が減ったかを数字で示すことが重要です。そのうえで、削減できた時間に平均的な人件費(時給換算)を掛け算し、概算のコスト削減額として整理します。また、「空いた時間を決算分析や予算策定などの高付加価値業務に振り向ける」という視点も添えて説明すると、単なるコスト削減以上の効果を伝えやすくなります。

Q3. 社内から「AI導入は不安」「業務が変わりそうで心配」という声が出た場合、どうすればよいですか?

A. 不安の多くは、「何がどこまで変わるのか分からない」「自分の仕事がなくなるのではないか」という情報不足から生まれます。そのため、最初に「AIに任せるのはこの業務のこの部分だけ」「最終判断は人が行う」など、役割分担を具体的に共有することが大切です。あわせて、小さな範囲で試験運用を行い、現場メンバーからの意見をルールやマニュアルの改善に反映していくと、「自分たちで育てていく仕組み」として受け入れてもらいやすくなります。

まとめ

中小企業のAI業務自動化は、「定型×件数が多い業務」から小さく始め、効果をKPIで示しながら横展開するのが最短ルートです。成功の鍵は、ツール選びより先に対象業務・目的・分担・例外対応を具体化し、現場を巻き込んで運用を磨くことにあります。まずは直近90日で、棚卸し・試験運用・振り返りを回し、次に広げる業務を決めていきましょう。

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