この記事は約 6 分で読めます。
経費精算で扱う領収書やレシートは、電子帳簿保存法の対象です。2024年1月からは、メールやサイトで受け取った電子領収書を紙に印刷して保存するだけでは認められなくなりました。この記事では、経費精算業務で電子帳簿保存法の要件をどう満たすかを、国税庁の資料をもとに整理します。領収書の原本は破棄できるのか、システムでどこまで自動化でき、自社の運用に何が残るのかも具体的に見ていきます。
▶︎ 機能や導入メリットがわかる!TOKIUM経費精算の資料をダウンロード
※すぐにPDF資料をお受け取りいただけます
経費精算に関わる電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法は、税法で紙保存が原則とされる帳簿や書類を、一定の要件を満たせば電子データで保存してよいと定めた法律です。あわせて、電子でやり取りした取引情報を保存する義務も定めています。
経費精算に関係するのは、主に従業員が立て替えたときの領収書やレシートです。紙で受け取ったか、電子で受け取ったかによって、守るべき保存のルールが変わります。この違いを押さえておくと、後の対応がわかりやすくなります。
電子帳簿保存法では、各税法で原則紙での保存が義務づけられている帳簿書類を、一定の要件のもとで電子データによって保存できるとされています。 出典:国税庁「電子帳簿保存法が改正されました」(最終確認日:2026年7月14日)
経費精算で電子帳簿保存法の対象になる書類
経費精算で電子帳簿保存法の対象になるのは、従業員が立て替えた際に受け取る領収書やレシート、そして交通費やサブスクリプションなどで受け取る電子的な明細です。これらは経費の裏付けとなる証憑(しょうひょう=取引を証明する書類)にあたるため、保存のルールが適用されます。
同じ領収書でも、受け取り方によって扱う保存区分が分かれます。紙で受け取ったものと、メールやWebサイトからダウンロードしたものでは、次に説明する保存の方法が変わります。
経費精算に関わる電子帳簿保存法の3つの保存区分と使い分け
電子帳簿保存法の保存方法は、大きく3つの区分に分かれます。経費精算で関わるのは、主にスキャナ保存と電子取引データ保存の2つです。まず全体像を押さえます。
電子帳簿等保存・スキャナ保存・電子取引データ保存の違い
3つの区分は、対象となる書類と保存の仕方が異なります。経費精算の担当者がまず区別すべきは、下の表のとおりです。
▼ 電子帳簿保存法の3つの保存区分(国税庁資料をもとに作成)
| 保存区分 | 対象になるもの | 経費精算での主な該当 |
|---|---|---|
| 電子帳簿等保存 | 自分でパソコンなどで作成した帳簿・書類 | 会計帳簿や自社発行の精算書類 |
| スキャナ保存 | 紙で受け取った書類を画像データにして保存 | 紙で受け取った領収書・レシート |
| 電子取引データ保存 | 電子でやり取りした取引情報をデータで保存 | メール添付やサイトからの電子領収書・明細 |
紙で受け取ればスキャナ保存、電子で受け取れば電子取引データ保存
同じ経費の領収書でも、紙で受け取った分はスキャナ保存、メールやサイトで電子的に受け取った分は電子取引データ保存で扱います。受け取った形が区分を決めるという点が、経費精算で迷いやすいところです。
電子で受け取ったデータを紙に印刷して、それをスキャナ保存すればよい、という理解は誤りです。2024年1月以降、電子取引の取引情報は電子データの形のまま残すことが必要で、紙に出力した書面の保存だけで代える措置は廃止されました。電子領収書は電子のまま残す、と押さえてください。なお、システムの整備が間に合わないなどの相当の理由があり、税務調査でデータのダウンロードと書面の提示に応じられる場合は、要件への対応が猶予されます。ただしこの場合も、電子データそのものの保存は必要です。
電子取引の取引情報について、その電磁的記録の出力書面等の保存をもって保存に代えることができる措置は廃止され、2022年1月1日以後に行う電子取引から適用されています。2024年1月以降は、受け取った電子取引データを保存しなければなりません。 出典:国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」(最終確認日:2026年7月14日)

経費精算システムで電子帳簿保存法の要件を満たす方法
電子帳簿保存法で電子データを保存するとき、満たすべき要件は、データが改ざんされていないこと(真実性の確保)と、後から探し出せること(可視性の確保)の2つです。どちらも、経費精算システムの機能でカバーできます。
真実性はタイムスタンプか訂正削除履歴で確保する
真実性の確保とは、保存したデータが後から改ざんされていないことを担保する要件です。これはタイムスタンプ(データに時刻を刻み、以後変更していないと示す電子的な印)を付与するか、訂正や削除の履歴が残るクラウドなどで保存するか、事務処理規程(社内の取り扱いルールを文書にしたもの)を定めて運用するか、いずれかの方法で満たせます。多くの経費精算システムは、改ざんを防ぐこうした仕組み(タイムスタンプや訂正削除履歴)を標準で備えています。
可視性は検索要件を満たして確保する
可視性の確保とは、保存したデータを後から探し出せる状態にしておく要件です。中心になるのが検索要件で、取引年月日・取引金額・取引先の3項目で検索できるようにしておく必要があります。経費精算システムを使えば、これらの項目が申請時に自動で記録され、検索要件を機能で満たせます。
なお、税務職員からのダウンロードの求めに応じられるようにしていれば、金額の範囲指定や複数項目を組み合わせた検索まで備える必要はありません。さらに、税務職員のダウンロードの求めに応じられることを前提に、基準期間(原則として2期前)の売上高が5,000万円以下である場合や、電子取引データを印刷した書面を日付と取引先ごとに整理して提示できる場合は、検索要件そのものが不要になります。書面を整理して提示できるなら売上規模は問いませんが、それができない場合、売上高5,000万円を超える企業は原則として検索機能を備える必要があります。
検索要件の対象は取引年月日その他の日付・取引金額・取引先の3項目です。基準期間の売上高が5,000万円以下である場合などで、税務職員のダウンロードの求めに応じられるときは、検索要件のすべてが不要になります。 出典:国税庁「電子取引データの保存方法をご確認ください」(最終確認日:2026年7月14日)
経費精算で領収書の原本を破棄できる条件
紙の領収書は、要件を満たしてデータ化すれば原本を破棄できます。以前は破棄の前に、複数人での確認や定期的なチェックといった社内手続きが必要でしたが、これらは廃止されました。今は、スキャナ保存で定められた要件を満たした時点で破棄できます。
スキャナ保存の要件を満たせば原本を破棄できる
スキャナ保存の主な要件は、入力期間・画質・改ざん防止の3つです。データ化のタイミングには、受け取ってから速やかに行う早期入力方式(おおむね7営業日以内)と、事務処理規程を定めたうえで業務サイクルに合わせて行う方式(最長約2か月とおおむね7営業日以内)があります。画質は解像度200dpi以上のカラーで読み取り、改ざん防止はタイムスタンプの付与か、訂正削除履歴が残るクラウドなどでの保存で満たします。
スキャナ保存では、タイムスタンプの付与期間が記録事項の入力期間と同様に、最長約2か月とおおむね7営業日以内とされています。訂正や削除の履歴を確認できるクラウド等に入力期間内に保存したことを確認できるときは、タイムスタンプの付与に代えられます。 出典:国税庁「スキャナ保存に関する適用要件」(最終確認日:2026年7月14日)
電子と紙の両方で受け取ったら区分ごとに保存する
同じ取引で、電子データと紙の両方を受け取ることもあります。この場合は、電子で受け取った分は電子取引データ保存、紙で受け取った分はスキャナ保存または紙のまま保存という形で、それぞれの受け取り方に応じて扱います。どちらか一方に寄せてまとめて処理することはできません。同じ経費を二重に計上しないよう、どちらを正式な証憑とするかを社内で決めておくと安全です。
電子帳簿保存法のタイムスタンプは必ず必要か
タイムスタンプは必須ではありません。訂正や削除の履歴が残るクラウドなどで保存すれば、タイムスタンプの付与に代えられます。これは改正で緩和された部分で、以前より対応の選択肢が広がりました。
実務上のメリットは、担当者がタイムスタンプの付与を意識しなくてよくなることです。経費精算システムの多くは、履歴管理やタイムスタンプの付与を自動で行うため、日々の作業でこの要件を気にする場面はほとんどありません。古い情報のまま「必ずタイムスタンプが要る」と身構える必要はない、と考えて差し支えありません。
経費精算システムで自動化できる範囲と自社運用で残る対応
経費精算システムで自動化できるのは、領収書のデータ化からタイムスタンプの付与、検索項目の記録、会計システムへの連携までです。一方で、社内の保存ルールを定めた事務処理規程の整備や、従業員への周知は、システムを入れても自社の運用として残ります。この2つを分けて考えることが、導入後につまずかないための出発点になります。
システムで自動化できる範囲
領収書をスマートフォンで撮影してアップロードすれば、日付や金額、支払先が自動で読み取られ、検索できる形でデータが残ります。タイムスタンプの付与や、要件を満たしたスキャナ保存もシステム側の役割です。読み取ったデータは会計システムへ連携でき、手入力や二重チェックを減らせます。
TOKIUM経費精算は、電子帳簿保存法のスキャナ保存に関するJIIMA認証(ソフトが法的要件を満たすと第三者機関が認める認証)を取得しています。タイムスタンプ機能を標準で備え、スキャナ保存の要件を満たすため、紙の領収書の原本も破棄できます。データ化の精度は99%で、36種類以上の会計システムやERPと連携できます。 出典:TOKIUM経費精算 サービスサイト(最終確認日:2026年7月14日)

自社の規程・運用で担保する範囲
システムを導入しても、自社の運用として残る対応があります。電子取引データを事務処理規程にもとづいて扱う場合の規程づくりや、従業員が受け取った領収書を正しい区分で申請できるようにする周知です。とくに経理以外の従業員が関わる部分は、ルールを明文化して共有しておくと、保存の抜け漏れを防げます。
なお、経費の支払方法を見直しても、保存や精算の業務そのものは残ります。たとえば法人カードに切り替えても、経理の作業がゼロになるわけではありません。現金や立替の管理は減っても、カード明細と領収書の突き合わせ、仕訳、そして電子帳簿保存法にそった保存という業務は残ります。負担を別の形に付け替えるのではなく、この残った作業をいかに軽くするかが、経理部門にとっての実際のテーマになります。
TOKIUM経費精算は、領収書のデータ化から電子帳簿保存法にそった保存、会計システムへの連携までを一つの流れで引き受けます。経理に残りがちな確認や入力の作業を減らし、電帳法対応と精算業務をまとめて軽くできます。経費精算の電帳法対応で「何が自社に残るのか」を整理したい方は、無料の選び方ガイドで対応範囲を確認できます。ぜひダウンロードしてご覧ください。
電子帳簿保存法対応で経費精算システムを選ぶときの確認ポイント
電子帳簿保存法への対応を重視して経費精算システムを選ぶなら、確認しておきたい観点は次のとおりです。製品ごとの詳しい比較は別記事にまとめているので、あわせて確認してください。
▼ 電子帳簿保存法対応で確認したい観点
| 確認する観点 | 見るポイント |
|---|---|
| JIIMA認証の有無 | 電子帳簿保存法の法的要件に適合しているかの目安になる第三者認証を取得しているか |
| スキャナ保存と電子取引の両対応 | 紙で受け取る領収書と電子で受け取る明細の、どちらの保存区分にも対応しているか |
| 検索要件への対応 | 日付・金額・取引先で検索できる形でデータが自動的に記録されるか |
| タイムスタンプまたは訂正削除履歴 | 真実性の確保を、担当者の手作業なしで満たせる仕組みがあるか |
| 会計システムとの連携 | 保存したデータをそのまま会計処理に回せるか |
大切なのは、法律の要件を満たしているかだけでなく、申請する従業員と経理の双方が無理なく使えるかどうかです。要件を満たしていても、入力や確認の手間が増えては続きません。
経費精算の電子帳簿保存法対応ならTOKIUM
経費精算の電子帳簿保存法対応は、受け取った領収書を紙か電子かで正しい区分にわけ、真実性と可視性の要件を満たして保存することが基本です。要件を満たせば紙の原本は破棄でき、タイムスタンプも履歴管理で代えられます。システムでデータ化から保存までを自動化しつつ、事務処理規程などの運用は自社で整える、という役割分担が現実的です。
TOKIUM経費精算は、JIIMA認証を取得し、領収書のデータ化から電子帳簿保存法にそった保存、会計システムへの連携までを引き受けます。紙の確認や手入力といった、経理に残りがちな作業を減らせます。
TOKIUMの導入企業では、従業員約3万人規模の大規模スーパーで年間5万枚の紙の領収書をペーパーレス化し、経費精算にかかる年間工数を約600時間削減した例があります。 出典:TOKIUM プレスリリース(2024年2月19日公表)(最終確認日:2026年7月14日)
TOKIUMが経理業務従事者1,008名に行った調査では、約70%が電子帳簿保存法への対応に不安を感じていました。最も多い不安要因は「適切な文書の保存要件を満たしているか」で、38.5%を占めています。 出典:TOKIUM「電子帳簿保存法に関する実態調査」(2023年10月24日公表)(最終確認日:2026年7月14日)
累計導入社数は3,000社を突破しています。電子帳簿保存法への対応と、経費精算に残る確認・入力の負担をまとめて軽くしたい方は、無料の選び方ガイドで対応範囲や機能を確認できます。導入を検討する最初の一歩にご活用ください。
経費精算と電子帳簿保存法に関するよくある質問
経費精算システムの導入は電子帳簿保存法で義務ですか
システムの導入自体は義務ではありません。ただし、電子で受け取った領収書などの電子取引データを電子のまま保存することは義務です。紙の運用でも要件は満たせますが、手作業の負担が大きくなるため、システムで対応する企業が増えています。
領収書はスキャンすれば原本を破棄してよいですか
スキャナ保存の要件を満たしてデータ化すれば、紙の原本は破棄できます。以前必要だった相互けん制や定期検査などの手続きは廃止されており、要件を満たした時点で破棄が可能です。
スキャナ保存と電子取引データ保存の違いは何ですか
紙で受け取った書類を画像データにして保存するのがスキャナ保存、電子で受け取った取引情報をデータのまま保存するのが電子取引データ保存です。同じ領収書でも、受け取った形によって区分が変わります。
電子帳簿保存法の対応にタイムスタンプは必須ですか
必須ではありません。訂正や削除の履歴が残るクラウドなどで、定められた入力期間内に保存したことを確認できれば、タイムスタンプの付与に代えられます。
JIIMA認証とは何ですか
公益社団法人日本文書情報マネジメント協会が、ソフトが電子帳簿保存法の法的要件に適合しているかを確認して与える認証です。システムを選ぶとき、要件適合の目安になります。





