経費精算

通勤定期のプライベート使用は違法?不正の境界線を解説!

更新日:2023.10.22

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新幹線

通勤交通費や定期券は通勤のための交通費として支給されているもの。プライベートで利用することに問題はあるのでしょうか。
休日に通勤定期を利用しても、会社に不利益が生じているわけではないので問題ありません。ところが出張の交通費や経路申請で不正とみなされるものがあります。

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筆者は給与計算や交通費の精算業務を13年担当、実際にプライベート利用で交通費の精算を出されて揉めたことがあります。頭を悩めた通勤交通費の例から不正の境界線を明確にしてみたいと思います。

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通勤定期のプライベート利用が違法ではない理由3つ

通勤定期とは職場へ通勤するための必要経費として、会社が支給します。支給するかしないかに法的な規定はなく、会社の裁量で決まります。
また定期券を現物支給としたり、通勤交通費を給与として支払うなど支給方法も様々です。
そこで休日に通勤でないプライベート利用、不正な利用になるのではないか?と疑問に思われるのではないでしょうか。不正とならない理由は次の3つになります。

理由1.:会社に不利益や損害が生じていない

通勤定期券とは一定の期間に特定の区間内を頻繁に利用する人のためもの。乗り降り自由です。例え休日に利用したとしても、追加の費用が発生することはありません。
そのため従業員が休日に利用したとしても、会社に費用が発生することはありませんので不利益や損害が生じません。実質の損害がない以上、不正として取り扱う必要がないわけです。

理由2.:給与として支給されたものなので使い方は自由

定期券の現物支給でも、定期代の現金支給であっても取り扱いは給与です。給与は従業員に支払われるもので、会社が規制することはできないという考えです。ただし利用区間や申請に虚偽があれば不正受給となります。

理由3.:休日の移動内容まで会社で把握できない

定期券は特定の区間を頻繁に利用するためのもの。通勤定期という名称を使っている電鉄会社もありますが、通勤のみと特定して販売されているものではありません。
そのため通勤日でない休日に利用しても問題ないという考えかたです。さらにいえば会社側は休日に使ったかどうかを確認することもできません。

出張でプライベートな寄り道をした交通費の境界線

通勤定期のプライベート利用よりも判断が難しいのが、出張の際にプライベートな寄り道がある交通費精算。この場合、会社の旅費規程と出張申請の内容を確認する必要があります。

交通費で問題になりやすいプライベートの寄り道

出張の交通費精算で問題になりやすいのは、出張前後にプライベートの寄り道をする場合です。

例) 会社:東京 出張:大阪 プライベート寄り道:名古屋
正規ルート 東京ー大阪ー東京(14,000円x2)合計金額:24,000円
実費ルート 東京ー大阪ー名古屋ー東京(14,000円+6,500円+11,000円)合計金額:31,500円

精算方法は?

  1. 24,000円:正規ルートの額
  2. 31,500円:実費ルートの額
  3. 14,000円:行きのみの額、帰りは寄り道をしてルートから外れているのでなし

精算方法を領収書の実費とすると、31,500円が精算金額になります。しかしプライベートの交通費まで会社が負担する必要はありません。そこで帰りの寄り道はプライベートのため精算不可という考え方もあります。これでは従業員に不満が残るでしょう。
例の場合は帰りの寄り道ですが、従業員がプライベートで名古屋におり大阪へ出張した場合の精算はどうすべきでしょうか?
これは逆のことが起こります。

出張で寄り道する場合の交通費は規程で明確にする

例のようなプライベートの交通費利用が発生することは多くあります。精算方法に法的な決まりはありませんので、会社の旅費規程で明確にしておきましょう。明確になっていれば経理担当者も申請する従業員もストレスなく精算することができます。
また事前の出張申請書に交通費のルートを記載するフォームにしておけば、プライベートで寄り道をしたとしても申請ルートで精算することができます。出張管理システムを利用すれば申請から精算まで手続きがスムーズです。

通勤の交通費はプライベート利用より申請内容が重要

通勤の交通費について話を戻します。通勤定期を休日利用することは問題ないことは確認できました。しかし通勤交通費の不正利用についてはこれだけではありません。交通機関利用の定期代を受け取りながら、徒歩や自転車通勤をしていると不正利用となります。
これは給与の所得税が正しく計算されないという別の問題が発生するため。また通勤経路を誤魔化したり、住んでいる場所を正しく申請していなかった場合は明らかな不正受給となります。

通勤の交通費で不正受給になるもの

通勤の交通費で不正となるものをまとめると、次の3つになります。

  1. 交通機関を使った通勤定期代を申請しているのに、徒歩・自転車通勤している
  2. 正しい住所地から通勤していない
  3. 正しい通勤経路で申請していない

通勤交通費は給与の非課税限度額がある

通勤の交通費を支給しなければならないという決まりはないことは、先にお伝えしています。それは通勤交通費が給与に含まれるためです。そこで関係してくるのが、従業員の給与にかかる源泉所得税。国税庁では交通費に該当する部分を非課税としています。
そのため定期代を申請している従業員が徒歩通勤をしていたとなると、非課税扱いにすることができません。非課税の扱いするには、国税庁が次のような条件を出しています。

 非課税となる限度額は、通勤のための運賃・時間・距離等の事情に照らして、最も経済的かつ合理的な経路及び方法で通勤した場合の通勤定期券などの金額です。
新幹線鉄道を利用した場合の運賃等の額も「経済的かつ合理的な方法による金額」に含まれますが、グリーン料金は含まれません。
最も経済的かつ合理的な経路及び方法による通勤手当や通勤定期券などの金額が、1か月当たり15万円を超える場合には、15万円が非課税となる限度額となります。

引用:国税庁 電車やバスだけを利用して通勤している場合

また交通機関や有料道路を利用する以外に、マイカーや自転車などの交通用具を利用する人には通勤距離によって非課税限度額を定めています。

片道2㎞未満:全額課税
片道2㎞~10㎞未満:4,200円
片道10㎞~15㎞未満:7,100円
片道15㎞~25㎞未満:12,900円
片道25㎞~35㎞未満:18,700円
片道35㎞~45㎞未満:24,400円
片道45㎞~55㎞未満:28,000円
片道55㎞以上:31,600円

引用:国税庁 通勤手当の非課税限度額の引上げについて

徒歩通勤の人には非課税限度額の規定はなく、全額課税になります。
交通費の非課税限度額に関する不正受給の対処法については以下の記事を参照ください。

まとめ

通勤交通費のプライベート利用は問題ありません。しかし経路や通勤用具の申請は正しく行われなければ不正とみなされる可能性がありますので注意が必要です。また出張ですと、プライベートな寄り道が起こりやすく精算時に問題が発生します。
出張申請や旅費規程で精算方法を明確にしておくと、申請者も経理担当者もストレスなくスムーズな手続きができます。

さらに旅費の精算をスムーズに行うにはTOKIUM経費精算を利用すると申請から精算までWebで完了する便利なシステムです。これ以外にも便利な機能が多いTOKIUM経費精算は、『電子帳簿保存法』にも対応しているので、経理業務の効率化と法対応を同時に実現することが可能です。

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