宿泊費の勘定科目は3つ!分類方法を具体例を用いて徹底解説!

従業員や経営者などに対して支払った宿泊費はどのような勘定科目で仕訳を行うのか解説します。経理をしている中で「どの勘定科目を使ったらいいのだろう?」と悩む支出の1つが宿泊費ではないでしょうか?宿泊費は「どんな目的で宿泊をしたのか」ということを考えることが非常に重要になります。そして、宿泊目的ごとの勘定科目を覚えてしまえば経理は仕訳はそれほど面倒ではありません。
宿泊費の勘定科目について徹底解説していきます。宿泊費の正しい会計処理をスムーズにできるようになりましょう。

宿泊費の勘定科目は3つ

宿泊費を支出した際に使用することが最も多い勘定科目は以下の3つです。

  • 旅費交通費
  • 交際費
  • 福利厚生費

基本的には上記いずれかの勘定科目に宿泊費を分類しておけば間違いはありません。では、どんな時にどの勘定科目へ分類するのでしょうか?
旅費交通費 交通費 違い』について気になる方はこちら

旅費交通費と交通費の違いは?該当するものは何?

宿泊費を旅費交通費に分類するケース

宿泊費が旅費交通費に分類されるケースは仕事の出張によって宿泊を伴った時などです。旅費交通費に分類される宿泊に内容と仕訳について詳しく解説していきます。

通常の出張に係る宿泊費の勘定科目は旅費交通費

通常の出張に係る宿泊費は旅費交通費になります。会社の指示によって遠方の取引先などに出張した場合、遠くの子会社へ出張した場合などは全て旅費交通費で処理を行います。目的が「仕事のための出張」であるならば旅費交通費に該当すると理解しておきましょう。

出張した際の仕訳

出張した際には以下のように仕訳を行います。
例:出張の際に宿泊費30,000円を支払った。

借方 貸方
旅費交通費 30,000円 普通預金 30,000円

 
借方に費用として旅費交通費、貸方に資産の減少として普通預金(現金や当座預金でも可)を記帳します。

旅費交通費を先に仮払いした際の仕訳

旅費交通費を従業員に先に渡すケースがあります。このような場合には仮払金という勘定科目を使用して以下のように仕訳を行います。
例:出張の際に宿泊費として30,000円を従業員へ仮払いした。

借方 貸方
仮払金 30,000円 普通預金 30,000円

 
借方に仮払金を仕訳し「3万円を立て替えておいた」ということを分かるようにしておきます。
例:出張後従業員から30,000円の領収書を受け取った。

借方 貸方
旅費交通費 30,000円 仮払金 30,000円

 
領収書を受け取ったので旅費交通費という費用を計上し、仮払金と相殺します。
この他、仮払金が足りなかった場合、多かった場合を考えてみましょう。
お釣りが出た事例:出張後、従業員から宿泊費の領収書とお釣りの5,000円を受け取った。

借方 貸方
旅費交通費 25,000円
普通預金 5,000円
仮払金 30,000円

 
不足した事例:出張後、従業員から宿泊費の領収書と不足分の宿泊費10,000円を請求された。

借方 貸方
旅費交通費 40,000円 仮払金 30,000円
普通預金 10,000円

 

旅費交通費については会社の旅費規程を確認

基本的には仕事のための出張の際に使った宿泊費であれば旅費交通費に該当します。しかし、詳細にどこまでが旅費交通費に該当するのかということは会社の旅費規程に左右される部分が大きくなります。
例えば旅費規程に「出張に係る宿泊費は1万円を上限とする」と記載されていた場合には、1万円までしか宿泊費を旅費交通費として処理することはできません。それ以上の支出は従業員の自己負担になります。
旅費交通費に関しては会社の旅費規程の裁量拠るところが大きいので、「いくらまで旅費交通費で支出していいのか」ということは旅費規程を確認するようにしましょう。
なお、旅費規程は役職によって宿泊費の上限を変えることができます。例えば「役員は上限3万円、平社員は上限1万円」などと設定されている場合もあるのでよく確認してください。

食事についてはどう処理すべきか

宿泊と食事は朝食付きプランなどでセットになっていることも多々あります。このような場合、どのように対処すべきかは旅費規程次第ですが、一般的には仕事とは無関係の食事代を経費として認めない決まりの会社が多いようです。
規程をよく確認し、旅費と食事代の領収書を分離させる方法や、食事代は経費で支出しないなど規程に則った処理を行いましょう。

宿泊費を交際費に分類するケース

会社の経営者や役員または従業員が「取引先とゴルフ旅行に行った」などの目的で宿泊する場合には交際費に分類されます。交際費に分類される内容と仕訳について詳しく解説していきます。

交際費関係に係る宿泊費の勘定科目は交際費

仕事の上の交際によって宿泊を伴うこともあります。取引先の社長とのゴルフ旅行、取引銀行との懇親旅行などによって宿泊費を計上することもあります。このような交際に関係する宿泊費は交際費で処理をしましょう。
ポイントは「仕事のための交際かどうか」という点です。仕事に無関係な宿泊費は交際費として計上すべきではありません。仕事に関係して宿泊費を使ったのであれば交際費という勘定科目で処理しましょう。

得意先とゴルフで宿泊した際のホテル代の仕訳

交際のために宿泊した場合には以下のように仕訳を行います。
例:得意先の社長とゴルフ旅行に行き、宿泊費として5万円を支払った。

借方 貸方
交際費 50,000円 普通預金 50,000円

 
借方には費用の勘定科目である交際費を計上し、貸方には資産の減少である普通預金で処理します。なお、貸方は現金や当座預金など「どこからお金を払ったのか」によって勘定科目を変えましょう。
なお、前払いで一定のお金を交際に行く人に渡す場合には、旅費交通費と同じように仮払金という勘定科目を使用しましょう。

宿泊費を福利厚生費に分類するケース

従業員の福利厚生のために宿泊した場合には、福利厚生費に分類されます。福利厚生費の概要と仕訳について解説していきます。

従業員全員の福利厚生にかかる宿泊費の勘定科目は福利厚生費

社員旅行など、従業員の福利厚生のために宿泊費を支出した場合には福利厚生費として処理します。従業員が仕事のための出張で宿泊すれば旅費交通費ですが、仕事ではなく福利厚生の目的であれば福利厚生費です。
やはり「何の目的で宿泊したのか」によって勘定科目は適切なものを使用する必要があります。

社員旅行のホテル代の仕訳

従業員の福利厚生のために宿泊した支出は以下のように仕訳を行います。
例:社員旅行のホテル代200万円を支払った。

借方 貸方
福利厚生費 2,000,000円 普通預金 2,000,000円

 
借方はやはり費用項目の福利厚生費になります。貸方はどこから(現金か普通預金か当座預金かなど)支払ったのかによって適切な勘定科目を使用するようにしてください。

福利厚生費は従業員全員を対象にしないと認められないので注意

一点注意しなければならないのは、福利厚生費は全従業員を対象にしたものでないと「福利厚生費」としての計上が認められません。例えば社長が一部の部下を連れてゴルフ旅行に行ったような場合には福利厚生費として支出することは不可能です。
福利厚生とは全ての従業員に対して行われるべきものであって一部の従業員だけを対象としてものは会社の福利厚生とは言えないからです。そのため福利厚生費として支出するのは、全従業員を対象とした社員旅行などに限られるので注意してください。

宿泊費がその他の勘定科目に分類されるケース

この他、上記3つ以外の目的で宿泊費を支出することもあります。社内研修や徹夜作業時の宿泊などはどのような勘定科目で支出すべきでしょうか?例外的な宿泊費の仕訳について詳しく解説していきます。

社内研修時の宿泊費

社内研修などで、どこかの研修施設に宿泊の上で研修を行う会社があります。このような宿泊費は「研修費」などの勘定科目を使用して処理をします。
全従業員を対象に泊りがけの社内研修を行う場合には、福利厚生費でも処理できる可能性がありますが、研修を目的とした宿泊であるならば「研修費」の勘定科目を使用する方が適切です。

会社で徹夜の作業だったため近くのホテルに泊まった時の宿泊費

従業員が終電後まで残業をして、近くのホテルで宿泊したような場合には「旅費交通費」という勘定科目を使用することが一般的です。
「雑費」などとして処理しても特段問題はないでしょうが、仕事のために残業になり、終電を逃したことによってタクシーの代わりに宿泊したのですから旅費交通費が正しい勘定科目であると考えられます。

まとめ

宿泊費は「どんな目的で宿泊したのか」ということに基づいて以下のように勘定科目を決定しましょう。

  • 仕事のための出張:旅費交通費
  • 仕事の関係の交際:交際費
  • 従業員の福利厚生:福利厚生費

同じ宿泊でも宿泊した目的によって、使用すべき勘定科目が異なるという点が宿泊費に関する経理の分かりにくいところですが、目的に照らして仕訳をすれば簡単です。
旅費交通費に関しては、金額的にどこまで経費として認めるのかということは会社の旅費規程に拠るところが多くなります。「経費として支出していいか分からない」という場合にはまず旅費規程を確認して適切な会計処理を行うようにしましょう。