会計処理

約束手形の種類によって異なる経理処理とは?手形取引の流れや方法を徹底解説!

更新日:2024.07.17

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会社の商品売買やサービス提供など様々な事業取引欠かせないのが、支払手形や受取手形などの「約束手形」です。
しかし、簿記や経理実務の経験が無ければ手形取引の流れがつかめず、どのように経理処理していけばよいのか、よくわからないと思います。

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筆者は現在税理士事務所に勤務していることから、日々様々な会社の経理に携わっています。今回は現場の経理で培った経験を元に、難しく思われがちな約束手形の経理処理について、実際の手形取引の事例を交えながら解説していきます。

約束手形とは?

約束手形は手形取引のうちの1つになります。約束手形は手形取引の中でも手形振出人と手形受取人の2者間で行われ、手形受取人に対して手形振出人が「その日に〇〇〇円支払います」と約束することから約束手形と呼ばれています。

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約束手形の種類は2種類に分けられる

約束手形は手形を受け取る側は受取手形と呼び、手形を振り出す側は支払手形と呼ばれます。手形を受け取った側の目線なのか、振り出した側の目線なのかで呼び方が変化するだけですので大きな違いというものはありません。

手形取引1. 受取手形

会社取引によって発生した売上代金を回収する場合や既に発生している売掛金や未収金などの回収方法として用いられるのが受取手形です。現金の代わりに手形を受け取ることから受取手形と呼ばれます。手形には期日と金額が記載されておりその期日を迎えると金融機関で現金化することができます

手形取引2. 支払手形

会社取引によって発生した仕入等代金を支払う場合や既に発生している買掛金や未払金などの支払い方法として用いられるのが支払手形です。現金等で支払う代わりに手形で支払うことから支払手形と呼ばれます。手形には期日と金額を記載し振り出します。記載した期日を迎えると預金から引き落とされます。

約束手形を用いた取引の流れと経理処理

約束手形を用いて取引を行う場合における経理処理は手形振出人と手形受取人で異なります。しかし、手形をもらったのか渡したのかを間違えなければ特に難しい処理ではありません。
ここでは下記の事例を参考にそれぞれがどのような動きで処理していくのかを見ていきましょう。
(例) 令和2年4月10日、㈱A商店は㈱B商店へ商品10万円を売却した。この時の代金は約束手形を用いて決済が行われた。尚、手形の支払期日は令和2年5月10日であった。

手形受取人の流れと経理処理

まず、令和2年4月10日に㈱A商店は㈱B商店へ商品を売却した為、売り上げを計上する必要があります。代金の回収方法は約束手形ですので受取手形勘定を用いて仕訳を起こします。
(仕訳) R2.4.10 受取手形 100,000円 / 商品売上 100,000円
そして、支払い期日が令和2年5月10日ですので、その日に銀行で決済しますので、決済と同時に下記の仕訳を起こします。
(仕訳) R2.5.10 当座預金 100,000円 / 受取手形 100,000円
このようにすることで受取手形勘定残高は0円になり、手形取引の仕訳完了です。

手形振出人の流れと経理処理

基本的には上記の手形受取人と反対の動きになります。まず㈱B商店は㈱A商店から商品を仕入れているので仕入れ高を計上します。支払方法は約束手形ですので支払手形勘定を用いて仕訳を起こします。
(仕訳) R2.4.10 商品仕入 100,000円 / 支払手形 100,000円
そして、支払い期日が令和2年5月10日ですので、その日に㈱A商店が決済しますので、決済されると同時に下記の仕訳を起こします。
(仕訳) R2.5.10 支払手形 100,000円 / 当座預金 100,000円
このようにすることで支払手形勘定残高は0円になり、手形取引の仕訳完了です。

約束手形の現金化はどうやっておこなう?

約束手形の経理処理の方法については上記に記載したように、約束手形を振り出したのか、それとも受け取ったのかを把握することで比較的簡単に処理することができます。
約束手形は最終的に金化しなければなりません。約束手形の振出人は約束手形を相手に渡しさえすれば特に行う手続きはありませんが、約束手形の受取人は金融機関で所定の手続きを行うことで現金化することができます。

約束手形を支払期日に現金化する方法

約束手形を現金化する場合、基本的には手形に記載されている金融機関で決済することになります。手形に記載されている金融機関が自社から離れている場所にある場合には自社の取引銀行に手形の取り立てを依頼します。

指定の金融機関が近接地であった場合

手形に記載されている金融機関が自社から近い距離にある場合は、その金融機関の窓口に直接渡すことで現金化することができます。

指定の金融機関が遠隔地であった場合

指定の金融機関が遠隔地である場合は、普段の取引銀行に手形を持参して手続きを行います。この時に金融機関と約束手形の取立委任裏書をおこないます。取り立ての依頼が住むとあとの作業は取引銀行が行ってくれますのでお金が振り込まれるのを待つだけです。
この場合の注意事項としては、支払呈示期間を確認しておくことです。支払呈示期間とは支払銀行に手形の支払を求めることができる期間のことをいいます。支払呈示期間は支払期日を含めて3取引日以内となっており、この期間を過ぎてしまうと振出人から直接支払ってもらう以外方法はありません
そうならない為にも事前に取引銀行に連絡し、何日前までに取り立て依頼を行う必要があるのかを聞いておくと良いでしょう。

約束手形を支払期日前に現金化することができる?

約束手形は基本的には手形に記載されている支払期日に現金化しますが、手形割引という方法であれば支払期日前に現金化することができます。手形割引も通常と同様に金融機関で行うことができますが、手形割引を専門とする手形割引業者に依頼することもできます。

手形割引の手続きの方法

約束手形を手形割引により現金化を行う場合は下記の4つのステップで手続きを進めなければいけません。手続きについては難しくはありませんが流れを把握しておくことで円滑に手続きを進めることができます。

手形割引とは?

手形割引は支払期日より前の段階で手形を金融機関や専門業者に買い取ってもらうことで現金化することをいいます。支払期日よりも前に現金化することになる為、手形に記載されている金額から手数料を割り引かれた金額が手取りの金額になります。

手形割引のステップ1. 事前準備

手形割引を金融機関へ申し込む場合には手続きの途中で必要になる書類がいくつかあります。これらの書類をあらかじめ準備しておくことで約束手形を最速で現金化することができます。金融機関等によって必要な書類は変化しますが、下記の書類を準備しておくとよいでしょう。
・本人確認書類(マイナンバーカード・運転免許証など)
・登記簿謄本(法人の場合)
・印鑑証明(法人の場合)
・実印(法人・個人共通)
・約束手形の取引を証明することができる書類(納品伝票や請求書等)

手形割引のステップ2. 申し込みと審査

申し込み方法は金融機関等の窓口で直接申し込む方法と、インターネットで申し込む方法、電話依頼などの方法があります。これらは金融機関や業者によって異なる為事前に確認しておきましょう。
申し込みが完了すると約束手形の振出者の審査が行われます。金融機関等は約束手形を買い取る形になる為、手形の振出者に支払い能力があるのかを審査する必要があるのです。この審査に問題なければ手形割引を行うことが可能であるということになります。

手形割引のステップ3. 契約書の作成

審査に問題がなければ契約書が作成されます。この契約書の作成段階でステップ1.で準備しておいた書類が必要になります。契約書は郵送する場合と窓口に直接持参する場合がありますが、郵送する場合は事前に準備した書類と約束手形も同封することになります。

手形割引のステップ4. 手続き完了と現金の受け取り

契約書の作成が完了し金融機関等で受理されると契約完了となります。契約が完了すると一定の率で割り引かれた金額が支払われることになります。原則としては現金手渡しですが、場合によっては振り込みなども可能です。

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まとめ

約束手形は事業取引では欠かすことができない支払い手段です。普段の経理処理上でも頻繁に出てくることから、経理上の処理方法だけでなくどのような流れがあってこの処理方法になるということを理解しておく必要があります。流れを理解しておくことで普段とは異なる事例が発生した場合に柔軟に対応することができます。経理は毎日同じ取引があるとは限りませんので様々な状況に対応できるよう取引の流れをしっかりと覚えておきましょう。
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