経理DX促進

【事例付き】ペーパーレス化を推進する方法は?効果やメリットを解説

公開日:2021.12.31更新日:2022.07.26

新型コロナウイルスの流行をきっかけにテレワークが推進され、経理業務においてもペーパーレス化の動きが進んでいます。直近では2022年1月に電子帳簿保存法が改正され、電子取引における書面の電子保存が義務化されるなど、ペーパーレス化に向けた社会制度も整備されつつあります。

しかしながら、依然としてペーパーレス化が進まない企業があるのが実情です。そこで当記事では、ペーパーレス化のメリット、デメリットやペーパーレス化を進める方法・ポイントなどを解説します。ぜひ当記事を参考にして自社のペーパーレス化推進に活かしてみてください。

電子帳簿保存法ガイドバナー

ペーパーレス化とは?

ペーパーレス化とは紙の文書や資料を電子データとして保存・管理する取り組みのことを指します。英語では「Going Paperless」といい、「ペーパーレス」や「ペーパーレス化」と表現されることもあります。

ビジネス面でのペーパーレス化は、契約書や申請承認書類、経理資料、会議資料などこれまで紙で作成・保管していた書類を電子データとして作成・保管することをいいます。

紙の書類を電子化することで紙の印刷や保管にかかるコストを削減したり、資料を検索しやすくなったりするため業務効率化につながります。

ペーパーレス化が推進される背景

日本では、国全体としてペーパーレス化を推進しています。国は働き方改革のひとつとしてテレワークを推進しており、厚生労働省が提示している「テレワーク普及促進関連事業」のガイドライン内でも書類のペーパーレス化を推奨する記載があります。

また、業務上の書類などの保存を電子で行うことを認めている電子帳簿保存法では、2022年1月の改正により電子取引における書面の電子保存が義務化され、法人税や所得税など電子取引の書類を紙として保存・管理することが認められなくなりました。

ただし、2023年12月31日までの2年間が猶予期間として設定され、実質書面の電子保存の義務化は実質延期となりました。やむを得ない事情があり間に合わない場合、そして税務署から提出を求められたときに紙で提示できる状態であることを条件に2年間の猶予が認められています。

これらの動きは新型コロナウイルス流行によってテレワークを導入する企業が増えたことが背景にあります。以下では、総務省が作成した令和3年版情報通信白書のポイントをもとに、コロナ禍での企業の活動の変化を解説します。

コロナ禍における企業活動の変化

企業のテレワーク実施率
図1:企業のテレワーク実施率(参照元:令和3年版 情報通信白書ポイント

図1は、緊急事態宣言発令前後の国内企業のテレワーク実施率を表したグラフです。1回目の緊急事態宣言の際にはテレワーク実施率が40%近く上昇しており、2回目の緊急事態宣言でも緊急事態宣言が始まってから上昇しています。

しかし、緊急事態宣言が終わるとテレワーク実施率が30%近くまで減少しており、一時的にテレワークを実施している企業が多いことが分かります。

デジタル化は定着するか(分野ごと)
図2:デジタル化は定着するか(分野ごと)(参照元:令和3年版 情報通信白書ポイント

図2のグラフは「デジタル化は今後定着すると思うか」、総務省のアンケート結果をまとめたものです。グラフを見て分かる通り「ほとんどが定着すると思う」と回答した企業は全ての分野で20%前後、「一部は定着すると思う」も含めると過半数ですが、デジタル化の定着に否定的な見方が多いです。

分野毎に見ても差があり、デジタル化の定着に肯定的な企業の割合が消費分野では約80%に対し、教育分野では約60%にとどまっています。

以上により、コロナ収束後を見据えた中長期的なデジタル化の推進と、デジタル化を進めにくい分野への支援が今後の焦点になります

ペーパーレス化のメリット5つ

ペーパーレス化にはいくつかのメリットがあります。ペーパーレス化にはどんなメリットがあるのか具体的に解説します。

①コスト削減

ペーパーレス化によって様々なコストが削減できます。例えば、紙の資料を用意するためには紙代や印刷代、印刷機器のメンテナンス費が必要です。取引先と文書のやりとりをするときには郵送費がかかり、紙の保管や廃棄にもお金がかかります。

ペーパーレス化によって紙が不要になるため、こういった紙での運用に必要なコストを削減できます。

また、さらに社内でペーパーレス化が進めば紙の保管場所も必要なくなるため、オフィスを縮小し賃料を削減することにも繋がるでしょう

②業務効率化の実現

ペーパーレス化は業務効率化においてとても有効です。特に下記の3点において大きな役割を担います。

  1. 文書作成の効率化
  2. 文書の検索が容易になる
  3. 文書の共有・承認・修正の簡便化

文書を電子化することで、文書を作成するときに同時に作業をしたり、自動で入力内容のチェックを行ってくれたりします。また、電子データであれば他の人との文書共有が簡単にできるため承認・修正の作業もスムーズにできます。

そして書類を紙で管理していると古い書類を探し出すのが難しい場合がありますが、電子化すれば簡単に探せます。

③電子化によるセキュリティの強化

ペーパーレス化はセキュリティの強化にもつながります。

紙で書類を管理する場合は保管場所に鍵をつけることしかできません。しかし電子化することでアクセス権を設定して厳密に管理したり、アクセスした人のログを取ることで誰が文書を閲覧・修正したのかも確認できたりします。

また、紙の場合は紙そのものが劣化してしまう心配がありますが、データであれば劣化することもなく長期保管にも適しています。

④企業イメージ・価値の向上

ペーパーレス化は紙を使用しなくなるため環境保全につながります。近年SDGs(Sustainable Development Goals/持続可能な開発目標)やESG(Environment・Social・Governance)が注目されていますが、ペーパーレス化はこれらを考慮した取り組みのひとつです。

ペーパーレス化を行うことで環境問題にもしっかりと取り組む企業だと認識され、企業イメージや価値の向上につながります。

⑤テレワーク等の多様な働き方に対応

ペーパーレス化を導入することでいつでもどこでも仕事ができるようになるため、テレワーク等の様々な働き方に対応できるようになります。最近はテレワークと一言でいってもサテライトオフィスやワーケーション、モバイルワークなど様々な働き方があります。

働き方改革でテレワークの導入が推進されていますが、ペーパーレス化をしていない企業だとなかなか対応するのは難しいでしょう。ペーパーレス化をした企業の方が、様々な働き方に対応できます。

ペーパーレス化のデメリット3つ

ここまでペーパーレス化のメリットを紹介してきましたが、一方でペーパーレス化にはデメリットもあります。ここではペーパーレス化のデメリットについて解説します。

①電子保管が認められていない文書がある

書類のなかには電子保管が認められていない文書があります。例えば、緊急時に閲覧する必要がある文書や現物性が高い免許証・証明証、不動産業で使用する賃貸契約書などです。

これらの文書はe-文書法やその他の法律で電子化が認められていません。そのため、電子化が認められていない文書を多く扱う企業では、ペーパーレス化をしたくても全ての書類をペーパーレス化できないというデメリットがあります。

システム障害による影響を受けてしまう

ペーパーレス化をすると書類がシステム上に保管されるため、システム障害が起こったときに影響を受けてしまうデメリットがあります。システム障害によってそもそもパソコンが起動しない、システムの連携が上手くいかない、文書が閲覧・編集できないなどのリスクが考えられます。

ペーパーレス化を導入するためには、業務に支障が起こらないように負荷がかかってもシステム障害が起こらないようなネットワーク環境の構築が必要です。

③デジタル化にコストがかかる

ペーパーレス化はコストが削減できるメリットがありますが、システムの導入やワークフローの整備にそれなりのコストと時間が必要です。大企業だと数億円、中小企業でも数百万円が必要になるので、長期的な目で見るとコスト削減になることが分かっていても資金的に余裕がなくペーパーレス化に切り替えられない企業もあります。

ペーパーレス化が進まない理由

ペーパーレス化が推進されていますが、ペーパーレス化がなかなか進んでいない企業があるのが実情です。ここでは、ペーパーレス化が進まない主な理由を説明します。

初期コストや予算への懸念

ペーパーレス化が進まないのは、初期コストや予算への懸念があるためです。ペーパーレス化の導入初期にはシステムの導入だけではなく、セキュリティの環境整備やパソコン・タブレットの準備などが必要となるためコストが必要です。また、ペーパーレス化導入に伴うマニュアル・規定の整備など手間や人件費もかかります。

そのため現状の業務方法で特に問題もなく回っている企業はペーパーレス化導入に伴うメリットを感じにくく、ペーパーレス化が進まない要因となっています。

初期導入のコストが大きく、ペーパーレス化に切り替えられない企業もありますが、ペーパーレス化の長期的なメリットを考慮して導入を検討することをおすすめします。

システム障害によるセキュリティへの不安

ペーパーレス化のデメリットとしてシステム障害の影響を紹介しましたが、システム障害によって資料が閲覧できなくなったり情報漏洩のリスクがあったりすることもペーパーレス化が進まない原因のひとつです

ペーパーレス化を導入すると災害や停電によってネット環境が切断された際にデータへアクセスできなくなったり、またサイバーテロによって情報が外部に漏れるリスクもあったりします。

しかし、紙で資料を保存する場合でも災害や紛失するリスクがあるため、データ化してクラウド上に保存してバックアップができる状態にしておくことをおすすめします

社員間のITリテラシー格差

ペーパーレス化を導入した後、ある程度のIT知識が必要です。そのため、社員間でITリテラシーの格差があるとペーパーレス化が進まない原因になります

すぐにシステムに慣れる人もいる一方で、パソコンやタブレットの操作に慣れていないとペーパーレス化に抵抗を感じる人もたくさんいます。そのためペーパーレス化を導入するにあたってITリテラシー教育が必要となるケースも多いです

紙を使用した業務が規定や文化になっている

ペーパーレス化が進まない原因として紙を使用した業務が規定や文化になっていることも挙げられます。例えば、紙を使用することが多い不動産業などの業種や、年配の社員が多く紙でのオペレーションに慣れている企業ではペーパーレス化の促進が難しくなっています。

そのためペーパーレス化を導入することで「どのくらいのコストが削減できるのか」や「どういったメリットがあるのか」、そして安全性について社内に周知させることが必要です。

ペーパーレスを進める方法とポイント

続いてペーパーレス化を進める方法を紹介します。大切なポイントと併せて解説するので、ペーパーレス化を検討している方は参考にしてみてください。

電子化の意義・目的の明確化

ペーパーレスを進めるためには、まずは電子化をする意義・目的の明確化が必要です。電子化の意義・目的について経営層や社員の理解が得られていない状態でペーパーレスを進めてもなかなか進まず、また紙での運用に逆戻りする可能性があります。

特に紙でオペレーションすることに困っていない人が多い企業では、電子化の意義・目的が明確化されていないと進みません。

まずは経営層にペーパーレスを導入することのメリットを説明し理解を得ましょうそしてITリテラシーが高くない社員を中心として、社員にも電子化の意義・目的を伝え、理解を得ることでペーパーレスをスムーズに導入できます。

紙媒体の書類の分類

ペーパーレスを導入するときには、紙媒体の書類の分類を行うのがおすすめです。従来紙媒体で使用していた書類を分類し、使用目的や使用部署を明確にしてルールを設定することで、紙で残しておくべきか電子化するかが判断しやすくなります。

ルールが決まっていないと同じ種類の書類なのに紙とデータでばらばらに保存されたり、同じものを紙とデータで重複して保存してしまったりする可能性があります。

また、書類を分類することで電子化しやすいところから順番に導入できるようにもなるので、まずは分類し電子化できるかどうか判断してみましょう

ツールやシステムの選定

ペーパーレスの導入では、ツールやシステムを適切に選定することが重要です。紙媒体の書類を分類しペーパーレス化する書類が特定できたら、ツールやシステムの選定を色々と比較しながら行っていきましょう。

ツールやシステムを選定するときには、どのくらいのコストが削減でき、どのくらい業務が効率よくなるのかだけではなく、社員が理解しやすいかどうかも重要なポイントです。

効果の見える化

実際にペーパーレスを導入した後には、具体的な例や数字を示して効果を見える化することで、ペーパーレスの定着・更なる推進につながりやすくなります。例えば、下記のようなものが効果の見える化の例として挙げられます。

  • 申請から承認までの日数が平均〇〇日から平均〇〇日へ短縮された
  • 全社で印刷代が〇〇円から〇〇円へコスト削減された
  • 取引先からやりとりがスムーズになったという声を〇〇件いただいている

ペーパーレス化の導入事例

実際にペーパーレス化を導入した企業の事例をいくつか紹介します。なぜペーパーレス化を導入しようとしたのか、そしてペーパーレス化を導入した効果も併せてご覧ください。

株式会社ノンピ×請求書のペーパーレス化

目的は、これまで異なる形で受領していた請求書をシステム上で一括管理し業務の効率化を行うこと、そして紛失や計上漏れといった人的ミスの予防です。

これまで紛失のリスクがあることから請求書の管理を一括して経理部が行っていたことや、郵送対応があるため経理部がテレワークを実施できなかったことが課題でした。

ペーパーレスを導入したことで請求書の受領を柔軟に行えるようになり、業務の効率化やアウトソースが進んだことで経理部が重要な業務に集中しやすくなりました加えて、経理部も完全テレワークができるようになり、働き方改革にもつながりました。

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株式会社アミューズ×領収書のペーパーレス化

目的は、全国を飛び回っている社員の経費精算の負担を最小限にすることです。業務上、アーティストに帯同しているマネージャーは会社に来る頻度が少なく、経費精算業務が大きな負担になっていました。

これまでペーパーレス導入を検討したことはありましたが、なかなかマッチするシステムが見つからず導入まで至っていませんでした。

今回ペーパーレスを導入したことで会社へ来なくても経費精算業務ができるようになり、さらに領収書を社内ポストに投函するだけでよくなったため領収書の糊付け作業からも解放されました

経理担当者も効率よく領収書を回収でき、さらに突合・管理作業が不要になったことで大幅な業務削減に繋がっています。

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東映アニメーション株式会社×領収書のペーパーレス化

目的は、経理精算方法の統一化とペーパーレス化の実現です。

これまで部門ごとで経費の精算方法が異なっていたため、部署移動した際に多くの社員が経費精算の違いに苦労をしていました。また、経費担当者も部門ごとにフォーマットが異なるため、手間と時間がかかっているのが課題でした。

まずは管理部門からペーパーレスを導入し、経費精算方法を統一することで業務の効率化につながり、他の業務にリソースを割けるようになりましたシンプルな操作性でこれといったトラブルもなく、今後全社へ展開していく予定です。

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まとめ

ペーパーレス化はコスト削減や業務の効率化はもちろんのこと、企業イメージの向上や多様な働き方に対応できるといったメリットがあります。

導入コストや手間はかかってしまうものの長期的な目で見るとメリットが大きく、実際にペーパーレス化を導入した企業からも業務効率化につながったという声がたくさんあります

経理業務もペーパーレス化することで業務を効率化し、大幅な業務の削減につなげることが可能です。ぜひ当記事を参考にしてペーパーレス化を進めてみてはいかがでしょうか。

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