電子帳簿保存法

電子帳簿保存法にタイムスタンプは不要?費用や仕組みを徹底解説

公開日:2018.10.22更新日:2022.09.13
電子帳簿保存法にタイムスタンプは不要?

電子帳簿保存法が2022年1月(2年猶予の後、2024年1月より適用)に改正されたことにより、タイムスタンプを付与しない運用が可能となりました。一方、タイムスタンプを一切不要とする運用が果たして現実的か疑問を感じる経理部の方も多いと思います。そこで本記事では、タイムスタンプ無しでの電子帳簿保存法対応タイムスタンプにかかる費用などについて徹底的に解説していきます。
また、記事の後半では、タイムスタンプを利用しない場合のメリット・デメリットも解説していますので、ぜひシステム選びの材料にしてください。電子帳簿保存法は複雑ですが、一緒に乗り越えましょう!
▼電子帳簿保存法の改正によりタイムスタンプが不要に【記事中盤】

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電子帳簿保存法におけるタイムスタンプの役割

電子帳簿保存法において、タイムスタンプがどのような役割を担うのかを解説します。

電子帳簿保存法とは

電子帳簿保存法とは、国税関係帳簿と国税関係書類を電子保存するためのルールを定めた法律です。2022年施行の改正では要件が緩和されたことは皆さんもご存知かと思います。

改正前は、デジタルカメラ等のスキャナで読み取り後、受領者が自署した上で3営業日以内にタイムスタンプを付与する必要がありました。この要件が2022年の電子帳簿保存法改正により、受領者の自署不要かつ付与までの期間が2ヶ月と7営業日に変更され、大幅に緩和されました(他にも、今回の改正では、要件の緩和や廃止が行われ、企業が書類の電子化に取り組みやすい環境になっています)。

一方で、従来は紙の書類での保存を認められていた電子商取引の書類について、電子データでの保存が義務づけられました。2023年末までは経過措置が設けられていますが、2024年1月からは完全移行となり、オリジナルの電子データでの保存が必須です。

併せて、電子データ保存の義務化の対象が、電子取引を行っているすべての企業へと広がります。今後は、紙の書類中心で取引を行っている企業でも、電子取引を1回でも行っていれば、電子保存の義務が生じます。したがって、電子帳簿保存法の対応から逃れられる企業はほぼ存在しないと言えるでしょう。

タイムスタンプとは

タイムスタンプとは、電子データが特定の日時に存在し、その時点からデータが変更されていないことを証明する技術です。

電子データは際限なくコピーが可能で、見ただけでは「オリジナルなのかコピーなのか」区別がつきません。またデータが作成された時間は記録されますが、痕跡が残らないように改ざんされてしまう可能性があります。

そこで、電子データの信頼性を保証するための技術としてタイムスタンプが作られました。日本では、一般財団法人日本データ通信協会が認定する「時刻認証業務認定事業者」(TSA)がサービスを提供しています。時刻認証業務認定事業者(TSA)とサービス名称は以下の通りです。

時刻認証業務認定事業者(TSA)サービス名称
アマノ株式会社アマノタイムスタンプサービス3161
セイコーソリューションズ株式会社セイコータイムスタンプサービス
株式会社TKCTKCタイムスタンプ
株式会社サイバーリンクスサイバーリンクス タイムスタンプサービス
三菱電機インフォメーションネットワーク株式会社MINDタイムスタンプサービス

引用:タイムビジネス認定センター|認定事業者一覧

タイムスタンプの2つの役割

タイムスタンプには、大きく分けて「存在証明」と「非改ざん証明」の2つの役割があります。

「存在証明」は、記録された時刻以前に電子データが存在したことを指します。一方で「非改ざん証明」は、記録された時刻以降にデータの変更がなかったことの証明です。

この二つを第三者であるTSAが保証することで、電子データが「いつの時点から存在し」「いつの時点で変更されたか」を明確にします。

取引や税務などで必要な書類は、作成日や更新日を証明する仕組みが不可欠です。タイムスタンプがきちんと働いていることで、紙の書類に劣らない、あるいはそれ以上の信頼性を電子データに持たせられます。

電子帳簿保存法の改正によりタイムスタンプが不要に

2022年の電子帳簿保存法改正により、スキャナ保存の際に、一定の条件のもとでタイムスタンプ付与が免除されるようになりました。一定の条件とは簡単に説明すると、「電磁的記録の訂正削除履歴が残る又は訂正削除ができないシステムを利用すること」です。

(〜スキャナ保存に関する改正事項〜)
(3)電磁的記録について訂正又は削除を行った場合に、これらの事実及び内容を確認することができるクラウド等(注1)において、入力期間内にその電磁的記録の保存を行ったことを確認することができるときは、タイムスタンプの付与に代えることができることとされました。

(注1)訂正又は削除を行うことができないクラウド等も含まれます。

引用:国税庁|電子帳簿保存法が改正されました

電子取引の保存においても、電磁的記録の訂正削除履歴が残る又は訂正削除ができないシステムを利用する、もしくは訂正削除の防止に関する事務処理規程を備え付ければ、タイムスタンプは不要です。そのため今回の改正によって、タイムスタンプ無しでの電子帳簿保存法対応が事実上可能になったと言えるでしょう。

ただし後述するように、タイムスタンプ無しでの運用は、場合によっては非効率になる可能性もあります。

タイムスタンプ発行の仕組みを3つのステップで解説

タイムスタンプ発行の仕組みには、大きく分けて①要求 ②発行 ③検証 の3ステップがあります。以下、この3ステップについて順を追って解説します。

引用:総務省|電子署名・認証・タイムスタンプ その役割と活用

ステップ1:タイムスタンプの発行を要求

利用者は「時刻認証局(TSA)」に対して、電子保存したい文書へのタイムスタンプ発行を要求します。要求の際には、電子ファイルから得られる「ハッシュ値」という文字列をTSAに送信します。ハッシュ値は電子ファイルごとに異なる文字列で、電子ファイルの内容が1文字でも異なれば違う値になります。

ステップ2:TSAがタイムスタンプトークンを発行

要求を受けたTSAは、「タイムスタンプトークン」を生成し利用者へ送信します。タイムスタンプトークンとは、ハッシュ値と時刻情報がセットになったものです。

利用者は、これを元の電子ファイルとあわせて保存します。タイムスタンプトークンにはTSAが保管するカギがかけられていて、利用者が勝手に改変することはできません。

ステップ3:原本の信頼性を検証

利用者が原本の存在証明・非改ざん証明を検証をしたい時は、TSAからカギを受け取ってタイムスタンプトークンを開きます。原本のハッシュ値と、保存されたタイムスタンプトークン内のハッシュ値が合致していれば、電子データの存在証明と非改ざん証明がされます。逆にハッシュ値が異なった場合は、タイムスタンプ付与後に原本が何らかの形で改ざんされたということになります。

なお、タイムスタンプは原本の電子ファイルを保存するものではありません。そのため原本を紛失した場合にタイムスタンプから復元することなどはできません。

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タイムスタンプの発行にかかる費用

タイムスタンプの利用費用には、大きく分けて定額制従量制の2つの料金体系があります。従量制は1ヵ月あたりの利用量に応じた料金メニューで、タイムスタンプの利用数に応じて費用がかかります。

定額制は、タイムスタンプの利用数に制限がなく、固定で費用がかかるメニューです。タイムスタンプの利用が多くなる場合は、定額制が適しています。

タイムスタンプの費用の目安としては、初期費用が5,000円から1万円程度になるサービスが多く、従量制の場合は多くのサービスで1スタンプに対して、約10円かかります。他には「初期費用がかからないが月額料金が高く設定されているサービス」もあり、料金体系は様々です。

自社でどのくらいタイムスタンプを利用するのかによって、最適な料金体系は変わります。自社で月間に扱う書類の数をシミュレーションした上で、各サービスを比較・検討しましょう。

一方、電子帳簿保存法対応を意図したタイムスタンプ付与の文脈においては、単にタイムスタンプ発行サービスを検討するのではなく、請求書受領サービス等を利用するべきです。理由は単純で、単なる法対応よりもノンコア業務の削減による生産性向上が明らかに重要だと考えられるからです。

たとえば、改正電子帳簿保存法対応のシステム「TOKIUMインボイス」を利用すれば、タイムスタンプ利用契約を個別ですることなく、請求書を含めたすべての国税関係書類の電子保存が可能です。また、単なる電子帳簿保存法への対応だけでなく、請求書の受領+データ化+保管業務が不要となるため、大幅な効率化が実現する点も魅力です。まずは無料トライアルから試してみるのも良いでしょう。

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タイムスタンプを利用する/しない場合の電子帳簿保存法対応シナリオ

前述の通り、2022年1月の電子帳簿保存法改正により、訂正削除履歴が残る又は訂正削除ができないシステムを利用することで、タイムスタンプ付与なしでのスキャナ保存が可能となりました。そのため、電子帳簿保存法対応においてタイムスタンプは必ずしも必要ではなくなりましたが、タイムスタンプ無しでの運用は現実的ではないというのが当編集部としての主張です。

電子帳簿保存法に対応する際の具体的な運用パターンは下記の3つです。

1. システムなし(事務処理規程を備え付ける)
2. タイムスタンプが付与されないシステムを使う
3. タイムスタンプ付与型のシステムを使う

それぞれのメリットとデメリットについて、ぜひ参考にしてください。

1. システムなし(事務処理規程を備え付ける)

システムをそもそも導入せず、電子取引の保存における事務処理規程を準備して対応するケースです。国税庁が「電子取引データの訂正及び削除の防止に関する事務処理規程」のサンプルを公開していますが、これを各社準備するイメージです。

メリット

  • タイムスタンプ付与期間を気にする必要がない。
  • タイムスタンプ・システム利用料等の費用がかからない。

デメリット

  • 事務処理規程を自作し、法改正があるたびに規程を自社で更新する必要があり、業務が煩雑になる。
  • 事務処理規定だけではスキャナ保存に対応できない。

対象企業

  • 電子帳簿保存法にとりあえず対応したい企業。

事務処理規定を備え付けることで、改正法への最低限の対応は可能です。しかし電子取引の範囲や対象となるデータ等を詳細に規定する必要がある点、訂正削除を行う際には特に厳密な運用が求められる点、スキャナ保存要件はカバーできない点などから、あまり現実的ではない運用でしょう。

2. 訂正削除履歴が残る又は訂正削除ができないシステムを利用する

メリット

  • 電子帳簿保存法への対応と業務効率化を両立できる。
  • 基本的に安価であるため、費用が抑えられる。

デメリット

  • システムの切り替え(リプレイス)が実質できなくなる。

タイムスタンプを付与しないシステムを利用した場合、万が一システムが合わなくて解約したい場合にトラブルが起こる恐れがあります。スマートフォンで撮影した請求書画像やメールで届いた納品書PDFをシステム上にアップロードした際に、タイムスタンプが付与されていないため、別システムにデータを移行することができなくなります。したがって、システムに不満を抱えながら使い続ける、あるいはシステム切り替えたが、電子帳簿保存法に対応するためだけに、無駄な費用が生じうることは念頭に置いておきましょう(保存期間を満了するまでシステム費用を支払う必要がある)。

対象企業

  • 費用を抑えて法対応したい企業

上述の通り、タイムスタンプ付与には従量で費用がかかるため、タイムスタンプが付与されないシステムは基本的には安価です。一方、簡単にシステム変更ができなくなるリスクには留意しておきましょう。
▶︎電子帳簿保存法対応システムの比較記事を見る

3. タイムスタンプ付与が可能なシステムを利用する

最もおすすめなのが、タイムスタンプ付与が可能なシステムを利用するケースです。基本的に、タイムスタンプ付与が可能なシステムならば、訂正削除履歴も残る(すなわち、②を包含する)と考えてよいです。

メリット

  • 電子帳簿保存法への対応を両立できる。
  • システム切り替え(リプレイス)をする場合でも無駄な支出が発生しない。

デメリット

  • 費用が高い場合がある。

対象企業

  • 長期的な支出リスクを抑えた上で電子帳簿保存法への対応と、業務効率化を目指したい企業。

例えばTOKIUMインボイスを導入すると、請求書や納品書等のあらゆる国税関係書類が紙・電子データの形式問わず受領代行されます。加えて、受領段階でのタイムスタンプ付与+原本保管までがサービス内容に含まれているため、導入企業側は電子帳簿保存法への対応と請求書受領業務の効率化が実現可能となります。

なお、TOKIUMインボイスは、電子帳簿保存法対応の証であるJIIMA認証を受けるだけでなく、認証元の日本文書情報マネジメント協会(JIIMA)が実際に利用しているサービスです。この機会に、一度検討してみるのはいかがでしょうか。

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まとめ

タイムスタンプを付与するか否かの判断は、長期的に影響を及ぼす余地があるトピックです。単に電子帳簿保存法に対応するだけでなく、業務効率化やリスク回避の点も考えることが重要です。

事務処理規程で対応できるか?という観点で当編集部では以下の記事も執筆しています。ぜひ参考にしてください。

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