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白色申告で一括償却資産は使える?10万円・20万円基準と仕訳

更新日:2026.04.08

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白色申告_一括償却資産

白色申告でも、10万円以上20万円未満の備品や設備は「一括償却資産」として処理できます。通常の減価償却のように耐用年数ごとに計算するのではなく、使用した年以後3年間にわたって、取得価額の合計額の3分の1ずつ必要経費にできるのが特徴です。

たとえば、仕事用のパソコンや机、業務用機器などを購入したとき、「全額を今年の経費にできるのか」「何年で落とすのか」で迷う方は少なくありません。特に白色申告では、青色申告の30万円未満特例と混同しやすいため、金額ごとのルールを整理して理解することが大切です。

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この記事では、白色申告における一括償却資産の考え方を、10万円未満・10万円以上20万円未満・20万円以上の違いから、計算方法、具体例、仕訳の考え方まで、実務で迷いやすいポイントに絞ってわかりやすく解説します。

白色申告における資産処理の早見表

取得価額主な扱い必要経費にする方法白色申告でのポイント
10万円未満少額な減価償却資産使用した年に全額を必要経費にできる原則としてその年にまとめて経費化できる
10万円以上20万円未満一括償却資産3年間にわたり、取得価額の合計額の3分の1ずつ必要経費にする白色申告でも使える。通常の耐用年数計算よりシンプル
20万円以上通常の減価償却資産耐用年数に応じて毎年減価償却する一括償却資産にはできない
参考:10万円以上30万円未満青色申告の少額減価償却資産の特例一定の要件を満たす青色申告者は、使用年に全額必要経費にできる場合がある白色申告では使えないため混同に注意

白色申告で特に押さえたいのは、10万円以上20万円未満なら一括償却資産、10万円未満なら少額な減価償却資産として扱う点です。購入した資産がどの区分に当てはまるかを最初に判断しておくと、確定申告時の処理がスムーズになります。

一括償却資産とは、減価償却の方法のひとつ

まず、減価償却の方法としては3種類あります。
1つ目は通常の償却方法です。これは購入した資産によって償却の年数などが変わってきます。この年数を耐用年数といい、建物だったら14年、車であれば4年というように、資産によって異なります。白色申告と青色申告どちらも原則はこの方法で償却することになっています。

2つ目は一括償却をする方法です。一括償却できる資産は総額が10万円以上20万円未満のもので、償却期間を一律3年とすることができます。例えば、本来パソコンの耐用年数は4年ですが、一括償却資産にすると3年で償却することができます。一括償却資産にするかどうかは自由に選択することができます。そして、一括償却資産は白色申告でも青色申告でも使用することができます。

3つ目は、少額減価償却資産の特例を使用する方法です。この特例を使えば、30万円未満の資産は購入した年度で全額経費として処理することができます。ただ、使用できるのは青色申告のみとなっております。

 通常の減価償却一括償却資産少額減価償却資産
白色申告
青色申告

白色申告で迷ったら、まずは金額で判断しましょう。

10万円未満なら原則その年に全額経費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産として3年間で均等に経費化、20万円以上なら通常の減価償却、という順番で考えると整理しやすくなります。

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一括償却資産の計算式

一括償却資産にした場合は、通常の耐用年数による減価償却は行いません。使用した年以後3年間にわたって、取得価額の合計額の3分の1ずつ必要経費にします。

たとえば、15万円の仕事用パソコンを購入し、一括償却資産として処理する場合は、原則として毎年5万円ずつ、3年間に分けて必要経費に計上します。

耐用年数を調べて計算する手間を抑えやすい一方で、購入した年に全額を経費にできるわけではありません。「早く経費化できる」と思っていても、実際には3年に分ける点を理解しておきましょう。

計算式は、以下の通りです。

当期の減価償却費=資産の金額×当期の月数/36カ月

例えば、12月決算の会社がその年の1月に18万円のパソコンを購入した場合、当期に減価償却費として計上できるのは、18万円×12カ月/36カ月=6万円 となります。

一括償却資産の2つのメリット

メリット1.税金が安くなる

一括償却資産とした場合、本来の耐用年数より短い期間で償却できることが多いので、より多くの金額を減価償却費として計上できます。そうするとその年の損益が減り、税金が安くなるというメリットがあります。

メリット2.償却資産税の対象外である

ある一定額以上の固定資産を所有していると、「償却資産税」という地方税が課税される場合があります。ただ、一括償却資産としたものについては課税されないことになっています。

一括償却資産にできる金額はいくら?

それでは具体的に一括償却資産とできる基準について見ていきましょう。

判断基準は資産の総額

一括償却資産にできるかできないかの判断は金額で判断します。購入した資産の総額が10万円以上20万円未満のものとなりますが、ここでは資産の総額という点に注意して下さい。例えばパーツごとに購入して組み立てて一つの資産として使用する場合、全て合計した金額になります。

税込処理(免税業者)か、税抜処理かで異なる

そして、金額に消費税を含むかどうかですが、皆さんの会社の会計処理が税込か税抜かによって異なります。税込処理の場合は消費税を含めた金額で、税抜処理の場合は消費税を含めない金額で判断します。なお、売り上げが1000万以下の免税業者については消費税を含めた金額で判断します。

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一括償却資産になるのか?3つの具体例で解説

次に実際に具体例を用いて一括償却資産になるかどうかの判断をしていきます

具体例1. 税込15万円のパソコンを購入した。なお、申告は税込処理で行っている。

こちらは税込処理ですので、判断する金額は15万円となります。したがって一括償却資産となります

具体例2. 税込10万円の椅子を購入した。なお、申告は税抜処理で行っている。

こちらの会社は税抜処理ですので、判断する金額は税抜の92,593円です。そうすると一括償却資産とはなりませんが、10万円以下は経費として処理しますので、消耗品費とすることができます。

具体例3. 税込21万円の機械を購入した。なお、申告は税抜処理で行っている。

税込では20万円を超えていますが、税抜処理の会社ですので税抜金額にすると194,444円となり、一括償却資産とすることができます

一括償却資産の仕訳方法

それでは次に一括償却資産に関する仕訳を見ていきます。

(例)1月1日に税込15万円のパソコンを現金で購入した。なお、白色申告で、税込処理を行っており、決算月は12月である。

購入時

まずはパソコンを購入した時について考えていきます。
初めに対象の資産を一括償却資産にできるか判断します。一括償却資産は青色申告でも白色申告でも使用できます。また、金額ですが、税込処理のため税込の15万円で判断することになります。10万円以上20万円未満が対象となりますので、このパソコンは一括償却資産とすることができます

購入した時の仕訳は以下の通りです。

日付借方金額貸方金額
1/1一括償却資産150,000現金150,000

減価償却費計上時

次に12月31日になって減価償却費を計上する時について考えていきます。

<減価償却費の計算>
一括償却資産の償却費の計算式は
当期の減価償却費=資産の金額×当期の月数/36カ月

ですので、当期の減価償却費は
150,000円×12カ月/36カ月=50,000円となります。

当期の仕訳は以下のようになります。

日付借方金額貸方金額
12/31減価償却費50,000一括償却資産50,000

 
そして、2年目、3年目も同様に費用計上していきます。

償却期間の途中で売却した時

もし2年目の3/1に3万円で売却した時について考えてみましょう。

<償却期間の途中で除却した場合>
償却期間の途中で除却した場合であっても、特に税務処理は行いません。これは、一括償却資産制度が生まれた背景に関係してきます。たくさんの資産を所有するようになると、資産の管理だけで膨大な時間がかかってしまいます。それを少しでも軽減しようとして生まれたのが一括償却資産です。

したがって、一括償却資産としたものについては個別で管理をせず、総合計で表します。この合計は一括償却資産の中に1年目で売却したり2年目で廃却したりしたものがあったとしても変更はしません。

<仕訳>
まず、2年目に3万円で売却した仕訳は以下の通りです。この時点で一括償却資産勘定には変更はありません。

日付借方金額貸方金額
3/1現金30,000雑収入30,000

 
そして、期末には当期分の償却費を計上します。

日付借方金額貸方金額
12/31(2年目)減価償却費50,000一括償却資産50,000

 
3年目にはすでにパソコンは手元にありませんが、同じように減価償却費を計上します。

日付借方金額貸方金額
12/31(3年目)減価償却費50,000一括償却資産50,000

 
手元にないのに減価償却費を計上するというのはイメージが湧きにくいかもしれませんが、他にも一括償却資産としてまとめた資産がたくさんあって、どの資産が今手元にあるか把握できない状態だと考えると想像しやすいと思います。

青色申告者が使用できる「少額減価償却資産の特例」

白色申告で一括償却資産を調べていると、青色申告の「30万円未満の少額減価償却資産の特例」を目にすることがあります。しかし、この制度は一定の中小事業者に該当する青色申告者向けの特例であり、白色申告では使えません。

白色申告で押さえるべき基準は、10万円未満ならその年に全額経費、10万円以上20万円未満なら一括償却資産として3年均等、20万円以上なら通常の減価償却という整理です。

「パソコンが18万円だから全額経費にできるはず」と判断してしまうと誤りになるため、白色申告と青色申告では使える制度が違うことを先に理解しておくと安心です。

白色申告の一括償却資産に関するよくある質問

白色申告でも一括償却資産は使えますか?

はい、使えます。取得価額が10万円以上20万円未満の減価償却資産であれば、白色申告でも一括償却資産として処理できます。通常の耐用年数による減価償却ではなく、3年間で3分の1ずつ必要経費にします。

10万円未満の備品はどう処理しますか?

使用可能期間が1年未満、または取得価額が10万円未満の資産は、原則として使用した年にその全額を必要経費にできます。白色申告でも、この区分に当てはまれば一括償却資産ではなく、少額な減価償却資産として処理します。

20万円ちょうどの資産は一括償却資産にできますか?

できません。一括償却資産の対象は、取得価額が10万円以上20万円未満の資産です。20万円以上になると、通常の減価償却資産として耐用年数に応じた処理が必要になります。

白色申告で30万円未満の資産を一括で経費にできますか?

白色申告では、青色申告者向けの30万円未満の少額減価償却資産の特例は使えません。そのため、10万円以上20万円未満の資産は一括償却資産として3年間で処理し、20万円以上の資産は通常の減価償却を行うのが基本です。

パソコンは一括償却資産の対象になりますか?

事業用として使用するパソコンで、取得価額が10万円以上20万円未満であれば、一括償却資産の対象になる可能性があります。金額区分と事業使用の実態を確認したうえで判断しましょう。

一括償却資産は購入した年に全額経費になりますか?

なりません。一括償却資産は、使用した年以後3年間にわたって、取得価額の合計額の3分の1ずつ必要経費にします。購入年に全額を経費にできる制度ではない点に注意が必要です。

マンガでわかる!新リース会計基準強制適用企業の実務担当者が最初にやるべき取り組みとは?

まとめ

いかがでしたでしょうか。一括償却資産は大変便利な制度であることが分かって頂けたかと思います。なお、一括償却資産の合計金額に制限はありませんので、どんどん活用して、節税対策を行っていきましょう!

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