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物流業の改正下請法対応 運送委託の対象化・価格交渉・支払手段

更新日:2025.10.10

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物流業_下請法

物流現場では、荷主から元請への運送委託も下請法の対象に加わり、価格交渉への不応や説明不足が禁止されるなど、実務に直結する改正が続きます。

→ダウンロード:免税事業者との取引の注意点!下請法・独占禁止法を解説

本記事では、2026年の本格施行を見据え、対象判定、3条書面、価格交渉の準備、支払サイト・手段の再設計、下請け多段階での記録管理までを、経理・調達・現場が一体で進める方法を解説します。

何が変わるのか?物流と下請法改正の要点

改正下請法は、荷主から元請運送事業者への「運送委託」を新たに対象へ追加し、価格協議に応じない一方的な決定の禁止、手形払いの禁止、従業員数基準の追加など、物流に直結する変更が盛り込まれました。本章では、誰に何が適用されるのかを最短で把握できるように要点だけを以下に整理します。

物流業向け下請法(取適法)旧→新 比較表

項目改正前(旧)改正後(新)実務への影響/対応のヒント
対象取引製造等が中心。運送の委託は位置づけが不明確な場面があった。「運送委託(荷主→元請)」が明確に対象化。発注書の様式に「区間・車両条件・付帯作業・待機」を追加し、運送特有の情報を明記する。
適用基準主に資本金基準で判定。資本金に加え、従業員数の基準も考慮。人事・総務と連携し、単体/グループのカウント方法を社内定義で統一。相手先の区分も台帳に記録。
価格決定プロセス実務上、据え置きや口頭合意に依存しやすい。協議に向き合わない一方的決定が禁止。協議の履歴と根拠資料の整備が前提。燃料・人件費・保険・車両などの指数/稼働データを「根拠資料パック」で定型化し、提示→比較→合意の記録を残す。
書面交付紙中心でも可。電子交付の要件が不統一。電磁的方法での交付が明確化。承諾・版管理の取り扱いを整理。3条書面テンプレを一本化し、電子交付の承諾取得/改訂履歴(版・日時・担当)を必須項目に。
支払手段手形払いを運用するケースが残存。手形禁止。期日前の現金化が難しい手段も不可。銀行振込を基本とし、締め・検収・支払日のカレンダーを再設計。移行スケジュールと周知計画を用意。
支払期限期限の原則はあるものの、運用にばらつき。原則の厳格運用を前提に遅延抑止を強化。検収未了・請求未受領・支払保留の各段階でアラート化し、一定時間で上位者へ引き継ぎ
付帯作業・荷待ち明細に載らず無償化しがち。範囲と対価の明確化を要求。荷待ちは記録に基づき精算。作業コードと単価表を整備。到着・呼出・開始・終了の時刻ログと写真/ゲート記録を標準化。
価格変動の反映個別対応で遅れやすい。指数等の根拠に基づく調整条項の導入を推奨。燃料・人件費の指数を定点観測し、四半期ごとの見直しウィンドウを設置。
記録・保存合意までの過程が散在。協議・合意・反映の記録を一元化。契約→発注→検収→請求→支払を同一の案件IDで紐づける「単一台帳」を採用。検索キーを統一。
多段階取引上流の変更が下流へ伝わらず差異が発生。通知・承認・反映の手順統一を要求。条件変更の通知→承認→反映→完了確認までをワークフロー化。期限と責任者を明示。
※ 本表は実務整理のための概要です。自社の契約形態・社内規程に合わせて運用ルールを調整してください。

参考:(令和7年5月16日)「下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律」の成立について | 公正取引委員会

運送委託の対象化:荷主→元請も適用

これまで「製造委託」などのイメージが強かった下請法に、運送の委託が明確に含まれることで、荷主から元請運送会社への発注にも同様のルールが求められます。発注内容や対価、支払期日などを記した書面を必ず交わし、協議の経緯を残すことが前提になります。

現場では、運送区間や車両条件、付帯作業の扱いまで明文化しないと解釈の差が生まれます。まずは既存フォーマットを見直し、運送特有の情報欄を追加して抜け漏れを防ぐことが出発点になります。

価格決定プロセスの適正化:協議義務と記録

燃料や人件費が変動する環境では、価格を一方的に据え置くことがトラブルの原因になります。求められているのは、根拠を示し合い、相手の説明に向き合う「協議のプロセス」です。事前に原価や指数の材料をそろえ、提示・比較・合意までの流れを定型化しておけば、交渉が人に依存せずに前に進みます。

結果だけでなく、どの資料を用い、どんな代替案を検討したのかまで記録することで、のちの説明責任にも耐えられます。

支払手段の見直し:手形禁止と現金化確実性

手形払いが使えなくなると、銀行振込など確実に代金を受け取れる手段へ切り替える必要があります。表面的に方法だけ変えても、期日前の資金化が難しい仕組みでは意味がありません。締め日と支払日、検収のタイミング、請求の締め切りを同じカレンダーで整え、遅延の芽をつぶします。

支払条件の改訂は、相手先の資金繰りにも直結するため、移行期間と確認フローを用意して、混乱を防ぐ配慮が欠かせません。

適用基準の拡大:従業員数の要件追加

対象かどうかを判断する基準に、従業員数の観点が加わることで、資本金だけでは線引きできないケースが出てきます。グループ会社や季節要員の取り扱いなど、実数の確認に時間がかかることもあるため、早い段階で人事・総務と連携しておくのが安全です。

基準が変わると必要な手続きも変わります。自社がどの区分に当たるかを明らかにし、相手先にも同じ前提で確認することで、不要な行き違いを避けられます。

免税事業者との取引における注意点、下請法・独占禁止法

物流業の対象判定:自社の取引は下請法に該当する?

まずは自社取引が対象かを確定します。業務の内容(運送か否か)、委託関係(荷主→元請→下請の多段階)、資本金・従業員規模などを照合し、対象ならば3条書面や価格協議の体制整備が必要です。曖昧な場合は取引の流れ図と契約・発注伝票で実態を確認します。

業務範囲の洗い出し

まず「運ぶ仕事」と「運ぶ以外の作業」を分けて書き出します。積み込みや荷下ろし、仕分け、検品、荷待ちといった付帯作業は、現場では一体的に行われますが、対価や責任の範囲は別々に設計すべき項目です。どの工程を誰が担い、どの単価で精算するのかを明示すると、後で「それは料金に含まれているのか」という争点を減らせます。まずは実績伝票や作業日報を並べ、実態に合わせて区分を整えるところから始めます。

委託関係と多段階構造の把握

荷主、元請、下請が重なると、上流の条件変更が下流に伝わらないことが起きがちです。自社がどの段に位置しているのか、誰から受け、誰へ出しているのかを一枚の図にし、伝票や契約書の流れと紐づけます。多段階であっても、必要な書面と協議のルールは省略できません。発注変更や単価改定が発生したときに、どの順番で通知し、どこで承認を得るかまで決めておくと、反映漏れを防げます。

資本金・従業員基準の適用チェック

対象判定は、資本金の規模だけでなく、従業員数の要件も確認する必要があります。単体か連結か、派遣やパートの扱いはどうするかなど、社内の公式な定義を使って数え方をそろえます。相手先の区分も重要ですので、名刺や与信資料に頼らず、最新の登記情報や会社案内で裏付けます。数字の根拠を台帳に残しておくと、監査や社内説明の際に素早く確認できます。

3条書面と下請法契約管理:物流業の現場で欠けやすいポイント

発注内容・金額・支払期日」などの必須記載を欠くと、後工程(検収・支払)で紛争とコスト増を招きます。紙とデータが混在する現場では、書面テンプレートの標準化保存先の一本化が不可欠です。修正履歴や差し戻しの記録も、のちの説明責任に備えます。

必須記載の標準テンプレート

発注内容、数量、対価、期日、支払方法は、どの取引でも欠かせない要素です。物流ではさらに、区間や車両条件、温度帯、付帯作業、荷待ちの扱いなど、現場でコストに直結する項目を入れる必要があります。社内で使う書面を一種類に決め、相手先名や区間などを自動で差し込めるようにすると、漏れと入力ミスが減ります。テンプレートの欄外には、変更があった際の連絡先と承認手順も記しておくと安心です。

訂正・再提示・差し戻しの記録ルール

条件を直す場面は必ず発生します。口頭やメッセージで済ませると、後から「誰がいつ何を変えたか」が追えません。版数と日時、担当者、変更理由を必ず残し、旧版を消さずに並べて保管します。再提示を受けた側が確認したことを、押印やチェックボックスではなく、日時つきの履歴で示すと、説明の手間が減ります。差し戻しの基準も明文化し、どの不足があれば戻すのかを全員で共有します。

保管年限と検索性

紙とデータが混在していても、探せなければ意味がありません。保管年限は社内規程と税法の要件に合わせ、書面、別表、添付資料、協議記録を同じフォルダ構成で保存します。発注番号、相手先名、区間、納品日、作業コードといった検索キーをファイル名に含めると、現場でもすぐに引き当てられます。スキャナ保存や電子取引の要件に沿って、タイムスタンプや修正履歴の取扱いも決めておきます。

電子帳簿保存システム選び方ガイド 電子帳簿保存システム選び方ガイド

物流業の価格交渉を“型”で回す改正下請法対応の準備

改正では、価格据え置きの一方的決定や説明不足が禁じられ、協議プロセスの適正化が求められます。原価・人件費・燃料・保険料の根拠資料を揃え、協議記録(議事・提示資料・合意版)を残すことが重要です。まずはスモールスタートで一部品目から試し、成功の“型”を横展開します。

原価・指数・稼働データの根拠資料

説得力のある協議は、事実から始まります。燃料や物価の公表指数、ドライバーの賃金水準、車両や保険のコスト、積載率や空回送率といった稼働データを一つの資料にまとめ、誰が見ても同じ結論に近づく形に整えます。相手先にも同じ粒度で提示を求めると、話が早くなります。結論に合わない数字を隠すのではなく、どの前提で試算すれば差が縮まるのかを並べて示すことが、合意への近道です。

連絡→比較→合意の協議プロセス標準化

連絡、資料交換、比較検討、代替案の提示、合意、社内外への反映という手順を固定し、各段階で作るべき記録を決めます。日程のリマインドや資料の版管理を仕組みに組み込むと、担当が変わっても止まりません。合意した内容は、契約・発注・請求の明細に同時反映することを原則とし、反映期限と責任者を明記します。初回は対象を一部品目に絞るスモールスタートで、型を固めてから範囲を広げます。

“合意の痕跡”を残す文書化

合意したという事実だけでなく、合意に至る過程を残すことが重要です。どの資料を使用し、どの代替案を比較し、どの条件を優先したのかを、議事録と添付でひとまとめにします。メール本文や口頭のやり取りは、要点を抜き出して記録に転記します。後から読み返した人が、同じ判断にたどり着ける粒度で残しておけば、異動や監査の場面でも迷いません。

以下の記事では、違反ケースの具体例について詳しく解説しているので参考にしてください。

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改正下請法に対応した物流業の支払サイト・手段の再設計

手形払いは禁止され、代替手段でも期日前の現金化が困難なものは認められません。支払期日・手段を見直し、資金繰り影響を試算したうえで、契約・発注・検収の各工程と整合させます。期日遅延の監視や上位者への引き継ぎルールで遅延リスクを抑えます。

期日・方法・例外を記した支払条件の改訂案

締め日、検収日、請求書の締切、支払日がばらばらだと、遅延の原因になります。まず現状の運用を一つの表にまとめ、工程間のズレを解消する案を作ります。銀行振込を基本としつつ、月中・月末の集中を避けるための分散案や、災害時などの例外手順も決めておきます。変更点は契約と発注書のひな形に反映させ、旧条件の伝票が紛れ込まないように移行日を明記します。

以下の記事では、検収と60日以内支払の基礎について詳しく解説しているので参考にしてください。

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与信・資金繰りシミュレーション

支払条件の変更は、相手先と自社の資金繰りに影響します。過去数か月分の支払データを使って、新条件に切り替えた場合の資金の増減を試算し、ピーク時の残高不足を予防します。与信枠や前払・仮払の扱いも見直し、相殺や値引きのルールを明文化します。相手先にも影響を説明し、段階的な移行や振込日の分散など、実務に無理のない落とし所を一緒に探ります。

遅延検知のアラートと引き継ぎ

遅延は早く気づけば被害が小さくなります。検収未了、請求未受領、支払保留の各段階で、締切を越えた案件を自動で抽出し、担当者に通知します。担当者が不在でも止まらないよう、上位者への引き継ぎの条件と連絡先を決め、期限超過の案件は一定時間で自動的に引き継がれる仕組みにします。原因別に記録を残し、月次で対策を更新すれば、遅延は着実に減らせます。

インボイス制度資料3点セット

物流現場作業の“無償化”を防ぐ付帯作業・荷待ちの明確化

荷役や荷待ちなどの付帯作業が無償化しやすい点は、現場コストと紛争の温床です。作業範囲と対価、待機ルール、遅延時の取り扱いを契約・発注に明記し、請求明細へ連動させます。現場の把握と記録が、価格協議の説得力を高めます。

付帯作業の定義と計上ルール

積み込みや荷下ろし、仕分け、梱包などは、運送とは別の作業です。どの作業が発生し、その対価をどう計算するかをあらかじめ決め、作業コードと単価表に落とし込みます。「軽微な作業」の範囲も合意しておくと、現場判断のばらつきが減ります。明細に作業コードを載せれば、請求の透明性が上がり、次回の価格協議でも議論がしやすくなります。

待機・遅延の取り扱い

荷待ちは現場の負担になりやすく、記録がないと精算の対象から漏れがちです。到着時刻、呼び出し時刻、作業開始・終了時刻を同じフォーマットで残し、一定時間を越えた分は自動で精算対象にします。写真やゲートの入退場ログなど、第三者が見ても確認できる証跡を組み合わせると、争いを避けられます。現場で記録しやすい仕組みを用意することが、最終的には双方のコスト削減につながります。

作業コード化による請求明細の設計

請求書には、運送の基本料金だけでなく、付帯作業や荷待ちの内訳を分けて表示します。作業コードと数量、単価、金額を並べ、区間や車両条件と紐づけると、後から集計や分析がしやすくなります。同じフォーマットを全社で使えば、ミスが減り、支払審査も短時間で終わります。明細の粒度は、協議で使うデータの粒度とそろえるのがコツです。

参考:「改正下請法で交渉がしやすくなる!物流業者・中小企業が今こそ知るべき価格転嫁の新ルール」 | 運送業やロジスティクスに強い弁護士なら弁護士法人法律事務所瀬合パートナーズ(兵庫県弁護士会)

荷主・元請・下請で整合する物流の多段階運用

多段階の委託では、上流の条件変更が下流へ伝わらず、未合意・未反映が生じがちです。単一の台帳変更履歴で整合を取り、定例の確認会で差異をつぶします。業界横断の調査・合同パトロールの動きも踏まえ、違反芽を早期に摘みます。

参考:(令和7年6月24日)令和6年度における荷主と物流事業者との取引に関する調査結果及び優越的地位の濫用事案の処理状況について | 公正取引委員会

条件変更の通知・承認・反映

上流の単価や条件が変わったら、連絡、承認、反映の順に進めることをルール化します。メール一本で済ませず、誰がいつ承認したかが分かる形で履歴を残します。反映先は契約、発注、検収、請求の全てです。どこか一つでも旧条件のまま残ると、回収や支払で齟齬が出ます。期限と責任者を決め、完了チェックまで含めて一つの流れにしておくと安心です。

以下の記事では、発注書の交付義務と違反リスクを詳しく解説しているので参考にしてください。

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契約・発注・検収・支払を紐づける単一台帳

情報が部門ごとに分かれていると、差異が見えません。契約、発注、検収、請求、支払を同じ案件IDで結び、変更履歴も同じ場所に保存します。台帳は入力が面倒だと続かないため、既存の伝票やワークフローから自動で項目を拾う仕組みを用意します。単一台帳が整えば、監査対応や月次締めのスピードも大きく改善します。

以下の記事では、書類保管の“長いほう”基準で運用を統一する方法について詳しく解説しているので参考にしてください。

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定例レビューと是正の“早回し”

月次の締めと同じリズムで、差異と遅延の状況を振り返ります。原因が明らかなものは即日に手直しし、制度やフォーマットに関わるものは翌月までに反映させます。重大なリスクは、現場任せにせず、部門横断で優先順位をつけて処理します。改善が進んでいるかをKPI(重要業績評価指標)で確認し、目標に届かないときは手順そのものを見直します。

「失敗事例」にならないための請求書受領システムの選び方

物流業における改正下請法の社内実装と分担チェック

改正下請法に対応するために、部門ごとの役割とチェック項目を明確にします。経理は支払条件と記録、調達は契約・3条書面、現場は作業範囲と実績記録を担当。初期はスモールスタートで一ルートから、KPIで効果を測り、標準化して全社展開します。

経理・調達・現場の役割分担

調達は契約と3条書面の整備、価格協議の運営を担い、経理は検収から支払までの整合と記録管理を担当します。現場は作業範囲の確認と実績記録に責任を持ちます。どの部門も、単独では完結しません。工程のつなぎ目で何を受け渡すのかを決め、テンプレートと締切を共有することが、滞りのない運用につながります。

KPI:差し戻し率・協議完了までの時間・遅延件数

進捗は感覚ではなく数字で追います。3条書面の差し戻し率は品質を映し、協議完了までの日数は交渉の詰まりを示します。支払の遅延件数は、締めや検収の甘さを教えてくれます。月次で数字を見ながら、原因を一つずつ潰していけば、改善は着実に積み上がります。KPIは多すぎると管理が難しくなるため、以下のテンプレを参考にまずは3つに絞って効果を確かめるのが現実的です。

KPIテンプレ

KPI定義計算式(例)計測頻度データ源初期値目標責任部門
差し戻し率3条書面や契約の差し戻し割合差し戻し件数÷提出件数週次契約管理台帳/ワークフロー12%5%調達
協議完了までの平均日数価格協議の開始から合意までの平均日数合意日-開始日の平均月次議事録/協議記録18日10日調達
支払遅延件数支払期日を過ぎた件数遅延件数の単純合計月次会計システム/支払台帳22件5件経理
手形→振込移行率手形から銀行振込等への置換割合振込支払件数÷総支払件数月次会計システム45%95%経理
付帯作業の計上漏れ率荷役・荷待ち等の未計上割合未計上件数÷該当作業件数週次現場記録/請求明細15%3%現場
検索に要する平均時間契約・書面の検索に要する平均時間検索時間の平均(分)月次文書管理ログ12分3分調達/経理
協議根拠の添付率協議に原価や指数の根拠が添付された割合根拠添付あり件数÷協議件数月次協議記録/添付台帳58%95%調達
合意内容の反映漏れ件数合意後に発注/請求へ未反映の件数未反映件数の単純合計月次単一台帳/差異チェック14件0件全社

“小さく試して”からの横展開

最初から全社で完璧を目指すより、影響が小さいルートや相手先から始める方がうまくいきます。限られた範囲で試し、課題と手直しを記録し、次の対象に広げます。成功事例を社内に共有すれば、関係者の納得感が生まれ、協力が得やすくなります。標準化されたテンプレートと台帳が整えば、横展開は思った以上に速く進みます。

まとめ

物流の下請法対応は、対象判定→3条書面→価格交渉→支払の再設計→付帯作業の明確化→多段階の整合を、短いサイクルで回し続けることが肝心です。まずはスモールスタートで一部門・一ルートを選び、協議の根拠資料と記録を整えます。手形廃止後の支払条件や待機・荷役の扱いも、契約と明細に落とし込みます。定例レビューで差異を潰し、成功の“型”を全社へ展開すれば、違反リスクを抑えながら適正な価格と現場の納得感を両立できます。

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