仕訳FAQ

補助金や助成金の勘定科目・仕訳方法は?会計処理で注意すべき5つのこと

更新日:2024.07.06

この記事は約 4 分で読めます。

補助金・助成金の勘定科目は「雑収入」です。
補助金・助成金の支給決定通知を受け取ったら、いったん「未収入金」の勘定科目で処理して、実際に入金されたら未収入金を消し込む処理をします。
実際に仕訳で表すと以下の通りです

【補助金・助成金の支給決定通知を受け取った時の仕訳】

借方貸方
未収入金100万円雑収入100万円

【補助金・助成金が実際に入金された時の仕訳】

借方貸方
預金100万円未収入金100万円

補助金や助成金は実際に受け取るまでに数か月、長いものだと1年かかるので上記のようにいったん「未収入金」で処理するのが一般的です。

筆者はメーカーで経理担当として実際に助成金の仕訳をした経験があります。
筆者自身も実務をする上で判断に迷った点なども含めて解説していくので、補助金・助成金の仕訳に関する知識を身に着けたい方は参考にしてください。

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補助金・助成金とは?


会計処理について説明する前に、補助金・助成金について確認しておきましょう。

  • 補助金:返済義務なし。審査あり。主に経済産業省または地方自治体による。
  • 助成金:返済義務なし。条件を満たせば必ず給付される。主に厚生労働省による。

補助金・助成金ともに事業の支援を目的としている給付金のため返済義務はありませんから、資金調達の方法としても有効だと言えます。
補助金・助成金を受け取ることで、金銭的な恩恵を受けるのはもちろん、しかるべき機関の承認を受けたということで社会的な信頼にも繋がります。
特に助成金は要件さえ満たせば必ず給付対象となるため、ご自身がお勤めの企業でも対象となる取り組みがあればぜひ申請してみてください。

補助金・助成金の勘定科目・仕訳は?


冒頭で述べた通り、補助金・助成金の勘定科目は「雑収入」です。
ここからは仕訳の注意点などを詳しく見ていきます。

補助金・助成金の勘定科目と仕訳

補助金・助成金の勘定科目は雑収入なので、100万円の補助金(助成金)を受け取った時の仕訳を単純に書くと以下の通りです。
補助金・助成金が振り込まれるので借方の「預金」が増えて、相手勘定は収益の勘定科目「雑収入」です。

借方貸方
預金100万円雑収入100万円

基本的な仕訳は上の通りで間違いではありません。
ただし、実際には申請〜給付確定〜受け取りまで数ヶ月かかることがほとんどなのです。
それでは、いつの時点で仕訳を記帳するのが正しいのでしょうか。

補助金・助成金の仕訳入力のタイミングは?

補助金や助成金の仕訳をするタイミングは、「取扱いの機関から支給決定通知書が到着した時」です。
ただし、補助金や助成金は給付確定〜受け取りまで数ヶ月、最長では一年半もかかることも。
そのため、給付が確定したら、いったん「未収入金」という勘定科目を使って計上しておきます。
「未収入金」とは、事業の中心となる営業活動ではない取引で発生している債権で、決算期後の1年以内に回収される性質のものを指します。
仕訳のタイミングとしては2回あります。

【補助金・助成金の仕訳のタイミング】

  • 支給決定通知書を受け取った
  • 実際に入金された

支給が決まったらいったん未収入金で処理しておいて、実際に入金されたら「預金」勘定で消込みの処理を行います。
実際に仕訳で見ていきましょう。
100万円の補助金(助成金)の給付が決まってから入金されるまでの仕訳は次の通り。

【伝票日付:支給決定通知書を受け取った日】

借方貸方
未収入金100万円雑収入100万円

【伝票日付:実際に入金された日】

借方貸方
預金100万円未収入金100万円

二段階に分けて入力する必要がありますので、忘れないように注意しましょう。
実務上は、未収入金の明細を四半期決算ごとに確認します。
補助金・助成金に限らず、消込み忘れがないか、長期間放置されている未収入金がないか、といった項目を決算処理のチェック項目に含めておきましょう。

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補助金・助成金を会計処理する際の5つの注意点


補助金・助成金の仕訳について見てきました。
ここからは注意点を5つ紹介していきます。
補助金・助成金を受け取るなら確認しておきましょう。

1.補助金・助成金の入金にはタイムラグがある

補助金・助成金は、対象となる経費を支払ってから申請を行うことになります。
申請が通ってから実際に入金されるまでに数ヶ月はかかることがほとんどです。
補助金や助成金をあてにしていると、キャッシュフローが悪くなってしまう恐れがあるので注意しましょう。

2.法人税の課税対象ではあるが、消費税の課税対象ではない

補助金・助成金はいずれも収入として扱われ、法人税については課税対象となりますが、消費税の課税対象ではありません。
事業者が国、または地方公共団体から受け取る助成金や補助金は、資産の譲渡等の対価に該当しないため、主たる事業における「売上」とは別の扱いです。
そのため、補助金や助成金は一般的に「雑収入」として計上するのです。

3.補助金・助成金と圧縮記帳

補助金・助成金を使って特定の固定資産を購入した場合に「圧縮記帳」が認められるケースがあります。
圧縮記帳とは、補助金・助成金を受け取った年に税金の負担が重くなってしまうので、税金の支払いを繰り延べることができる制度です。
税金の免除ではなく、あくまでも支払いの繰り延べである点に注意しましょう。
実際の仕訳は以下のように行います。

  • 100万円の補助金を受け取った
  • 500万円の固定資産を購入した
  • 直接減額方式で記帳する
借方貸方
預金100万円未収入金100万円
固定資産500万円預金500万円
固定資産圧縮損100万円固定資産100万円

圧縮記帳の考え方や仕訳は以下の記事で詳しく取り上げていますので、合わせて参考にしてください。

4.補助金・助成金の一部を人件費などに補填することはできない

補助金や助成金を人件費の補填に充てて、直接人件費などから差し引くような計上は認められません。
会計には「総額主義」という考え方があるためです。
総額主義とは、「費用及び収益は、総額によって記載することを原則とし、費用の項目と収益の項目とを直接に相殺することによってその全部又は一部を損益計算書から除去してはならない」というもの。
例えば、補助金を100万円受け取り、実質は人件費の補填に40万円充てた場合であっても、以下のような計上はできません。
【誤った仕訳】

借方貸方
預金40万円人件費40万円
預金60万円雑収入60万円

5.補助金・助成金と協賛金との違い

補助金や助成金と混同されやすいものに「協賛金」があります。
協賛金とは、イベントなどに企業が払う資金のことで、企業が受け取る補助金や助成金とは区別しましょう。
協賛金の勘定科目は目的によって主に3つに分けられます。

【協賛金の勘定科目】

  • 広告宣伝費:不特定多数の人へのPRが目的。全額損金算入可
  • 交際費:特定の取引先との関係維持が目的。損金算入には条件あり
  • 寄付金:地域住民との友好関係を築くことが目的。一定額まで損金算入

広告宣伝費は全額損金算入が可能です。
交際費は、資本金1億円以下の中小企業であれば800万円まで損金算入が可能です。
寄付金は計算式で算出した金額までが損金算入が可能です。
補助金や助成金は企業が「お金を受け取る」もの、協賛金は企業が「お金を払う」ものなのできちんと理解しておきましょう。

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補助金と助成金の3つの具体例


補助金・助成金の具体例を紹介していきます。
あなたが働いている企業で受け取れる可能性があるなら、ぜひ利用してみてください。

1.ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金

通称「ものづくり補助金」と呼ばれるものです。
中小企業・小規模事業者等が、認定支援機関と連携して、生産性向上に資する革新的サービス開発・試作品開発・生産プロセスの改善を行うための設備投資等を支援するもので、中小企業庁管轄で公募が行われています。
年度により金額は変わりますが、機械装置費などの対象経費の2/3以内、上限額1,000万円が給付されます。
詳しくは中小企業庁「ものづくり(サービス含む)中小企業支援」を確認してください。

2. 事業承継補助金

事業承継、事業再編・事業統合を契機として経営革新等や事業転換を行う中小企業者に対して、その新たな取組に要する経費の一部を補助するもので、ものづくり補助金同様、中小企業庁の管轄で公募が行われています。
種類にもよりますが、300万円〜600万円の補助金を受けることができます。

3.キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するため、正社員化、処遇改善の取組を実施した事業主に対して助成する制度です。
こちらは厚生労働省の管轄です。
正社員化コース・人材育成コースなどがあります。
例えば、有期契約社員を正規雇用に切り替えた場合、一人当たり42万円〜72万円の助成金の給付を受けることができます。(中小企業の場合、通常57万円)
他にもたくさんの制度があります。ご自身で調べてみたり、専門の業者や社労士に問い合わせてみたりするのもいいでしょう。
厚生労働省「キャリアアップ助成金 」にも詳しく掲載されています。

補助金・助成金の勘定科目と仕訳|まとめ

補助金・助成金は返済義務がなく、事業の支援を目的として給付されるもので、事業の助けになることもあります。
自社の取り組みで対象になるものはないか、きちんとアンテナを張っておくのも経理の仕事です。
会計処理については特段難しい点はないので、ぜひトライしてください。

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従業員はわかりやすくなった科目名を選んで申請できるため、経理担当者の確認時において勘定科目の訂正が不要になります。また、会計システムにデータを連携する際には、正規の勘定科目名やコード情報を出力できるので、データの加工や修正に手間がかからない点も安心です。

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